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午前4時半。。。ガーコは珍しく、夜明け前に目を覚ました。 『これって、単なる時差ボケかな?』 『いや、君の場合は天然も入ってるから、ボケの2乗だな。』 彼は出発の身づくろいをしながら、わけの分からないことを呟いた。 何はともあれ、目覚めの早かった二人は、颯爽とした面持ちでMOTELを後にした 時差ボケだろうが天然ボケだろうが、前へ進まなければ、景色は何も変わらないのだ。 荘厳な日の出が二人の旅を促すかのように、山の頂きを神々しい橙色に染めていく。。。 ガーコの心も、自ずと大らかな優しさに包まれていった 途中、Provoという町に30分ほど立ち寄った。 冷たいみぞれが降り注ぐ中、マラソンランナーたちが瀕死の表情を浮かべながら走っていた Provoの町を出たあとは、ソルトレイクシティーのデニーズで暫し休憩 店内はどのテーブルも、我が目を疑う “ド肥満客”らで埋め尽くされていた。 きっと、彼らの超過重量の大部分は、デニーズで培われたものなのだろう。 ガーコは、コッテコテのサンドウィッチを半分だけ平らげることにした。 デブーズならぬデニーズを抜け出した二人は、さらに北へと走り続ける。 雪が降ったり止んだりする中で、車窓の風景は秒速単位で目まぐるしく流れていった。 すると、今度は天と地を逆さにしたような鏡張りの風景が目の前に広がった。 オォォーーー!! w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w オォォーーー!! 湖面に映える幻想的な雪景色は、どこまでも静かで、どこまでも美しく、 神秘という言葉に限りなく近い、時空を超えた何かのように感じられた。 こういう完璧な美に遭遇した場合、“ 一枚の巨大な風景画 ”というのは、 結構ありがちな発想なのかも知れない..........φ(ー ̄*) ガーコは言葉を忘れて、額縁のないリアルな風景に心ゆくまで酔いしれた。 さて、ここからが三日目の旅のクライマックスだ! イエローストーン国立公園が近づいてくると、野生の動物たちが次々と姿を現した。 道端でバイソンを目撃した時なんかは、興奮の余り鼻血が零れ落ちそうになった…( ̄ii ̄) バイソン(Bison) アメリカアカシカ(Elk) コマツグミ(American Robin) カナダヅル(Sandhill Crane) カナダガン(Canada Goose) 動物たちは、ガーコの姿に怯えることもなく、各々の目線で自然と向き合っていた。 ガーコもまた、彼らと一定の距離感を保ちながら、自然との一体化を楽しんだ。 自然は、世界の果てみたいに、音もなくひっそりと佇んでいた。 固唾を呑んで、カメラのシャッターを切ると、 しんとした静けさの中に、カシャッ!というシャッター音だけが高らかに響き渡った。 そこには、侵入者の感情を拒むような現実の厳しさと、排他的な美しさが備わっていた。 イエローストーン国立公園の入り口に辿り着いたのは、午後7時頃。。。 でも、日本とは様子が違って、外はまだまだ明るかった。 二人は看板の横をすり抜けて、この日の最終目的地へと急いだ。 この公園は、1872年に設定された世界初の国立公園である。 世界最大級の火山地帯としても有名で、今も活発に活動しているらしい。 川の流れの至るところから、白い湯気が濛々と立ち上っていた このカラフルな間欠泉は、イエローストーンで一番の見どころである。 雪が吹雪いていたため、カメラを持つ手が小刻みに震えていた。 『滑って、カメラごと転ぶなょ?』 彼は、ガーコの凍てついた左手をごっつい右手でやさしく包み込んだ。 温かかった彼の右手は、雪女の冷却パワーでもって、どんどん冷たくなっていった 間欠泉周辺のグロテスクな風景は、コローが描いた『突風』という絵にとてもよく似ていた この日は21時半頃、イエローストーン付近で目についたMOTELにチェックインした。 走行距離は1350キロで、所要時間は15時間半 ここまでくると、もう後へは引けない 雪が降ろうが、槍が降ろうが、一心不乱に前進あるのみである。 二人は、MOTELの近くにあったローカルな雰囲気のピザハウスで、3度目の祝杯をあげた。 一日が『終わった感』と、旅が『まだ終わっていない感』の狭間で、二人の心はゆらゆらと揺れ、 心地よい酩酊へと誘う黄金の液体も又、二人の心を見透かすかのように、ゆらゆらと揺れた そして、四日目の朝、ついに事件は起きたのだった… アメリカ縦断の旅≪モンタナ編≫へとつづく。。。
2010/05/26
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翌朝は、旅の疲れを吹き飛ばすかのような快晴だった。 グレーの車体に青い空を反映させたフォードのFOCUSは、見た目も走りも絶好調だ でも、BUT、しかーし 変わりゆく絶景を前に、快適な助手席でのんびりうたた寝なんて、もってのほかなわけで。。。 方向音痴なガーコは、気がつくと、トンチンカンなナビゲーター役まで引き受けていた。 細くて長~いクネクネ道は、荒れ狂う大蛇のうねりを彷彿とさせ、 ガーコは時折目を閉じて、スリリングなジェットコースター気分を味わっていた。 せっかちな性分の彼は、慎重にアクセルを踏みながらも、ノンストップで北へ走り続ける。 緩めたスピードとは裏腹に、彼の心と体は45度ほど前につんのめっていた…(*≧m≦*) そして、フェニックスを出て4時間後、グランドキャニオンがついにその姿を現した。 全長460kmに及ぶ雄大な渓谷には、20億年分の地球の歴史が刻まれているらしい。 