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幻竜の羅刹
八雲と名乗りし者
舞台は幻想郷という名の妖怪が溢れる場所
最後まで見てくださるのなら幸いです
八雲と名乗りし者 作:幻竜
「紫(ゆかり)様、起きてください」
八雲家の紫の寝室に、どこか凛とした声が響く
「・・・あら、もう8時なの?」 ゆっくりと布団から出てくる
「はい、朝の8時です」
「・・・朝のを強調しなくても良いのよ」 扇で頭を軽く叩く
紫はいつも夜に起きてくるのでそれが珍しかった
「すみません、紫様」
「いいのよ、藍(らん)。じゃ、朝ご飯にして頂戴」
「かしこまりました」
「う~ん・・・久々に朝に起きたからなんか変な感じね」
紫が大きく背伸びをする
「それにしても何故今日は早起きをしたのですか?」 藍が尋ねる
「それはね、今日は貴方に休んでもらいたいからよ」
その言葉を聞いて藍は驚きを隠せなかった
「え?ってことは、私は今日何も家事をしなくていいと?」
「私の言葉が理解できなかったかしら?」
すると藍は首を横にぶんぶん振る
「い、いいえ!理解しました。それでは朝食を作ったら私は何をすればいいのですか?」
「好きにすれば良いわよ。たまには外で休んでらっしゃい」
紫は藍に笑顔で話す
「解りました。ありがとうございます」
すると、奥から二本の尻尾が生えた猫の妖怪、橙(ちぇん)が来た
「あ、おはようございます、紫様」 頭をぺこりと下げる
「おはよ、橙」
橙と紫がいろいろと話しているうちに朝食が出来あがった
「じゃ、あとは私と橙に任せて今日はゆっくり休みなさい」
「橙と紫様に任せてください!!私だってやればできるんですから!!」
紫は笑顔で、橙は何やら興奮しているような感じで言った
「それでは、今日はお任せします。お昼はいりませんから」
そういうとどこか遠くへと飛んでいった
ある程度家事を済ませた紫と橙は二人並んでお茶を啜っていた
「あの、紫様。紫様はどのようにして藍様を式神にしたのですか?」
橙の目が輝いている まぁ、猫だからもともと輝いてはいるが・・・
「ふふ、知りたい?」 悪戯っぽく笑う紫
「はい!!知りたいです!紫様」
「じゃあ聞かせてあげるわ。私と藍の話を・・・」
「それは数千年も前のことになるかしらね・・・」 紫は語り始めた
紫は、幻想郷に類を見ない一人一種の妖怪だった
それでもって紫は強大な力を持っていたため恐れられた
また、その頃には他にも恐れられていた者達がいた
まずは龍 全ての力を持ち、最強と謳われるものだった
次に蟲 蟲の頂点ともなれば、妖怪を軽く凌駕する存在だった
最後に九尾の狐 尾の数が多い程強大な力を持つ獣の中で、特に狐は強大な力を持っていた
しかし、九尾の狐など数千年に1度生まれるかどうかの存在だった
だが、近年、九尾の狐が生まれたという噂が立ち上がった
それを聞いた兄弟な力を持つ妖怪達は自分の式神にすべく争った
争いに出たのはもちろん紫もである
しかしそんな中、九尾の狐を奪おうとする愚かな人間達も現われた
「九尾の狐は俺達が・・・うわぁあああ!!」
スキマが広がり、人間達は無限の世界へ落ちていく
「待っていなさいね。あなたを私の家族にしてあげるからね」
そう言ってにっこり笑うと、どこかへ行ってしまった
その時狐は思った (綺麗なお姉さんだなぁ)と
まだ生まれて数ヶ月しか経っていないので喋ることはできない
(私は一体誰のものなの?) 周りには誰もいない
(私のお母さんは?私の名前は?) ただ力なくくぅ~と鳴くだけだった
博麗の巫女はこの騒ぎをただ見ているだけだった
「一体誰があの狐を式神にするのか楽しみね」 のんきに笑っている
「昔は蟲も強かったんですね」 橙は驚いた顔をして言う
「ええ、今のとは比べ物にならないわよ」 そして紫は続ける
式神争いで残った妖怪達の数も数少なくなった
「八雲のか。やはりお前は残っていたのか」
木の影からだんだん立体へと変わり、そして姿を現す妖怪
「幻桜影夢・・・あなたも残っていたのね」
「ほぅ、私の名前を覚えていたとはね。光栄だな」とうっすら笑う
「まぁとりあえず消えなさい」 紫は素早く弾幕を放つ が・・・
弾幕は体をすりぬけていった
「私の能力、知ってるだろ?」 とにやっと笑った
「影と幻を操る能力・・・くそが」
「はは、まぁあの九尾は私のものだよ」 そう言うと姿が薄くなり、そして消えた
