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ruka126053のブログ
第21章
1
作戦遂行のために、何でもする姿勢をフレッドは理解できなかった。
彼自身のことは好きだが、それでも、彼の冷酷で冷徹な姿勢を理解出来なかった。
「悲しみが増えるだけなのに」
「結果はよかったはずだよ」
平然とゴットヴァルトは答える。これが最後の日の言葉なら、聞きたくない言葉だ。ヴィンセントは言う。
「まさか、彼は異常者でも戦闘狂でもないよ」
ウルリヒはヴィンセントの言葉がどうにも納得できない。
「でも僕は彼の姿勢や思考がわかりません」
「・・・・・恐怖だよ」
「え」
「そう、。リーゼロッテは私の王子さまなの、いつも助けてくれる」
ジ―クムントはアーデルハイトの言葉に少々気味の悪さを感じた。まっすぐで勝ち気で怖いもの知らず、友情にあつく、悪を憎み、弱いものを守る。
「だが、リーゼロッテはいつまでもお前を守るばかりじゃないだろう」
「それはそうだけど・・・」
「つまり、アルバート、あなたはどうしたいの」
アンネローゼは言う。
「私を変える、私に貴方に従うだけの下等なつまらない生き物になれというの」
クロのは眉をひそめる。
ダダダッ。
狂いそうな感覚を整えるため、思うまま走る。心は自由なのだ。狂え、逸れ。逸れ。逸れ。ダノンが、アリスたちの前で剣をふるう。
「行け」
「いくぞ」
フロイデが先頭に立つ。
出席番号、11番。フレッド・エストカラス。出席番号24番。まあまあ遠距離片思いだ。まあ告白はしないがパーティーは組んでみたい。
「やめておけよ」
右隣のピーノがいう。前髪長めストレートな黒魔術師、将来はセカンドに入る予定のクラスメイトだ。
「なによぉ」
自分はそこそこ、戦闘訓練でもいいところまで行っているのだ。まあ背が低いし、でも顔は可愛いし、動きが素早いし。
「お前、剣士としてそこそこで、それ以外はだめだめじゃん」
「あたってみないとわかんないじゃん」
「じゃあ器物半壊させる癖直せ、白魔法を覚えろ、ルルーナ」
「エリザベート・・・」
「アルバート、生きて」
「・・・・ごめん」
紫がかった、品のよさを感じさせるストレートヘアを膝まで伸ばして、つりあがったぶどう色の大きな瞳、ファースト所属のブレイヴの少女は、リーゼロッテの言葉に表情こそクールに保っていたが、内心いら立っていた。
ブレア・アリーズとカイザー・クラウドは実は関わりがない。だが有名人だ。高根の花とは言わないが、近寄りがたい同級生。ダヴィデ・オウルは中等部の時、同クラスだった。相手は貴族だし、自分は庶民だ。遠縁の遠縁に偉大な魔術師がいた。
彼の評判は、明るく平等で、わがままで優しくてまじめで繊細でいたずら好き、子供っぽく、恋愛には奥手。少々威張り屋でわがまま。成績は上で、運動関係はまあまあ。友達も多く、意外とアクティブ。友達思いで親切。
「転校生のカイザー・クラウドです」
けれど、彼は消えてしまった。いや死んでない。
シャーロットは、その関係性を忘れ。ルイやシャルルは切り捨て。ア―ガンスは忘れ、アレクシスは忘れ。
学生名簿からも消え、抹消された。
―4年前。
その場所はツヴァイトークの北西、山奥にあった。ハイエルフとはかくが下。紅茶色の髪の長い髪の少女はシュヴァルツウルフの潜伏場所の屋敷で故郷のことを思い出す。エルフとは小さな妖精から生み出された森の種族だ。長命で、だれもが美しい容姿を持つ、その中でもハイエルフのメルヴェーマインメル・テクシートフロース・フュ・アツィ―ルフィーユオ―ブ・ファヴ―ルは大事に守られていた。伝説や物語と違い、ダークエルフの里、インヴィオの里とも古くから親交があった。
「いいなぁ」
水浴びは、けがれに弱いエルフ達の日課だった。ダークエルフの少女は巫女の一人である少女に言う。基本パンドラは名前が与えられると、神の趣味か長い名前を与えられる。
「ハイエルフ様達は帝都で人間と同様の暮らしで贅沢三昧でしょ」
「ここでの暮らしも悪くないだろ」
「まあ、後は二ケの肖像で宗主様に仕えるか、でもあそこも女のそのみたいでしょ」
彼女たちの先祖は、英雄に剣を授けたという。古い伝承だ。
「後は女神様の妹女神(シスター・セア)、我らがエルフの女神アースニャ・テルタ様の決めた相手と一生ここで過ごして、畑を耕す、ダークエルフのみんなで二ケの祝福と復活の祭りをするのよ」
「ダークエルフといえば、昔はドラゴンを神としてたんでしょ」
「そんなのひいばあちゃんのころよ、で、あんたはさ、アルトゥルとどうなの」
少女はキョトンとする。
「馬鹿、こいつは巫女様よ、女神様に一生をささげるのよ」
「でも、貴方半分は神の血があるんでしょう」
巫女は神に人生を下げ、宗主のように祈りで世界を守る。外界に出たいという、恋がしたいという少女も少年もここが永遠にしぬときまで、そのあとも続くと思っていた。
「いてて」
「少しは確認しなさいよ」
ウルリヒは笑う、パメラのそばで。
「だって見るからに悪人面でテロリスト」
「考えなさい」
褐色の肌、砂色の短髪、正直女性だと思わなかった。
「…お前は何でム―デ家に加担する」
「俺の自由だろ」
ルベンティ―ナのような女性、マリアベル、華麗な女性が多いアルフレートにはいないタイプだ。
「冗談でしょう、僕の今日の任務は終わったので」
「目の前で貴方の仲間が殺されるんですよ、理由も聞かれずに無実で」
フレーヌの言葉にますますパンドラの駐屯兵の少年達は、おかしいというように見る。
「そんなの捕まったそいつのミスでしょう」
「そんな胸が痛まないのっ」
ノアもイヴも…ヴィントも僕の理想が理解できない。フォボスもだ。
「完成したか」
「ええ、まぁ」
数年前、鬼属に人食い鬼が生まれた。ガラスケースの中のそれはキメラだ。
アレスターはおそらく僕と同じものを求めている。モニカはどうにでもなるが。
「何かはかりごとでも」
「いや」
「君は、気が置けないな」
