微かな祈り 封神演義番外編6




為ればこそ、繰心の術法にあれほど拘ったのかと。
今なら、聞ける気がした。







  微かな祈り








  瀑布・・・・・・水の流れる音しかないこの地で。
  目の前でお前を失うのか。
  「真の支配者・・・」
  呟き、笑う。
  結局、自分は何一つわからないままだった。
  (どうやってわかれってぇんだ)
  胸の裡で誰かが言った。




  自然以上の残虐性。それと同等の、多分、愛などと呼べるモノ。
  憎んでも憎み切れぬほど憎んだ。
  だが決して。
  嫌うことは出来なかったのだ、恐らく。
  あれは確かに母だった。

  嘗て。
  ただ"太公望"としてあった頃に一度だけ。その手を取ったことがある。
  酷いものだ。
  結局、全てがあの女の思い通り。筋書きから少しも逸脱することなく。
  差し伸べられた手を捕らえることは遂に叶わぬままだ。



  「愛とか恋とか」
  「思ってもねぇこと言うな」
  「まったくだ」
  「けっ」
  「質が・・・悪すぎる」



  母などと、とても呼べたものではない。
  だが確実に、今の自分を形成する土台にはあの女がいる。
  腹立たしいことに。
  何だってここまで振り回されねばならないのか。
  「わかるものか、女心など」
  おぬしの、心など。
  半身の記憶のままに零した。



  水が流れ落ち、飛沫が降ってくる。一滴が、頬を伝う。
  水面に波紋が広がる。流れを受け止め、幾度も繰り返し。
  この感情は何というのだろうか。
  まったく、本当に。
  「酷い女だ――――」




――――ずっとあなたを見守ってあげる―――










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