『ゲーム脳』を責めないで。

ゲーム業界の声なき声

見解のコメントを記します。

（２００３年１月２７日現在のものです）

さてお問い合せの「ゲーム脳」関連の件についてですが、

以下のようにご回答させていただきたいと存じます。

この件についてはこれまでの当協会の取り組み・背景などを

ご説明させていただいた上でご理解いただく方がよろしいかと思い、

長文になりますがお付き合いいただければ幸いに思います。

この問題提起については森教授の研究以前にも同種の内容があり、

その際当協会として関係ある複数の研究者の方々にヒアリングに

うかがったことがございます。

その際ご指摘を頂いたことと致しまして、

「脳科学の分野の研究は未開拓な面が多く、

実験結果により直ちに結論づけたり断定するのは困難」

とする見解が研究者間でも多数を占めているということでした。

また森教授の説にしてもゲームだけでなく携帯メールもパソコンもと、

ＩＴ全体につきやりすぎると危険と警告しているものと認識していますが、

「ゲーム脳」という言葉で代表されており、

これがゲームに不利になっていると思います。

各研究者の方々の話では脳科学の研究ははじまったばかりであり、

この先長期にわたる時間をかけて解明していかない限り

本議論については結論が出てこないとのことなのです。

従って単なる「無影響説」を唱えても、

意味の無い水掛け論となってしまうのです。

ご指摘のように、外部からゲーム業界をご覧頂いている方にとっては

「一方的に言われるがまま黙認して何もしていない」

と思われる方が多いと思います

が、実態は大きく異なります。

ＣＥＳＡに対して、本件についてマスメディアの方から

反論を求めるインタビューを受けたことも多かったのですが、

その都度上記説明を詳しくさせて頂くと、

現状をご理解されてか、当初の「ゲーム脳の件で困らせてやる」的な思惑がずれ、

企画自体がトーンダウンしてしまうケースが多いようです。

そのためこうした中立意見を展開しようとするメディアでは状況を正しく把握し

あまり大袈裟に取り上げられず、一部のゲームに対して悲観的なメディアで

（業界側の見解を取材せず）一方的に報道してしまう結果、全体として

バッシングの強い印象を受けているものと思われます。

悲観的なメディアの方々に対してもご説明する機会があれば

逐次上記背景をご説明するつもりでございます。

またゲーム業界側の報道関係者もこうした（情報が交錯する）状態を危惧しており、

正しい情報を把握するため各関係者に当たっているところでございます。

いずれにせよ、本件についてはここ数年の研究では上記案件を解決するための

結論は導き出しにくいとするのが現状と思われます。

一方、森教授の説と報道で騒がれている点についても大きく乖離点がございます。

森教授の場合、「一日何時間もゲームを続けていると悪影響を及ぼす」的な見解で

あるのに対し、多くの場合

「（特に見出しで）ゲームをする子ほど、ゲーム脳に～」

との摩り替えが見られる部分がございます。これが一部の読み手にとって

「ゲームプレイ＝悪影響」との短絡的な誤解を生むケースも多く、

困惑している部分がございます。

ゲーム業界の場合、

（長時間プレイすることについての警告としてはこれまで業界全体としての

基準を制定したというわけではございませんでしたが）

何でもやり過ぎはよろしくなかろうと、取扱説明書にはほぼフォーマットとして

「長時間プレイはしないように」との断り書きがございます。

一般の方であればこの事を心がけプレイされ、

節度ある楽しみ方をされている方が多いと思います。

そのため森教授の実験は正しいとあっても、

本来であればこうした影響を受ける方が少なく、節度を持って遊ばれる

ユーザーの方々にはあまり影響を及ぼさないものとも言うことができます。

また一方で「ゲームの好影響論」を唱える学説も実際にございます。

詳細はここでは割愛しますが、

「好影響論」の一部を今年度版の「ＣＥＳＡゲーム白書」にも掲載してございます。

本件はテレビ・雑誌等でも取り上げられている実績も

あり、逆を言えばこちらの取り上げられ方が少ないのかもしれません。

ご興味ございましたらご参考下さい。

こうした背景をお汲み取りいただき、ぜひとも正しい情報理解に努めていただければ幸いに思います。

何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します。

以上

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