ジュードは、貴族ではない。同じ隊とはいえ、なぜお飾りのエリート集団、魔法騎士にいるのか、ウルリヒも通う摩天楼施設ルーナ・ブレーナ。
そのフロアは、生まれも階級も関係ない、実力主義、エースという特権をもつ者だけが入ることができる場所だ。あるいは鋼の妖精ともいわれるがか弱い意味ではない。得体が知れない、近付きがたい。近衛騎士団、ゴッドナイトに直々の命令を与えられ、知るヴァクロスとも対等。下には箱庭と呼ばれるエリアがあり、パンドラたちの戦士が集められている。エデンの中立的エリア。二ケの肖像から与えられし場所。
「そうか?」
帝都の景色を一望できる継ぎ目のない巨大な窓ガラスに、壁一面を覆う本だな、装飾過多のじゅうたん、神の姿を描いた絵画、ミニテーブル。
アンジェロ。それも8歳の少女だ。l談話室のような感覚か、任務以外はウルリヒは仲間とともに集まる。
「主席は、学生時代、ラインハルト様にご指導をいただいたとか」
「やめてくれよ、隊長といっても、私はただの連絡係のようなものだし」
ジュードの冷たい視線が後ろのウルリヒに向けられる。戸惑い、やがて視線をずらす。ルードヴィッヒの友人にして騎士。中途半端な自分は気に入らない。
アンネミ―ケに抱えられながら、悪魔属の屋敷から炎が燃える場所を見つめていた。
ブラウン・ローズでイツェンや仲間が武器を整えていた。多くの死傷者が出たが、勝利したのだという帝国軍には些細なことらしい。松明を持ち、ディアボロ家の領民が要塞の下でさわいでいる。
ルナティつくドレスの面々が入るが、パンドラたちに感謝はない。
「アンネミ―ケ?」
頭を軽く引き寄せられた。
「・・・・奇跡があるかよ」
アルヴィンは、彼なりの照れ隠し、不機嫌な彼なりの親しみであることを理解している。天魔落ち、その宿命。運命に購うこと。
「でも、明日はわからないだろ」
違和感が消えることはない。けれど悪いパンドラを討つ。
「剣に迷いがあるぞ」
「先生・・・」
クラウド家は騎士であり軍人、侯爵家の流れだが自由気ままではない。マリアベルもアルフレートの姉も。
・・・・ソキア。
生まれる前からの婚約者、けれどアルフレートは彼女自身に好意は抱くが、それが世間でいう恋愛となると思えない。ルヴァロアにも女子がある。ヴィクトリアは可愛いがたとえば、8年後、16歳だ。自分も誰かをいとしいとか思うのか。
「まさか、フレッド、リーゼロッテに」
「エーニャ、この朴念仁にそれはないわ、ねえ」
誰もが人も魔物も平等に、テオドールはその騎士団を見ながら、アーデルハイトの後ろのリーゼロッテをみる。
「悪魔属のクーデターか」
「おおおおおおおおおおおおお、君が噂のオウル家の」
「いえ、おじさま、今日はそういう」
「シエラ君、今日も君は美しい、そうか、そうか、君がダヴィデ君か、いやあ、女性にモテるだろ」
「すみません、親友は女性と縁が切れているので」
はかなげ風に言うがお前は俺を殺人犯にしたいのか。
「じゃあ、お見舞いに菓子でも」
「行きなさい」
「・・・・・・・あの、ブレアの部屋、奥だから」
「変な両親だな」
「私はそんな正義感じゃないわ」
けれどジ―クルーンは幼い顔をさらに不思議そうにするだけだった。エイルがサイズの合わない装飾が施された金の腕輪をみる。
「私が戦うのは、自分のためよ」
ユージーンはエイルのその言葉をじっとした表情で聞いていた。
「あんた、本当に近接戦以外はド下手ね」
くすくすと意地悪そうな表情の可愛い顔を浮かべる少女。
「考えなしでお優しいだけなら、あの方の娘も楽ね」
エイルがかっとなる。
「お父様のことは言わないで」
「行きましょ」
くすくすと笑う。
「気にしないで、あの子たちは構われたいだけよ」
「奪われたものの悲しみは、カイザー、お前にはわからないだろう」
向けられた敵意、カイザーも負けじとウルリヒと同じ軍服の少年をにらむ。ジュード・スレイロード。青の革命の生存者、魔法騎士だ。
カイザーが知っていること。
双子の弟、ヴォルフリートにかかわる人物。
誰もが思いがちだが、似ているからと友人になるわけではない。特に同性の場合。
「・・・・」
「・・・・」
すまん、アリスよ、俺も別に嫌いではないが、これが限界だ。会った時、わかる。
アルヴィンはぼっちだが皆大好きであり、俺の敵だ。
「俺、行くから」
「そう、レッド・レクスはもう、あんなパンドラ程度のコマを使う必要はないんだ」ヴェンデリンは本気で言っている。そのまっすぐさ、ディートリッヒは自分と似た性質を感じながら、魔術省でその少年から目をそらした。
「アーロン、今夜の催しものは止められないのか」
要するにモンスター商人が子弟となるパンドラを会場に入れて。
「アンジェロ、エルフ、それ以外は」
「傲慢な女だな」
「なっ」
アリスはその時、ヴィクトールにナニ言われたかわからなかった。
「同い年のくせに」
「小さい女だ、たかが12歳かそこらで世界を背負うだと、身の程を知らぬ田舎者の娘が抱きそうな平凡な夢だ」
「うぎゃあああ」
「いいんですかね」
雷の魔法で発動式の魔法を解く。
「いいのよ」
アプリコットは平凡な町の娘で宿屋の娘だ。ライトニング・ヴァリニアに生まれ、王都など見たこともない。忘れられた、古い町。パンドラも魔女も騎士さえ見たことがない。
だが、妖精兵―・・・。
英雄が尋ねたことより、少女は剣となった。
天魔落ちにより、帝国にいる憧れの人は村ごとこの世から消えた。力に魅入られた少女は、人々の前に現れる。
「偽りの夢を砕く」
9年前、その人はある少年と出会う。
「君は誰?」
「俺はオルフェウス・・」
「・・・確かにアルバートとそっくりだな」
「久しぶりに見たよ」
王宮内でハルトはその少女をみる。フロイデといったか、彼女の青年騎士が俺をみる。
「ヴォルフリート・フォン・ヴァルべルグラオ」
時臣が俺の隣で複雑そうに見る。
テレ―ジア・フォン・ッァバァイバスラーは、ある冬の日、女のこと男の双子を産み落とした。異界の扉が開く。
「離して、貴方」
