1986年3月28日 発行
げんぱつミニえほん(1)
核のゴミが捨てられる?! ≪その1≫
からの つづきです。
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高レベル廃液
の発生源である再処理工場は、日本ではいま、茨城県の東海村にあるだけです。これは、動力炉・核燃料開発事業団という、国の機関が所有しているものです。事故つづきで、とまってばかりいますから、まだ、それほど大量の死の灰の廃液はたまっていません。といっても、その わずか200立方mほどの量でも、世界中の人を何回も殺せる
ほどの、つよい毒性をもつのですが‥。
この廃液は、ホウケイ酸ガラスの粉末とまぜて、高温でとかし、ステンレス鋼の容器にかためこんで、冷却をつづけながら貯蔵する計画です。その貯蔵場としては、 北海道の幌延町
というところがねらわれています。

幌延町では、単に 高レベル廃棄物
を貯蔵するだけでなく、最終的に捨ててしまうための試験もされることになっています。 貯蔵といっても、そのまま捨て場所とされてしまう
おそれが濃厚です。また、【高レベル】 に限らず、東海再処理工場で発生する、さまざまな廃棄物も持ちこまれる計画です。酪農の町に、およそ、ふさわしくないこれらの計画に、周辺の市町村もふくめて反対の声が高まり、北海道知事も反対を表明しています。
この幌延町での計画や、六ヶ所村での海外から返ってくる廃棄物の貯蔵計画のあと押しをするのも、今回の 『改正案』 の大きなねらいのひとつです。

放射能のゴミを野放しにしてしまおうともいうべき 『改正案』 のもとにあるのは、自然界にだって放射能はあるのだから、少しくらい人工の放射能がふえても大丈夫だという甘い期待でしょう。けれども、自然放射能と人工放射能を同じように考えるのはまちがいです。
もちろん、自然放射能も決して無害ではありません。できるだけあびない方がよいのです。自然放射能に人工放射能が加われば、それだけ危険は大きくなりますが、実はそれ以上に、 人工放射能に特有の危険がある
ことが わかってきました。人工放射能の多くは、自然放射能にくらべて、 生物の体の中にとりこまれて、濃縮する度合もはるかに高いのです
。

原発でつくられる放射能の中には、長い寿命をもち、何百年もの間、猛毒性を発揮しつづけるものもあります。そうした放射能が環境に蓄積し、食物連鎖をへて、生物体内に濃縮していけばどうなるか? 【低レベル】 だからなどというまやかしは通用しません。
ドラム缶につめて、ためられている廃棄物よりも、もっと放射能レベルの低い気体や液体の廃棄物は、いまも毎日、原発などからたれ流しになっています。 【ごくごく低レベル】 のはずのそれらの放射能によって、原子力施設をかかえる地域では、 環境の汚染が深刻なものになりつつあります
。さらに、核のゴミが野放しにされてはたまりません。

何万年、何百万年以上もの間、毒の消えない放射能を環境に捨てていけば、それこそ、日本中が放射能まみれになります。この法案の成立をとめることができれば、六ヶ所村や幌延町、さらに周辺の人びとを苦しめている 核のゴミ捨て場計画にストップ
がかけられのです。原発の周辺やら、奄美の離島やら、どこやらに捨てようと画策している動きをとめられるのです。
核のゴミ捨て場計画に心をいためながら、現地にはなかなか行けない遠隔の地の住民でも、計画をつぶす力になれるのです。署名運動やデモや集会を各地でもりあげ、周りの人に知らせ、反対の意思表示をつよくしていきましょう。

それでは、たまりつづける放射能のゴミをどうすればよいのか?と思われるかもしれません。まず第一に、 これ以上の放射能をつくらないことです
。それには、原発をとめるしかありません。その上で、今あるものについては、埋め捨てにしたりせずに、絶対に環境にもれないよう、目に見えるかたちで厳重に管理をつづけ、マイナスの 【遺産】 として、子孫にひきついでいくしかありません。
『改正案』 に示されているのは、まさにこれとは逆の考え方です。わたしたちの健康を守り、子や孫たちに、より明るい未来をひきついでいくためにも、何としてでも、原子炉等規制法 『改正案』 の成立をくいとめましょう。
裏表紙より
世界中の人びとを恐れ、おののかせつづけるソ連のチェルノブイリ原子力発電所の大事故。事故は、核暴走という最悪の事態に発展しました。原子炉の制御がきかなくなり、炉心で大爆発が二回もおこって、まっ赤なウランのかたまりが花火のように飛び散ったのです。それとともに、大量の死の灰がいっきょに環境中にもれだしました。この事故は、史上、例をみない地球的規模の大汚染をもたらしました。
日本政府や電力会社は、「原子炉のタイプが違うから日本ではおこらない」 と言いますが、日本の原子力発電所で、同じような事故がおこらないという保証は何もありません。そのような大爆発という事態になれば、どんな閉じこめ技術も役に立たないのです。
ヨーロッパの広範囲の汚染状況から、もし、日本のどこかで同じような事故がおこったら、放射能は日本全土におよび、人と生態系に、壊滅的な影響をもたらすことは明らかです。反原発の声をつよめ、すべての原発を止めようではありませんか。 高木仁三郎
たいへん残念なことですが、原子炉等規制法の 『改正』 案は、1986年5月21日、会期終了まぎわの国会で成立してしまいました。チェルノブイリ原発事故の衝撃を受けて、よその国々では、脱原発が現実のものとなってきているというのに‥。
とはいえ、法案が成立したからといって、すぐに放射能のゴミが捨てられるというわけではありません。私たちは、太平洋の海底へのドラム缶の投棄を、法的な準備がすべて整えられてしまった上でなお、海に生きる人びとの力強いたたかいと、広範な世論によって事実上、断念させることができたではありませんか。 ≪核のゴミ野放し≫計画も、必ずや、断念させたいと思います。 西尾 漠
原発はいらないと思っている人が多ぜいいるのに、日本ではまだまだふやす計画です。大量の放射能が、この瞬間にもつくりつづけられ、捨てられようとしています。私たちひとりひとりが反対の声をだし、原発をとめていきましょう。
制作を思い立ってから発行まで約1か月。ごく一部の方への呼びかけでしたが、約50のグループ、個人が取扱い団体として、印刷原価で100冊以上を買いとって下さいました。おかげさまで発行後、1か月あまりで1万冊がなくなりました。心より御礼申しあげます。 しみずゆりこ
原発ミニえほん 『核のゴミが捨てられる… 2013年02月20日