一方その頃、ある場所では戦いが終わりを告げていた
「私が負けるなんてね・・・鬼の威厳も落ちたもんだねぇ」と苦笑い
「落ちるものか。相変わらずの鬼の強さに驚いたくらいだ」
「それにしてもあんたの『願いを形に変える程度の能力』ってのは強いなぁ」
「あんたの『萃と散を操る程度の能力』ってのも恐ろしいよ」
「まぁ、あんたはこれでこの争いから降りるわけだ」
「そうなるな」 すると、鬼へと手を出し出した
「良い戦いだったな。伊吹遊香(いぶきゆうか)」
「ああ、またな、欅(けやき)」
そして二人は別の道を辿っていった
式神争いで残った者は計4人となった
『境界を操るスキマ妖怪 八雲紫』
『影と幻を操る幻の影 影桜幻夢』
『願いを形に変えるお人よし 欅』
『原子レベルを操る蟲の長 銀蝶(ぎんよう)』
正直誰が勝ってもおかしくない4人だった
そして、争いが始まり、紫の対戦相手というと・・・
「銀蝶・・・ね」 紫が呟いた
「あら、蟲の私の名前を知っているのね」 くすっと笑う銀蝶
「当たり前でしょう。蟲の長なる者の名前を知らないなんてよっぽど馬鹿だわ」
「お褒めの言葉、嬉しいわ」
「誰も誉めてなんかいないわよ!!」 紫は弾幕を展開させる
しかし、弾幕は空中で霧のように消えていった
「弾幕で勝負しようなんて無駄な考えはやめることね」
「じゃあ肉弾戦ってことね」 素早い動きで銀蝶に詰め寄る・・・が
「蟲に速さで勝てると思って?」 声がするのは紫の真後ろ
背中からほぼゼロ距離で紫は攻撃を受けることとなった
痛みを押さえながらも、紫は頭をフルに回転させる
そして至った答えが・・・
「!?」 銀蝶の周りを結界が厚く覆う
「結界なんかで私の動きが止められるとでも思ったの?」
結界を原子レベルで操り消し去った瞬間・・・
「なっ!?」 四方八方から弾幕が飛んでくる
原子レベルを操る時間などなく、全て被弾し、倒れた
「一体どうして?」 疑問の声をあげる
「あなたが結界に気を取られている中に四方八方にスキマを展開させて、結界が崩れる手前に弾幕を発したのよ」
紫が勝ち誇った笑顔で言う
「貴女は力を持ちすぎた。後は私に任せなさい」
「・・・わかったよ。式神は諦めるわ」
そうして銀蝶は立ち去っていった
残る者はあと3名・・・
そして山の麓、二人の妖怪、幻桜影夢と欅が睨め合っていた
「おめぇには絶対に九尾はやらねぇ」 幻桜影夢が言う
「僕だって君だけには渡すわけにはいかないんだ」 欅が言い張る
「そうかい、そうかい。お前とは本気で1度殺り合いたかったんだ」
「偶然だな。僕も君を打ちのめしたくてたまらなかったんだよ」
二人がにたぁと笑うと戦闘が始まった
欅の影を掴み、動けなくした・・・と思いきや
「僕の影じゃない。それは君の影だ」
「ちっ、願いを形に・・・うぜぇ能力だな。消え去れ」
幻影がたくさん現われ、ケラケラと笑い始める
「消えろ、願いなんて俺がぶち壊してやるよ」
すると、欅がふっと笑った
「だから言っているだろう。やっても・・・無駄だ」 幻影が消え去る
「おい、どこを見てる?」 真後ろに回り、弾幕を展開、欅はもろに食らう
「なかなかじゃないか。じゃあ次は僕の番だな」
すると、空から大きな槍が雨のように降ってくる 欅の場所以外に
「おいおい、当てないと意味が無いぜ?」 幻桜影夢が笑う
「そうだね。当てないと」 すると幻桜影夢の腕を槍が掠める
「おっと、外した。次はどこかなぁ?」
にたぁと笑う その姿はまさに鬼
鋭い槍が動きを早め、的確に幻桜影夢を刺そうとする
「はっ、所詮お前の願いなんてしょぼ・・・」
胸の奥まで刺さっているのは槍ではなく、剣
「槍ばっかり見てちゃだめだよ。僕をちゃんとみなきゃ」
そして幻桜影夢は地に落ちる
「くそが・・・一体何をどうしたんだ」
「何もしていないさ。ただ剣を突き刺したいと願っただけ」
「・・・お前の能力にはかなわんよ」 はぁとため息をついた
「それじゃ、君はこの戦いか降りてもらうよ」 欅がにっこり笑う
「解ってるよ。まぁ俺に勝ったんだから絶対に式神にしろよな」
「・・・さぁね。それは僕次第だから」
「は?お前何言って・・・」
るんだと続けようとしたがそこにもう欅はいなかった
残ったものは2名 八雲紫と欅
境界を操りし者と願いを叶えし者の一騎撃ちとなる
現在の二人の居場所は八雲紫の家
「欅。なぜ私の家で話がしたいなんて言ったのかしら?」
紫は欅が何か企んでいないか警戒を緩めない
「そんなに警戒しないでくれよ。大事な話なんだ」
