仙一の叫び(2)


5回?あれは向こうがアホや2死から投手に打たれて…
 <試合前>

 ―前日は島野ヘッドが体調不良を訴えた。大丈夫なのか?

 星野監督 大丈夫じゃないやろ。我慢強い男が言うんだからよっぽどやと思うよ。

 ―しかしヘッドが倒れると困る。

 星野監督 そりゃあ困るさ。オレとは一心同体やからな。向こうはどう思ってるか知らんけどな(苦笑い)。オレを支えるのは大変だよ。2人で阪神に来て…。勝ってるからって楽なもんじゃない。負けてた方が楽やわ。まあ他の人には分からんわ。

 ―8月もこの日で終了。もうすぐ秋風が吹き始める。負けててこの季節を迎えるのはさみしいもの?

 星野監督 そりゃあさみしいわ。それにしても今季限りで切ると決めてる外国人選手を最後まで使うチームがおるやろ? あれは分からんな、オレの考えでは…。

 <試合後>

 ―今季初先発の福原が好投した。

 星野監督 期待してないって言うてたけどよう投げてくれたね。病み上がりだし、60、70球ぐらいを計算してたが80球以上投げてくれたな。四球がなかったし、いい気持ちで投げていた。低め、低めに変化球が行ってたしね。長い間見てるけど、こんないいピッチングは見たことないぞ。今日が1番よかったな。

 ―期待通り投げてくれれば起用した方もうれしい?

 星野監督 放るのが普通なんだけど…。でも今の医学は大したもんやな。1年足らずでここまで投げられるんやから。しばらくは100球以下で行くよ。若いし将来があるんだから大事に使わないと。そう思わせるピッチングをしたな。

 ―打線も5回に相変わらずの集中攻撃だった。

 星野監督 あれは向こうがアホやな。オレがいつも言っとることや。2死から投手に打たれて、それまでいいピッチングしていたのがパーになった。それまでは緩急つけていい投球だった。(投手だと思って)ナメて投げたらコーンと行かれてな……。いつもウチのピッチャーにうるさく言うてることや。

 ―赤星、片岡は走者を返すいい仕事をした。

 星野監督 もう慣れっこやろ? 打たん方がしかられるわ。

 ―8月は5連勝でフィニッシュ。11勝12敗で終わった。ヤクルト戦も13年ぶりの勝ち越しだ。

 星野監督 1つ負け越しただけか? 大したもんだ。(ロードの負けを)取り返したな。ヤクルト戦についてはそれだけ負け越していたのがオレにはちょっと信じられない。


8月30日
久保田は200球くらい投げてる感じがしたよ
 <試合前>

 ―ムーアがウエスタンの試合で好投

 星野監督 (視察した佐藤投手コーチから)報告はこれから聞くよ。昇格の時期? せっかくやからゆっくりしてればええんや。

 ―退院した浜中もあいさつに来るが

 星野監督 言いたいことなんか何もないよ。はよ治せとそれだけや。

 ―前夜の試合は久々にゆったりとできた?

 星野監督 最初は0―0だからね。それに無死から四球出したり、かと思えばビシッと抑えるし。

 ―お立ち台を断るのは下柳流の美学?

 星野監督 テレやなんだよ。オレだって毎日、毎日ヒーローインタビューをやりたくないわ。

 ―優勝したときは監督がお立ち台ですね

 星野監督 は? 聞いてないよ。

 ―早川の活躍は2軍の選手の励みになる?

 星野監督 励みになるやろか? 聞いてみてくれよ。励みになったか? と。普通はなるけどな。

 ―福原はまだ様子を見る?

 星野監督 明日、投げるんちゃう?

 ―先発タイプか

 星野監督 性格を見ないかんからね。性格からいえば先発やと思うが。故障明けだとリリーフは難しい。コンディション作りがね。

 ―ブルペンで見た印象は?

 星野監督 あそこ(マウンド)に立ってどうかや。

 <試合後>

 ―効果的に得点が

 星野監督 そやね。見とったら分かるやろ。

 ―矢野の本塁打が効きました

 星野監督 そーやね。あそこがね。ボクは助かったね。雨が気になっていたんでね。何とかリードしたまま5回をと。早打ちさせて気の毒な打者もおったが。

 ―矢野の左手はまだ万全じゃないが

 星野監督 痛いのかゆいのいまだに言うとったらあかんよ。

 ―早川も2試合続けての活躍

 星野監督 ピンピンしてるね。打球がよう飛ぶわ。いいスイングしてる。

 ―楽しんでいる?

