常緑樹18 千載一遇のチャンス…


(平成14年2月号 2003/1/20)

ある読者の話。
地下街を歩いていたら偶然福祉用具の専門店を見つけた。
その時はすぐ要るものはなかったが、雪が降って足元が不安になったので、いい靴はないか、ともう一度行ってみたらその店はなかった。
雪にあたらず便利だったのに、と残念がっていた。これは「らくらくフェア」九月後半の期間限定試験店舗のこと。

福祉用具の店は増えた。
いいものもたくさんあるのに、あまり知られていない。
通常はカタログでの注文が主流、立地も至極便利ということは少ない。
高齢者や障害者が外出するには、移送の手段や介助者の手配も考えねばならず、不案内のところを探すのも大変。
折角出かけても目当ての商品がなかったり、選択肢が少なかったり。
何より実際に手にとって、試してみることができないのは辛い。

そのとき入った良いニュース。
福祉の街づくりに熱心な札幌市が、地下街の空き店舗を利用して福祉用具専門店を開く計画中とのこと。
ご存知のとおり地下街は交通至便、地下鉄大通駅からの案内もしやすい。
雨や雪の心配なし、トイレ完備、大型店舗も近い。
遠い人もいるだろうが、比較的行きやすいという人のほうが多いと思う。

いろいろな福祉用具を取り揃え、気軽に試せて、気に入れば購入、配達も持ち帰りも可能にしておけば福祉用具はもっと身近になる。
売れると、開発が進み更にいいものができ、価格も安定するはず。
何でも相談できる窓口を併設してもいい。
結果街が賑わい元気になればもうけものである。

ところがこの計画が突然棚上げとなった。
「予算がつかないから」という表向きの理由だが、本当のところはどうか。
A部門の発案に対し、B部門が「自分たちの領分を侵すな」と実につまらない因縁をつけたからではないか、と穿った見方をしている。
自分たちがアイデアを出さず、いや出せず、それを出した他部門の足を引っ張ることの無残さ。
とにかく官民が一致協力して市民に対する本当に意味のある取り組み、札幌市は日本初となる千載一遇のチャンスを逃したのだ。
四月の選挙で新しい市長が誕生するが、どんな人が舵取り役になるのか。
つまらない勢力争いを戒め、意味あるお金を使える人であってほしい。
この計画の復活を期待してやまない。

さて「悠悠と、」も今年で四年目を迎え、感慨深いものがあります。
これも読者の皆さんのおかげと感謝しています。
前号でお知らせしたとおり、表紙のイメージが変ります。
植田莫先生は一旦お休み、今号から一木万寿三画伯の油彩と、ご夫人の榛谷美枝子さんの俳句をお贈りします。
詳しくはぶらり発見のページをご覧ください。
今年もどうぞよろしくお願い致します。

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