ruka126053のブログ

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第六章―運命のサウンド・ベル



ベルダンディーの前で神威とエリカは手を握り合う。
「変るかしら」
「わからないよ」
「世界は」

桜小路アヤメがデーモンに襲われる、桜小路財閥の軍需企業が主催のパレードで勇牙とすばるはコスモ・シードと遭遇する。
その姿は地下から出た、妖精のようにも見える。
「スバルのデヴァイスにコスモ・シードが・・・」
今回は正直、すばるの勝ちに勇牙は認めずにおれない。
「ありがとぅよ」
おやっさん風の技術者が部下とともに地上からヴァルディアに話しかける。
「ちょっと、やめてくださいなっ」
アヤメの盾ロールが激しく揺れる。
みんな無事だった。
勇牙はほっと胸をなでおろした。その映像をミサキは複雑そうに見る。
「俺が助けたんだ」
正義の味方はやっぱり、町のみんなや友達がいるからなれるんだ。ヴァルディアとともに勇牙は感慨深く、実感していた。


「それで大沢がさぁ」
けらけらとゴットフリードの横でタチカ発流れられながら、クラスメイトの話やなじみの店の話をしていた。
「…平和ボケした場所だな」
「ああ、ネオ人は戦ってばっかだっけ?」
「ここはお前たちの歴史では19世紀位の文明だ、科学技術だけが進んだな」

ドイツ・ハンベルクの港町に昨晩の雨のせいで足元をふらつかせた沿岸警備のための重装の勇者が槍を持ちながら鉄製の巨大な防御壁の前でデーモンの襲撃に見舞われていた。掛け声はいつも同じだ。
「ヴァルハラの息吹を感じ取れ、女神と国民の騎士であることに誉あれ」
両肩にまとったケープからは気品すら漂っている。敵の攻撃が最も当たる確率が多い前法を選んだヴァるディアは仲間意識が強く、友を大事にする男である。
セリュージョンの吸血鬼、悪名高きマキシアム卿と残忍な戦闘で有名な騎兵団。断罪の枝にベルダンディー達は手を焼いていた。
識別不明の正体不明機が、上空2000メートルから現れ、ヴァるディアとミサキ、ユーロピアの勇者たちが気づく。ヴァるディアに登録されてない電波のようなものが発信されてくる。
ミサキのコクピットモニターに合体と書かれた、ドイツ語で書かれた文字の媒体が現れる。ウィぃンと音が鳴り、タッチパネル式の立体映像。岬は高速で右横にあるボタン軍を叩きだしていく。
―000ナンバー。ミレニアムメディア。その姿は真紅の鎧を何層にも重ねた、日本の武者にも似ていた。機械の緑色の目が鋭く光る。
―こんなご都合主義な展開があるわけがない。
「大体、いつも格好つけやがって、むかつくんだ」
単純に岬の目から見て、勇牙の世界は狭い。彼の世界は町と小学校やクラブ、それにゼウスで完結している。スバルと何度目かの恒例のケンカしている。まだとがっているものの、親しい者同士のケンカのようだ。
「それなら努力すればいいだろう」
その間もスバルは主導力を勇牙に向けていく。データを送り込み、細かな作業を自分でかかりきりになり、アタックメインの勇牙を支えていく。左右に展開する細かな敵、ザこのデーモンをビームソードで切り裂いていく。頭の切り替えが早いのはいいがその割り切りは小学生らしくない。
「だから!」
キ―ッと勇牙が怒る。
「お前を倒すのが目標だ」
正義が服を着ていて歩いているようなヴァるディアと勇牙をメインの攻撃力にし、時には女神たる自分の縦やきばにする。その代わり、スバルは後方の攻撃、情報収集、敵のすきを突く。わかりやすいし、卑怯な点はない。
「それに付き合わされる俺は迷惑だ」
勇牙とて、それが素直ではない天皇スバルの信頼の証であることは分かっている。だが勇牙は気づいていない、現実はそれこそアニメや小説のように純粋に友情は作られていかないことを。
「お前のその人を馬鹿にしたような態度がむかつくんだ!!」
「お前のその単純すぎる思考がむかつくんだ」

「殺す!!」


「ああ、もう、あんた達は」
「何するんだよ、ミサキ」
「ミサキお姉さんでしょう、勇牙」
「黙れ、俺はこいつを倒すんだ!」

「なぜ、命令無視した、お前は自分勝手な判断でここの人たちを危険にさらしたんだぞ!」た叩かれた頬がじんじんと痛む。
「…でも、女の子は助かった」
「お前!!」
「命令を無視した事は謝る、それについてはいくら殴ってもかまわない」
「俺は後悔しない」

2
五十嵐凌は、一人で食べることが好きではない。大体、軍隊の食事というのは味気がない。そんな気持ちにさせるのは、つい最近までプロのバスケ選手を目標に、普通の高校生をしていたからだろう。まあ、ゼウスは何かと揺れやすい精神の少年少女、それも戦場では最も戦力となり、防衛のかなめとなるヴァルキューレに配慮してか以外に行けるものを作っている。
…まあ、マリやは料理が壊滅的で、カイザーは典型的な坊ちゃんだ。オペレーターの少女たちも得意でない割に独創的なものを作りたがるからこれがまともにみえているのだろうけど。
「意外ですね」
「…ミリアムカ、久しぶり」
振り返ると、日本支部の長官の娘、ミリアムの姿があった。本籍はアメリカだが日本育ちのため、ほとんど英語が話せない。
「…相対性理論、あなたでも頭使うのね」
「どうせ、体力馬鹿だよ」
ふんっ、と鼻を鳴らした。

