懇願(1994)

懇願(1994)

何かに急きたてられるような焦燥感が俺を苦しめる。
疲れているのに、何かをしなければ気が狂うような気がする。
それとも既に狂っているのか、体と心が噛み合わない。
何かがずれ始めている。
もう随分長いこと人と喋っていない。
指示をしなければ無闇に電気代を喰らい尽くす機械とばかり戯れている。
倒れるように眠り、目が覚めると機械の音が俺を現実に引き戻す。
煙草を吸い、チョコレートを食べ、そしてやってくる焦燥感。
機械は頑固だが、喰らいついてでも会話を進めるとやがては答えてくれる。
彼の考えていることは手に取るように解る。
NOかYESだ。
そして俺を傷つけることは無い。
ただ己の技量の無さに落胆するだけだ。
今は人との接触を拒否した俺の唯一の相手だ。
しかし何故だろう。どうしてこれほどまでに心が乾く。
どれだけ会話をしても満たされない。
寂しいのか。
人と会いたいのか。
でも耐えられるか、人の顔色を伺うトラウマを背負ったこの俺に。
一喜一憂の感情に弄ばれたいのか?
駄目なんだよ、もう。
浅い付き合いには飽きたんだ。
今は休憩しているんだ。ゆっくりと休ませてくれ。
俺の居場所はどこにある。
焦燥感は辛い。
この薄暗い空間の中で俺は朽ち果てるか。
光が欲しい。



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