 星野監督 楽しむ余裕はまだないわ。オレも楽しんでない。

 ―久保田が

 星野監督 フルハウス(2―3)フルハウスでこっちが疲れるわ。オレは200球ぐらい投げてる感じがしたよ。

 ―完投させようと

 星野監督 それはない。本当は7回で代えようと思っていた。もう1イニングと思ったポンポンと2死、そっから四球やろ。そういうとこやね。いい投手になるかの境目はね。

 ―11三振だが

 星野監督 三振も2―3からが多いでしょ。何とか2―2からとれるようにせんとな。いい球は持っているんだ。あとは工夫だけ。2死から簡単に四球出してたらあかんよ。4回で80球超えてるようでは完投はできん。


8月29日
早川?地獄を見てるからな
 <試合前>

 ―前日(28日)は連続本塁打を放つ試合前の広沢を脅したのか。

 星野監督 脅してなんかないよ。事実を言うただけや。脅して打つならナンボでもやるで。実際、ベンチ裏ではしょっちゅうや(ニヤリ)。マイクをつけといてやろか。

 ―田淵チーフ打撃コーチも笑顔だ。

 星野監督 喜んでたか? でも、うちらしくはないやろ。(つなぎではなく)本塁打4本やからな。そのへんをちゃんと突っ込んだんか!

 ―やはり甲子園の後押しは…。

 星野監督 何を言わせたいんや? (担当記者を見渡し)我が家が嫌いなやつらばっかりやないか。

 ―アリアスも打つ予感はあった?

 星野監督 最初に1本(二塁打)出たからね。(悪いときは)ボール球を振って追い込まれるパターンばっかりや。

 ―外国人選手は普通、切り替えが早いが

 星野監督 あいつはあかん。尾を引くんやね。

 ―今岡もようやくらしい安打が

 星野監督 そうですね。

 ―よっぽど体調が悪かったんでしょう

 星野監督 体調が悪いんは自分の責任やないか。まだ休んでるやつもおる。小学生の夏休みより長いやないか。

 <試合後>

 ―快勝です。

 星野監督 快勝やね。きのう、きょうと。

 ―文句のつけようがない?

 星野監督 あるよ(とニヤリ)文句をつけようと思ったらいくらでもあるわ。

 ―アリアスの1発が効いた。

 星野監督 ジョージの2発が効いたね。ランニング本塁打(古田の悪送球で一気生還)があったやろ。

 ―1本出れば変わる

 星野監督 そうやね。何でもう少しはよう、遠征中にとは思うけど。

 ―早川も見事。

 星野監督 地獄を見てるからな。普通なら使わんわな。2試合ともノー感じやったし。でも2試合で判断するのはかわいそう。打てないまま(2軍に)落としたらあいつの人生終わっちゃう。(最初に)1本出たからホッとしたけどね。

 ―チャンスを与えようと。

 星野監督 チャンスは与えてやろうと思ったよ。レギュラーだってそう簡単に結果を出せんからね。

 ―クビになった選手が。

 星野監督 そういうのが記事になるんやろ。やっぱり必死だな。みんなも見習わないかん。昔からタテジマ着てるやつな。きょうだけでなんだかんだと判断はできんが、あいつもうれしいやろ。タイガースに来て初めて仕事をした気分やないか。

 ―下柳も完封。

 星野監督 完ぺきだったね。球もちがよければ低めにいく。

 ―完封させようと。

 星野監督 あそこまでいけばね。それにあれだけ点をもらってたらな。でも例のごとくポカがあるからなあ。最後もそうだろ(先頭打者に内野安打)。ああいうのが何年ぶりを消してしまうんや。

 ―甲子園では力倍増。

 星野監督 日本中、甲子園にせないかんやないか。外でも勝ち越してるやろ。昨年までを見すぎなんだ。過去は忘れないかん。選手も教育し、担当記者も教育してたら疲れてまうわ。


8月28日
甲子園に戻って「強くなった。いい流れ」
 <試合前>

 ―前日の甲子園はネコも乱入した。監督は怒っているように見えたが?