「ふぅん。で、その大事な話とやらを聞かせて頂戴」
すると、欅が笑顔になって言った
「九尾の狐はね、紫、君に譲ろうと思うんだ」
「え?」 その言葉を聞いて紫は驚きを隠せなかった
「戦ってて思ったんだ。こんなことで同じ仲間達が傷つけ合ってあほらしいと」
「でも、今ごろ気づいたんじゃ遅いでしょ?それにあんたに負けた妖怪の思いはどうなるのよ」
そういうと、少し悲しそうな顔をする欅
「ああ。実に申し訳無いことをしたと思ってるよ。紫、君は一人一種の妖怪だろ?だから、あの九尾の狐を君と同じ位強くして、八雲の名を継いでいって欲しい」
「欅・・・」
「もう僕の種族はこの幻想郷では潰えるだろう。だから、せめて幻想郷の最強の者として、八雲の名を残していって欲しいんだ」
「・・・わかったわ。貴方の思い、ちゃんと受けとめるわよ」
そういうと、欅はにっこり笑った
「ありがとう、紫。じゃ、僕はそろそろ行くよ」
そういうと、欅は消えていった
そして紫は森に向かい、九尾の狐と出会う
「久しぶりね。今日から私が貴女のお母さんよ」 にっこりと紫は笑った
「おかぁ・・・さん?」 狐はもう喋れるようになっていた
「そう、お母さん。今日から貴女は私達の家族よ」
「かぞ・・・く?」 「そう、家族」
「かぞく・・・たのしぃ?」 「ええ、楽しいわよ」
すると、紫は狐の名前を考えてあげることにした
「私は紫。八雲紫よ。そして貴女の名前は・・・そうねぇ」
しばらくしてひらめいたように手を叩いた
「紫は虹の一番端。貴女は私の隣の藍。今日から貴女は八雲藍よ。そして式神になるの」
「藍・・・わたしの名前・・・やくも・・・藍?」
「そう、八雲藍。さ、家に帰りましょ?」
「こんな感じよ。藍が私の式神になった経緯ってのは」
「へぇ。藍様の名前の由来ってそうだったんですねぇ」 橙が驚いた風に言う
「そうだ、おなかもすいたし昼ご飯にしましょうか」
「はい!紫様」 そして二人は台所へ向かうのであった・・・
「ふぁ~。こうやって寝転がるのもいいものだな」
暖かい日差しが刺す野原で八雲藍は寝転がっていた
「久々の休みだからなぁ・・・気持ち良いな」
青空を見上げていると、突然目の前に顔が現われる
「あやややや!八雲藍さんではありませんか。どうもどうも」
その正体は射名丸文(しゃめいまるあや) 新聞記者をやっている鴉天狗である
「・・・なんだ?新聞のネタでも聞きに来たのか?」
「いえいえ、もうネタはありますから。今日は私が気になることを聞くだけです」
「ほぉ、気になること?なんだ?」
「藍さんの今までの生い立ちが知りたいのです」
目をきらきら輝かせている文 まるで子供のようだ
「・・・顔が近いぞ」
「はっ!?失礼いたしました。それで・・・聞かせていただけませんか」
「まぁ、暇だしいいだろう」
そして藍は話を始めた
紫に拾われた藍は、八雲家の者として育てられた
たった一人の大事な式神 優しくも厳しい教育だった
藍はとても賢いため、すぐになんでも出来るようになった
「藍、貴女は私の式神。私を、主を守るためにあるのよ」
「はい、紫様」 まだ幼い藍だか、とてもしっかりとしていた
「解ったのならいいわ」 藍の頭を撫でてやると、少し恥ずかしそうにした
「紫様。私も紫様のように上手く空を飛べるようになりますか?」 藍が尋ねる
それを聞いた紫はにっこり笑った
「ええ、飛べるわよ。でもね、なぜ鳥が飛んでいるのか解るかしら?」
「えっと・・・すみません、わかりません」
「鳥はね、生きる為に飛んでいるのよ。飛びたくて飛んでいるのではないわ」
「え?」
「飛ばなければ食べられる。飛ばないと食べられない。だから飛んでいるの」
そしてにっこり笑って続ける
「私もただ飛びたくて飛んでるんじゃないわ。それを肝に命じて貴女も飛ぶのよ?」
「はい、紫様」
「じゃあ貴女には妖怪をちょっと退治してもらおうかしら?」
紫が藍に命令する
「妖怪退治・・・ですか?」 藍が首をかしげる
「ええ、その通り。最近ここらをうろちょろしてる妖怪退治よ。できるかしら?」
「はい、紫様。退治してみせます」
そういうと、空を飛び、妖怪の場所を察知し、向かう
「お前だな。最近ここらをうろちょろしてる妖怪ってのは」
「んぁ?八雲んとこの式神か。ああそうだがどうかしたか?」
「紫様からの命で退治しろとの事。退治させていただきます」
「できるものなら・・・な」
すると、藍の目の前に数千の弾幕が現われる
