幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

桜の姫君4



夜は桜がライトアップされており、非常に綺麗だった

「私達は空中に浮いてるだけで良いんだから便利よね」と魅魔が言った

「まぁねぇ…幽霊も捨てたもんじゃないわね」と紫が笑う

「それに…」というと魅魔が辺りにいる人間の食べ物を取ると「こんなことしても気づかれないしねぇ」といい頬張る

「あんたねぇ…まだ食べるもの無くなったわけじゃないんだからね」と幽々子は言う

「いいじゃない。どうせ取るんなら今取っても結果は同じよ。早く取ったほうが良いものが残ってるでしょ?」という

「まぁ正しいと言っちゃ正しいんだけどね…」と幽々子は苦笑する

「あの子はいないみたいね」と紫は幽々子に言った

「ええ、あの子達は明日って言ってたから多分いないと思うんだけどね」

「あの子は?」と紫は指を指すと遠くに恵美の姿が見えた

「げっ!?なんでいるのよ!どうしよ・・・」と困った顔を見せる

「幽霊なら姿見えなくさせることぐらいできるでしょ?頭使いなさいよ」と笑って紫は言う

「あ、そっか」 「さすが天然ね」と魅魔は笑った 「む~…。とりあえず隠れますか」と幽々子は言った

「あたし達も隠れるの?」 「もし見えてたらどうするのよ。私を見えるのならあなた達だって見えるかもしれないでしょ?」というと幽々子は隠れた

続けて紫、魅魔も隠れた

「あれ~…さっき幽々子お姉ちゃんと他にも二人いたような気がしたんだけどなぁ」と恵美が言った

「気のせいよ、恵美。あ、あそこにおじいちゃん達いるからいきましょ」と恵美と一緒に歩いていった

「ほら!言ったでしょ!あなたたちも見えてたんだじゃない!!」と幽々子は言った

「油断できないわねぇ…あの子、子供だからって言うんじゃなくて霊が見えるんじゃないの?」と紫が聞く

「多分ね。でも親は見えていないってことは親の遺伝子とかじゃないみたいね」と魅魔が言う

「ってことは…あの子がこの町にいるって事は…一生あなたの存在を知ってるって事ね」と紫が言う

「あぁ…なんでこんなことに…」と幽々子は唸った

「まぁ頑張りなさい。これからも相談とかいろんなの来そうだからね」と笑って魅魔は言う

「はぁ~…人生楽じゃないわね」とため息をつく

「もう人としての生は終わってるじゃないの。霊としての生だから霊生ね」と紫が笑った

「とりあえず…今は花を見て楽しみましょうよ」と幽々子はお酒に手を伸ばした

「そうね。今そんなこと気にしてもどうにかなるってわけじゃないしね」と紫が言った

幽々子は桜を眺め、心の中で呟いた ここで私は死んだなんて今の人間は誰も知らないんだもんね…と

今から数百年と数十年前。その時からこの丘には桜の木があった。

その日、幽々子の誕生日であった

学校である男に今日の学校が終わってからすぐにあの丘の桜の木下で待っててと言われて、幽々子は待っていたのであった

「遅いなぁ…」とため息をつき、髪の毛を指でくるくる渦巻かせていた

夕日が傾き、消えかかっていた

すると、救急車が素早く駆けていった 「一体どこで事故があったのかしら」と幽々子が言うと遠くから女子が走ってきた

「幽々子!!」と息を切らして走ってきた友達に「どうしたの?」と聞く

「翔君が!翔君が!」 「翔がどうかしたの?」と彼氏の名前を呼ばれ少し紅くなる

「交通事故に遭ったのよ!」 「え…」 あの救急車は翔を迎えるためだったと初めて知り、その場で崩れ落ちた

しかし、翔の姿を見たかった幽々子は友達に病院の名前を聞いた

「なんでよ…なんで私の誕生日にそんなことになるのよ!!」と幽々子は病院を目指して走り出した

しかし、病院に着いてみるとそこにあるのは魂の無い、抜け殻の翔の姿だった

そんな姿を見た幽々子は病室を抜け出し、また走った

「いやだぁ…あれは翔じゃない…絶対違うわ…夢よ…夢なのよ!!」と流れる涙もそのままに走り出した

そうして丘へと帰って来た 翔の姿が見えない

「あれは、翔じゃないわ。だから私がこうしてるの見てきっと助けてくれるはずよ」というと桜の木に縄をつるし、足場を作った

「きっと助けてくれるよね、翔。だって生きてるんだから」というと縄に首をかけた

「くる…よね」と弱く言葉を吐くと足場を自分で蹴り飛ばした
しかし、誰も来ることは無かった

翌日、女子高生が桜の木で首をつって自殺をしているのを近所のおじいさんが見つけた…

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