 星野監督 ネコに怒ってどうすんねん(苦笑い)。外へ逃がすためにベンチの後ろのドアを開けてやれって言うてたんや。みんな捕まえようとするから。ボールも取れんくせに。要領の悪いヤツばっかりや。ああいうところでセンスが分かるな。

 ―おまけに注目カードなのに前日の観衆は5万1000人という発表だった。

 星野監督 オレに聞くなって。営業に聞いてくれ。そりゃあ言いたいことはいっぱいあるよ。何万円も出してチケット買った人もいるのに申し訳ないわな。まあ(担当者に)プレッシャーがないんでしょ……。

 ―前夜は8月初の逆転勝利。絶対に取らないといけない試合だった?

 星野監督 当然やろ。今は滅多にリードしないのに…。逆転勝利がしばらくないのは知ってたわ。伊良部の後を受けた救援投手の仕事が大きかった? そりゃあ大変なことですよ。

 ―赤星の盗塁数も大台に乗った。

 星野監督 三盗ができれば70は行っとるわ。少なくとも60は簡単に越えているな。投手は一塁より二塁のときの方が盗塁への警戒が緩む。モーションの時間を計ってみろ。

 ―伊良部は最近、審判の判定にクレームをつける場面が多い。

 星野監督 アイツは普通の投手より角度があるんや。だから審判もそれを頭に入れておかないとね。むずかしいよ。

 <試合後>

 ―今日は広沢だ。

 星野監督 41歳の広沢がなあ…。でも素直に喜んでおこう。最初にドカンと行って工藤がプツンと切れたな。1、2、3のタイミングで打ったんちゃうか。「まぐれか?」って聞いたら「まぐれ」ですって(笑い)。でも2本目はうまく打ったな。犠飛でもいいという気楽な気持ちもあったんだろうけど。大したもんだよ。こんな大勢の前で連発できるんだから。最後のヒットもよかったな。

 ―アリアスも2発で勝利に貢献した。

 星野監督 アイツは1本出たらああなるのは分かっとる。誠(今岡)もヒット2本出たしな。少し戻ってきたな。

 ―16勝目を記録した井川については?

 星野監督 (皮肉をこめて)完ぺきやったな! ランナーも出さないし! いっぱい出していたって? アウトにしたとこしか見てない。こっちに点がなかったら絶対、取られとるわ。

 ―ここに来て、巨人に連勝したことは大きい。

 星野監督 連勝して、くっついてきたチームだからな。ウチはロードで弱過ぎたからね。それまでは強過ぎると言われたけど…。こっちへ戻って、強くなった。いい流れだと思うよ。これからは1つ、1つ、みんなが大きい試合になるね。


8月27日
必死ですよ…感傷に浸る余裕ない
 ◆試合前

 ―前日の甲子園は午後7時前から豪雨。試合を中止にして正解だった。

 星野監督 すっごい雨やったなあ―。カミナリも30分ぐらい鳴ってたやろ。

 ―試合が中止になって時間ができるとどこかへ外出するもの?

 星野監督 あの雨の中、どこへ行けって言うんや? みんな(報道陣)こそ何をやってたんだ。原稿執筆? 新聞はみんな読んでるけど、あの原稿にそんなに時間がかかるとは思わんがなあ…(笑い)。

 ―原稿書くのも犠牲バントといっしょで、はた目には簡単に見えるがやると難しい…。

 星野監督 巨人の川相を見習え(笑い)。オレはバント失敗したことはほとんどないぞ。今年、ウチの投手もあんまり失敗してないよな。

 ―ドラフトの目玉・鳥谷の決着には時間がかかりそうだ。

 星野監督 新聞報道で見てるだけ。今のウチのチームにそういうのは不必要な話だ。目の前のゲームをどう戦うかというだけ。

 ―福原は1軍合流してきた。あいさつには来た?

 星野監督 当たり前やないか。顔はおぼろげながら覚えていたわ(笑い)。今年の春からシーズンはもちろん、去年の秋季キャンプも顔を見ていない。1年ぶりぐらいちゃうか? しかし昔はメスを入れたら8、9割はアカンと言われてたけど今は逆だからね。

 ◆試合後

 ―しんどい試合だった

 星野監督 しんどかったね。冷静に聞けるな、こんなしびれるゲームだったのに。いつもの、まあまあのウチの調子ならどうってことないけど。(打線が)つながらん遠征だったからな……。

 ―金本の1発は効いた

 星野監督 そりゃあ、いきなり逆転だもんな。向こうもガックリくるわ。今年一番の当たりじゃないか。そう言うたら失礼か。

 ―相変わらず赤星の働きは効いている

 星野監督 効いてるね。みんな気にしちゃうからね。いつも今岡か赤星が出れば…と言っているが初回はどっちも出たからね。

 ―伊良部の調子はどう見た? 判定にイライラする場面もあったが?