テレ―ジ兄そっくりなかわいい女の子の妹は、兄とは似ていない。
アルバート、それがアーデルハイトの兄に付けられた名前だった。
「あなたはあわてん坊ね、アリシア」
「・・・・アンネミ―ケ様」
にこりと少女らしく笑う。
「様はいらないわよ」
「お前は、真実とやらにあったのか」
変なお茶会だ。
「皆、頭がおかしい人ばかり」
「ふむ、では君はまともなのかね」
「当たり前よ」
もう虫の息だろう、今日でずいぶん、帝国のパンドラ兵を殺し、スキルを手に入れ、その財産も手に入れることができた。奇妙な、血の底のような醜い声、紫黒の光の曲線、トトの異界が出現し、さっさと諦めればいいのに、ユニコーンの狂った卵は手足をばたばたさせ、声をあげている。帝国に生まれさえしなければ、そんな死に方も死ななくていいものを。
「あいつは僕が倒す、いいな」
名門貴族のジェニーは、幼いラインホルトの頭をなでながら、ヴェデ―レに言った。
「オルフェウス中尉は手ごわいぞ」
「伯父上、僕も戦場に行きます」
ジェニーはにやりと笑う。
「お前は行かなくていい、今日我が国は帝国に勝利するのだからな、お前も手伝ってくれるよな」
同じ軍学校で、先輩後輩だ。
「俺は友達だろう?」
「はぁぁぁぁ・・・・・・」
深く深くため息をついた。
「オズワルド殿下」
ラインホルトが23皇子を拘束して、連れてきた。
「ご命令通り、すべての戦闘を終え、反逆者を一掃しました」
「きっさま、今まであんなにかわいがったのに」
忘れていた。そういえば、こいつ、人気者の上カリスマがあったんだった。やべえ、あまりに興味ない情報だったから、忘れていたわ。
「静まれ、オズワルド殿下の御身の前であるぞ」
まああれだ、戦ったのも指揮したのもこいつだし、僕は使えない王子であることはアピールできただろう。
「・・・くっ、辺境の生まれの分際で」
「初の戦闘で見事な手腕だった、よくやった」
おまえ、ふざけんなよ、第一皇子の騎士だったなら空気よめやぁ。これ完璧に皇位継承のレースに乗ることになるじゃないか。
「はっ、ありがとうございます」
「うん、今後のお前の活躍に期待しよう」
うれしそうだが、マジではないよね、違うよね、ここから裏切り成り上がりをするんだよね、僕を巻き込まないでほしいな。
「ディートリット、死んだ者たちには」
「はい、わかっております」
ガウェイン、君の躍進を期待する。早く皇帝になってね、僕の精神安定のために。
「早く、この混乱を収めないといけないな」
僕のために、市民も貴族は死んでいいけど。
「強いんだな、お前」
「・・・・違いますよ、私は憶病なだけです」
神官の娘はアーロンのほうを向かない。
「ここの人はみんなそう、だから強い力にすがる」
血の絆、シャ―リぃを支えながらアーロンは言い返すことができなかった。
「・・・・・・・・・・君は冷静さを学ぶべきだね」
「わからないわ」
「一つの価値観や善意が、君以外では毒となり刃となる」
「・・・・」
「父様・・・かあ様・・・」
アヴィスは興味すら抱かない。力あるものが弱いものを虐げる。それがジ―クヴァルト・バドォールの番になっただけだ。
ここにいるのは特別な出会いだがずいぶんと陰惨な出会いがあったものだ。戦争をしていることを市民に公表する。愚か者がいて、いつも通り壊れるだけ。
「昔、頭のおかしい女がいた」
「え・・・」
何度目かの戦闘、16歳のキャナルは剣士となり、帝都にその姿がいた。
「元々は北の辺境の生まれで帝国に移ってきたが、しばらくして妙なことを言い出し、村の全員から馬鹿にされ、死んだ」
「一体、何を・・・」
「戦場に出ている、兵士になっているパンドラの多くは10代が大半だと、帝国軍のほとんどは一度も戦場を経験していないで、彼らの多くは・・イヤ、やめよう、ただのもうそうだ、パンドラと人間の区別もつかなくなった可哀想な女性だった」
「エルフに諸侯の地位を与えるのですか」
「ああ、君は頭がいいな」
女王陛下はエルフが好きだ。悪魔属、アンジェロ、エルフは高慢で人嫌いとされる。
正直にいえば、パンドラはどこの国でも、彗星の民とともにその命も居場所も確立されない。正しい人がいれば、彼らの立場を守る人もいる。
「魔女やウォーロックを殺すのは正しいことでしょう」
自分は貴族筋なので、人間に育てられる。
「わが娘よ、世界はね狩りすぎてはいけないんだ」
哀しい顔をした。
・・・エル・ゴレム。
我が国の人間がノーマナに闇の魔法を使い、パンドラを使い、帝国に牙をむいた。紫の帽子【パープル・ハット】の塔の出身、かなり前に魔術の道を捨て、帝国に移り住み、普通に過ごしていたはずの男だ。
たった4年か。
青の女王【ブルー・レジ―ナ】、彼女が止めてしまって、すぐにこんな悪が出てきてしまった。
「・・・」
アストリッドは、北の辺境のカラ―ル王国に生まれた。
帝国軍が今か今かと攻め入っている。ブルー・レジ―ナと戦い、異母兄は栄光の地位を剣を失った。騎士団団長の末娘として、自分にそっくりな第77皇女の幼馴染として、轟音がどこかでなく。
サチュロス種のドライはすでに息絶えていた。
夜の街を暴れまわり、炎をところ構わず吹き出し、道歩く人々に攻撃し、悪魔の姿に変わる。
「ひでえ顔だな」
勿論、ワイバァン隊は勝利だ。表情も変えずに勝手の仲間を手に掛けるあいつはおかしい。
「まあ今は熱くなっているだけだろ」
「お前も大変だな」
アルフレートは無意識にむすっ、となった。
「不機嫌だね」
「バーリド」
なじみの少年隊士たちも今は待機だ。まあ、また戦闘がおこなわれるのだが。自分の命がかかる以上、敵も知能を回るらしく、予想以上に披露や不満がたまっていた。
こういうとき、連帯意識というか、群れを乱すものは目立つもので不満はそういったものに向けられる。
「しかし、彼もなれたものだね」
「・・・・」
「アルフレートはまだ受け入れられない?」
光の騎士団にはヴィンセントもいる。単純にクラウド家だけに剣を使うのではない。
