日本人の音感


日本人の音感

おことを習っている40代の人が
理論だけを習いにうちに来てるんですが、
今日は、何やら楽しい話で盛り上がりました♪
多分最初は、純正律と平均率の話だったんですよ。

  *  *  *

本来、ヨーロッパの和声は純正律を使うもので
歌やヴァイオリン、管楽器などは
音高の微調整が演奏中にも可能だから
訓練すれば純正律での演奏ができる。

ところが、ピアノのような鍵盤楽器は
音高を固定してから演奏し始めるので
演奏中には音高の微調整が不可能。

1つの調性でできている曲ならば、
最初からその調の純正律になるように調律してしまえばいいのだが、
途中に転調が入る曲だと、
純正律では、調が変わったとたんにものすごく濁った汚い音になってしまう。

この、
「途中で転調する曲を鍵盤楽器で弾く時に
 少しでも音の濁りを減らすにはどうしたら良いのか」
という試行錯誤が、
ヨーロッパでは200年間(?)も繰り返されて来た。

普通、ピアノの鍵盤には1オクターブに12個の音があるけれども
すべての調を純正律で弾くためには
これが54個(だったかな?)無くてはならない。

実際、1オクターブに54個(53個かも?)の鍵盤があるピアノを
開発した人まで現れたけれども、
そんなピアノは誰にも弾けないから、完成直後にあっさり却下!

結局、1オクターブをぴったり12個に平均して割っちゃいましょう、
という結論が出て、これが平均率。
要するに
「全部の音がちょっとずつ濁ってるけど、
 そのかわり、ものすご~く濁る部分はできない調律」
である。

  *  *  *

・・・なんて話から始まって、
(導入部分だけで随分長くなってしまった!!!・・・どどど、どうしよう・・・汗)
え~~と、
しばらくしたら生徒が
「日本人がおことを調弦する時に、
 音高がちゃんとぴったり合わないままやっているようだ」
なんて話を始めたので、
今度は日本人の音感の話になったわけです。(やっとテーマだ!)

  *  *  *

ヨーロッパの音楽は、
“いくつもの音を綺麗に合わせていく、つまりハモらせていく、”
という方向に発展したので、
和声が生まれ、上記のような細かい調律の研究までさかんに行われた。

が、逆に、日本の音楽の場合には
(これが東洋の音楽、と言っていいのかどうかがよくわからん)、
“1つの音をいかに表情豊かに変化させていくか、”
という方向性を持っていた。

尺八がその良い例。
息の吹き込み方・切り方・首の振り方などなどで、
たった1つの音高ですら、延びたり揺れたりかすれたりと、様々に変化させていく。
こういう微妙な音色の変化を追及した結果、
「いくつもの音を合わせる」という楽しみに方はあまり適していなかった。

実際、「いくつもの音を合わせる」場合もあるが、
その場合も、全員が綺麗にぴったりと合わせるのではなく、
微妙にズラす、ということが好んで行われてきた。

というわけで、
「ぴったり合わせる」という音感はヨーロッパから来たもの。
日本人は、
明治期にヨーロッパの音楽を受け入れヨーロッパの音感を身につけ始めてから
本来持っていた
「音色を微妙に変化させていく」という音感を
徐々に忘れてしまっているような気がする・・・

  *  *  *

・・・とまぁ、
こんな話をぺらぺらやってるうちに時間になったので、
今日はもうお終い、あ~楽しかったネv
となったのでした♪

なので、今日の日記もここまでで。
(書くと長くなるもんだ!!)

2002/05/09 (木)


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