「俺の能力は時を操る能力。さぁて、避けられるか?」
動き出す弾幕を、強力な結界を貼り、はじく
そしてそのまま敵へと詰めより、弾幕を腹におもいっきりぶち込む
「おっと・・・なかなか良い弾幕じゃねぇか」 にたぁと笑う妖怪
「じゃあ、つぎはこっちの番だな!!」
すると・・・ 「なっ!?」 藍が思ったように動くことができない
「お前自身の時を操った。もうお前は速く動くことはできないぜ」
すると四方八方に無数の弾幕
それを避ける・・・が 「弾幕だけじゃない。俺自身を忘れるなよ?」
思いっきりみぞおちを殴り、その後に弾幕を放ち続ける
藍はぼろぼろだった。だがまだ諦めない
「紫様をお守りするのは・・・私しかいないんだ!!」
藍の周りに青白い狐火がたくさん浮かび上がる
さっきまでの目つきと違う 鋭く、野生の目をしている
「私の名は八雲藍!!八雲の名を継ぎし者だ!!」
そして妖怪は一瞬のうちにして倒れゆくのであった・・・
妖怪の退治も終わり、藍は紫の元へと帰った
「ただいま帰りました」
ぼろぼろになった藍を見て紫は走ってやってくる
「どうしたの、藍!!大丈夫?どこか痛いところは無いかしら?」
「大丈夫です、紫様」
すると、紫が藍を抱きしめる
「ゴメンね、藍。いきなり退治してなんて無理なこと言っちゃって・・・ごめんね・・・」
「紫様・・・」
するとなにか髪の毛に何か違和感を感じる
「同じ家族なのに傷を付けさせるようなことしちゃった私を許して、藍」
紫の頬から涙が溢れていた きっとさっきの違和感は紫の涙だろう
「私は紫様に従う式神です。何が何でもお守りする八雲家の盾・・・」
「いいえ、少し違うわ。式神でもあり家族でもあるの。それを忘れないで」
「・・・はい、紫様」
そういうと藍は気を失った・・・
藍が気を失っているとき、何かを見た気がした
(藍・・・起きなさい) 「・・・誰?誰なの?」
(貴女を残して逝ってしまった貴女のたった一人の母よ)
「!?お母さん!!お母さんなの?」 (ええ、そうよ)
藍は母にかけより、思いっきり抱きしめた
「お母さん・・・暖かい」 (ごめんね、藍。貴女を一人にさせてしまって)
「ううん、仕方が無かったんでしょ?ならいいの」
(本当にごめんなさい。こんなお母さんのお願い事、聞いてくれるかしら?)
「うん、聞くよ」 すると母はいった
(貴女の主、八雲紫に精一杯ご奉仕しなさい。それが私からのお願い)
「うん、解った」 すると母はにっこり笑った
(それじゃ、またね、藍) 母は遠くへと消えてしまった・・・
「お母さん・・・」 寝ているときに、こう呟き、藍は一筋の涙を流していた・・・
妖怪退治が終わった後から、藍はより一層紫に慕うようになった
そしてなにより、強さを求めた
暇があれば紫に戦いを挑み、負けては新たな戦略を生み出す
だいぶ大きくなった藍は、もはや力以外望んでいなかった
まだその頃はスペルカードルールが無かったため、激しい攻撃が繰り返されていた
「藍、だいぶ強くなったわね。でも・・・まだまだね」
藍の攻撃を軽く避け、藍の目の前に現われる
「はい、貴女の負けね」 紫はにこっと笑った
「まだまだ私は弱くて、未熟だ・・・」 藍が呟く
「藍、最近休んでないでしょう?ちゃんと休みなさい」
「・・・はい。あの、紫様。一つ質問をして良いでしょうか?」
「ん?なにかしら?おっしゃいなさい」
すると、藍は紫を強く見つめ、言った
「私は紫様みたいに強くなりたいです。もっと、もっと強くなりたいんです。どうすれば紫様みたいに強くなれますか?」
それは、まだ深い意味を考えることができないが故に言ったことだった
「藍、貴女は強さを求めているのね?」
「はい、そうです」
「それだけじゃ、貴女は強くなれないわ」
「なっ!?」 藍は驚いた
「貴女は大事なものを忘れている。力だけじゃ補えないもの」
「力だけじゃ、補えないもの・・・ですか?」
そういうと紫はにっこり笑った
「そうよ、藍。力任せじゃ何もできはしないわ。今の貴女に足りないものはね」
「足りないものは?」
紫を強く見つめる藍
「大事なものを思う気持ち。誰かを守ろうとする強い意思よ。力を求めるが故に、自分を追いこんでいくだけ」
その言葉を聞いて、藍は大事なことに気づかされた
「強さの為に力を求めるのではなく、誰かを思い、守る意思があるからこそ、力がついて強くなるのよ」
「はい、紫様。ありがとうございました」
「解ったのならいいの。さ、今日は休みなさい」
藍はにっこり笑って自室へと戻っていった