「いいですか、対象への無意味な感情はやめるのです」
異端審問官はドロシーに言う。
「わかっております」
異端審問官に身柄を取り押さえられたヴィッターは、多くの民衆の中、マリウスやその仲間と遭遇する。
「その紋章、二ケの肖像のものか」
「囚人が逃げたぞ」
「追え――ッ」
はぁ、早く後方支援に回りたい。屋根の上を飛び跳ねながらダヴィデは先輩と後輩とともに時臣を追う。
ガッシャァァァン。
「・・・・落ち着いて」
剣を喉元に充てられながら、アルバートは時臣に言う。
「貴様・・・」
「え、何で」
するとブレアがとたんに真っ赤になる。
「ほ、ほら、今だにクラスになじみの子いないし、そう心配で」
すごい意気込みだ、近いし、だが俺がそんな青春桃色トラップに引っ掛かると思うな。生涯一人を貫く俺にそんな罠は引っ掛からない。
「そう言われても今と変わんないぞ、赤い格好の聖人を信じてたくらいで」
「でも、ほら、一人くらい覚えてることかいるでしょ、女の子とか」
「モテない男子が皆いつも異性のことばかり思っていると思うな、反省しろ」
とはいえ、質問は質問だ。
「といっても、本当にいねえぞ、それくらいはうちの両親が皆の前で痛いカップルをアピールして一週間ネタにされたくらいで」
「・・・・それで何でこんな変な人ができたのかしら」
いやいや、似ていない親子というのも辛いんですよ、俺だって正統派純愛カップルから俺が出てきたの不思議なくらいだ。
「本当に一人も?強く覚えてる思いで一つもないの?」
止めろ、それ小等部卒業前の担任やクラスメイトの反応がリアルによみがえるだろうが。
「ああ、多分あれだ、6年前かそれくらいに機関車の事故巻き込まれて、そのあとソールでウォーロック狩りで怪我したから多分7歳くらいの時だけ抜けたんだ。うん」
「そう、頭が悪いのも目つきが悪いのも、大変ね」
「・・・・あのな、俺は普通に頭いいぞ、これでも学年9位だ」
すると、全員が驚いた。
「学年2いの私よりすぐ下・・」
「先輩が学年13位の私より上」
「学年7位の僕より下か」
イヤ、いいけど、ここ発表会なの?優秀だな、1位はカイザーか。あれ、ブレアは。
「何で目をそらす・・」
「あはは、みんな意外とできる子だなって」
「・・・何位だよ」
「でもさ、人間愛嬌がいいよね、ラファエル様だって頭よくなくても」
「ゴットヴァルト君は確かそれでも20よりは上だぞ」
「・・・・ストーカー?きもい」
「いや、あいつのクラスの担任が部室が近いからってプリント渡してきたんだ」
ところでクラスでの話聞かないし、いつも生徒会室か部室しかいないけど、深刻なんでしょうか。
「で、何位なの、ブレアさん」
「・・・後ろが2人で数えられる」
お、おう、まあ学歴社会なん手はやらないよね。
「私だけ馬鹿キャラか」
「イヤ頭が良くても性格が死んでる奴もいるし」
「そうね、成績よくても協調性も人間性も将来もない人もいるわ」
重なり合う視線。見つめ合う顔。
「殺すぞこのアマ」
「あなたこそ」
「2人ともやめてよー」
妹は世間では可愛いそうだ。生意気な妹、小悪的な妹、大人しい妹、生意気な妹。皆可愛い。シスコン万歳。
・・・共有できない。
「うふふふふふふ」
最初に言おう。フィネは清楚でお嬢様で金髪碧眼、お人形さんのような正統派美少女である。
だが今はその目は怪しく輝いている。
「可愛いことリさんですね」
どう見ても、獲物を狙う怖い猫の目だ。本人は可愛がっているつもりなんだろう。
これでどうして、シスコンになるというのか。まあ、姉好きも十分、シスコンではある。
「それじゃ、お前らでトップ晴れるのどっちだよ」
「ええ、まあ、アルフレート?」
「アレクシスか、で―ル?」
ランキングがまた中央広場に出されている。止めればいいのに。
「剣を持て、フレッド」
「シャンテ最高司祭、ヴェロ副隊長・・・」
「お前はこんなところで油売るような馬鹿な低位の奴とは慣れ合う奴ではない」
投げられた剣。フレッドは拾うこともない。
「悪い、彼はうちの隊員だから」
「ひっこんでいろ、今がどんな時か、貴方の方がわかっているだろう」
「君達が呼んだのか・・・」
「私は貴方を心配しているのです」
「なぜいけないの」
急に女らしい口調になる。
「貴方達はいつでも自由に助けられる、だから目の前で子供が死んでもいつものことと思える、どうして悪魔に耳を傾けてはいけないの」
オルグは、ヘレネは、ヴォルフリートは。
「貴方達だって生きるために動物を食べる、それなのに何で彼らを悪と決めるの」
オルフェウスは天使と契約し、巨大な力を得た。でも本来人間に巨大な力はあ使いこなせない。故にずるをする。神に近づくために。エレオノ―ルやブリジット、ッァバァイバスラ―。異界には女神がいて、望みをかなえる。だからアリスは一族のずるの責任を背負うことになった。皮肉なことに兄の方ではなく、望みをかなえてくれる王子様の弟の方に天魔落ちの性質が出た。
「おかえり」
「エステル・・・」
力を得て、認められて、でももうアデルがいないから自由でいていい。侯爵家もそこまで求めていない。ただただ、自分が化け物の帰る場所になるために。歪んでいるんだよと彼の親友は言う。でも本当に、彼のいうその男の子は実在するのだろうか。
「驚いた、貴方が現れると革命が起きるのね」
ティファニーがディートリッヒにそういうが、黒鉛の中、彼女の言葉に戸惑う暇もない。北の大女帝乗り級の中の小さなパーティホール。
「行くわよ」
「勝手な」
「あぁ、フレイムのごくつぶしが」
「エンブリオ」
オルフェウスがたしなめるが、そもそも侯爵夫人の子ではない、駒の一つと軽視していた。14歳で、12歳のヴィントを従者代わりにして、何とか居場所を与えたい、チャンスを与えたいと思うが、ヴィントはいつも父親の顔色、誰かを必要以上に気遣っている。自分の我儘さえまじめすぎる、まだわがまましていい奴が。
「お前も少しはやり返そうと思わないのか」
「だって、喧嘩は痛いよ」
「・・・・」
