感傷


十三歳の夏。

私は、大好きな人と別れた。

どうしてって言われても・・・

遠距離なんか我慢できないもの。

だから、私から振った。

遠距離なんか我慢してたら・・・

いつか倒れてしまうもの。

遠い場所で住んでる分、相手の行動が読み取れないから。

心配な夜を過ごすなんて絶対に嫌。

そう思ったの。

彼を信じられない私に重大な責任はあるよね・・・。

でも・・・それがいいから・・・。

彼と別れてから、早くも二年が経った。

幾度か、異性に告白されたけど・・・

やっぱり、好きになれなくて私から振ってきた。

いつからか、全校生徒や先生に「氷のマドンナ」とも言われるようになっていた。

そんなことも気にしない。

私は自分の生きる道だけを生きる。

どうしても・・・アイツを忘れられないから。

私は小さな頃から、本を読むのが大好きで・・・

昼休みにもよく図書館に行っていた。(学校と図書館くっついてる学校なの)

教室を出た瞬間、廊下で走っていた男子どもにぶつかった。

その衝撃で私は後ろに倒された。

数人の男子達はとまりもせずそのまま走って行った。



「った~・・・なんなのよ、あれ。謝罪ぐらいしなさいよね。」


「ごめん・・・大丈夫?」



・・・・・・・・・・・は?

なにコイツ。なんでこんな私の知ってる声に似てるわけ?


「大丈夫?痛いトコ・・・・ある?」


「心配しないで。つぅか触んないで。キモチワルイ」


「・・・キモチ悪い!?大丈夫!?大丈夫じゃないじゃん!気持ち悪いなんて・・・」



とんだ早とちりだ。

私は彼に対して「キモチワルイ」と言っているのに・・・

彼はどうやら「気分が悪い」と考えたほうらしい。





「ほ・・・保健室ぅぅっぅ!!」


「ちょ・・・なにいって・・・きゃぁ!」

そのまま、奴にお姫様抱っこと言うものをされ保健室に行かされた。

早とちりする性格・・・・

よくお姫様抱っこをしてくるアイツ・・・



どこか・・・何処かが彼氏(アイツ)と重なる・・・。



どうしてこんなに悲しくなるのかしら・・・。

もうアイツことはもう・・・いいって決心したのに・・・。



『泣くなよ・・・俺が居なくても』


約束守れないよ・・・。

今・・・すっごく・・・”子供みたいに泣きたい”って思っちゃってるもん。



「戸田さん?戸田さん?」


「あ・・・ごめん・・・なに??」


どうやら、私の名前を呼んでいたらしい。

気づかなかった・・・。

遠い・・・記憶の中の人は、私の名前を必死に呼んでいた。



そのまま私は寝てしまった。

彼の優しさの暖かさで・・・眠ってしまった。

そのあと・・・誰かに強く・・・痛く抱かれた・・・。

夢の中でも・・・抱かれた・・・。

それでも・・・夢の中の人は、顔が見えない・・。



『アナタ誰なの・・・・?』




気がつくと私は保健室のベットで横になっていた。



「あ、戸田さん。目覚めたのね。電話でお母さん呼んでおいたからね。」


「早退・・・ですか・・・?」


「まぁ、そうね。」


「・・・親は・・・駄目・・・!保健室で寝てるからっ・・・」

そこに私を運んでくれた彼が来た。


「戸田さん!?目覚めたんだ!」


「・・・・・・・」


「なんか・・・重苦しい空気ダネ・・・・」


「知らない方が・・・いいことだってあるのよ。」


「せんせ・・・」


「何か用?」


「あ、戸田さん!今日ずっと寝てたから・・・お詫びにと思って・・・ノート・・・」


「苗字は?アンタ何組?」



「す・・・鈴木です!一組です!」



「一組・・・。ノート・・・いらない。私のクラスの方が先に進んでるから。」


「そ・・・っか・・」


「ふあ~ぁ。眠い・・・」


あくびから出た涙。

彼はそれをぬぐってくれた。

そして・・・


「まだ寝てな。お母さんとか来るのもう少しかかりそうでしょ?」


そういって、私の髪を撫でて眠らせてくれた。

そう遠くはないけれど・・・

二年という月日は・・・遠くなのかもしれない。

やっぱり、鈴木と春灯は同じな気がする・・・。

彼とはもう会えないのに・・・

どうして、彼のことばかり思ってしまうの・・・

鈴木・・・アナタは本当に誰なの・・・・?











それから一週間がたった。

あれ以来鈴木とは一切話していない。

「話していない」というより、「会わない」と言った方がいいのか。

私は五組で彼は一組。

会うことは無いに等しい。

まぁ、別に「会いたい」というキモチは無かったから平気だった。

たまに姿をみかけるけれど、話こともない。

もうこれ以上奴のことを思い出したくないから。

でも、友達からある噂を聞いた。



「未紅ちゃん知ってる?一組のモテボーイ鈴木!アレ苗字変わったんだってー。」


「え・・・前の苗字ってナンだったの?」


「えっと、春灯だよ!春灯 忠臣!」


「ただ・・・おみ・・・??」

「そ!忠臣君!かっこいいよねー・・・」













私はわけも分からず、そのまま教室を出ていた。

気がついた時は五組の前に立っていた。

でも、鈴木の名前は呼べない・・

彼はきっと・・・人違いだ。

たとえ、アイツだとしても、私のことなんて覚えていないだろう。

もし・・・覚えていなかったら・・・

思い出してほしい・・・

あの頃の私達を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・














そう悩んでいた時に向こうが・・・


「戸田さん?戸田さんじゃんwどうしたの?」


「鈴木・・・」


「戸田さん・・・あのさ、俺・・・ずっと前から言おうと思ってたんだけど・・・」


「春灯・・・帰ってきてたの・・・?」


「あ・・・うん。苗字変わったけど・・・。」


「再婚したんだ・・・・」


「・・・うん。あまり、今のお母さん好きじゃないけど。」


「そう。」


「変わったね・・・外見とか・・・。髪の毛伸びた・・・」


「うん・・・伸ばしてるからね・・・」


「そっか・・・。あのさ・・・俺ら別れちゃったけど・・・」


「・・・・・・・・・」


「お前は・・・俺と・・・別れたって・・・思ってるだろうケド・・・」


「・・・・・ってない・・・」


「え?」


「私から・・・別れ話したけど・・・別れたって・・・思えなかった。」


「俺だって・・・こっちに帰ってきたって・・・お前がどれだかわかんなかったから・・・でも・・・別れたって認めたくなくて・・」


「ごめっ・・・ごめん・・・」



私達は謝り続けた。

でも、もう一生あえないかも知れなかった人に・・・

また会えたから・・・・

私は・・・・幸せだ・・・・


感傷なんかにいつまでもひたってないで・・・

その感傷を・・・消すことを・・・先決にしなきゃね。










テーマ曲 上戸 彩 「感傷」







© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: