易経日記
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【背景】安全保障関係のニュースが目につきます。3ケ月くらい前、占い友達T氏の家で宅飲みをし、出した卦を思い出しましたのでそれをご紹介します。今年の5月位丁度、安倍さんが米国に行く前に、今回と同様集団的自衛権の議論が始めており、自衛隊派遣がニュースで議論されていました。そこで、海外派兵したらどうなるかということをT氏と一緒に占いました。【占的】安倍首相、海外派兵したらどうなるか。【結果】私の出した卦坎為水(かんいすい)2爻― ――――― ―― ―――― ×― ―【判断】出た~と思わず言ってしまうほど悪い卦。1. 卦の説明(1)はじめに坎とは、落とし穴という意味。― ――――― ―この形が落とし穴に入ったとも見えるから。また、この形が漢字「水」の基になったとも言われ水は八卦の一つ。水は流れてやまぬため困難とか、険難あるいは苦労となどを暗示する(補足1)易経では四大難卦と4つの悪い卦がありますが、その中の一つです。他は、水雷屯、沢水困、水山蹇。全部「水」があることが難卦たるゆえんなのですが、坎為水は水が二つもあるという救いがたい卦なのです。また、水が内卦(下卦)と外卦(上卦)にもあることから、内憂外患に直面する、あるいは水を「血」の暗示と読むこともあります。海外派兵は海を越えてするので水なのかもしれませんが。。。(2)辞を見ます。a)「習坎は…」卦辞の最初は「習坎は…」と始まります。卦辞の始まりは、卦の名前で始めるのが普通であり、坎為水の場合は「坎は…」と始めてもいいはずなのに「習坎」と始める。「習」は、重ねるという意味。鳥が羽を繰り返し動かして飛ぶ稽古をすることから、重ねるという意味とのこと。 険難を意味する水が二つもあるわけで、進も地獄、進まざるも地獄のどうしようもない卦。卦辞を解説する彖辞でも、「習坎は重険なり」としています。「坎(険難)が重なっちまったよう!」といった溜息から始まる感じです。b)「孚あり。維れ(これ)心亨(こころとおる)」 最悪の卦であるからこそ、これ以上悪くはならない。そのようなとき人の真価が問われ、人の誠の輝きがみられます。男子本懐の卦とも言われます。c)「行けば尚っとぶ(たっとぶ)ことあり」 次々と険難を乗り越え、不退転の意思を以て行動すれば、人に褒められるだけの功績はあるだろう。 (3)彖辞から補足説明苦難が次々と押し寄せてきて内憂外患のときであり、どうしようもない状態。そんな時は手も打ちようもないが、挫けずに頑張るしかない。但し、易ではこの坎為水の時の意義も説明します。険難というのは苦しいことであるが、生きる上でもどうしても存在するものであり、必要なものだというのです。天は遮る障害物が何もないようでいて、高くて昇れないという障害がある。地は平たいのが原則だが、その中に山川丘陵という障害がある。王は、このように天地にすら障害物があることを学び、そこから人為的な障害物(城壁や溝池)を設けてその国と民を守る。その意味で険(障害物)の効用も偉大なものであると、易は言います。(4)分析 海外派兵をした場合、以前の小泉さんのイラク派兵の時とは異なり死者も出るでしょう。その時は、マスコミや野党からの批判にさらされ国内的にも政権はピンチとなる。また、海外的にも、警戒されたり、いわれなき歴史問題なと批判を受けることもある。さらに犠牲者を増やさないために、海外派兵の政治目的や、同盟国との信頼保持とどう折り合いをつけるか外国との関係でも様々な困難にぶち当たる。ただし、これは日本政府としては不可避な障害。水が流れる時、前方に穴があるからと言って避けることはない。穴に入り込んで、いっぱいになってから初めて次のところに流れていく天地にすら障害物があり、王は、そこから人為的な障害を設けてその国と民を守る。海外派兵に一切応じないことができればいいのですが、冷戦崩壊後、米国の影響力が低下し、アジアも不安定要素を抱える中で、避けられない険阻であり、信念を持ち、犠牲を払い、国家としての信頼を保つことが不可避なのかもしれません。では、避けられない険阻の中での具体的なあり方を見ていきます2.2爻 「坎に険あり。求めて小(すこ)しく得。」(1)辞の説明 (補足3)a)「坎に険あり」 険(障害)の中にあり自分で抜け出せないでいる。 なぜならば 九二は、落とし穴(坎)の真ん中に入っているから。b)「求めて小(すこ)しく得。」 