「手放す」方法論


 「手放す」とは、大方「捨てる」という言葉で表された行動のことを指します。本当はズバリ「捨てる」と言いたいのですが、「捨てる」という言葉が、あまりにネガティブなニュアンスを含んでいるため、この言葉に対面するだけで気持ちが萎えてしまう「片付け下手」な人も多いのではないかと考えて、わざわざ言葉を変えてみました。

 正しく手放す=捨てる ことができれば、片づけは簡単なのです。信じられないことですが、片付けることが面倒くさくなくなります。気がついたら片付いています。片づける、ということは、正しく手放すことさえできれば、ほぼ達成できたと言っても過言ではありません。

 片づけられない人は、正しい手放し方を知らなすぎるように感じます。そこで、手放すということについて、まとめてみました。



【使う】



捨てられないなら、使いましょう。 「死」蔵が許されないだけで、別に、モノはいくらでも持っていて構わないのです。使わない→減らない・傷まない→捨てられない、という悪循環を断ち切る必要があります。消耗品なら、意識的にどんどん消費してみましょう。耐久消費材なら、擦り切れるまで使ってみましょう。

 死蔵されていたものをこうして使ってみると、2つのメリットがあります。消耗品の場合は、溜め込んでいたものを全部使い切るまでにはけっこう大変だ、ということが分かるはずです。耐久消費財の場合は、自分の好みでないもの(好みでないからこそ死蔵されていた)を使うのがいかに苦痛か実感できる、ということです。もし、最後まで使い切る、使い倒したとしたら、その苦痛が身にしみて、不要に多くのもの、軽々しく大切でないものを持つことが、どんなに人生にとってマイナスか、学べると思います。もし、途中で音を上げたら、「捨てる」ことはもうそれほど精神的な苦痛を持たないと思います。使う苦しみに比べれば、手放す方がよっぽどまし、と思えているのですから。

 不要なものを使わねばならない苦しみをちゃんと味合わないようでは、使ったうちに入りません。ぜひ、なるべく早く消費しきるよう、消耗しきるようなやり方で使いましょう。「生かす」トレーニングを徹底的にしてみましょう。



【売る】



 手放せない理由の真髄は、「それには価値がある」という感情(=錯覚)です。 価値があるものを「捨てる」ということに、耐えられない のです。

 本当に価値があって、かつ今の自分には「要らない」と分かったものだったら、まず、売りましょう。売る=捨てる、と感じる人はいないはずです。買った人は必ずそれを使いいます(と思えます)。モノは完全に「生き」ます。自分のところで「死」蔵されるくらいなら、そのモノを生かしてあげる方が、大切にしていると思いませんか?

 売る方法もいろいろあります。フリーマーケットに出品する、リサイクル業者に買い取ってもらう、オークションにかける、など。



【譲る・あげる】



 売れるほどのモノではないけれど、まだまだ使えるものについては、ほしい人に無料であげるのがよいと思います。身の回りの知人からほしがっている人を探す、雑誌や公共機関の「譲ります」「譲ってください」欄を利用する、必要としているボランティア団体に寄付する、などです。

 他人を幸せにする、という付随事項が、「捨てる」ことに伴う罪悪感を癒してくれます。

 逆に、自分には何の得にもならないことはしたくない、というケチな根性が片づけられない根底にある人もいると思います。そのような人は、その考え方自体が、自分を不幸にしているということを知る機会にしてみましょう。 他人に与えれば与えるほど幸せになる、ということのトレーニング を、モノという一番わかり易い手段でやってみるとよいと思います。最初は抵抗があっても、続けていると、その効果に驚くはずです。



【別の使い方をする】



 人様にはもう差し上げられないような品であれば、別の形で「使え」ないか、考えます。衣類をおろして雑巾にする、箱を引き出しの整理に使う、裏紙をメモ用紙にする、等が代表です。
 ただし、 これはやりすぎて、不要のものを必要と錯覚させる原因になることが往々にしてあります。 「使う」とは、あくまで実用品に限りましょう。装飾品を製作してはいけません。複雑な工作が必要なものもおすすめできません。廃材を使って家具を作る、などはやめましょう。また、一定量の上限を必ず設けましょう。使い切れないほどの雑巾、使いきれないほどのメモ用紙ができてしまったら、【使う】に戻ってみましょう。



【廃棄する】


 最も狭い意味での「捨てる」です。 使う・売る・譲る・別の使い方をする‥すべてを徹底的に検討してみて、どうしてもだめだったもの‥それは絶対に廃棄すべきものです。

 キーワードは「生かす」です。他人も使わないもの、自分も使わないもの、そんなものを、所有してどうするのでしょう?どんなに高価「だった」ものでも、サヨナラすべきです。

捨ててみて、使う機会が来て、捨てなければよかった、という後悔が襲って来る事態になったら、その痛みを次への教訓にすればよいだけの話です。使う、譲って生かす、などを、詰められなかった、と反省すべきです。しかし、そんな失敗はほとんどないということが、繰り返してみると分かってきます。無くても済んだんだ、という発見に感動する方が圧倒的に多いはずです。圧倒的多数の成功のために、いくらかの失敗はつきものだと覚悟して、そのような失敗は学習によって減らすことができるのだと自信を持って、やってみましょう。

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