2017.08.19
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「お子さんは諦めるようですね」。
医師からの辛い宣告だった。
兵庫医大へ妻の治療のため通院していた、34年前。
肩を落とす妻を抱き寄せ、医大から阪神電車の武庫川鉄橋に並行して架けられた歩行者用の橋を渡った。
左手を見上げると、六甲山系。下を見ると、武庫川の川面に映った月が揺らいでいた。
武庫川駅から野田阪神駅まで行き、地下鉄・千日前線に乗り換え、僕の職場のある西長堀駅を過ぎて、鶴橋駅で下車。ガード下の炉端焼きのお店で、少しばかりの料理とビール1本を飲み、近鉄・奈良線に乗り換え、小阪駅から徒歩8分くらいの賃貸マンションへ帰宅するのが1週間に1度の通院だった。
妻の病気が治るという確信は、もてなかった。
妻は、たとえ一駅でも、一人では電車に乗れなかった。
だから、西長堀の職場を出て、妻を迎えに行き、帰ってきた路線を二人で乗って、西長堀駅を通り過ぎて、武庫川駅まで向かっていた。
作家の宮本輝さんに「同じ病気や。この病気になる人は、優秀」と言われたことを思い出すと、少し、うれしかった。
きのう、今日と、感謝の思いと書いたのは、11年前の県議選で長男が、7年前の県議選で長女が遊説隊で頑張り、最終日には、僕の演説の何十倍もの話をマイクを通してしてくれたことを思い出したからです。武庫川の歩道橋を渡る姿を思い出すのは、決まって真冬の光景です。六甲から吹き降ろしてくる北風に肩を震わせていたことが忘れられません。
「お子さんは諦めて」という医師の言葉は、僕たち夫婦への「負けたらあかんで」という励ましだったということを、あとで知りました。大恩ある女医さんです。





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最終更新日  2017.08.19 09:34:11 コメントを書く


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