「馬鹿な、私の剣を交わした打と」
「完全に仕留めたはず、ありえない!!」

「こいつ」
「「何者だ!?」」
ミサキとラフィーナが向きあう。


「俺は救えなかった・・・・!!」
今回の戦いはスバルにとって悔恨となった。

「そういえば、香蘭、君は月の出身だったな」
怜亞が急に訓練用の議事勇者の機体、なぜかレトロなゲーセンにある格闘ゲーに似たフォルムの機械の中で、ベルダンディー側のパイロットが聞いてきた。
「何、告白?」
「悪いが私は頭の悪い会話は嫌いだ」
「・・・」
黙り込んだ後、香蘭は急に妙なことを言いだした。
「もしかしてこれを作った人も同じだったかもね」
「はぁ?」
「私は喧嘩が好きだよ、流血も」
「野蛮な」
「でも何でも最新鋭というのは、生きてることを麻痺させるものだよ」
「面倒な手間も考えることも罠も悪いこともなく」


「姫様、民間の救助ボートが漂流しているのを発見したんですが、どうします?」
「何か情報を持っているかも知れん、連れてこい」
「はっ」

『ゴットフリード、頼むぞ』
「なぜ、俺が」
「お前がポイントに一番近い」
「了解した・・・」


アルトゥルが所属するファントムゼロ隊が所有するライトニングの格納庫には、セリュージョンの魔女、ラフィーナ姫率いる青の騎士団が見つけて曳航してきた月タワーの、地球人の救命ボートがラフィーナの機体の膝の部分で横たわっていた。ファントムゼロ隊のリーダーに任命されているアルトゥルはラフィーナの騎士の中では最年少の天才パイロットで、貴族の少年、従士シェイド・フロウと目を交し合い、ため息をついた。
「魔女の従士か」
「ガキじゃねえぁか」
灰色の髪の少年はエメラルドグリーンの瞳を不安そうに揺らしている。
「気にするな」
「はい・・・」
「しかし、姫が敵の命を助けるとは、それも民間人の」
「・・・戦闘以外のときはむやみに敵味方関係なく、命を奪わないのは姫の信条なもので」
「そうか・・・」
だが、アルトゥルはそこで興味が失せたらしい。他のほうに視線を向ける。
技術反のリーダー、オーキッドがロックを操作し、開けますよといった。酷く冷たい、冷酷な暗殺者、ゴットフリードは既に興味をなくし、視線を別の方に向けている。
ハッチがかすかな音を立てて開いた。周囲に待機した兵士達。現れたのは愛玩用ロボット、鳥型のメルだった。
「メルゥ・・・・」
機械音が鳴り響く。人目で玩具だと気づいた兵士たちは一瞬、間抜けな表情になる。
「すごい、頭がくらくらする・・・宇宙酔い?」
それは明らかにセリュージョンの言葉ではなかった。
「榊原さん・・・月詠議員・・・無事か、助かった…んダ、・・よかった、もう少しで死ぬかと思った・・、そうだ、ここは、・・・榊原さん!?」
ハッとなって、意識を覚醒した立夏があたりを見渡す。ヘッドホンと猫耳月の帽子を被った、
ゆるく制服を着て鞄を持った立花立夏のあわてた声が、姿とともにハッチから出てきた時、
あわてて出てきた。
「・・・・地球人?」
地球人―それも東洋人の民間人が出てきたことに一同言葉をなくす。
立夏は周囲が見慣れない格好、見慣れない外見であることに、その時、初めて気付いた。
宙に浮き、そのまま漂いそうになる。近くにいた、ラフィーナとゴットフリードが慌てて手を掴んでとめた。
「あ、ありがとう」
すとん、と足をつける。
怖い表情の緊迫した兵士の地球人しか知らない彼らにとって、民間人の華奢な少年はあらゆる意味で衝撃らしく、茫然とした瞳で対処に戸惑い、そのかわいらしい姿を見ていた。
・・・温かい。
地球の少年がサーラを見ていた。あわてて、その手を離した。少年はキョトンとした表情で
「地球人?」
これが、・・・・これが地球の庶民の、少年。
きょろきょろとあたりを見渡していた。
「・・すみませーん、この中に日本語、もしくは地球の言葉、理解できる人いますかぁ?」
平和ボケした声に、ゴットフリードはかすかに眉を顰めた。

「こちらに来なさい、ディーン」
ディーンは困ったようにラフィーナの元に向かう。
「皇帝陛下より今日付けでお前に紙幣の騎士団を私から与えることになった」
「…ですが僕はまだ、戦は」
「これは陛下の決定です」

エンディミオンの視線のすごみにスバルと勇牙はひるむ。
「それはお前が恵まれているからだ」
「子供だから馬鹿にしているのか?」
むっ、と勇牙はエンディミオンの前に出る。

 アーヴィンはコクピットから身を乗り出し、
「草薙勇牙っ」
と叫ぶ。
「・・・アーヴィン」
ファントムアローンは心配そうな声をp出す。
「勝負だ、出ろ」
「出ることはない」
スバルは標的をロックオンしながら言う。


墓地にいた死神は笑っていた
未確認飛行物体、セリュージョンの新型兵器。通称静寂の勇者。緑と黒、ソフトグリーンのマント。どことなく、騎士的な雰囲気の勇者である。パイロットは不明で目的も。桐生院イリヤは十三時、第3格納庫でその情報をネットで探っていた。
「何してるんだよ」
赤い髪のライオンのような髪の少女がタンクトップ姿でイリヤによってくる。日本人だ。遺伝子検査で彼女はパイロットではなく、テニス選手の適正を示していたが自らヴァルキューレになることを選んだ変わり者である。
「今、うちのAIが故障していてね」


「へへっ」
勇牙は新しく仲間になったリュニオンの背中を親しげに叩く。
「よろしく、天王君」
「ああ、よろしく」

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