温室育ちで炎のマナがない、一応党首候補ではあるが本家の当主はこいつを騎士にするだろうか。危ういと思う、だれでも信じるし、分家のあの男が忠誠心だけの奴にしてしまった。過酷な修行も貴族としての勉強も嫌なのに。
「ほしいものがあるなら、ねだってみたらどうだ」
「・・・・・え」
自分がほしいものがわからない、そういう奴だった。兄弟さえ妬ましいとかあるのは当然だ。自分もいい目に会ったことは少ないが貴族主義のアウグストとさえ、遠慮はしていない。
まさに格好いい、が、ほら―風味、異様な美しさだった。彼女は黒い馬に乗り、敵兵の頭をいつも通り馬の脚でふみつぶしていた。あの時のインパクトは早朝なせいか忘れられない。
「霧深くて寒いわ、矢が飛んでくる不安もあるわ、少し怖かった」
そのあと、12時半に多分仲間がドジしたんだろう、冒険者の集団が襲ってくるイベントが現れて。
「まあ、食事が食べられなくなるし止めようか」
女神な彼女はなにも汚れず、死体の向こうにいました。
「待ってください」
フレッドは、騎士団の団長、王宮の関係者に頭を下げると去っていく。
「ああ、君は」
練兵場にいた女の子か。
「どうして、騎士団をやめるなんて」
「そうだ、別に止める時じゃない」
だがフレッドは2人を見るだけだ。
「ナイトメアのコントロールは上々ね」
ア二スが振り向くと、夢魔の魔女パトリシアが入ってくる。露出狂、だがアンジェ時代の乙女心が浮かびそうになり、自分を抑える。
「でも、ア二ス、あんたまだ相棒決めてないんですって、もしかしてまだ今度はわが国の国民のためにとか甘いこと考えてる?」
「そんなものあるものか」
「じゃあ男かしら、天魔落ちといっても、まだまだ乙女だもんね、いいわよ、愛のために帝国の悪魔達を殺しつくしましょう」
「殺す殺さないとか、あんたこそ帝国の野蛮人の元に言ったら、歓迎されるわよ」
「夢見がちのお子様は好みじゃないの、ビックベビーちゃんはね」
「見て、ソールの聖女様よ」
副団長ナディアとともに、少女が入ってくる。よくもまあ、血統だの先祖だの、・・・ここでもか。別に特別帝国に、外に興味があるわけではない。正義をなして、国を正す。かっての自分のような少年ナイトハルトが頬を染めて、怒りをあらわにしている。黒い長い髪に純白の軍服の正装、黒い瞳。どこまでも、どこにいても生まれはついてくる。あんな子供が祭り上げられている。
「・・・」
だがそれも一瞬。
「聞きまして、危険思想が」
「暴力的な」
「・・・・そうかしら、うちのお姉さま達やお母様は私に関心がないから」
「ええっ、何で」
「でもお前の兄貴、俺がお前に気があると信じてるけど」
ところで、女子三人で俺が荷物持ちとか、これ友情とか信頼なのか。
「貴方のこと、家で話すから、私の自慢の友達だって」
うん、百パーセント悪口だね。
「それが何で先輩が敵視されるんです、確かに性格最悪ですが」
「わからないわ、特にひねってもないし、貴方の顔が品性とか、後はそう犯罪者、まあよくよくみれば、美少年だったらいいのに、兄さんはシスターコンプレックスではないわ、貴方が言うほど相手にされてないし、単純に貴方が嫌いだと思うわ」
「それはわかる」
「否定しようよ、嫌われるのって寂しいし」
「そうか、実に楽な関係だろ、人間合わないものはあるし、あいつ絶対犬好きだ」
つまり猫のような俺は嫌いなんだろう。
「兄さんは鳥好きよ、家で結構飼っているし」
「あれ、でもお前猫飼っているんじゃないの」
「私、家族に距離置かれているから・・こっそりね」
同意求めるな、まあうちの妹もそういえば昔猫を飼っていた。
・・・・これを、アテナの剣やコウモリ、ヴァンパイア達が。
俺が忘れている記憶。建物のあちこちが壊れている。どこかで爆発があり、揺れている。
異界が過去の世界を再現している、鎖の魔女はそういった。
「何で自分を大事にしない、アリス」
「アロイス・・・」
「他人の前にどうか自分を・・・頼む」
「奴らが人間を哀れんで見逃してくれるだとも?」
帝国は奴らを管理できていると思っている。けれど、全てを彼らに押し付けるのは間違い。摂家は、レッド・レジ―ナ達と対等、エストはその言葉にぐっと言葉を詰まらせた。
「ジャック、あんた・・・」
勢力争い、欲望がある限り、彼らは暗躍する。
「あんたもしつこいね」
「ヴィンセントは事故で死んだんだ、言いがかりはよしてくれ」
いつもは気のいい知り合いの女性がルイ―ジの前で、旅人らしい子供を突き飛ばした。
「あ」
自分の視線に気づいて。
「ともかくあんたも過去を捨てな、誰にもどうにもできないんだっ」
「嘆きの魔女の空間か」
アルバートは、鳳凰の巫女とともに鎖で全て、町も人々も自分自身も壊していく嘆きの魔女ツァアルの自分に対する恋についに気づかなかった。
・・・アルバート。
「君を倒す」
きっと予兆はいくらでもあった。策略も裏切りも。だがアーロンは何も気づかず、幼いゆえに見ないふりをした。そうして今夜、彼らは計画を実行した。絶対の成功、長年の宿願をかなえるために。それでもアーロンの最愛の人は。
――許せないことなんてないと思うの。
そう笑顔で言ったのだ。
「――フェリシア――っ」
魔術士において、優しさは弱点にすぎない。殺意と憎悪、その二つに追われて彼女を、暗闇の中から風が襲う。
駆けつけた時
「フレッドがイフリート隊に捕まった?」
「・・・・ええ、テロリストに協力した疑いでね、まあ戦闘中ですしすぐには殺さないんじゃないか」
カイザーは、マリエルが膨大な霊力、戦闘力を持っていることを知っていた。帝国側につきながら、こちらも動きやすくしてくれるらしい。いや、あいつに任せた時点で戦闘力を特化させるにきまっているではないか。
「卑怯者・・・」
帝国軍と軍国の戦力はかく乱され、陣形を整えている。
作戦通りだが、少しは容赦というものを教えておけ、といいたい。味方も逃げられ、だが同時に味方内に緊張感が走る。フィズは、気絶したフレッドを持っていた。
「貴方もヴァガットに出し抜かれたくないでしょう」
