春、出会いの季節。


あっご説明遅れました、私は『百合瀬 穏』柊高校の生徒です。
青春真っ盛りで何をしても楽しいこのごろ。
私の欲望は…。
「お花見して、桜餅食べたいな・・・・」
というような欲望で一杯です。
ただ・・・不安要素が二つほどあります。
まず一つは、クラスメイトに市内で一番の不良と言われている、橘 双輔がいること・・・次に、仮面を付けたクラスメイト、自称「仮面の貴公子」松浪 航がいること・・・・。
まぁ今は、この春の陽気に身を任せ・・・睡眠をとるのみ・・・・。

◇◆

(ぽんぽん・・・・ぽんぽん・・・)
「穏ちゃん・・・お昼だよ?」
「ふぁっ?・・・おはよう・・・萌っち」

私の肩を叩いた彼女は菖蒲 萌。クラスは2年B組、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群でわたしにいつも優しくしてくるとっても良い人だ。

「おはよう、ご飯は?」
私はどうやら起きたばかりで日本語がわからないようだ・・・・・。
「・・・・・お腹減った・・・・」
「まだなのね・・・ハハ、じゃあお弁当あげる」
机の上に置かれた弁当、桜柄の布に包まれていてとてもおいしそうである。
「・・・・え?萌っちのお弁当は・・・?」
私は不思議そうに萌っちを見た。
「じゃじゃ~~~ん。」
萌っちの後ろからいきなり出て来たお弁当。
「二人でたべよう?」
萌っちは首をかしげて聞いてきた。
当然、私は・・・。
「おう!もちろん!」
(ビシッ!)
OKサインをして元気一杯笑って見せた。
「ふふ・・・穏ちゃんってとっても可愛いね。」
萌っちは左手で口を隠し上品に笑った。

◇◆

「おいしい?穏ちゃん」
萌っちは首をかしげ聞いてきた。
「もちろん!おいしい!」
頬に一粒ご飯粒をつけた、私が言った。
「ご飯ついてるよ?」
萌っちは指でそれを取り自分の口へと入れた。
「ねぇ穏ちゃん一つお願いしてもいいかな?」
私は弁当を食べながら頷いた。
「実は入学した時から、言いたかったんだけどね…」
「…。」
私は食べ続けた。
「私…穏ちゃんが好きなの…だから…」
(友達として相談してほしいことがあるんだな~…私って頼りにされてる。)
などと思ってたりした私。
「穏ちゃんを…食べていい?」
・・・・・。
親友からのとてつもない一言。
私は、返答につまった。
「・・・・・え?」
萌っちは、右手の人差し指を私の唇にそっと乗せて言った。
「だ、か、ら、穏ちゃんを食、べ、た、い、の。」
(ムニッ)
私は唇を押された。
そして萌っちは、
「ねぇ…食べていいのよね…お弁当も食べたんだからね…穏ちゃん♪」
・・・・・。
再び返答につまった。
「・・・・・・。」
とりあえず。
私は・・・。
弁当もって逃げました。
真面目に「ヤバイ」と思いました。
とりあえず、屋上へと逃げています。
「はぁはぁ・・・」
息を潜ませ物陰に隠れた。
(ガチャ・・・)
「穏ちゃ―――ん?」
私は、あまりの恐怖で心臓が喉から出るかと思った。
「いないのかなぁ・・・・」
(バタン・・・・)
私は肩を撫で下ろした。
「ふぅ・・・・」
「とっても疲れたみたいやねぇ。」
不意にかけられた声に私は戸惑った。
「だ、誰?」
私の目には、扇子で口を隠した黒髪の生徒が映りだされた。