 星野監督 う~ん、清水の本塁打までは許すが清原のはイカン。清原はうまく打ったけどね。3点差を1点差にしちゃイカン。きわどいボールが自分のリズムになってこんからね。

 ―ダメ押し打の中村豊もいい仕事をした

 星野監督 センターがあれだけ前に来てたらオレでも打てる(笑い)。まあナイス・スリーベースやな。獲得してよかったって? そんなオーバーなことはまだ言わんよ。

 ―勝利を決めて監督もこれまで以上にうれしそうだった。久々の甲子園で気合いが入っていた? 星野監督 必死ですよ。甲子園に戻ってきて…なんてみんなのように感傷に浸っている余裕はない。気合ってオレが気合いれなアカンやろ。相変わらずアホみたいなプレーしてるヤツ(アリアスの失策?)もいるし。


8月26日
「みんなで元気にスタートしたんや みんなで着地したいわ」
 <試合前>

 ―(テレビカメラを眺めながら)

 星野監督 すごいカメラやな。これが天王山なんかな(苦笑い)。

 ―久々の甲子園。ここでは36勝10敗という好成績だが。

 星野監督 過去のことはどうでもええわ。オレの考えるのは今日のことだけや。

 ―ムーア、片岡が2軍戦に出場した。

 星野監督 片岡のは見たな。感想? まだまだやな。早く復帰してほしいかって? 寂しいなあ。代わりに出るヤツがチャンスだと思ってやってくれないと。

 ―早川が初昇格だ。ファームではいい成績を収めている。

 星野監督 だから下から推薦されたんでしょ。パワーはある? パワーがあってもボールに当たらないとな(笑い)。

 ―今岡の内容はよくない。

 星野監督 内容はホンマによくないな。どこかの新聞に10キロやせたって出てたけどホンマか? 10キロやせたら大変やぞ。

 ―犠打の世界記録を達成した同郷(岡山)の巨人川相があいさつに訪れ

 星野監督 大変なことですよ。アイツがバント失敗しているのを見たことないな。でもバントだけじゃないからな。ショートを守ってよし、調子がよければ2割7分、8分は打ったからな。まあそれだけ試合に出ているってこと。ケガしないのが一番や。

 <雨天中止後>

 ―ムーア、桧山、藪の故障者が復帰へ向け、懸命な動きを見せている。

 星野監督 なにしろ体のことだからね。本人にしか分からない。戻ってくるのは1日でも早い方がいいけど無理させたくないし、無理する必要もない。

 ―シーズン中に故障者全員が戻れればベスト?

 星野監督 みんな元気でスタートしたんだからね。みんなで着地したいわ。


8月25日
これまで夢中でやってきた。幸せなことだ
 ―長かったロードも終わり、地元で今季甲子園最後の6連戦だ。

 星野監督 これまで夢中でやってきたからね。幸せなことだと思うよ。普通、シーズン中には何度か原点に戻らなアカンときが来るもんなんや。でも今年はなかったようにも思う。ずっと右肩上がりでやってきたからね。

 ―地元で最後の巨人3連戦。今こそ原点に戻るときか?

 星野監督 ロードも終わって、家に帰ればホッとするしね。巨人戦なら、なおのこと独特の雰囲気の中でやれるからな。お客さんも入るしな。

 ―巨人も必死でやってくるはずだ。

 星野監督 向こうは桑田、工藤、それに林か? たくさんピッチャーおるな。ウチは全然、先発がおらん(苦笑い)。


8月24日
甲子園に戻ったら変わるやろ
 <試合前>

 ―巨人渡辺オーナー発言を巡る川島コミッショナーの対応には失望した?。

 星野監督 言っとくけど、渡辺さん対オレという構図じゃないんだよ。巨人と阪神の遺恨なんて昔からあるんだ、いい意味で。オレは球界全体がよくなるために言ってる。他球団の監督に聞いてみて欲しいよ。原監督はどう思ってるんだ? 王さんはどうなんだろう。今は忙しいだろうけどね。

