星野ならG改革も…本音漏らした王監督の真



 予告通り、本拠地・甲子園で18年ぶりの優勝を決めた阪神・星野仙一監督に対し、ダイエー・王貞治監督が衝撃的なお墨付きを出していた。「星野監督なら巨人の改革もやれるかもしれないね」と-。

 3年ぶりのリーグ優勝へマジック減らしに取り組んでいるダイエー・王監督が、衝撃発言したのは、週刊誌上での金田正一氏相手のインタビューでだった。

 同じ巨人大物OB、名球会の代表幹事同士といった親密な関係だけに、思わず本音が飛び出したともいえる。

 「星野監督に関していえば、阪神OBでないのがポイントだった。OB監督ではしがらみがあって、あそこまで思い切った改革はできなかった。星野監督なら巨人の改革もやれるかもしれない」

 王監督はこう言い切ったのだ。首脳陣、ナインが馴れ合った、万年Bクラスのチームを大改革する大変さは、身をもって知っている。

 前身の南海時代から20年もBクラスだった弱小ダイエーを5年かけて優勝させ、常に優勝争いする強力チームに作り上げているからだ。

 その間、世界の王がファンから生卵をぶつけられる屈辱まで味わっている。今や球界ナンバーワン捕手に成長した城島とベンチ内でつかみ合いになりかかったこともある。

 弱小球団を常勝軍団に作り替えるまでには、想像を絶する様々な障害があった。

 自らの苦しく厳しい体験があるから、王監督は星野監督の快挙を手放しで称賛する。

 それにしても、「星野監督なら巨人の改革もやれるかもしれないね」という発言は興味深い。

 巨人・渡辺恒雄オーナーから近い将来の巨人監督復帰ラブコールを送られ、「ワンちゃんなら、巨人軍のオーナーだっていいんだ」とまでいわれている立場だ。

 その王監督が巨人改革の旗手として星野監督を認める発言をしているのだから、聞き流せないだろう。

 「星野監督を巨人にスカウトして、GM兼任監督として改革を断行してもらえ」という外野席からの無責任な声とは違う。

 王監督の真意はどこにあるのか。金田氏の対談の中にこういう部分がある。

 「日産自動車を立て直したカルロス・ゴーン社長もそうだったように、時には思い切ったリストラも必要。みんなからいい人といわれてばかりでは、いい仕事はできないものです」

 要は今の巨人軍を再建するには、生え抜きでない、カルロス・ゴーン=星野仙一のようなトップが必要だということだ。

 「巨人軍を再建するには、まずFA選手を整理することだ。巨人軍という特別なチームでは、FA選手にはプレッシャーが強すぎる。生え抜きでなければ、チームは支えられない」という持論を事あるごとに強調している王監督。

 来季へ向けた巨人軍の再建のためには、清原、江藤、工藤といった大物FA選手を整理することが先決-しかし、誰にでもできることではない。

 チーム内外に大きな波紋を呼ぶ粛正人事を実現するには、星野監督のような外部からの批判を恐れない行動力ある人材が欠かせないとの王発言だ。

 巨人にドラフトされると思ったら裏切られ、以後、現役時代から打倒・巨人を生きがいにしている星野監督のこと。万が一にも巨人のスカウトに応じるわけはないが、王監督にここまで言われたら、星野監督は本望だろう。

(夕刊フジ編集委員・江尻良文)(夕刊フジ)


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