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プロフィール
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離別
いくら彼女を揺り動かすも……目を覚ます気配がなかった。
死なせてたまるか……
俺は彼女を抱えて直ぐに病院へと駆け込んだ。
しかし
もう遅かった。
呼吸器を付けられ、植物状態になった。
ずっと一緒に付き添って今迄来た。
意識が回復するのは……殆どない。
何故こんなに……彼女が不幸な目に遭わなければならないのか……。
むしろ……、俺の傍に居たからいけなかったのか……。
「鈴蘭……。」
俺は彼女の手を握る。
暖かくて……今にも動きそうだった。
しかし……ずっともう動かない。
綺麗な顔をして、機械によって呼吸し続けて……一生このままで……過ごす。
俺達の命も流れた。
そして……俺のたった一つの希望も……消えかけている。
病室に鬼鮫が来た。
「イタチさん……。」
「なんだ?」
「……見つけました。」
アレが見つかった………………
でも……
こいつを置いていく訳には……
「イタチさん。一度病院側に任せて……」
俺は何を考えているんだろうか。
目を覚ます事は……もうない。
このまま生かしておくのは……どうなんだろうか。
このまま、何も知らないで呼吸器を外したら……、彼女は楽になれるのに。
俺は何を考えて、何を躊躇っているんだろうか…………。
「鬼鮫、俺は酷い……奴か?」
置いていく事が
死んだ様な彼女をずっと強制的に生かしている自分が
……そしてまだ……彼女に別れを告げられない自分が
「私には……判りません」
「お前は……どうだ?」
この胸の痛みは……
「もう……何も聞かないで下さい。」
お互い、辛いだけ
彼女を心底愛しているが故
別れも辛い。
「鈴蘭……。いってくる。暫く留守にすぐが……待っててくれ」
頬にキスをする。
ふくよかだった頬が痩せてきていた。
見ているのが辛い。
でもそれを押し殺すのが忍。
とても辛いのが現実
俺は今迄そうしてきた。
これからもそうするつもりだ。
「……行って来る」
寝ている彼女を置いていくのはいつもの事で、慣れていたつもりだった。
そして……一生目覚めないんだから……心配は……無い筈だった。
それなのに……。
この想いが消えない。
「鬼鮫。走るぞ」
「は……」
思い切り走らないと……足を止めたら、また戻りたくなってしまう。
愛しくて……心から愛しくて……
少しでも離れたくなかった。
例えそれが任務であっても。
そして、季節が流れ、再び夏が訪れる。
病室の窓からは暑さを感じさせない風が入って来た。
「鈴蘭……。暑くないか?」
呼びかけても返事が無いのは判っていた。
でもこうでもしないと……俺が一人の様で……恐かった。
あの日以来、鬼鮫はもう顔を見るのも辛いと来なくなった。
極度に痩せ細った体。
「もうすぐ七夕だ。お前が……楽しみにしていた、あの日が来る」
頬を撫でる。
暖かい…………。
この暖かい肌を…体を直に感じる事は……。
もう一度でいい。
この腕で……抱きたい。
あの声を聞きたい。
「鈴蘭……」
ぎゅっと手を握る。
暖かいが……何も伝わってこない。
辛かった。
正直、俺も……見ていられなかった。
もう動かない体を……これ以上生かして何の為になるだろうか。
希望も無いこれからに……何があるのだろうか。
酸素マスクを外せば……
楽に……なろうか。二人で。
お前一人にはさせないから。
俺はクナイを出して、自分の胸に当てた。
お互いに……、行こう。
愛するお前と行けるなら本望だ。
「鈴蘭……。」
俺は彼女の手を再び握った。
「……行こう。」
もう任務なんてどうだっていい。
全てがどうでもいい。
ぐっとクナイを握る手に力を入れた。
その時だった。
何の力の無かった彼女の手が……指先が動いた。
気のせいかと思った。
が、また、指がぴくりと動いた。
「……鈴蘭?」
カランと落ちる鉄の音。
俺は彼女を必死に呼びかけた。
でも……
それきり動かなくなった。
「鈴蘭……。目を覚ましてくれ……」
二度と覚めない。
ずっと自分に言い聞かせてきた。
もうあの声を聞く事もなく、あの体を抱ける訳でもなく。
ただ……こうして一緒にいるだけで……いいと思っていた。
「鈴蘭……。」
柔らかい手の感触。
「愛してるよ」
静かに頬に口付けをした。
機械によってされる呼吸音。
もう……終わりにしようか。
そして静かに聞こえる
「…………さ……ん」
「鈴蘭……?」
ふと瞼を開ける。
でも……まだ目覚めようという気配がなかった。
気のせいか。
するとまだ指先が動き出した。
確実に俺の手を握り返した。
「……タチ…………さ…………」
か細き声が確かにその薄い唇から発せられていた。
ゆっくりと瞼が開いた。
「鈴蘭………………」
「私……まだ……」
生きている。
間違いなく……、生きている。
「私まだ……死んでませんよね……」
以前にいった
『私、まだ生きているんですか?』
ではなかった。
死んでいないですよね…………
確かに生きようとしていた。
「あぁ……。」
頬から熱いものが伝った。
愛してるから
もう離れたくない。
「愛してる……。ずっと……」
彼女は最後に呟いた。
そして静かに……眠った。
「鈴蘭…………?」
もう二度と、目を開ける事はなかった。
心拍数を表示する機械は、既に動かなかった。
もう二度と動かない
彼女は最後に、その言葉を伝えたくて……戻ってきた。
俺だって……ずっと愛しているから
だから……
俺を置いていかないでくれ……
鈴蘭。
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