・ミナミ怪奇事件ファイル 1 


    ・ミナミ怪奇事件ファイル 1 


       大阪の街は大きく分けて「キタ」と「ミナミ」の二つに分かれる。「キタ」は北区

      の梅田を中心とした街並みで、「ミナミ」は心斎橋や難波が中心だ。位置関係も

      大阪の地図を見るとちょうど上と下にあたる。大阪の人はだいたい「キタ派」と

      「ミナミ派」に分かれる。これはその街並みがその人に合うかどうかだ。「キタ」

      といえばHEP FIVE や大丸、梅田阪急といったわりと上品なイメージを、「ミナミ」

      というとなんば花月や食い倒れ、でんでんタウンなど、商人の街といったイメージ

      を持ってしまう。ちなみに僕は根っからの「キタ派」だ。大阪に住みながら恥ず

      かしい話だが「ミナミ」にはほとんど行かない。夜の「ミナミ」は怖くてあまり

      行きたくないというのが本音だ。

       僕の友人でミナミでクラブのDJをやっている人がいて、何度かそのクラブに

      お邪魔したことがあった。クラブのDJというのはだいたい夜中から明け方までレ

      コードをまわすので家に帰る時間といえば早朝が当たり前だ。そして、レコード

      をまわす間、いつも気がかりなことがあった。それは車のことだ。彼はいつも

      自家用車を高速道路の高架下に置いていた。もちろんレコードをまわす間ずっと

      駐車場に車を入れておけるほどお金もない。駐車違反の切符を切られ、罰金

      を払わされる、それはそれで嫌なことだがしかし、彼が心配していたのはそんな

      ことではなく、もっとエゲツナイことだった。

       クラブも終わり、少し薄暗い明け方前、僕と友人のDJは高架下に止めておいた

      車へと向かった。音楽の話題で盛り上がりながら高架下に着いた僕らは驚くべ

      き光景を目の当たりにした。なんと車の屋根の上に数え切れないほどのレンガ

      が!!屋根は凹み、窓は割れ、フロントガラスは今にも粉々になりそうな勢いで

      車は無残にも大破していたのだった。僕は思わず自分の目を疑った。なぜレンガ

      が!?ど、どこから持ってきたんだ!?友人は言葉をなくし、ただ呆然とそこに

      立ちつくすだけだった。それから半年、友人は死ぬほど働き、車を修理した。

      しかし友人は未だにその日の夢を見ては「レンガが~!レンガが~!」と

      うなされるそうだ。


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