広汎性発達障害の子供を持つ、おかあさんのページ

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保育所を選ぶにあたって


さて、どうしよう。

その頃の私はなんとかパートの仕事にも就けていて、プチは近所の保育園に午前中だけの一時保育へ行っていた。
しかし、慣れない集団生活やうまくいかない母子分離。
プチは一時保育の日には、保育士の先生に羽交い絞めされるようにお別れし、そして迎えに行けば行ったで玄関にお気に入りの本が散乱し、自分の靴を握り締めて待っている時もあった。
フリーのベテランの保育士を独り占めにして、マンツーマンで過ごしていた。

母子分離。出来るんだろうか。

私は仕事をしたかった。
何せ結婚生活でありったけの貯金も切り崩し、何をするにも実家頼み。
お金がないって、悲しいねぇ・・・。
そうだ、前に夫と住んでいた頃は・・・。
昼間ランチに誘われても、自由になるお金どころか食べていくのだけでも精一杯で、いつも苦しいウソをついていたのだ。
そんな生活がいやだった。
贅沢をしたいのでない。たまにお楽しみがあってもいいじゃないか。
そう思っていた。

とにかく働きたい!そう思っていたところに、発達相談支援センターの担当相談員から、「未満児統合保育」というのがあると言われた。
通常、通園施設から次の進路を決める際には目標となる年齢は年少(3歳児)であるけれど、区にある仙台市の保育所でたった一箇所だけ、未満児(2歳児)での統合保育を受け入れる保育所があるということだった。

そのたったひとつの保育所は、小学校の校区で言えば隣の学区。
自宅からはもっと近い保育園もあったけれど、私はたったひとつを目指した。

通園施設の先生に付き添われて、見学に行った。
みんな楽しくお遊戯をしたり、リトミックをしたり。
プチは私の後ろに回り込んだまま。
事務室に通されて、質疑応答などもあった。
当時の所長先生は言った。
「どんなに保育所に慣れないと思ってもね、それが1週間後3ヶ月後か、半年後かはわからないけれど、必ず保育所に慣れますよ。もしもお昼寝が出来なくてもね、その時は事務所で遊んでいたっていいんです。先生もいますからね」
プチは車のおもちゃを出されて、フリーの保育士と遊んでもらっていた。

話が終わると、プチはおもちゃを持って
「んーまい」
先生は「そうね、おしまいね」
私はびっくりした。なんでこんな母親にしかわからないような言葉を言っているのに、どうして先生はわかったのか。
先生はにこにこ。「えー、わかりますよ~」

それまで一時保育で預けていた保育園とは、暖かみが違うと思った。
入れるなら、やっぱりこの保育所しかないんだ!

そして体験入所のチャンスも巡ってきた。
体験入所をする前に、一度保育所の門をくぐった。
ちょうど当日担当して下さる保育士の先生に会うことが出来た。

プチは砂場の砂で遊んでいた。
私はその姿を眺めながら、先生と立ち話をしました。
「先生は、障害児の担当をしたことがありますか」
先生はにこにこ顔で「ありますよ~。色んなお友達がいますよ」
プチは誰の話し声も聞こえないかのように。もくもくと砂で遊ぶ。
「お砂場が好きなのかな? お山になったね」
ああ、この先生も暖かい。嬉しくなった。

ありがとうありがとう、発達相談センターの相談員さん!
良い保育所をご紹介下さって!

当日、朝に保育所に行って給食を食べて帰るという体験入所だった。
紙芝居も、お友達の脇にちょこんと座って見て、三匹のやぎのガラガラどんのエプロンシアターを見て、給食も食べた。
なんとなく、やっていけるんだろうか・・・。そう思った。
泣いたり喚いたりのパニックがなくて、本当に良かった。
本音はそこだったように今思う。

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