メントに進出し、日本中がお祭りムードだ。しかしこのワールド カップにもいろいろ問題が起き
ている。中でも日本人サポーターの暴れっぷりは凄まじい。開催前はあれだけ海外からのフ
ーリガンについて対策がどうこうと報道されていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば
暴れているのはほとんどが日本人サポーターだ。これは海外から日本へやってくる外国人
サポーターが当初の予定の半分以下しか日本に来ていないことが関係しているそうだ。その
おかげで、めでたくここに和製フーリガンが誕生した結果となった...。
それにしても、決勝トーナメント進出が決まった大阪での試合 終了後、大阪のミナミは
えらいことになっていた。ニュースでも報道されてい たように若者が道頓堀川へ次から
次へとダイブ!その数はなんと推定900人にもおよぶとか。
この様子を自宅のテレビで見ていた僕は、はっ!とひらめいた。もしやこのダイブしてい
る若者の中には実はサッカーになど全く興味のない筋金入りの某球団のファンが混じって
いるのではないか!?いや、そうだっ!絶対そうに違いないっ!!なにせ、某球団は4年
連続最下位。ファンはいつになれば飛び込めるのかとウズウズしながら4年間暮らして
きたはず。それに道頓堀川へのダイブは彼らの専売特許のはずだ。彼らは絶対に飛び込ま
ずにはいられないはずだ。そうにらんだ僕は事実関係を調査すべくミナミの街へと向かった。
現場はそれは凄まじい熱気と人の数だ。みんな酒も入り、調査するには非常に困難な状態
であった。そんな中ひとりの人物と接触することに成功した。彼の名前は内山田順平。父親が
公務員という肩書きを持つ年齢不詳の青年だった。彼はこの騒ぎの一部始終を話してくれる
という。そのことを条件に僕は水面で助けを呼ぶ彼にはしごを差し出した。はしごを握り締
め、なんとか橋の上までたどり着いた彼は小さな声で「ここではなんなんで...。」と呟いた。
喫茶店に入りホットコーヒーにひとくち口をつけた彼は静かに真相を語り始めた。
「俺はね、実は某球団のファンなんですよ。K子園球場が本拠地のね。なんで飛び込んでた
かって?それはね、なにせもう何十年も優勝してないでしょう?もう毎日毎日飛び込みたくて
しょうがなかったんですよ。え?サッカーですか?そんなもの最初から興味ありませんよ。
一応ね、バレるとね、まずいんでね、サポーターの格好してるだけですよ。よくできてるで
しょ、このサポーターの服。実はこれリバーシブルになってるんですよ。このメガホンもね、実
はリバーシブルになってたりするんですよ...。」そう言って彼はニヒルな笑いを浮かべた。
「いや、俺だけじゃありませんよ。今日こうやって川に飛び込んでる奴のほとん どは俺と同じ
某球団のファンですよ。おっと、ちょっとおしゃべりすぎたみたいですね。このことはくれぐれも
内密にお願いしますよ。じゃあバッティングセンターのバイトがありますんで僕はこのへんで。」
そう言って彼はコーヒーを飲み終えると、少し周りを気にしながらそそくさと店を後にした。彼
の着ていた服を裏返すと縦じまのユニホームになっていたということは言うまでもない。![]()