幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

MIRAGE SKY 10



駅から出ると目の前には海が広がっていた。

「わぁ~。海だぁ~。」 由希は走って海へと向かった。

「お、おい、待てよ由希~。」

走って疲れた二人は、防波堤に座っていた。

しばらくすると由希は立ち上がり、手を広げて言った。

「私に大きな翼があったらこの大きな空を飛んで行けるのになぁ。」

「いきなり何言ってんだ?」

「小さい頃から思ってた。空を飛びたいなぁって。」

悠斗は何も言わなかった。

そして二人はしばらくいろんなところへ行って時間をつぶした。

もう空は紅色に染まっていた。

水面には沈みそうな太陽の紅色の光が伸びている。 とても幻想的で美しかった。

「きれいだね、悠斗。」 「そうだな。とても・・・きれいだな。」

二人は夕日をずっと眺めていた。 そして、由希はさりげなく告げた。

「私ね・・・もうそろそろ悠斗とお別れしなきゃいけないの。」

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