◇◆

「だ、誰?」
太陽の逆光で顔がハッキリと見えない・・・・。
「人に尋ねる時は、まず自分からやで?」
・・・・。
私は突然のことに日本語が理解できなかったらしい・・・。
「・・・ぇ?」
「だから、人に名前を尋ねる時はまず自分からやるもんやゆーてんねん」
聞き慣れない大阪弁・・・。
とりあえず・・・・。
自己紹介だな・・・・うん。
「私は、百合瀬 穏・・・です」
「わいは・・・わいはやな~桜井 月歩とでもいいときますわ」
気の抜ける大阪弁・・・。
(きーんこーんかーんこーん)
5時限目を報せる鐘。
・・・・やばっ体育だ!
「じゃっ!私はこれで!」
私はクラスに走った。そして着替えて、グランドへと出た。
――――屋上
「2年A組・・・百合瀬 穏・・・・成績普通・・・やな・・・」
月歩は一人、屋上から青空を見つめる。

◇◆

――――放課後
「ふぅ今日も一日ご苦労様、私。」
今日が掃除当番でない事をつくづく喜ぶ私。
だが・・・・。
「お~んちゃっん。」
突如、後ろから抱きつかれた私。
・・・・・。
「会いたかったよぉ~」
頬ずりをされた私・・・・。
やはり・・・・今日は厄日だ。
「一緒に帰ろうねぇ・・・」
ふぅー・・・。
耳に息をかけられた・・・・。
・・・・逃げよう。
やはりそれしかない。
うん・・・逃げよう。
抱きつかれた腕を振り払い、私は走って行った。
そして・・・。

◇◆

昇降口。
「はぁはぁ・・・・疲れた・・・・。」
その時・・・前を通り過ぎる影・・・。
見えたのは・・・・左右で違う瞳・・・。
でもなぜかそれが綺麗と感じた。
・・・・ギュッ。
「穏ちゃん・・・今度は・・・は・な・さ・な・い・よ」
・・・・・。
絶体絶命ってこういう時使うんだなぁ・・・。
と頭の中で思う私が居た。
「どっちにしろ帰る道一緒だから一緒にかえろう?」
笑いながらも私から離れない萌っち。
「それに・・・一緒にかえったら変な事しないから・・・多分」
・・・・。
えぇっ!多分なのかぁ。
・・・・とりあえず・・・・一緒に帰ってピンチになったら・・・逃げよう。
そう、心に誓う穏だった。

◇◆


「穏ちゃ~ん…このまま私の家に行こうかぁ?」
彼女…菖蒲 萌の愛で…。
「萌っち…そろそろ離れない?」
「ダメ…君をずっと離さないよぉ」
さっきに見た両目の色が違う生徒が体育館の裏へ行くのを私は今見てしまった…。
「あっあれ…」
「ジョニー…彼また喧嘩かな…」
「えっ…真面目にしか見えないけど…てか…ジョニー?」
私は抱きつかれながらも萌に顔を向けた。
「なんでジョニーかは知らないけど…結構名前のせいで結構絡まれてるらしいの…」
「そうなんだぁ…」
体育館の裏から鈍い音が響いてきた…
私たちはそっと体育館へと足を運ばせた…。

◇◆

ここは体育館の裏…。
…俺のの名はジョニー…。
灰色の髪に、左右で違う瞳の色。身長も高い。柊高校二年生だ。
俺の前に立ちはだかる不良達。
なにかを叫んでるようだが…聞く気にならない。
「聞いてんのかてめぇぇ!」
殴りかかってきた一人に俺は蹴りを喰らわせた。
「…俺には時間が無い…やるならさっさとしろ…」
「てめぇぇぇぇ!!!!」
一斉に向かってくる不良達。
俺はカバンから放電警棒を取り出し…電源を入れた。
鈍い音だけが響き渡る。
「…井の中の蛙…大海を知らず…と言うが…井の中も全てわかりきってなかったようだな…」
振り返ると俺の前に前には黒髪の女と…茶色の女が立っていた…
「…時間が無い…退いてくれるか…」
「あっ…ごめん…」
黒髪が俺に対して謝ってきた。
「…ふっ……何もしてないのに謝るな…」
そして俺はその場から自宅へと向かった。

◇◆

私はジョニーが立ち去っていくのを黙ってみていた。
「・・・・。怪我一つしてないね…」
私はポツリと言った。
「まぁそんなことよりさぁ~帰ろうよ~♪」
萌っちは抱きつく腕の力を強め私を離さない。
「…わかったよ…。」
そして私たちは校門のある方向へと振り返る…そこには。
赤い髪とピエロの仮面があった。

