ガロの剣士道!

~第2章~ 別れ、真実への翼



連合会へ向かうも、バギの足取りは重い。

『クソッ!! ローのやつ、いつから俺たちを裏切ってやがった!』
やりきれない思いを叫びに変え、近くにあった木の幹を思いっきり殴る。
殴られた部分は陥没し、バギの拳のあとが残る。
それでもバギに残るのは怒りと虚無感のみだった。

しばらく歩き、少し落ち着きを取り戻して考え直す。
(あいつが俺たちのギルドに来たのはいつごろだったかな。)
(ぁぁ、そうだ2年ちょっと前で、ギルドができて間もないころだったな。)
(あのときから裏切ることを前提に俺たちの仲間になたのか?)
違う!!!心の中で否定の声が聞こえたが、その反面どこかで疑いの声が聞こえる。
(そういえば俺たちはローについて知らないことのほうが多いんだな・・・)
(2年間以上もの付き合いなのに、あいつは最後まで自分の情報を明かさなかった。)
(それに・・・あのときのローの姿・・・)
そう思い、バギは水路でのことを思い出す。

そこには、まるで世界の終焉を見出すような静かな蒼緑色の瞳に、悪魔たちのような紅い髪、腕には淡い蒼色の光を纏ってるローの姿が浮かんだ。
(あの時は痺れ薬で頭が働かなかったが、ローのあの姿は異常だった。)
(俺たちと居たときは髪は黒かったし・・・それに。)
(やめよう。これ以上考えても・・・)
そう思い、バギは連合へ進む足を速める。


連合本部:評議室。

『なんだと?つまり、その裏切り者のローとやらはレッドストーンの力を使って人間を・・・しいては世界を潰そうとしているのだな?』
評議員の1人が怒りをあらわにしてバギに問う。

『・・・・はい。ローの仲間は男4人、女3人。それぞれの装備は確認できませんでした。』
バギは評議員に対して静かに返答する。

違う評議員がバギに問いかける。
『それで?そのレッドストーンのある場所は地上で言うとどの辺りなのだ?』
明らかに目の色が違う。

『・・・あの場所は、トラン森のはずれにある、神木の祭られている広場です。あそこまで行くには腕のいい傭兵を100人以上。もしくは俺たちクラスのギルド総動員していくしかありません。地下水路を通ればそれほどでもないのですが・・・』


(こんなときでも私欲のためにレッドストーンを求めるか・・・王を動かし利用して肥え太った評議員の欲は満たされず・・・か。)
バギはそんなことを思いながらもこう続ける。
『水路は今回の依頼でわかったのですが、レッドストーンから生み出されたモンスターの強さは異常です。モリネルタワーに居るモンスターなんて赤子に思えるほどに・・・』

『あのモンスターが今も生み出されているとしたら、そしてあのモンスターたちが世界を滅ぼすための一般的な兵だとしたら。人間だけでは力不足です。それも、人間同士で対立しているようでは・・・・・』
(人間でさえ対立している状態だからな・・・)


いま、人間界では人間は4つの街に別れ、それぞれが対立している。
1つは俺たちの住んでいる古都ブルンネンシュティグ。
2つめは最大の兵力を誇るオアシス都市アリアン。
3つめは他の街には関わらず、街だけでの繁栄を法律としているハノブ。
4つめは最近ロードギルドによってつくられたピガプールだ。
争いこそ起きないものの、4つの街は対立し、他との干渉は極めて少ない。
たまに評議員たちが外交に出たり、依頼を達成するために訪れる程度だ。


『ふむ・・・早急に他の街へいまの状況を知らせるとしよう。バギよ、お前はギルドの仲間と共に明日の早朝にここへ来い。お前のギルドの人員を3つにわけ、それぞれの街へ使者として送る。もちろん我々もついていくがな。』
最後の部分は警告であろう。

(それもそうか。俺に責任があるのも事実だしな・・・)
(だが、今の状況を説明したところで果たして協力してもらうことができるかどうか・・・どちらにせよ、ローたちが世界を潰す気なら古都の兵力だけで戦う場面もでてくるだろう。)
(・・・・最低でも3日は持ちこたえないとな。)

レヴォ:ギルドホール。

バギは水路のこと、そして今日の評議会のことを話した。
予想道理、空気は重い。
『今回はPTを3つに分ける。PTのリーダーは俺、レノ、カズの3人だ。それぞれ7人ずつメンバーを明日までに選んでくれ。』

『最後に1つ・・・ローは昨日までは仲間だった。だが、今は俺たちの敵だ。
あいつが何を考えてるのか、どんな理由があるかは知らない。しかし、あいつのやろうとしてる事を見過ごすわけにもいかない。あいつは敵なんだ。それを忘れるな・・・』
バギは悲痛な顔をしながら皆を見据え、その後明日の準備へとりかかった。


古都噴水前。

そこには今回PTのリーダーになったカズ(女シーフ)がいた。
『ロー、何をしようとしてるんだろう?』
カズはPTメンバーに選んだ1人、レルドにたずねる。
『さぁな・・・ローが敵・・・・・か。』
レルドはただただ濁すばかり。

(ぁ~ぁ、昨日までは楽しかったのになぁ・・・)
カズはそう思いながら明日の準備を始める。
彼女の装備は珍しい。
シーフは普通投擲を基本とした攻撃スタイルをとるが、彼女は投擲のみでなく、至近距離での戦闘も長けている。
また、通常はシーフは肉弾戦の場面を想定し、武道家としての技も磨く。
そうやって至近距離での戦闘を可能にするわけだが、彼女は武道の技を磨いたりしない。

彼女は至近距離でも戦えるように投擲武器が少し長めになっている。
剣士の武器よりも少し短いくらいであろうか?
この武器を用いて遠距離、至近距離での戦闘を行うわけだ。

もっとも、彼女が並外れた動体視力、反射神経をもつことによって可能なわけだが。
『ふぅ。明日に備えて寝るかなぁ・・・』

そういってカズは空を見上げる。この癖はローと同じ・・・いや、彼に影響されたのかもしれない。普段、カズはローとペアで依頼を遂行していたからだ。

そして、彼女の見上げた空はこれからの未来を描くかのように、暗い暗雲が空を多い、夕焼けによって紅くそまっていた。




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