自我相殺心理式 封神演義番外編3





  それが何処で考えられたものなのか、もう解らないのだけれど。








自我相殺心理式








  自らに向けられた刃を動じることもせず、唯在るがまま受け止める。
  彼は「それでも」考える。
  今、自分を殺すことに意味はないと、彼ならば考える。
  彼の心理的負担が自分の予測を上回っていない限り。
  「わしの中の王天君がやったのだ!」
  崑崙の天才道士は計算する筈だ。戦力を失うのは得策ではないと。



  ――――何て素晴らしい欺瞞



  「太公望」として守りたかったもの。
  「王天君」として譲れなかったもの。
  二つの記憶に一つの意識。
  幾つもの演算を重ねて導き出される解は二つ。
  一人の男と、一人の女。



  「何故」
  「決着をつける為」
  「僕を助けたのは」
  「似ていたから」
  「誰に」
  「さぁ」
  「悔しいですね」
  「何が」
  「さぁ」



  「予想外の展開」
  「嘘をつけ」
  「あら、本当よん」
  「ならば面白いがな」
  「あと少し?」
  「待っているが良いよ」
  「期待してるわん」
  「…嘘をつけ」 



 ――――「理性」と「感情」の相克



  「ここで仲間割れをしても」
  予測通り。そう思った自分に吐きそうになっているのは誰。
  無意識下の計算でなくなっただけましなのか。盲目の振りはもう通用しない。
  誰よりも自分自身に。
  「後でケリをつけましょう」
  そう、それで良い。
  それこそが。



  女が嗤う。喩え様もなく美しく。
  王宮で牢獄で異界で記憶の中で――――。
  紅の化身が嗤う。



  「――――を倒した後で」
  また独りになる前にどうか。
  二人目の愚者にならぬよう、どうか。
  叶うことならおぬしの手で。



  ――――それも計算の内なのかも知れない。




与えられるのは空白の解。










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