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日本神話! はじめに現れた神

はじめに現れた神

この日本神話を掲載するにあたり、書いた記事です。↓
◆  「12・13歳までに民族の神話を学ばなかった民族は必ず滅びる!」

竹田恒泰著「現代語 古事記」から掲載します。

古事記にはたくさんの神が登場しますが、その一番はじめに現れる神は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)です。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が最高神だと思っている人も多いかもしれませんが、天照大神が現れるのは、ずっと先のことです。
実は、この天之御中主神こそが、日本神話の最高神なのです。

天之御中主神は天地開闢(かいびゃく)神話で宇宙に一番最初に出現し、高天原の主宰神となった神である。
その名が示すとおり宇宙の真ん中に在って支配する神で、日本神話の神々の筆頭に位置づけられている。そういう偉い神なのだが、その姿はほとんど神秘のベールに包まれているといっていい。なぜなら、宇宙の始まりに現れたものの、たちまちのうちに「身を隠す」からである。

顔も姿も現さなければ、語ることもなく、人間に分かるような形での活動は一切しない。本来が「その姿を知らしめない」という日本の神さまの典型ともいえる。
仏像のような偶像の具体的なイメージに慣れた今日的感覚からすればなんとも歯がゆい感じもするが、日本の神霊とはそういうものなのである。

そんなふうに人間界と隔絶した感じのする神さまであるが、だから何もしなかったというわけではない。要はその活動が人間には分からないだけで、天之御中主神は、その後に登場してくる多くの神々による一切の創造的な作業を司令することがその役割だったといえる。つまり、
果てしない創造力と全知全能の力を持つ至上神なのである。

生活に直接かかわる神ではないためか、天之御中主神は長いあいだ民間で祀られてきませんでした。 ところが、近世になって、北極星や北斗七星を信仰する妙見信仰(みょうけんしんこう)と合わさり、「妙見さん」と呼ばれる妙見菩薩(みょうけんぼさつ)と同一視されるようになって、民間で信仰されるようになったのです。

現在では福島県南相馬市(旧原町市)の太田神社、埼玉県秩父市の秩父神社などに祀られています。 また、創造神(そうぞうしん)であるという性格から、天之御中主神をキリスト教の「ゴッド」や、ヒンズー教の「ブラフマン」と同一視する考えかたもあります。

では、天之御中主神が隠れたあとは、宇宙はどうなったのでしょうか?

間もなく高御産巣日神(たかみむすひのかみ)が現れ、続けて、神産巣日神(かみむすひのかみ)が現れましたが、やはり同じようにすぐに姿を隠してしまいました。
この三柱(みはしら)の神は、いずれも独神(ひとりがみ)、つまり男女の区別がない神で、男女両方の能力を持った全知全能の神なのです。

このとき、大地はまだ若く、水に浮く脂のようで、クラゲみたいに漂っていて、しっかりと固まっていませんでした。 ところが、葦(あし)の芽のように伸びてきたものから、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)が現れ、つづけて天之常立神(あめのとこたちのかみ)が現れました。 この二柱(ふたはしら)の神も、独神で、やはりすぐに身を隠してしまいます。
これまでに現れた五柱の神は、宇宙の創造にかかわる特別の神なので、別天津神(ことあまつかみ)と呼ばれています。

その後、次々と神が現れます。まず、国之常立神(くにのとこたちのかみ)、そして豊雲野神(とよくもののかみ)が現れますが、この二柱も独神で、すぐに身を隠します。
そしてつぎに初めて、男神と女神が現れます。このとき十柱の神が現れますが、最後に現れたのが、まもなく日本国を生むことになる、伊耶那岐神(いざなきのかみ)と伊耶那美神(いざなみのかみ)です。

それぞれ男女で対になっていて、二柱で一代とかぞえます。国之常立神から伊耶那岐神・伊耶那美神までの七代の神を、「神代七代」(かみのよななよ)といいます。
これで、国造りまでの顔ぶれが全て揃いました。これが古事記の壮大な物語の始まりです。

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