「藍、ちょっといらっしゃい」
紫の自室からこう聞こえたため、早足で向かう
「はい、紫様。なんでございましょうか」
「貴女・・・そろそろ自分の式神とか作ってみないかしら?」
「私にも式神を憑けることが出来るのですか?」
驚きながらも目を輝かせている藍
「ええ、できるわよ。じゃあやり方を教えるわね・・・」
そういうと小1時間程度で藍は覚えてしまった
「貴女の好きな子を式神にしてきていいわよ。なにも強い式神なんて求めてないわ」
「はい、それでは行って来ます」
そういうと、藍は期待を胸に外へと出かけていった
人里に行っても意味は無いため、とりあえず森付近を歩き回っていた
(どんな式神がいいかなぁ・・・。私みたいな狐?それとも狼?それとも・・・)
頭の中はもう式神のことで頭がいっぱいだった
昔は、式神に麒麟を憑ける者もいたそうだが、今はそういったものもいない
(かわいい式神がいいよなぁ~・・・名前とかどうしよう・・・)
いろんな事を考えて歩いているわけだが、何も現れない
(別に強くなくとも、私の式神として働いてくれればそれでいいんだけどなぁ)
何も現れなくともとりあえずいろいろ思いながら歩いていると・・・
誰かと当たった 少し低い位置で
「おっと、すまん・・・な」
そこにいたのは尻尾が二本生えた、少し赤い目をした猫
「いえ、こちらこそすみませんでした!!」
頭をぺこぺこ下げてくる
「・・・そうだ、少し暇だから一緒にお話でもしないか?」
藍がにっこり笑い、猫に話しかける
「え?あ、いいですよ」 猫は藍に並ぶようにして土手に座った
「私は藍。八雲藍だ。八雲紫様の式神だ」
そうにっこり言う藍とは逆に猫は驚いている
「八雲・・・紫様ですか!!あの大昔からいる紫様ですか!?」
「なにもそこまで驚かなくてもいいだろう?悪い人じゃあるまいし」
「あ、すみません」 ぺこっと謝る猫
「ところで、お前さんの名前を聞かせてくれるかな?」
にっこり笑う藍 しかし、猫は下を見たままこう言った
「名前・・・無いんです。お母さんも生まれてすぐ死んじゃいました」
「そうか・・・私と同じだな」 「え?」
「私も名前もなく、母もすぐ死んだ。そんな私を紫様が拾ってくださった」
「そうですか。・・・いいなぁ、仮のお母さんがいるって」
すると、藍は猫ににっこりと笑って言った
「じゃあ私がお前さんを式神にして、お母さんになってやろう!」
最初は言葉の意味がわからなかったが、段々理解してきたようだ
「い、いいんですか!?あの八雲家の式神として生きていってもいいんですか!?」
「ああ、もちろんだ」 満面の笑みの藍
「名前を決めなくちゃな。名前はだな・・・」
(紫様は虹で紫色の隣が藍色だったからだった。ならば私は・・・)
「虹で私の色は藍。なら、お前さんは7色のうちの私の向かい側、橙にしよう」
「橙・・・ですか?」
「橙(だいだい)じゃおかしいから橙(ちぇん)にしようか。私の色も紫様の色も少し薄暗い。だから、橙、おまえさんの色で私達を照らしてくれ」
「・・・はい!!」
二人は手を取り合い、八雲家へと帰っていくのであった
まだ上手く飛べない橙を押さえながら藍は家へと戻っていった
「ただいま帰りました」 「お、お邪魔します」
すると、奥から紫がゆっくりと出てきた
「お帰り藍に・・・その子は・・・貴女の新しい式神かしら?」
「はい、紫様」 「ちぇ、橙です。よろしくお願いします!!」
緊張している橙をみて紫は微笑んだ
「そう緊張しないで、橙。貴女は私達の新しい家族よ」
その言葉を聞いて、橙が瞳を潤わせる
そして、紫がにっこり笑って言った
「ようこそ、八雲家へ。そして・・・お帰りなさい」
そういうと、橙は紫に抱きついた
「ありがとうございます・・・!!今日から紫様と藍様に一生懸命ご奉仕します・・・」
しばらく橙は紫に抱き着いて離れなかった・・・
日が経つに連れて、橙は藍に戦い方を学んでいった
藍のように九尾でもないため、そこまで飲み込みが良いとは言えない
それが故に、橙はいつも必死で練習した
そして・・・こう言った
「藍様。どうしたら私は紫様や藍様のように強くなれますか?」
その時、藍の幼いときの記憶が蘇った
(強さの為に力を求めるのではなく、誰かを思い、守る意思があるからこそ、力がついて強くなるのよ)
「橙、橙は私に似てるな。私も紫様に同じ質問をしたときがあるからな」
「へ、そうなんですか?」
「強さはな、力を得る為じゃなくて、誰かを思い、守る意思の為に得るんだ」