けれども、陽爻つまり、剛なので、亨る。 しかり、楽々通るのではなく百の努力に対して十の心がかなう程度(「易学大講座5」加藤大岳41頁)。 求めて、少しだけ得ることができる。(2)分析 内憂外患の状態だが、海外派兵により、外交における日本のプレゼンスは向上する(「求めて小しく得。」)。 とくにアメリカに対する関係。アメリカにとっての戦略的パートナーとしての日本の比重は高まり日米同盟は強化される(坎為水2爻変により水地比)。アメリカの国内の財政問題は深刻化し、アジアの軍事力、地政学的に日本に依存する比重が増す。 とはいえ、これにより日本が得られるものはほんのちょびっと。 アメリカの国際社会の地位は年々相対的に低下しており、アメリカの担っていた役割を一部負担する。アジアの複雑化する地政学的地位の中のアメリカ圏代表のような役割を担っていく。 たとえば、北朝鮮問題。金王朝崩壊ののち、労働力/資源をめぐり韓国、中国、ロシアが食指を伸ばす(「坎に険あり。」)。ここは唯一資本主義が及んでいないフロンティアだが、現状日本が単独で入り込む余地はない。しかし、米国とともにTPP勢力として発言する役割は得られるとともに介入する責任を求められる。 ただ、これも実は日本にとっては行うべき障害。 朝鮮半島は日本列島に匕首のように飛び出しており、国防上、敵国勢力下に陥ると、そこからどこからでも攻め込まれる非常に危険な地政学的位置にある。それゆえ歴史上、朝鮮半島の政治的軍事的動向に日本は無関心ではいられなかった。アメリカという傘の中にあるときは意識せずとも好かったかもしれないが、アメリカの国力が弱まり、中国、ロシアが群雄割拠的行動をとる中で、そうもいかなくなり、何らかの監督統制手段を確保しておく必要が出てい来る。日米同盟の強化は、そんな国際情勢の中で、新たな重要性を付与される。日本は資源がない。工業用原料もないし、食料も米以外はない。その国に1億2千万人が生活していくためには6億トンの資源(生活資源、産業鉱業資源)が必要とされる。これを海外から購入し、国民が付加価値を付けて6000万トンを輸出し、このモデルを回し続けなければ食っていけない。この6000万トンの製品販売の世界的な競争に勝つことによって豊かな生活をしてきた(「日本の証言」瀬島龍三 フジテレビ出版より)。したがって、ビジネスの競争に負けることも、ビジネスの前提としての平和が崩れることも日本人にとっては原理的には飢餓に結びつく。 戦前、農業国家であった日本の東北の飢餓は深刻であった。 現在、新興国勃興とポスト産業社会の到来により加工貿易モデルが崩れてきている日本にとり、新たな経済的存立モデルを打ち立てることは課題のひとつである。さらに米国の一極覇権が崩れ安全保障上も不安定要素が増す中で国際社会でどのような基本指針を持つか課題となる。一つの解決策としてTPPに顕在化したようにアメリカの経済ルールを基盤とした環太平洋経済圏の中に所属し、その中で経済モデルの機軸を打ち立てつつ、軍事的にも米国と同盟関係を立て環太平洋共栄圏を守る役割を負うのが考えられる。その枠組みの中で勃興するアジア市場への参入していく。 環太平洋経済クラブの参加条件として海外派兵はPRの一つとなる。同じ米国駐留軍がある韓国との関係など難しい問題はあり(坎為水2爻は陽爻。本来二爻は陰であり不正。)、アジア諸国の日本への軍事アレルギーもありますのでPRは、多事多難で得るものは小さいのかもしれませんが。 それでも生き残るためには何らかの対策を取らねばならないテーマであり、その中で海外派兵は100パーセント無駄ではない、ちょっとだけ得るものはあるのかもしれません。では、同じ占的に対して占い友達T氏の卦も次週紹介します。--------------------------------------------------------------------------------------(補足1)説卦伝5章に「帝は…坎に労し」とある。(補足2)彖辞「天の険は升るべからざるなり。地の険は山川丘陵なり。王公は険を設けてもてその国を守る。険の時用大いなるかな」(補足3)象から補足 ・九二は、内卦「坎」の真ん中。まさに落とし穴(坎)の真ん中に入っている。 ・内卦の「中」を得ている。主爻 ・陽爻つまり、剛 ・ただ、2爻は本来は陰。だから不正。 ・坎為水2爻変により水地比となる。「比」は親しむの意味。
2015年08月23日