「また、勝手なことを・・・」
「その力を使ったのは貴方よ」
「言っておくけど、俺は何も知らないぞ」
ちら、とゴットヴァルトを見る。
「中尉、あいつがテロリストと関与している可能性は」
「よせ、アガット、作戦行動中だ」
「ダレンさん・・・」
ダレンは優しくほほ笑む。真に人を包み込む人はこういう人のことを言うのだろう。
「信じてほしいんだ」
二ケの肖像が信じられなくなった自分。
「お前は死んでいった奴が何を託したか、何もわかってないのかよ」
ダノンは思わずヴォルフリートの胸ぐらを掴んだ。
「一番これがいいはずだ」
「ヴォルフリート、君・・・」
フレッドは驚いたようにヴォルフリートを見上げている。
「何の関係のないこいつのために指揮権や権限を捨てると」
「仲間を救えるなら、俺は無意味だと思いません」
フレッドとデヴィッドはお互いの顔を見ている。状況を確認しているんだろう。
「くそっ、フォボスを逃がした」
「ずいぶんとあっさり捨てられるんだね、カイザー」
「え?」
振り向くと、アレクシスの姿があった。
・・・・どういうことだ。
鬼達は敵兵を・・・。
「これは一体」
「君も無事だったのか、ゴットヴァルト」
「ああ、貴方か」
「この魔女の死体は君が・・・」
「なぜこれほどの力を持ちながら学校では」
「相変わらずすさまじな、ヴォルフリート」
「オルフェウス・・・」
「なれなれしい奴だな、まだショックが抜けないのか」
「学校の時とずいぶん雰囲気が違うな、それがすなのか?」
安全なポイントまでどれくらいだろうか、まさかここで迷子になるとは。
「・・・ちょっと」
エルフリーデがフレッドの服の袖をつかむ。
「ああ、すまない、レディーに失礼だったな」
「・・・・お嬢様じゃないし」
焚火の前で座る。
「君の友達が近くにいればいいが」
フレッドは焚火の状態を見るゴットヴァルトの隣に座る。
「何とか連絡できないか」
「無理ですね、僕の通信機もさっきのでめちゃくちゃですから」
「そうか、君は・・・」
「・・・・・・・・・・・盗まれたからないわ」
「食事でもするか」
「じゃあ僕がとってくるんで」
「ああ、僕も行くよ」
「夜の森の中なのに目が利くんだな、何か訓練でも?」
「一応隠密なので」
すたすたと歩き、周りを見渡し、
「僕は果物刑を探すので、フレッド様は」
「フレッドでいいよ、その方がパンドラに遭遇した時に動きやすいだろ、何か動物でもいれば狩るんだが」
「で、エストカラス卿、きのこでも探します?僕は野草がいいのですが」
「頑なだな、君は」
空が光った。
「今のは」
「ゴットヴァルト、お前もいたのかよ」
「またお前か、吸血鬼」
フレッドは首を傾ける。
「吸血鬼?」
「何か」
なぜか別の場所に連れて行かれ。
「君の趣味は僕も知っているがあんなに小さい子にまでその趣味を推奨するのはどうなんだ」
「・・・ええ、ああ」
「しょうがない人だな、君は」
まあ、いずればれるしいいか。
時臣は、ゴットヴァルトを他の隊員をなぎ倒し、地面に引き倒す。
「仲間をお前の欲望の犠牲にする気か」
「頭が痛いんですけど、離してくれないかな」
「従士が先に主より死んでどうする」
「何なの、君ら」
あまりにいやだと思ったのだろう、ヴォルフリートが困ったような表情を浮かべた。
「だから、間違った思いはお前を幸せにしないと思うんだ」
「主題を言って、主題を」
「俺に言わせるのか?」
ヒュウう、と乾いた風がまとわりつく。
「君は、アーディアディトを好きなのだろう?」
後ろを振り返るが、ヴリルもいるわけないが、いない。もう一度、前を見ると、イヤに深刻そうな表情を浮かべた金髪のヴォルフリートがいた。
「お前は姉同然の人を・・・」
「は?」
そりゃあ、まあ。
「好きだよ、姉だもん」
何を今さら、こいつは言っているのか。
「ごまかすのか?」
え、なに、僕にそんな変態疑惑が?
「血はつながっていない、恋愛できる関係だ」
「血派つながらなくても家族だよ」
まあ、ある疑惑で本当に遠い姉と弟の可能性があるが。
「俺はアリスを姉を守りたい、信じていいのか」
「僕が彼女に危害を加えると、傷つくんだけど」
「えっ、あ・・・それは」
「・・・そんな立派なものではないよ、ダレン」
「隊長?」
「僕は臆病なだけさ」
ヴィッターの様子が変わったのを、アーロンは感じた。兵士たちも気づいたのだろう。「本当、人間は下らない」
「こいつ、狂った卵だ」
「ガウェイン様、ひとまず」
「言ったん、ひくぞ、体勢を整える」
ワイバァン隊が、ヴィッターに銃口を向ける。
「一つなく尋ねる、これはお前がやったのか」
ああ、またか。
「そうだ」
憎悪が高まるが、総隊長がでてくる。
「自分では制御できるのか?」
「言いや、でも力を使えばすぐに消耗する」
「そうか、お前の名は?」
多分戦闘中だからすぐは手に掛けないだろう・・・だが、まあいい。今抱えている問題も、仲間もどうでもいい。所詮まやかしのいらない命だ。
金髪で青い瞳の少年兵がいた。不似合な黒い制服に身を包んでいる。
「お前にはスパイ容疑、任務を放棄し、戦況を混乱した罪が問われている、後は分かるな」
「ああ」
「オナシス家の騎士か」
ラインホルトは、剣術テストで、その透明感のある水色の髪の少年、騎士仲間を臣下同然の仲間とともに遭遇する。
「ソフィア、僕との決闘を」
「いいわ、そろそろ決着つけるつもりだったもの」
「ヴィルフリート、あいつの息子か」
ベッドで横になっていると輝、その目にぎくりとしたものを感じた。
「スレイマン」
「ザファルート様がお前をかばってくれるそうだ」
「・・・あいつの借りかよ」
時臣は、アリスの登場に目を大きく見開かせた。フロイデにも。
「お前ら・・・」
「道を開けてくれるかしら」
「ヴァガット様の望みのために生贄ささげましょう」
ヴィッターはその悪夢のような状況に、思わず傍の隊員達と目を合わせた。
死体、死体。新鮮な流血、鮮血があちらこちらに広がり。
「・・・・え、ああ、また君か」