その言葉を聞いて、橙の目の色が変わった
「はい、藍様!それじゃあ私は藍様を守って見せます!!」
そういうと、藍の顔がほころぶ
「ふふ、そうか。これは楽しみだな」
そういうと、また橙に戦術を教えるのであった
ある満月の夜、紫は月の技術を盗むべく、月へ潜入した
が、絶えることなく続く攻撃に、紫は引き返すを得なかった
「お、紫様が帰ってき・・・っ!?」 「ゆ、紫様!!」
帰ってきたときの姿は、服がぼろぼろで、至るところに傷を負っていた
「ただいま・・・藍、ちぇ・・・」 橙と言えず、その場に倒れた
それは、藍と橙が初めてみた、紫の負けた姿だった
「紫様!!紫様!!」
傷ついた紫を布団に寝かせ、看病をする藍と紫の名を一生懸命呼ぶ橙
紫は心臓は動いているものの、全く動こうとしない
そして朝を迎えるがまだ動かない
「紫様、起きてください。もうそろそろ朝食の時間ですよ?」
藍が優しく紫に語り掛ける
「ほら、今日は良い天気ですよ?鳥だって囀っています」
藍の肩が震えている 橙はもう我慢が出来ず、涙を流していた
「紫様の大好きな幻想郷は今日も平和ですよ?さぁ、起きてください」
声も震え始め、もう涙を我慢することも難しくなってきた
「早く・・・起きてください、紫様。朝食が・・・冷めてしまいますよ?」
もう涙が流れて止まらなかった 涙が紫の頬を濡らす
「紫様、起きてください・・・紫さまぁ!!」
「・・・心配かけてごめんね」
弱々しい声が聞こえ、下を向くと、藍の頬に手が伸びてきた
「泣かないで、藍。泣いたら貴女の綺麗な顔が台無しでしょ?」
紫はにっこりと笑った
「おなかが空いたわ、藍。朝食、持ってきてくれる?」
その言葉を聞いて、涙をぬぐい精一杯の声で答えた
「はい、紫様。貴女の仰せのままに・・・」
そうして、藍は紫の寝室から出ていった
「橙、泣くのをやめて頂戴。貴女が八雲家を照らすんでしょう?貴女に涙は似合わないわ」
「紫様・・・本当に・・・良かったぁ・・・」
抱きつく橙の頭を撫でで、紫は言った
「家族に心配させるなんて・・・私はダメな親ね・・・」
藍が、朝食を持ってきて帰って来た
「今日は紫様と共にずっと過ごします。紫様がなんと言おうと、そうさせていただきます」
「あらあら、それは大変ね」
紫がくすっと笑うと、藍も橙も笑った
傷を負っても、家族の絆に傷がつくことは無かった
「感動的ですねぇ」 文が目を瞑り、頷いている
「まぁ、橙とかのこととかもうちょっと話すぞ」
紫が元気となり、橙も戦術を覚えてきた頃だった
「今日はお客様が来るんだ。ちゃんと礼儀よくするんだぞ?」
「はい、藍様」
藍が盛大な夕飯を作っている。それを橙も手伝う
それからしばらく経ち、お客様が訪れた
「紫、もう体は大丈夫なのかしら?」 「ええ、おかげさまで」
お客様は、藍様曰く、西行寺家のお嬢様とその従者らしい
ピンク色の髪をしている、何処か色っぽい女性が西行寺家のお嬢様だろう
「あら?この子は・・・藍の式神かしら?」
「はい、私の式神の橙です」 お嬢様がこちらを見たので、頭を下げる
「ふふ、行儀が良いのね。私は幽々子。よろしくね、橙」
「はい、よろしくお願いします、幽々子様」
その夜は宴だった 内容としては、紫が元気になったからだそうだ
橙は一人、外の廊下で庭を見つめていた
「橙さんですよね?」 振り返ると、そこにいたのは銀色の髪の少女
「あ、私は幽々子様の従者の魂魄妖夢です」 にこっと笑った
「どうですか、八雲家の式神として生きる心地は」
すると、橙はにっこりと笑って答えた
「とても幸せです。家族のいなかった私を家族として迎えてくださって本当に感謝してます」
その言葉を聞いて、妖夢はにっこり笑った
「そうですか、それは良かったです」
「・・・何がですか?」 橙は首をかしげる
「式神は私と同じように遣える者ですから、気持ちとしては同じです」
「はぁ、なるほど」
「遣える者が、幸せでなかったら、それで遣える意味が無くなりますからね」
妖夢は続ける
「今の気持ちを忘れないで下さい。それは貴女の誰かを、主を守りたいと思う強い気持ちに変わるはずですから」
「はい。ありがとうございます」
そういうと、妖夢は消えていった
「主を守りたいと思う強い気持ち・・・。絶対に、忘れません」
橙は手のひらをグーにしてにっこり笑った
橙が森で遊びに行き、家に帰ってきたときの事であった
「お帰りちぇ・・・橙!?頬に切り傷があるじゃないか!!どうしたんだ」
