ラジェンダ エリコムリ            L'agenda d'erikomri

イスタンブールに恋をする。


本当に偶然で。
直前に決まった旅行だったし、
自分で選んだ目的地ではなかったし。
(いつも私の旅行は受動的なのだけれど)

出発の直前、イスタンブールに行ったことのある
友達が、酔っ払って言っていた。
ガラタ塔からみるイスタンブールの夕暮れ。
彼女はこれに参った、と。

イスタンブールでは東と西が交差する。
ヨーロッパでも、アジアでもない。
ブルーの海をせわしなく横断する定期船と、
むずかしい顔をしながら船に乗り込む人々。
無数の白いかもめと、怪しい商人たち。
海を縁取るモスクたちと偉そうな宮殿。
オリエント急行の残り香、駅のステンドグラス。
砂ぼこりの舞うバザール、チャイの香り。

夜、旧市街にあるブルーモスクのまわりを散歩する。
ひかりに包まれたモスクは、やさしく聳え立つ。
そのまわりを、かもめが回遊する。
ゆっくりと、ときどき鳴きながら。

最後の三日間、眺めのいいホテルに泊まった。
夜、ボスフォラス海峡は濃紺の暗闇で、
それを囲む街は、夜中いろいろな色に輝く。
動いているのは、たまに通る船だけ。

空をみると、うっすらと雲がかかっている。
生まれて初めて、青い月をみた。
(一緒にきてるのが彼氏なんかだったらどんなによかったことか。)

最後の日、空港へ向かう道すがら、海を見る。

自分の飛行機の切符の日付を恨めしく思った。
時間に引き離される想い。

イスタンブールは、このような街でした。





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