私だって、抱っこしてよ!


「耕平はいいよね。みんなから可愛がられて、お母さんだって、一杯スキンシップしてるし・・・。」
 4歳年下の弟耕平は、とてもやせっぽちで、親の私が言うのも、おかしいが、妙に愛される人物だ。クラスの女子にもなかなかの人気者で、毒がないというのか、男気には掛けるが、愛嬌は好い。
 姉から見ると、妬ける存在なのだろう。「愛情を独り占めにしやがって!」みたいな感覚。
 中一になっても、ぎゅっと抱っこして欲しいと思ってくれる晃子の気持ちが嬉しかった。晃子は大人になりたくない少女。だから、秘密を作らない。そんな晃子だから、私はうんとたくさん抱っこしたいけれど、実は、正直言って、重量オーバー。そんなことは口が裂けてもいえないから、抱き上げる事は避け、抱きしめる事にした。
 晃子、ご満悦。本当に嬉しそうに笑った。私も、嬉しかった。


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