藍が急いでバンソウコウを貼ると、橙が口を開いた
「今日、4尾の狼が攻撃をしかけてきて、戦って、勝ったんです」
すこし間があいたあと、橙が言った
「そしたら狼が『二尾は二尾らしく、凡妖でいりゃいいんだよ』って言って消えていきました」
肩を振るわせ、涙を流していた
「私は・・・強くなっちゃいけないんですか?凡妖らしくいきなきゃいけないんですか?」
嗚咽混じりに泣き声をあげる橙を藍はぎゅっと抱きしめた
「橙、なんで道があるか知ってるか?」
藍の突然の質問に、戸惑いを隠せない橙
「道・・・ですか?えっと・・・わかりません」
すると、柔らかい笑顔で藍は言った
「そうだろうな。わからないだろう。じゃあ私が教えてあげよう」
橙がゆっくりと頷き、藍を見つめる
「もともと世界に道なんてものは無かった。そう、どこもゼロの地点なんだよ」
藍は続ける
「そのゼロから、誰かが歩き始めるからこそ、また誰かがそこを歩く。そして道になっていくんだ」
橙が弱く頷く
「誰も行かない場所を橙は歩いているだけ。そしてそれがきっと当たり前のような道になっていくんだと私は思うぞ?」
そして藍はにっこり笑った
「だから自分に自信を持つんだ、橙。橙は新しい道を作っているんだから」
そういうと、橙はより一層声をあげて、泣いた
「藍しゃまぁ~!!」 「よしよし、気が済むまで泣きなさい」
優しい笑みを浮かべながら、藍は笑った
そんな二人を紫はスキマから眺めていた
「ふふ、藍も立派なお母さんね。私なんかよりよっぽど教育が上手いわ」
そういうと、紫はもう1度布団に入って眠った
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 息を荒げ、殺気が溢れ出す藍
目の前の敵、それは、幻桜影夢という妖怪
昔、滅びた妖怪である そう、これは紫が生み出したそっくりの幻
しかし、ちゃんと攻撃もすれば、攻撃も受ける 本物に近い形だった
そして、紫に与えられた試練はこの幻桜影夢を倒すことであった
幻桜影夢は、藍の影を繰り、動きを鈍らせると攻撃を放つ
「くそがっ、何度も同じ手を食らうと思うな・・・っ!?」
いきなり動けるようになる そう影の操りを解除されたのだ
急に本来のスピードに戻ったため、よろける藍の目の前に現れる影
幻桜影夢の回し蹴りをもろに受け、見事に吹き飛ぶ
(まずい・・・昔の妖怪がこんなにも強いとは・・・不覚)
藍の目の前には無数の幻影達がにやっと笑っている
(たしかこれは奴の得意技だったはず・・・何かがあるはずだ)
とりあえず、影の一つに弾幕を当ててみると・・・
(なっ!?) 幻影の数が増えたのだ
そして、手からは各々違った武器が現れる
まずいと思った時にはもう遅かった 全ての幻影が藍を囲み、回る
目にも止まらぬスピードで周り、一人一人順番に攻撃していく
(もう・・・だめだっ・・・!!) その場で藍は倒れた
すると、目の前に現れる影 それは、紛れもなく己の式神
「ちぇ、橙!?だめだ、逃げろ・・・やられ・・・」
「私は橙!!八雲藍の式神!!命に代えても藍様をお守りする者!!」
橙が幻影を攻撃すると、増えることなく、減る
(打撃なら消えないってことか・・・だが・・・)
一人を消す事に他の幻影に攻撃され、傷ついていく
(橙、もういい。いいから・・・逃げてくれ)
それでも一生懸命に戦う橙 そして幻影の数も残り3体となったところで動きが止まる
「すみません、藍様・・・私には・・・もうげんか・・・」
倒れそうになる橙を抱える
「ありがとう、橙。私はどうかしてたようだ」
その藍の姿は、あの幼い頃の姿にそっくりだった
「私の式神を傷つけた罪は重いぞ?」
その早さはまさに神速 瞬く間に幻影が消え、本体だけとなる
「消えろぉおお!!」 さっきのお返しとばかりに回し蹴りを決める
すると、幻桜影夢は消えていった
「おめでとう、藍。じゃあ次は彼よ・・・」
そして現れたのは紫そのものだった・・・
『それは過去の私。さぁ過去の私を打ち破ってみせなさい』
紫の声が響く 過去の紫・・・ どれほどの力量なのか
過去の紫がゆっくり呟く 「5重結界、発」
すると藍の周りを5重の結界が包み込む
「5重結界、動」 中に無数の弾幕が現れ、飛び交う
(ちょこざいな・・・消えろ!!)
結界を打ち破るべく、大きな閃光を放つ・・・が、
それは見事にはね返り、藍に直撃する
「かっ・・・!?」 (結界が破れない・・・なんて、強い!!)