中央に小柄な少年がエルフリーデをかばうように前に立っている。
アルヴィンとリリーシャも一緒に。その声はヴィッターは聞きおぼえがあった。
「よお、戦場の悪魔、また多く死なせたのかよ」
コウモリの羽のようにマントというか、上着が広がり、ダークブラウンの髪が風で揺らされ。
飛躍、跳躍し。鬼火が上がる。
微弱ながら緋色の焔があちらこちら浮かび上がり。
「ひひっ」
赤の女王の剣をほうふつさせるような殺人剣とペルソナ。
捕食行為――・・。
だが、少女の隊員は自分の襟元を整える。セアドアがフレッドの喉元に剣を充てる。体中の血がひいていく、ぬくもりが温度をなくしていく。
左足の巻かれた包帯。伸びていく漆黒の艶やかな長い髪。
「許されてはいけない、こんな」
「関係ないだろう、君は死ぬんだから」
フレッドはセアドアを何とかにらむ。背が伸びていき、細いが筋肉のあるからだに変化していく。現実にはありえない光景。幼子が大人や老人に急にならない。少なくとも人間はそんなことはできない。
自分にスープをくれた無表情の少女。甘い桃色の長いウェーブの髪の少女。背が高く、気が強そうな赤毛の少女。金髪のミリアム。
「狂っている、こんな・・・」
だが今、女の子が赤毛の少女が化け物に吸血鬼に襲われている。怖い思いをしている。「秘密を知られた以上、君には消えてもらう」
悲鳴に似た声が上がる。薄暗いテントの中で。周囲を見るが、声は気付いているはずなのになぜ誰も来ないのか。吸血され、ソウルを奪われ、だが金色の目の半分が違うそいつは尖った耳をしていて。
「・・・・あぁ、セアドアか、・・・何で君がここに」
「気にしなくていい、なぁ、フレッド」
ずるずる、と生きてはいるがしばらく動けないだろう、首筋に二つの小さい穴があった。
「そう、処分するなら他でしてくれ」
セアドアを突き飛ばし、フレッドはそいつに剣を向ける。
「パンドラが、どこから侵入してきた?大人しくしろ、成敗してくれるっ」
「どこからって、最初から君たちといただろう」
フレッドは何を言われたのかわからないがどうも人に慣れている個体のようだった。フレッドに敵意を向けられてもすぐに殺さず、ただその怖い顔を疲れ切った表情にしている。
それが何でか人間のようなものに見えた。だがフレッドはそんな考えを頭から消した。「誰の命令でこんな卑劣な真似をした、・・・お前は何者なんだ」
ゴブリン?オ―ガ?鬼族?そのどれかは分からないが放つ空気やペルソナは邪悪、背筋が凍りつき、恐怖を増幅させていく。おおお、という亡霊が飛びまわり、魔女の波動がどこからか漂う。声が意外なほど美声だが、おそらくかく乱するためのものだろう。殺すためにだますために奴らは様々な卑劣な手段で国家の名の元に多くの血を流す殺人鬼だ。
「女性を食い物にする怪物が、お前に罪の意識はないのか」
「今は、他国との戦争中だ、貴方も自分の仲間の元に行き、殺しに行けばいい」
「貴様・・・っ」
フレッドは思わず感情的に怪物に掴みかかる。
「よせ、セアドア」
「でも君はもうすぐ・・・」
さっきから変だと思うがパンドラは臣民と同等ではない。なのになぜセアドアは同等だといわんばかりに心配そうに見ている。
「エストカラス卿、今から見せるのは国家機密だ、正しさを言うなら見るといい」
「何の話だ」
にやり、と怖い笑みを浮かべる。
「ありふれたことだよ」
紫と黒の光が視界を包み、フレッドは一瞬怪物から離れる。
煙が上がり、光の曲線が虚空に広がっていく。じゅうううという奇妙な音とともに、フレッドが目を開けると、そこにはゴットヴァルトがいた。
「―フレッド・エストカラス卿、君をワイバァン隊に転属させる、僕と友達になりたいのだろう?」
「・・・さっきのパンドラはどこだ」
ゴットヴァルトが腕をつかむ。
「やだな、目の前にいるじゃないか、君が昨日怪我を治してくれたじゃないか」
「冗談はよせ、君は人間じゃないか」
「そうだよ、ただし、吸血鬼と人間のハーフというだけだ」
「騙していたのか・・・?」
ふっ、と笑う。
「まさか、でも真実行って君達は信じないじゃないか、それにネタならともかく僕には現実だから、恥ずかしくて言えるわけないだろう、まあ、今は僕のことはいい、エストカラス卿、アルフレートたちが少し作戦ミスをした、手を貸してくれ」
手を乱暴に弾かれる。嫌悪。恐怖、困惑の表情だ。
「・・・・最低だ、君を信じていたのに」
アルヴィンを見る。何をそんなにショック受けているのか。
「そうだね、でも聡明な君なら状況が読めるだろう、お互い祖国や仲間のために任務を遂行しようじゃないか、中尉達を助けて僕らの国に勝利をもたらそう」
「・・・化け物と手を組めというのか、人殺しのくせに」
「頭が固いな、君は誰かの答えにすがって、それで状況が変わるのか?ならないだろ。なら犯罪者でも異常者でも何でも利用して、結果を手に入れればいい、そのあと僕を拷問すればいいだけの話だろ」
「あほか、お前死んじゃうだろ」
アルヴィンが身を乗り出してくる。
「そんな、僕が君を・・・、できない」
「吸血鬼だよ、それも僕は未完成の戦闘兵器だ、死なないしすぐに怪我も治る、魔物が一体消えるだけだ、君は罪の意識なんて覚える必要もない」
「君がわからないよ・・・何で、自分のことなのに」
これだからお坊ちゃんは。
「僕は君達を守るためにつくりだされたから、命令の聞けない魔物は廃棄される、それだけのことだ、弱い奴は強い奴に利用されることは悪いことじゃない、なに不安なら君が動いている間、君を殺す敵を殺してあげるよ」
そうか、とうなずくだろう。
手が弾かれる。フレッドの端整な顔が激しく歪みこむ。だが、ゴットヴァルトの視線ではっとなる。
「あ、今のは」
だがゴットヴァルトは、晴れやかに微笑んだ。
罪悪感でも感じているのか、頬が引きつっている。
アルヴィンの強い、とがめるような複雑な感情が向けられるがゴットヴァルトはそれとはもう目を合わせなかった。
一度も。
「いいわけもしないのか」
