森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.02.25
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精神科医の榎本稔さんの話です。

引きこもりの治療では、 「アメ(母性原理)とムチ(父性原理)とモデル(自己原理) 」のほどよいバランスが必要だ、と言われています。
ゆっくりと見守るだけという態度は、そのアメにあたるわけですが、しかし家族を含めて周りの人々がアメばかりでは、 「そのうちに、そのうちに」と、問題を先送りしているだけに過ぎません。
私の経験では、引きこもりが3ヶ月ほど続いたら、誰かに「ムチ役」となってもらうことが必要だと思います。
普通の家庭では、父親が仕事が忙しくて子供と接する機会があまりないのが現実です。
子供の教育は母親任せになっていて、母親がアメとムチの両方の役割を担っているわけですが、それではいずれ子供は暴力に訴えるようになりますので、ムチ役には当然、父親こそがふさわしいと考えています。
本来、子供には、成長発達に応じて、いろいろな目標や課題を与えるべきです。
小学校の高学年ぐらいまでは、母親が温かく包んであげること(母性原理・アメ)が大切です。

しかし、子供は10歳ぐらいから自我が目覚めてきますから、甘やかすばかりではいけません。

そうしたことを通じて、子どもが自分の将来像(モデル・自己原理)を自ら描いていけるように仕向けることが必要です。

中学2年生の男の子の例です。引きこもりが半年ほど続いているということで、両親が榎本さんのところに相談に来ました。
父親は温厚な感じの人で、話を聞いてみると、ご多分にもれず仕事が忙しく、子供は妻にまかせきりだといいます。
休日などは、それこそ「優しいパパ」として子供に接していました。
そこでまず、父親の教育をする必要があると考え、 「アメとムチとモデル」の教育の理念を中心に説明しました。
そして「まず、何よりも父親がしっかりしなければいけない」と伝えました。
父親は、幸いにも私の言うことを理解してくれました。早速子供と積極的に向き合う生活を始めました。
そして本人は少し登校する気になった頃合いを見計らって、毅然たる態度で学校に引っ張っていきました。子供は泣き喚きましたが、かまわず登校させました。
その日から、父親は毎日、朝は一緒に学校へ行き、 1週間ほどすると、子供は1人で登校するようになったのです。

この父親の場合は、子供の不登校は自分も含めて「家族全体の病気」だという点に気がつきました。
しかしこのようにうまくいく例は、実はあまり多くはありません。

理解できても、 「わかりました」と答えるだけで、何も改めることができない人がほとんどです。
(依存症がよくわかる本 榎本稔 主婦の友社 140ページ引用)

このお話の中でわかる事は、子供を育て成長させ親離れさせていくためには、母親1人の力では心もとないということです。
子供の成長段階に応じて、母親の役割が重要になる時期、あるいは父親の役割が重要になる時期があります。
それぞれがポイントを外さないようにして子供とかかわっていくことがとても大切になってきます。


母親はとてもよく可愛がって育ててくれましたので、愛着障害は発症することはありませんでした。
ところが、小学校高学年から以降については、父親が子供の教育に無関心であったためにいろいろと弊害が出てきました。たとえば、しなければいけないこと、やってはいけないことの区別がつかない。
母親に過保護で育てられたため、我慢するということができなくて、わがまま放題に育ってしまった。
また、社会のルールやしつけについても十分に身に付けたとは言い難い。
父親が一緒になって遊んでくれると言う機会がなかったため、冒険心、困難を乗り越えていくという経験が全くない。
外に連れ出して社会体験を積むという経験もなかったため、対人関係については、大人になって右往左往するばかりでどうして良いのか、ほとんど手探りの状態であった。
父親と私の関係はそのようであったため、大人になってから大変苦労してきた。
また、私が父親になったとき、私と子どもの関係が同じようになってきた。
子供の成長にとっては、大変申し訳ないことをしたと思っています。
今から子供を育てようと思っている夫婦、あるいは現在子育て中の夫婦、それから孫がちょうど成長途中にある祖父母の方は、是非ともこの事を学習して子育てに生かしてほしいものだと思います。





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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
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