結界が解けるのを待つのみ。その間に数個の弾幕を被弾、段々弱ってくる
そして、結界が解ける頃には、よろよろになっていた
すると、過去の紫が藍に話しかける
「貴女は・・・、私の式神ではないの?貴女に八雲の名を継ぐ権利なんてあるのかしら?」
「っ!?」 言葉が心に突き刺さる
「貴女は・・・何?一体誰なの?ただの九尾の狐のだけなのかしら?」
その言葉を聞いて、藍は怒りに震え、そして立ち上がり、叫ぶ
「私は八雲藍!!八雲と名乗りし者だ!!ただの九尾ではない!!八雲という名の誇りがある者だ!!」
狐火が浮かび上がり、自然に宙をぐるぐる回り始める
「私は紫様を、己の式神、橙をも守る、八雲家の盾だ!!紫様でもないお前に何がわかる!!」
手を天へ振りかざすと、雷が藍へと落ちていく
「私は負けない!!死ぬまで八雲家を守る、強靭の盾となる者だぁああ!!」
雷の宿る腕を過去の紫へ放つ それにつられて、無数の狐火も向かう
過去の紫は消え去り、残ったのは倒れた橙と息を荒げる藍
「合格よ、藍」 やさしい声がちかくで聞こえた
「貴女は最近己の持つ野生の心を忘れている気がしたの。だから試練を与えたのよ」
「そうでしたか・・・」
「さっきの貴女の言葉、ちゃんと聞いたわよ」 紫がにこっと笑う
すると、藍が顔を赤らめて、恥ずかしそうにしている
「う・・・やはり聞いておられましたか」
「八雲家の盾・・・ね。期待してるわよ、八雲藍」
「はい、期待に答えられるよう、精進して参ります」
「藍、橙の介護をしてあげなさい。あなたの為に頑張ったんだから」
「はい、紫様」
そして、紫からの試練を合格することができた
ある日のこと、藍は紫に質問した
「私、いや私達は、一体何故こんなに長生きしているのでしょうか?」
その質問を聞いて、紫は少し驚いた顔を見せた
「何よ、いきなり。長生きするのかって言われても、妖怪だからねぇ・・・」
「・・・それでは、私達の生きている意味はあるのでしょうか?」
その言葉を聞いて、紫がにこっと笑う
「人間、または私達妖怪達の生きている意味・・・ね?」
「はい」 藍が頷く
「世界の地図から見たら、私達なんて点のような存在であり、小さい営みに過ぎないわ」
「でもね、そんなこと誰だって知ってるわ。自分がちっぽけな存在だって事くらい」
藍はただ頷くだけ
「だけどそんな小さな存在だからこそ目立とうとするの。自分が生きていた証を残すために」
「自分の生きていた・・・証・・・」
「そう、証よ。貴女のお母さんだって、証を残していったわ」
「私の・・・お母さんですか?」
「ええ、貴女のお母さん。とても大事な証をね」
「それは・・・なんですか?」 藍が尋ねる
すると、紫がにっこり笑って言った
「貴女よ、あなた。貴女という存在の証を残していったじゃないの」
「・・・」 その言葉を聞いて、藍は黙り込んでしまった
「そして、もう一つ。私にこの扇子を渡してくれたわ」
「え?その扇子をですか?」
「えぇ。死ぬ間際にね。そして、彼女が私にこう言ったわ」
「何を、ですか?」
「それはね、『私の子を巡って争いが起こると思う。だけど、貴女がこの子を絶対に守って。そう約束して』ってね」
「私の・・・お母さんがですか?」
「ええ、そして、約束の形として、この扇子を私に託したの」
「私のお母さんは・・・どんな方でしたか?」
「とても、優しくて、良い妖怪だったわ。そうね、今の藍にそっくり」
そういうと藍の頬に涙が伝う
「そうですか・・・私は、お母さんに近づくことが出来たんですね・・・」
しばらく藍は泣いているだけだった
話が終わり、文が藍に感謝の言葉を告げる
「今日はありがとうございました。とても良いお話を聞かせていただきました」
すると、少し照れるように藍が言う
「いや、いいさ。じゃ、私はそろそろ家に帰らせてもらうよ」
「あやや、そうですか。それではさようなら」
「ああ、またな」 そして藍は家へと飛んでいった
その時、藍は思い出した (あ、今日は・・・)
そして藍が話終わるだいぶ前の頃、八雲家では・・・
「橙、今日はね、大事な日なのよ?だから豪華な料理を作ってあげるの」
ウインクをしながら笑顔で言う紫
「へ?大事な日ですか?今日はお客様が来る日でしたっけ?」
「違うわよ。今日はね、藍が八雲家の仲間入りをした日よ」
「え!?そうだったんですか!?じゃあ今日は橙もお料理頑張ります!!」
「あらあら、これは頼もしいわね。じゃ、やりましょうか」
「はい!紫様!!」
二人は次々と料理を作っていくのであった・・・
そして、藍が帰ってきた
「ただいま帰りました、紫様、橙」
すると、奥から紫が現れた
「お帰りなさい。さ、今日は特別な日ね。今宵は盛り上がるわよ?」
そんな紫の笑顔を見て、藍もにっこり笑った
「はい、紫様。今宵は盛りあがりましょう」
宴会場には、たくさんの人達がいた
幽々子と従者、博麗の巫女に白黒の魔法使いに紅魔館の吸血鬼と従者
鬼に、神様、人形使いにさっき話していた鴉天狗などなど・・・
「さぁ、皆で祝いなさい。藍が私の家族となったこの日を」
そして各々杯を持ち、上へと掲げる
「今日は思いっきり騒いで、飲んで、食いなさい」
皆が紫を見る そして・・・
「乾杯!!」 紫の大きな声が宴会場に響くと
「乾杯!!」と皆も返し、宴が始まるのであった・・・
八雲と名乗りし者―完―
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