◇◆

俺の名前は、橘 双輔。
中学の時は『赤鬼』って言われてた、あまりこの呼び名は好きじゃなかった。
今は『柊 昌時』さんの言いつけをしっかり守って生活してる。
チャームポイントは地毛の赤い髪。

◇◆

「…殴ってきたりしないかなぁ…」
私は脅えていた…。
「大丈夫♪私が守るから…その代わりねぇ…?」
市内で一番の不良と言われたいる『橘 双輔』と…
優しいけど身の危険を感じる『菖蒲 萌』に…
「だって…不良だよ!?ヤンキーだよ!?」
その時だった…市内一の不良『橘 双輔』が止まったのは。
私は息を呑んだ…しかし…私はすぐに思いもせぬ行動を目の当たりにする事となる…。

◇◆

「双輔~ドラクエわかんなくなっちまったんだけどさぁ~今日一緒にやってくれねぇ?」
この仮面を着けた奴は俺の友達『松浪 航』。
俺の姿を見ただけで皆は友達に成りたがらないけどこいつは俺と友達になってくれた…。

「おい…人の話を聞いてるか?」
不意に航は仮面を着けた顔を近付けてきた。
「…あんまり顔を近付けるな寒気がする…」
大抵の奴がこの仮面を近づけけられたら寒気が起きるもんだろ…。
「んだよー…せっかく俺の家にいとこの猫が来てるって言うのに…」
「何ぃ!?猫だと!?その猫は…どういう種類だ?」
「こねぇとわかんねぇなぁ…俺って動物詳しくないしぃ。」
こいつは絶対に俺の弱点に漬け込んでやがるな…
「ドラクエやってくれるなら見せてもいいけどね~」

(にゃぁ~…)
不意に聞えた声…。
俺はそっと横を見た…そこにはとてつもなく可愛らしい子猫がダンボールの中で鳴いている…
腹を空かせているのだろう…
俺は猫を抱き上げた…捨てられてすぐらしい…あまりやつれていない…。

「しかたねぇ~なぁ…今日は特別にお前の家で遊んでやるよ。」
航はわざとらしくでかい声で喋った。
「腹…空かせてるんだろ。近くのコンビニでネコ缶かってこぅぜぇ」
これがこいつの良い所だ…俺はやっぱりいい友をもったと思っている。
「だけど…その代わり今度は絶対に俺のうちでドラクエ進めてもらうからなぁ~」
「わーた、わーた…」

◇◆

私はありえない光景を目の当たりにした…市内一不良といわれた『橘 双輔』が猫を抱いているのだから…。
いや…違う…まさか猫を殺そうとか…道路の真ん中に投げてみようとか考えてるに違いない!
そうだ、絶対そうだ!
猫を…猫を助けなきゃ!
「あっ穏ちゃん?」
私は猫のために萌っちの腕を振り払い…『橘 双輔』へと向かっていった…。
そして…橘 双輔の体にぶつかった。
◇◆

…ドンッ
「…大丈夫か?」
双輔は心配そうに穏の顔を見つめた。
そこには、泣いているのか怒っているのかわからない表情のしている穏の顔が有った。
「猫…殺すなっ!」
意味は無いとわかっていても思わず叩かなくてはいれなかった。
「…?」
キョトンとする双輔。
「何々…その猫って君の?」
仮面男(松浪 航)が私に話し掛けてきた。
「…だってこの不良…猫殺そうと…ひぐっ」
「…くっくっくっく…あははははははははっ」
仮面男は馬鹿笑いしやがった。
「おいっおんまり笑うなって可哀相だろ?…えっと…俺の名前は橘 双輔…でこの猫ってあんたの猫?…それと俺はもう不良じゃないから…」
不良とは思えないほど暖かい笑顔だった…でも眉毛がなかった。
「あっえっ…違うっ…不良じゃない…?」
「穏ちゃんっ!」
また不意に私の体に抱きついてきた人がいた。まぁ萌っちだろうな…

―――――→「次へ進む」

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