 ―王ダイエーと言えば村松が故障した。

 星野監督 星稜出身で足の速い、外野の選手だな? かわいそうやな。チームもたまらんやろうけど、村松本人もな…。

 ―阪神も前日は今岡、矢野とリタイアした。

 星野監督 今岡はベンチで真っ青な顔してるんで「替われ」って言ったわ。でもさっき島野(ヘッドコーチ)に聞くと「昨夜はごはんをお替わりしてたそうです」だって(笑い)。ほとんどフル出場だし、疲れがたまってるんやろ。矢野は指が腫れているし、やめとけって言ったんや。

 ―秀太も安打を放った直後、足がつったようだ。

 星野監督 滅多に出ないいい当たりが出て足がビックリしたんじゃないか。それにしても猿木(チーフトレーナー)は出過ぎ。痛み止めじゃなく、滑り止めのスプレーでも吹きつけたれ。気分のもんだし大丈夫や(笑い)。

 <試合後>

 ―6、7回に流れが阪神に来そうになったが?

 星野監督 そやな。同点機をな…。それでも初回に3点いかれとったらアカンわな。(久保田はウッズに)2、3本目か?

 ―不用意に行ってしまった?

 星野監督 後の打席はキレイに抑えてるんやからな。あそこはヒットでもしょうがないという気持ちで…。はまったらゲッツーもあるんだからな。何回も同じ失敗しとったらアカン。勉強代と思って使ってるんだから。

 ―これで長期ロードは終わった。出る前から下降の兆候は感じていたと話したが?

 星野監督 どうでもええ、そんなの。今は12球団で一番弱いって言うてるやろ。トータルでモノを考えないかんよ。10ゲーム以上差があるんやぞ。選手に感謝せんで誰に感謝するんや。

 ―悪い部分は出尽くしたという感じか?

 星野監督 まだ残っとるな。出尽くしてない。しんどい状態が続く? 甲子園に帰ったらまた変わるやろ!


8月23日
モヤモヤは晴れてへんよ
 <試合前>

 ―マジックも減って数字的には余裕だが選手は連敗でギラギラしているように見える。

 星野監督 そうかな。物足りない。比べて悪いけど99年の中日では独走していて終盤で0・5ゲーム差になった。そのときの選手の目を知っているからな。あの目をみたら心から「こいつらに勝たせてやりたい」と思ったわ。今はファンに対してそう思うな。とにかく選手にとれば今がチャンスなんだ。この5試合、10試合で活躍したら後世までファンの記憶に残るんや。

 ―今岡は去年、負けているとき「監督をこんな目に合わせてはいかん」と言っていた。

 星野監督 涙が出るな(笑い)。まあアイツはPLから東洋大、全日本にも選ばれて修羅場をくぐっとるし、機微が分かるんや。ボーッとしとるように見えるけどな。

 ―(浜中の話題に触れて)

 星野監督 ハマは離婚したんか? 報道で出とったな。人間いろいろあるわ。今は野球もできなくて、プライベートでもそういうことがあれば、くやしいし、かなしいやろ。でも今は試練のときなんや。人間として二周りも三回りも大きくなれるチャンスだ。退院してリハビリして、どれだけやるか、や。それで大きく変わってくる。

 <試合後>

 ―快勝でモヤモヤは晴れた?

 星野監督 晴れてへんよ!! みんな(報道陣)はこんなんで晴れるんか!?

 ―初回、金本の先制2ランが効いた。

 星野監督 あれはアドバンテージだと思っているから。トラ(広沢)のあれ(適時二塁打)が効いたな。シモ(下柳)がよう頑張ったし。今日はつないでつないで行くつもりだった。1、2点差のゲームみたいにな。

 ―投手交代時、佐藤投手コーチがマウンドに行ったとき下柳は悔しそうな様子を見せていた。

 星野監督 生意気なこと言うんじゃないよ。(勝利パターンの)中継ぎはみんな投げてないのに。ぼろ負けの試合で調整しているんやぞ。誰がぼろ負けにしてるんや? 生意気なこと言うんじゃない。まあオレには言ってないけどな(苦笑い)。

