睡眠時間



私は・・・小さい頃から病気がちで・・・

学校なんて行けるわけがなかった。

毎晩、眠る前に看護婦さんが言う言葉。




『明日にはきっと、もう治ってるわ』




もう聞き飽きたよ。

私の病気は治るはずないんでしょう?

私の不整脈は重症で・・・

毎晩毎晩・・・苦しいのを我慢する。

看護婦が出て行ったあとは、必ず毛布の中に隠れた。

夢とはいえないが、夢の二段ベット。

叶うはずはない。

病院のベットの上で、ノートに書いた小さな物語。

それは、元気になった私の物語。


友達もいっぱいできて、楽しい生活。

どれも・・・描く物語は全て元気な私。

不整脈の無い・・・とても元気な姿。

今思えばうらやましいほどだった。

この病院に入院してる子供は沢山居る。

私だけではない。

でも、私なんかを相手してくれる人なんて居ない。


物語を書いていくうちに、眠気が襲ってきた。


(このまま起きていられたらなぁ?どんなに幸せだろうか)

うとうとしていながら書いていた。

その時、誰かに包まれるような声が体を包んだ。


そして、その声は私にいった。


『眠いだろ?もう寝なさい。この物語の続きは・・・夢の中で・・・』


そのまま眠ってしまった。






「弥生ちゃん!弥生ちゃん!」


「瑞希ちゃん、どうしたの?」


「あのねー、私・・・」



「・・・・・??」
































ふと目が覚めた。

時計の時刻は夜中の二時過ぎだった。


「こんな時間か」と思いつつもまた寝ようとした。

でも、眠れずに、時計の音と、呼吸のリズムがすごく気になった。


どんどん、聞いていると、興味がわきあることをしてみた。

息を吸って、吸ったら吐いて・・・

そんなことをしていたら胸が苦しくなった。

不整脈がまた発動したのであった。

胸が焼けるように熱くなり、呼吸がしにくくなる・・・。


十分後、やっと収まった。


・・・・私はこのまま・・・生きていられるの?


そんなことを考えて目を瞑ると、瞼に『死』という文字しか浮かばなかった。

眠るのが恐くなって・・・今迄「死んでもいいや。」って思ってたのに・・・

左の胸に手を当て、心臓が動いているの確かめた。



(イキテル・・・)


そう思えた。

心臓が動いてるだけで生きていると感じられる。

嬉しかった。

まだ、この世に居ると・・・存在があると思えたから。



しばらく、ギュッと目を閉じてみた。

暗い瞼の裏に浮かべた、愛しい人の顔。

眠るのがもったいなく思えてきて・・・

それと同じで・・・貴方に会いたくなって・・・

目から、大粒の涙が溢れ、頬を伝った。


もう、一生会うことの出来ないかもしれない人

急に『死』という別れが恐くなった。

経ってしまいたくない、時間が、コチコチと音を鳴らし、病室を響かせる。



時計の音が・・・

私にとっての時がいつかとまってしまう。



いつまで生きていられるかな・・・・

明日?明後日?明々後日??

それとも一年後?数年後?数十年後?


私の体は・・・いつまで生きていてくれるかなぁ・・・。


最後に・・・最後の最後に・・・


貴方に思いを告げられたら・・・どんなに嬉しかったか・・・


声を殺して泣いた。

叶うことの無かった夢。


泣きつかれて眠りそうになった。

でも、私は眠るのを我慢した。

そして、震える手で手紙を書いた。


彼に届くかも分からないけれど、一生懸命書いた。















眠りについた。


















次の日、私は14歳という若さで亡くなった。

死因は、不整脈で終った。















今度・・・今度生まれ変わる時は・・・・



元気な・・・ずっと生きていられるような・・・


子供に生まれたいな・・・・・・















テーマ曲 BUMP OF CHICKEN「睡眠時間」






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