何かつぶやいたが、もう切り捨てた。そうして、ゴットヴァルトはただ通り過ぎていく。
「卑怯者だな、お前は」
アルフレートがガウェインとの戦闘の後、ゴットヴァルトにそういった。作戦は順調だ。活躍は自分達、だがコウモリの後方での支えがあったからだ。
「また、文句?」
オルフェウスの得となった、確かに死傷者モ出ていない、このままいけば両者は少々の犠牲で住むかもしれない。だがそれは、パンドラや天魔落ちの方に被害が出たということ。
ユニコーンがオルフェウスを助け、控えていたパンドラ達が攻撃を仕掛ける。
「ばかな・・・」
数の暴力という奴だ。
「…お前、ネフィリアなのか」
「オルフェウスにかまわれなくて寂しい?」
「とられたもんな、唯一の味方を」
「どうも・・・」
別に悔しくはない。いつものことだ。そもそも構う方が変なんだ。逆にマリウスが構う事が増えた。
カイザーの影響か、それでも表だってあの家で話しかけるものは少ない。従士で置かれるのは保留にするか。
「隣いいか」
不愛想なフレッドがいた。セアドアが何やら不満そうだ。
火の音がする。視線が向けられていた。凝視されていた。
「それで作戦での兵士の全体と武器や・・・聞いているのか」
「ああ、でもそれなら、アルフレート様に相談した方がいいですよ、隊長とは話せる身分じゃないんで」
「君達が今度の作戦の要だ、なら君も把握してくれ」
「じゃあ、他の隊員もいりますね、今つれてく・・・何ですか」
睨んでいるようで、真剣な、それでいて困惑しているような、泣きそうな目に見えた。つまり、わからない。
「確認だが今回君はどの役割に置かれているんだ」
「後方ですが」
本当は敵のすぐ近くで分散ですが。
「・・・・ドラゴン?」
アリスは大きく目を見開く。
「ジャバウォック・・・・」
だがアーロンが飛びだす。
「フェリシアッ」
「今だ、あいつだけでも」
「止めろ、今は休戦中」
ガウェインの腹心が指揮官の元へ走り、ヴォルフリートが前に立つ。反対から軍国のパンドラ兵の青年が襲いかかり、魔獣となる。
「ローゼンバルツァー」
女性のパンドラがライフルを握る。
ズダァァァン。ドォォン。
「あ・・あぁ・・・」
ゴットヴァルトの体が槍によってびくびくと震える。
「ヴォルフリート・・・」
ライフルが地面に落ちる。
「今回ばかりは貴様のせいではないのだな」
・・・僕が言うのも何だが、え、フレッドって何でたかが一騎士なのに副官がいるの。
薄紫のポニーテールに細めの美人である。後輩だという少年騎士は睨んでいる。
白梟の騎士団からついてきたらしい。お菓子のおまけか。
「僕、何かしましたっけ」
睨まれた、怖い。
「私が彼を担当しよう」
「フィリベルト様、こんなものに」
・・・・何で、追い出さないのだろうか。
「・・・」
そもそもゴットヴァルト・クラウドは自分を知らない、クラスも違うし。さすがにこんな、今日見も悪意も持たれない状況は困惑する。真面目な部活ではない。
カイザーのおまけでその間の暇つぶしで。私生活が見えない、人付き合いがないとは聞く。浮世離れして、天然でマイペースでわけわからん、オタク。
「ここには、護衛とかいないのか」
「必要がなければ、傍にいる必要もないですから」
カレンダーや抱き枕、それらしい人形。だがどれも普通に使っている感じだ。
「・・・・大変そうだな」
「君の問題よりは小さいものですよ」
ビービー、エデンで警報が鳴る。男はボタンを押し、ガラスを開け、魔獣達、パンドラを解放する。10代の初めからエデンで過ごし、彼らの多くを国王と帝国のために教育、剣として作り上げた。才能だけがあった、ノーマナだからと馬鹿にされ、正直化け物の育成なんていやだった。あれはキャベツやニンジンと同じ。だが天才錬金術師、和解白衣の学者が勝手な実験を行い、惨劇を引き起こした。男は呪われ、特魔に射殺された。それからは従順で誠実な臣民として一層、自分のするべきことに夢中な振りをした。正しいこと、皆のためだと。グロテスク、最悪に怖い彼ら、美しいアンジェロ。彼らは徐々に表情というものが消えていく。ただの帝国のための殺人者となる。彼はここの空しか知らない、ここでしか他人を知らない。ゲームのような醜い声の化け物はいない、声を帝国軍人につぶされた、気に入らないからとダンジョンに送られた、ただ歩いただけ、気に入らないと冒険者のいる場所に転送させられ。魔物だから仕方ない。
彼らに仲間や家族、異性への情めいたものはない、そう教えられてきた。警報が鳴り続ける、愛する自分の国の仲間が殺される。壊れた卵の実験体が昨日、キャンディーを渡してきた。欠陥品だろう、傷が治っていない。口元を三角にし、鬼の青年が精一杯、笑みを作ってきた、怖い。だが、確かに人間の言葉で言ったのだ、今まで世話になったと。冷血な生きた戦闘兵器、そういうものだ。その個体は音楽が聴きたいといつか言った、自分は忘れた、人間みたいなこというと忘れた。一つだけ、確かなこと。自然は誰にも制御できない。だから自然主義じゃないけど頼んだ。大切な任務だと嘘ついた。任務と聞けば彼らは従う、自分達はそう教えたから。帝国以外の世界で世界がおかしいと教えることを。
「あぁあああああああああああ」
アルフレートは、情に訴えるという作戦を行うが、アスモデウスは卑怯にも街に破壊魔法を放ち、天魔落ちの封印を解く。
守ると決めた領主や恩人を中心に。
「シエル」
「シャ―リぃ」
「リーゼ」
三人がそろう。ヴァガットは多くの仲間とともに、新たな力に、笑みを浮かべる。
「貴方の栄華を」
「・・・・わかるよ、僕も似たような経験があるから」
アレスターの言葉に、ダレンは妹や仲間を連れながら、複雑な感情を抱いた。彼らは彼らの世界、その周辺しか世界を見ていないのではないか。ワイバァン隊の中のコウモリ、でもパンドラの戦闘員は見たことがない。
怖いから見ないふりする、怖いから武器をとる。
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