幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

花と語りし少女9



食べた後にすぐ走ったため横腹がすごく痛かった

(あ~…急いで走ってこなけりゃよかった)と横腹を擦る透

花畑につき、そんな透を見て幽香は笑った

「あはは、そんなに急いでこなくたって私はどこにも行かないわよ?」

「はぁはぁ…いや、歌を教えて…はぁ、もらえるのに、待たせる…はぁはぁ、わけには行かないだろう?」と息を荒くして答える透

「まぁ、しばらくそこで休んでなさいよ。疲れが取れたら教えてあげるわよ」

透は木陰に座りこみ、しばらく休んだ

「よし!もうOKだよ。じゃあ、『花を愛する者』を教えて」

「はいはい、じゃあ教えるわよ」

花畑には幽香の歌声が響く 途中で歌うのを止め、次に透が歌ってみる

「そうそう、憶えるのが速いのね」 「好きなことはすぐ覚えられるんだ」と笑う

そして、また歌は花畑に響き渡る 歌に誘われ花達は揺れ始める

透は一時間とちょっとで歌を覚えた

「じゃあ、一緒に歌いましょ?」 「うん」

二人は歌声を合わせ、今までとは違う歌を紡いでいく

その歌に花は喜んだ 自然と幽香と透の顔を笑顔になる

「僕は幽香に歌を教えてもらった。今度は僕が教える番だね」

「そうね。歌の名前は何っていうの?」

「歌の名前はね『明るい春に咲き誇る花』っていう歌だよ」

「『明るい春に咲き誇る花』…ね。いい曲名ね」 「そうだろ?じゃあ教えるね」

すると透の透き通る声が響き渡る それに続き、幽香の歌声も響く

「明るい歌詞ね。こういうの好き」 「ならよかった」と笑い 「じゃあ、次ね」

また透は歌い始めた そんな二人を花達は笑顔で見つめていた

幽香は一時間と三十分ほどで歌を覚えた

「じゃあ、一緒に歌おうか」 「ええ」

さっきとは違う歌が花畑に響いた また花達は喜んだ

「なんか長いようで短い時間だったね」 「確かにね」

空の色はだんだん悪くなっていった

「天気が悪くなってきてるね。…あ、そういえば洗濯物出しっぱなしだったな」

「あら、じゃあそろそろ帰ったほうがいいんじゃないの?」

「うん、じゃあ帰るよ。雨だけど風邪ひかないように気をつけてね」というと笑顔で帰った

家に帰り、洗濯物を取りこみしばらくしたら雨が降ってきた

「速めに気づいてよかったぁ~。…幽香、大丈夫なのかな?」大丈夫だって幽香が言っているのにもかかわらず心配ばかりする透だった

「幽香が大丈夫って言うんだから大丈夫だよね」と言うとテレビの電源をつけた

しかし、テレビがなんだかつまらなくて色あせて見えた

透はテレビを消し、そして自然と口ずさむのはあの歌だった

(幽香が教えてくれた歌…) だれもいない家に歌声は響いた

(なんだか暇だし…早めに夕食取って寝よう)

風呂に入り、夕食を食べ、寝る前に窓の外を眺めた

外は風はそれといって吹いていないが雨が弱くもなければ強くもない雨が降り注いでいた

「寒そうだなぁ…花って暖かいのかな」などと呟く

自室に入り、ベッドに入る

しかし、疲れが溜まっているはずなのに眠れない。しかもなぜか頭の中を何かがよぎった

「幽…香?なにか悪いことが起きそうな気がする…!!」

透は傘を持って外へ出かけた もった傘を差さずに…

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