 ―連敗は「5」で止まった。この勝利で横浜戦は記録的なシーズン20勝だ。

 星野監督 そんなこと知っとるよ。20勝? そんなことどうでもええ。


8月22日
選手良くやってる。怒りより感謝しとるよ
 <試合後>

 ―井川は信じられないような内容だった。

 星野監督 う~ん……。そやな。やっぱりミスが絡み、四球が絡んどるわな。まあ、やられるときはあれでいいんじゃない。指先を気にするような素振り? いやあ、全然……。

 ―連敗中だけに普段以上にエースで勝ちたいところだったが。

 星野監督 そりゃあ誰しもそう思う。みんな(報道陣)もそう思ってるやろうが。けどそれがかなわないのがゲームなんや。

 ―打線にとっても初回の6点は重過ぎた。

 星野監督 あれが2、3点ならな。まあ終わってみて「あの2点が…」ということはあるけどな。あの3ランがイカンわな。

 ―これで今季初の5連敗となった。

 星野監督 めずらしくないやないか(苦笑い)。去年は8連敗があった。まあここまで深みにはまるとはな…。故障者が出てからこういうことになったな。

 ―敗戦の中、アリアスが久々に本塁打を放つなどいい面も戻ってきつつある。

 星野監督 段々よくなってきてるよ。このままで終わる訳ないやん。いいこともあれば悪いこともある、悪いことがあれば、いいこともあるんや。今までエエことばっかりやったやないか。

 ―先発投手が抑え、打線は先取点という形を早く取り戻したい。

 星野監督 とにかく基本に戻ってやるしかないわな。

 ―連敗している現状への怒りは?

 星野監督 そりゃあ、おもろないし、悔しいわな。でもここまでは選手がやってきてくれたんや。怒りよりも感謝しとるよ。今まではここ(この位置)におらんかったやないか。

 ―スカッとするにはどういう勝ち方がいいのか?

 星野監督 完封というか…、打つしかないわな。


8月21日
今まで打ちすぎたんや、それに慣れてしまってる
 <試合前>

 ―1カ所で打撃練習ですね

 星野監督 元々、打撃練習は1カ所でやってた。この方が集中できてええやないか。何でもやってみればええ。トライや!

 ―昨夜はミーティングを

 星野監督 オレは出てないよ。

 ―えっ?

 星野監督 何を見とったんや。監督室に入っていったやろ。(島野)ヘッドがどう言ったか聞いたけど。

 ―チャレンジャー精神が足りないと見える?

 星野監督 そんなこともないよ。必死にやってても空回りすることってあるやないか。仕事ってそんなものやん。みんなだってそうやろ。

 ―ちょっとしたきっかけが

 星野監督 ちょっとではないけどね。こういうときは基本に返らなあかん。きちっとした野球をね。基本に戻っていけばツキも戻ってくる。それまで流れが全部、こっちにきてたやん。今まで勝った(優勝した)チームのデータを調べてみ。こんなところで7連敗してる。ここで取り返してるというのが必ずあるで。

 ―故障者が最大の要因ではない?

 星野監督 顔ぶれといったって1、2、3番は変わってないわけでしょ。7番(矢野)も帰ってきたやないか。今はそういうサイクルなんやね。

 ―今岡はどん底か

 星野監督 いや。芯で捕らえた打球が野手の正面とかだからね。ぶさいくな凡打はなくなってきた。またそのうち打ち出すよ。あのまま打ってたら4割打者やないか。テッド・ウィリアムスを超えちゃうよ。

 ―内野安打が少ないですし

 星野監督 違うの。内野安打を放棄しとるんや。あいつの美学やろ。

 ―アリアスは

 星野監督 今は球を追いかけとるからな。いいときはためてええ回転で打ってた。金と女は追いかけると逃げていくんや。また名言を残してもうたな。

 ―勝ち星は?

 星野監督 勝ち星は追いかけなあかん。

 ―41歳の広沢が孤軍奮闘

 星野監督 (打撃練習を見ながら)あれだけバットを振ってるのがいいよな。バットに振られちゃいかん。女にも振られちゃいかんやろ。

 ―打球の角度は天性のものか

 星野監督 (大学時代から)田淵はきれいな本塁打を打ってた。絵になる。顔は違うが。ホメてばかりじゃあかんのや。

 <試合後>

 ―伊良部は球審の判定にイラついていた

 星野監督 オレも経験があるが審判との相性が合わないことはある。でもそれで熱くなってたらしょうがない。

 ―微妙な球をボールと

 星野監督 それを言ったってしょうがないだろ。審判にも個性があるんだ。そんなことを追及してもしょうがない。点を取られたのは間違いないんだから。

 ―打線も金本が2発を放ったが

 星野監督 どうなってるんやろね。今まで打ちすぎたんや。それに慣れてしまったんや。そう簡単に勝たしてくれんよ。オレがアドバイスしただろ。持病(突然打てなくなること)を持ってるからって。それをみんなが勝手に騒いでるだけやないか。反省せい!




© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: