森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.02.28
XML
生活の発見誌2月号に岩木先生の神経質の特徴についての興味深い説明があった。
これによると神経質者には旺盛な生の欲望がある。また、強い自己内省力がある。
生の欲望には、向上欲と自己保存欲がある。
自己内省力には、強い反省心と強い自己観察力がある。

神経質者が不安を起こす状況から回避しようとするのは、この自己保存欲による。
自己保存欲は、変化に対して不安を覚えたり、変化を嫌がったりする傾向でもありますから、たとえいまは苦痛な状態であっても、自己保存欲のために、現状維持の方を選ぶ神経質者もいます。
また面倒なことや努力を必要とすることに対して、人一倍苦痛を感じるので、それらの行動をできるだけ避けたがる傾向があります。

この関係を私なりに整理してみました。
生の欲望は、生存や安全の欲求、社会的所属の欲求、向上発展の欲求、楽しみたいという要求 、自由を求める欲求など多方面にわたっています。

その中の高次欲求として向上発展の欲求があるのだと思います。
この要求は下位の欲求が充足されて初めて、生まれてくるものだと言われています。
この欲求の充足のためには、目の前に立ちはだかる大きな障害を乗り越える必要があります。
その障害を常に乗り越える事はとてもしんどいことです。そもそも能力的に無理な場合もあります。
そういう努力を維持することは苦痛ですから、挑戦することを諦めて現状維持に甘んじてしまうことが多々起こってきます。森田理論ではそのような態度を気分本位と言っています。
気分本位な生活態度は、逃避したときは一瞬だけ楽になりますが、その後後悔や自己否定で苦しむことになります。だから常に生の欲望を忘れて生活をしてはならないということです。
ここで言われている自己保存欲は、この気分本位な生活態度のことを言われているのではないでしょうか。気分本位な感情がわき起こってきたときは、生の欲望を改めて見つめ直すことが必要なのだと思います。

次に、神経質者の特徴として、自己内省力を上げられておられます。
森田先生は自己内省力が強い人ほど立派な人間であると言われています。
普段から自己の行動や思考を振り返って反省することは必要なことです。
自己内省力のない人の行動は無鉄砲で自己中心的で始末に負えません。

自己否定に陥ったり、いつまでも行動することに躊躇するばかりではまずいことです。
ここでの問題は、生の欲望と自己内省力のバランスが崩れているということだと思います。
自己内省力が強すぎると、強烈な不安、恐怖、違和感、不快な感情が襲ってきます。
神経症に陥る人は、それを取り去ることばかりに注意や意識を向けて、かえって症状を深めてしまいます。
この問題を解消するためには、不安や恐怖が発生するのは、その裏に欲望が存在しているからだという認識を持つことです。不安や恐怖の発生は、強い欲望を暗示しているのです。

そして、不安や恐怖を車のブレーキのように制御機能として活用していくのです。
欲望と自己内省力のバランスがとれてくれば欲望が暴走することはなくなります。
つまり不安や恐怖を邪魔者として排除するのではなく、大いに活用する必要があるのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.02.28 06:50:51
コメント(0) | コメントを書く
[不安の特徴と役割、欲望と不安の関係] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

巨人軍4年ぶりの優… New! 楽天星no1さん

彼岸のお墓参りで体… New! メルトスライム25さん

石上神宮 禁足地へ へこきもとさん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: