【stage 1】きれいな部屋、快適な暮らしを、具体的に、強くイメージする
重要なことは、まず最初に、「目標」ありきということ。数値目標ではいけません、 感情を伴った、感覚的イメージを持つ
こと。漠然としたものではなく、強烈に心に刻むこと。
このことを強調して指南した「お片づけ書」というのをあまり見たことがないような気がしますが、私は一番重要なことだと思います。成功は、これができるかできないかにかかっている、と言っても過言ではありません。これさえできれば、どんなに時間がかかっても、必ず成功することができます。また、一度片付いたものが元の木阿弥になってしまう、恐怖のリバウンドもありません。多くの悩める「片づけ下手」の典型のようだった私が、胸を張って「できるようになった」と言えるようになったのは、このステージがあったからに他なりません。
また、部屋や暮らしのイメージだけでなく、その驚くべき波及効果を、やはり具体的にイメージするのもよいと思います。きれいな部屋の効果は、人生全般に波及します。ダイエットできて魅力的な体が手に入ります。借金がなくなってお金が貯まります。いやな人間関係を断ち切って、よい人間関係を築けます。仕事や勉強ができるようになります。気持ちに余裕ができて、イライラしなくなります。まだほかにもあると思いますが、ぱっと思いついたのはこのくらいです。といっても、これだけあれば十分かもしれませんが‥。
これでは、まるで新興宗教ですね(笑)でも、ほんとなんですよ。最後に書いてありますが、片付けとは要するに頭と感情のトレーニングです。頭を使い、感情をコントロールすることを学べば、何でもできると思いませんか?
【stage 2】手放すという行為を、自分に理解させ、納得させる
片付くというのは、要するに 「要らないものがないこと」「要るものが適切な場所にあること」
の2点だけです。実は、「要らないものがない」状態にさえ至れば、「要るものが適切な場所にある」のはそんなに大変ではありません。
ところが、「要らないものがないこと」は、イメージすることが難しい。今目に見えているものを「ない」と想像することは難しい。モノは「存在し続ける」という思い込みが人間の頭にあります。また、人間は既得権を捨てられない精神構造にもなっています。「今ある」という事実が、「価値がある」と錯覚される心理を背負っています。それらの「素朴思考」を、意図的に論理的思考でやっつけなくてはなりません。現在から未来を考えるのではなく、未来の視点から現在を考える、という思考の転換が必要です。
そして、 持っているものを手放す恐怖に打ち勝つ
必要があります。やってみれば分かりますが、「手放す」ということには、いくつもの方法があります。片付かない頭とは、手放すことへの盲目的な恐怖に縛られて、その多様な可能性に目が開かれていないことを言うのです。
キーワードは「生かす」です。 モノは生かさなくてはいけない、ということを徹底的に叩き込む
べきです。または、モノが消滅することで場所が生きる、ということも考えます。手放すことで、モノや場所がいかに生きるか、ということをよくよく考えるべきです。
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【stage 3】一番手近で楽な手をつけやすいところから実行する
次が「実践」ですが、必ず小規模な、実現可能な所からスタートしなくてはいけません。大きな行動は失敗しやすく、失敗した場合の立ち直りも遅くなるからです。小さい行動は失敗しにくく、失敗しても取り戻しやすいです。小さな行動の積み重ねは、意外にあっという間に大きな行動に結びつきます。
一箇所でいいです。狭くていいです。まず、 片付いているということに慣れてみる
必要があります。
まず、どこにするか、決めましょう。毎日必ず使う場所、自分が気に入っている場所、一番長い時間を過ごす場所、もともとモノが少ない場所、などを選んでみるとよいでしょう。
【stage 4】自分の「優先順位」を発見していく
(モノと自分の関係を整理する)
捨てられない、片付かない、理由の大元は、 そのモノを使うかどうか自分できちんと把握していない
、という所にあるように思います。別の言葉で言えば、モノと自分との関わりを見失っているのです。片づけの極意とは、この関わりを掴み直すことに他なりません。
