悲しみの鼻水・・・


 それはそれとして、困るのは鼻水だ。どうしようもない時には当に「滝」のように流れ出てくる。この体の一体何処にあんな水分が蓄えられていると言うのか。ドライアイで涙もろくに出なくなったこの体なのに、鼻水だけは出るわ出るわ。
 こうなると最終手段。マスクをかけ鼻の穴に丸めたティッシュを突っ込む。ふわっとした玉では数分しか持たない。ティッシュ一枚を二等分して二つの玉を作る。鼻の穴よりかなりデカイが、ええい、ままよ、と容赦なく突っ込む。その上にマスクをかける。ホッと一息・・・・・。

 鼻水が流れる時には、例え鼻が通っていても鼻で息は出来ない。出来る息は吸う息だけだ。吐くと鼻水が流れ出るのを助長してしまうので、絶対に吐いてはいけない。鼻ですって口で吐く。まるでマラソンの呼吸だ。あれはたしか二回吸って二回吐くんだった。小学校の頃に習った記憶がある。当時、その通りにやってみたが、やはりマラソンは苦しい物だった。だがあの頃は鼻水に苦しめられていなかっただけましだった。

 鼻炎が悪化すると鼻の奥で小さな虫が暴れ出す。とにかく空気が移動する度にそいつは鼻の奥をくすぐり、私はくしゃみを誘発される。こんな日は布団に入る頃になるともうくたくた。くしゃみと云う物はひどく体力を消耗する物らしい。性格上、遠慮がちに済ませるのは嫌いなので、向こう三軒両隣に響き渡るほどのくしゃみを連発する。一瞬の爽快感に溺れ、ふと我に返ると家族の冷たい視線が私に集中している。何故私だけがこんなに肩身の狭い思いを??

 あぁ・・・・、悲しみの鼻水。鼻炎体質は一体いつ改善されるのだろうか。

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