『20億年前かぁ。。。俺も、あの頃は若かったなぁ。。。』 彼は赤茶色の渓谷を前にして、懐かしそうに目を細めた。 もし、それが本当だとすると、パスポート偽造&年齢詐称の罪で、即刻、刑務所行きである。 彼との未来を危ぶんだガーコは、敢えて聞こえないふりをした。 そんな中、我が目を疑うような飛行物体が、二人の視界をのびやかに横切った。 絶滅の危機に瀕している幻の鳥、カリフォルニアコンドルである ゴシゴシ(-_\)(/_-)三 (屮゜Д゜)屮 オーマイガーーー!!! ガーコは感激のあまり、我を忘れて立ち尽くした。 グランドキャニオンの上流に位置するマーブルキャニオンも、お気に入りの渓谷の一つである。 ポップな地層の色合いと青空とのコントラストが、実に素晴らしかった。 マーブルキャニオンを通り過ぎると、お次はグレンキャニオンだ。 グレンキャニオンの下を流れるレイクパウエルは、とても美しい人造湖で、 ここから先がユタ州になる。 ユタ州は恐竜の宝庫で、別名 『 ジュラシック・パーク 』 とも呼ばれている。 ちなみに、ガーコは昔、ティラノサウルスの大ファンだった。 ガーコサウルスがあの時代に生息していたならば、彼とはほぼ互角に戦っていたことだろう。 おっと、いけない…話が横道にそれてしまった 話を現実に戻そう。 グレンキャニオンからさらに北へと車を走らせると、今度はブライスキャニオンが見えてきた。 たくさんの土柱がズラリと立ち並んだ渓谷は、古代のお城のようにも見える。 『あのお城は、俺のものなんだ。』 運転席の彼は、真顔でそう呟いた。 ガーコは一瞬、自分の耳を疑った。 でも、聞き返すのはやめにした。 結局、ビーバーという殺風景な町に辿り着いたのは午後7時半頃で、 この日の走行距離は、ナント1000キロにまで及んだ 走行時間は12時間半!まさにウルトラ長距離ドライブである。 二人はアリゾナのサボテンを偲んで、アツアツのメキシカンディナーを口にした。 冷えたビールが全身の血管に隈なく滲みわたって、あっという間に酔いがまわった。 彼の、いや、私たちのキャニオンに乾杯~ そして、旅はまだまだ続くのだった。。。
2010/05/16
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ロサンゼルス郊外に出ると、果てしなく広がる空と大地が、遥か彼方の地平線で一つになった。 日本では絶対にありえない光景だ。 『よぉーし! このまま一気に、地平線めがけて突っ走ろうぜ?』 勢いづいた彼は、アクセルを全開にして、エンジンの轟音をジェット機並みに轟かせた 途中、パームスプリングス近くのサン・ゴルゴニオ・パス付近を通りかかると、 青空をバックに、風車の大群が何十キロも先まで延々と続いているのが見えた。 ダイナミックな白い翼は、二人を歓迎するかのごとく一斉に同じ速度で回っていて、 “風が風車を回している”というよりは、風車が強風を巻き起こしているかのような 現実とは正反対の感覚が、ガーコの潜在意識の中をぐるぐると駆け巡った 『アメリカの大地と風が、この俺サマを呼んでいる。。。』 彼、すなわち、嵐を呼ぶ男(?)は、オードリーのK氏のごとくパンパンに胸を膨らませて、 自信たっぷりの口調でそう呟いた。少なくとも、彼は本気でそう思っていた。。。 ダイナミックな風景はどこまでも限りなく続いていて、二人の遠近感を驚くほどに狂わせた。 そして、アリゾナ州に入ると、辺り一面に砂漠の風景が広がって、ファンキーな物体と遭遇した。 どこもかしこも、サボテンだらけ。 どんなに工夫を凝らして姿カタチを変えようとも、サボテンはサボテンである。 真っすぐに伸びゆくサボテンの群れは、お互いに牽制し合って背伸びをしているようにも見えた。 この日は14時半から23時頃までレンタカーを走らせて、アリゾナ州のフェニックスという町にある こじんまりとした雰囲気のMOTELにチェックインした。走行距離は、およそ600キロ 熱いお湯を満たしたバスタブに疲れた体を埋めた途端、旅の実感がじわじわと湧いてきた。 『明日は5時に起きて、もっと先へ進まないとな。』 ビールを飲んでダブルのベッドに横たわると、二人はすぐさま眠りに落ちた。 アリゾナの夜空には、無数の星が輝いていた。 ≪アリゾナの夜≫
2010/05/11
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日本を離れて、お目当ての空港に辿り着くと、ガーコの携帯に一通のメールが届いた。 “ ようこそアメリカへ 楽しい旅を ” 句読点のないそのメールは、傍らにいた彼がさり気なく送ってくれたものだった。 『実は、今からアメリカ大陸を縦断するつもりなんだ。』 彼は誇らしげに地図を広げて、ロサンゼルスから7つの州にまたがる道を 傷だらけのごっつい人差し指で大胆になぞってみせた。 『じゅ、じゅーだん??それも、たったの7日間で』 『やれば出来るさ。』 『そんな無茶な…(*′皿`艸) 』 『ほらね?君に反対されると思ったから、今まで内緒にしてたんだょ。』 地図上で測った推定走行距離数は、少なくとも6000Km以上はある。 『大まかに計算すると、1日800キロ以上は走ることになるかもな。』 『ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε= ヒイィィィ!!!!( ̄△ ̄ノ)ノ 』 彼のアメリカ縦断計画は、とてつもなく無謀でスリリングな幕を開けたのだった…
2010/05/09
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