酔眼教師の乱雑日記

「大夢」発刊に際して

「大夢」


 私の人生の中で、感動した映画に黒沢明監督の「生きる」というのがあります。
 確か、昭和27、8年頃の作品ではないかと思いますが、あと半年の余命しかないと宣言された志村喬演ずる、ある都市の市民課長がそれまでの無為な目的のない生活に別れをつげて、たまたま要望書や陳情書の一番上にあった小公園づくりのために行政の枠や組織の壁の障害を乗り越え、人々に訴えかけて、死の直前に公園を完成するというストーリーでした。
 この映画で、個人でも組織でも、目的や夢をもち、努力することの大切さを学びとりました。ゼミナール一期生のみんなは、いま大学を卒業するにあたって、どんな夢や人生の目的を持っていますか。今までの時間は、自らの人生の目的をなしとげる為の準備期間だったのではないでしょうか。高校進学、大学進学、それぞれは大変なことであっても、人生の中では1つの短期的な目標にすぎなかったのではないでしょうか。これからが、君たちの人生の本番です。夢がありますか、人生の目的がありますか。
 バブル経済が崩壊し、円高に苦しみ、就職難であり、阪神大震災の直後に君達は旅立ちます。しかし、環境条件が悪いことを言い訳にしないでください。自らの人生の「夢」を描いてください。それも、「大」きな夢を持ってください。そんな思いを込めて、私が担当するゼミナールの卒業論集を「大夢」としました。
 ただ、夢を描くためには、努力をしなくてはなりません。裏打ちのない「夢」は空想です。「夢」を現実のものとするためには努力が必要です。1つだけ「努力」についてのアドバイスをします。それは、月に三冊の本を読むことです。その三冊ですが、一冊は「ベストセラー」と言われている本、これはその時代を反映しているものです。一冊は自分の仕事に関係する本です。会社の中でも色々な職種につくでしょうが、その時の自分の仕事に関係した本を読んでください。最後は、自分の趣味に関する本です。人生は仕事だけでもありませんし、それ以外のものだけでもありません。人間の幅を広げるのは、趣味だと思います。
 今まで、月に三冊の本を読んでいましたか、職業に就くと時間は制約されますが、その中で、月に三冊、年で三十六冊、十年で三百六十冊、三十年で千八十冊、読むと読まないでは、大変な人間の幅の「差」になります。努力してください。
 大学という場で、縁あって、二年間ともに学びました。君たちが「大夢」をもって、新しい「旅」に出ることを期待し、幸い多いことを祈念して、筆をおきます。


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