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2025.03.26

『漢字文化の世界』１

(2)

カテゴリ：気になる本

図書館で『漢字文化の世界』という文庫本を、手にしたのです。
漢字文化圏や中国文明史といえば、個人的なツボでもあるのでチョイスした次第です。

*********************************************************

【漢字文化の世界】

藤堂明保著、KADOKAWA、2020年刊

＜「BOOK」データベース＞より
古代人は、風と同系の「鳳」に、皇や王と同系の「凰」を組み合わせることで、「鳳凰」という風神の鳥＝鳥の王者のイメージをつくりあげた。漢字という緻密な文字体系を支えている、鋭い観察力と言語感覚。身近な一字一字の成り立ちのなかにこそ、伝説や神話、農耕や牧畜に根ざした中国的世界観がみえてくる。漢和字典編纂の大家が中国文明史を概括することをめざし、生活や社会、政治、思想をもアジア的な視座でみつめた古典的名著。

＜読む前の大使寸評＞
追って記入

rakuten 漢字文化の世界

この本の冒頭「Ⅰ　伝説と歴史」から見てみましょう。

P8～11
＜一　歴史に先立つ太古の中国＞
■河(黄河)と江(長江)
　中国の北寄りの地区には、チベット高原から発した黄河が、なんどもカギ型に大きく屈曲しながら流れている。今日の蘭州の北で→型に曲がり、内モンゴルの南境で↱型に折れて東に進み、山西省大同の西方でまた↴型に曲がって南下する。そしてこんどは、西安(かつての長安)と洛陽の間で↓型に屈曲して東へと進み、ついには渤海に流れこむのである。
　旅客機に乗って六千メートルの高さから大地を見おろすと、カギ型に曲がる黄河の姿がよくわかる。今から三千年前の古い文字では「可」という字をカギ型(￢)で書き表した。それに「さんずい」をそえたのが今日の「河」という字になった。
　太古の人たちは、いくたびかカギ型に屈曲して、その曲がりかどにさしかかると、激流がかみあいきしみあって、カー、カーと激しい摩擦を起こすことを知っていた。そこで今日の黄河を河と呼んだのである。

　河(黄河)は全長五千四百キロ、それに対して長江は黄河よりも長くて全長五千八百キロ、これもチベット高原に源を発する。ふしぎなことに、黄河と長江との源は、パエンカラ山脈を間にはさんで、わずか三百キロしか離れていず、その峡谷に人影もなき温泉が湧いているそうである。「工」という字は、上下の二線の間をたて線がつらぬいたさまを表わし、「ぶちぬく・つらぬき通す」という意味である。それに「さんずい」をそえたのが江という字であるから、これは中国大陸を東西に貫通する流れという意味を表わしている。

　太古の中国人は、長江が大地をつらぬく大河であることを知っており、それを江と名づけたのであった。大昔の人たちが、巨視的に地理をみる目をもっていたのは、ふしぎなことである。

　黄河と長江との間、いわゆる「華中」のまん中を、西から東へと流れて東海に注ぐのが淮河(むかしは淮と呼んだ)である。その長さは一千キロ、中国では第18番目に位するが、それでも日本の利根川(三百キロ余)の三倍はある。

■山岳と砂漠
　中国の北部から西北にかけて、大陸に太い帯を巻かせたように、ゴビ(モンゴル語で、小石の荒野のこと)と砂漠とが広がっている。
　河(みず)を尋ねては　地の尽きんことを愁え、
　ゴヒを過ぎれば　天の低きことを覚ゆ(唐のシンジン)
と詠われたとおり、そこには限りない空漠がひろがる。また砂漠の南、中国の西部は、広大なチベット高原であって、三千～四千メートルの高さであるから、私たちよそ者がチベット入りする前には、綿密な身体検査を受けなければならない。そこには万年雪をいただく六千メートル級の高山が嶺をつらねている。

　黄河や長江はもちろんのこと、ビルマに流れるサルウィン河、インドに流れこむプラマプトラ河、タイにつらなるメコン川など、東アジアの大河のほとんどすべてが、秘境チベットの雪の山やまの谷間から流れ出ているのである。
(中略)

　俗にいう「山区」は中国の面積の2/3を占める。それに耕作に向かないゴビや砂漠を加えて差引くと、いわゆる「農地」は全面積の23％しかない。中国は日本全国の26倍という広大な領域を持っているが、そのわりには少ない農耕地に頼って、十億の民に腹いっぱい食べてもらうだけの主食3億2000万トンを確保することは、ほんとに容易なことではない。

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Last updated 2025.03.27 00:28:58
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■コメント

Re:『漢字文化の世界』１(03/26)

alex99 さん

河と言う字の成り立ち
江と言う字の成り立ち

なるほどね～

何千キロの長さですから
現代なら
飛行機で観測しなければ
分からないはずの事ですが
それなのに知っていた
船で河を下って知ったんでしょうね

楓橋夜泊　張継

月落烏啼霜滿天
江楓漁火對愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘聲到客船

張継が科挙の試験に落ちて
失意のうちに故郷に帰る途上の船旅の夜
知覚の寒山寺の鐘の音を聞く
という漢詩ですが

この寺、蘇州にあり
訪れた事があります

このように
河の旅が数日にわたる
と言う中国のスケールに
改めて感心します
(2025.03.26 23:55:30)

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Re[1]:『漢字文化の世界』１(03/26)

Mドングリさん

alex99さんへ

漢字文化を知りたいということで、この本を読んでいるんですが実は中国がそんなに好きではないのですよ。
チベット、ウイグル、モンゴル、台湾など漢族に侵略された国は興味深いけど中華にはあまり行きたいとは思っていないのです。

alex99さんは蘇州の寒山寺にも訪れたそうで、さすがグローバルな商社マンですね。 (2025.03.27 00:45:24)

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