そのモノを目にしたとき、いつ、どこで、どのくらいの頻度で使うのか、イメージできますか?それがはっきりしないものは、手放すべきものです。
優先順位とは、グラデーション、めりはり、重みづけ、などとも言い換えられます。片付かない人の頭の中は、ものごとが「ベタ」になっています。酷い言い方をすれば、「糞も味噌もいっしょくた」です。それを、できるだけ意識して、 大事なもの、使うものを、思いっきり大事にしてあげる。その分、そうでもないモノは、意図的に冷たく扱う。
場合によっては、キッチリさよならを言う。そういうトレーニングをします。どこにしまうか云々以前に、頭の中で優先順位をつける訓練をしてみる必要があります。
優先の規準は、「使う>使わない」と、「現在>過去・未来」の軸です。必ず/よく使うものを優先させ、たまに/場合によっては使うものを下位に置きます。現在使うものを大事にし、過去大事だったものや、未来に大事になるかもしれないものは、なるべく排除します。
【stage 5】使うものを使う場所にまとめる
(モノとモノ、モノと場所の関係を整理する)
機能が似ているもの、同時に使うものは、なるべく1箇所に集めます。
頻繁に使うモノで、使う場所が複数箇所に渡るモノは、複数用意してそれぞれの箇所に置き場を与えます(それはそんなに多くはありません)。もしやってみて、使い勝手が悪いようでしたら、すぐ組み合わせ、場所を変えます。また一応うまく行ったとしても、この整理は一気に進むことはあまりありませんので、一度整理したものも時間をおいて見直すとよいと思います。
その場所にふさわしいかどうか、も常に考え続けなくてはなりません。頻繁に使わないモノが、使いやすい場所を占めていませんか?その場所では絶対使わないようなモノがまとまってそこにあったりしませんか?
まとめてみると、「かぶっている」モノを発見することができます。 これは一つで済まないだろうか?と絶えず問いかけてみる
ことです。全く同じモノがあったとしたら、1つだけ残して後は処分を考えます。似たようなモノがあったとしたら、兼ねられないか検討します。兼ねられると思ったら、やはり1つだけ残します。
最小限の数が1つとは限りませんが、できるだけ1つしか残さないよう考える習慣をつけるべきです。例えば、口紅ならば、赤系1本、ピンク系1本、オレンジ系1本、と、各色1つだけ残す、という考え方です。ネクタイなら、小柄1本、ストライプ1本、水玉1本‥など。つまり、 最小限1つ必要な枠組み、というものをはっきり作る
ことです。趣味品ならその枠はやや多く、必需品ならギリギリまで少なく、とめりはりをつけるとやり易いでしょう。
【stage 6】1~5を行きつ戻りつしながら続ける
これらのステップは、螺旋を描くように進みます。最初の「目標」は常に真ん中にあってあまり変化はしないけど、折々思い出して強化して、正しい方向性を示し続ける必要があります。
片づけは、行動しながら、自分との対話の継続です。 片づけは頭のトレーニングであり、感情との戦い
です。車輪の両輪のように、どちらが欠けてもうまく進みません。
【番外編】徹底的にモノを持ちまくってみる
正統派ではなく、一種の荒療治ですが、 あるジャンルのモノを徹底的に持ちまくってみるのも手
です。お片づけに成功した人の中で(私もそうですが)、一度このような道を歩む人が散見されます。
あるジャンルに関して、オタクになるのです。キッチン用品ならキッチン用品、洋服なら洋服、趣味の品なら趣味の品で、家を一杯にしてしまうのです。お金がかかろうが、何年投入しようが構いません。気が済むまでやってみましょう。
行くところまで行くと、人間、悟りが開けます。そう、お釈迦様だって、高貴な家に生まれ、美姫に囲まれ、何不自由ない最高の暮らしを味わった中で、それらを捨てることに目覚めたのです。全てを手に入れた時、何を捨てればいいのか見えてきます。お金と時間はかかりますが、大事な授業料。高いレベルの「悟り」が開けますよ。
ただし、くれぐれもジャンルは一つに絞りましょう。そして、そのことについて、「熱に浮かされたように徹底的に語れる」レベルを目指しましょう。間違っても、古新聞古雑誌を徹底的に集めたりしないように(笑)。もし集めるのなら、どこに何が書いてあるか空で言えるくらいにしましょう。逆に、それができないものは「徹底的に」持ちまくった、とは言いません。