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★この旅を総括して、全角10文字以内で「タイトル」をつけてください。「ますます好きになった。」 ★一番衝撃的だったこと(感動したこと、うれしかったこと、かなしかったこと) 外国人は選手もサポーターも含めて、すごくおしゃれなフットボールコメントをすること。トーゴのアデバヨルしかり、ブラジル人サポーターの「血だよ」しかり。★お勧めスポット、お勧めの食べ物、お勧めなことドイツを旅するなら、西→東というルートで最後にベルリンを訪れると面白いです。昔は違う国だったんだなぁ・・・という空気を強烈に感じます。個々の町でいえば、ヴァンゲン! 人のあたたかさNO.1!★今回のワールドカップで一番印象的だったシーン、カードは?MVPは誰にあげたい?日本vsブラジル戦での、試合後の中田。一人ぼっちでスタンドに挨拶に来たときは本当に感動しました。MVPはW杯に関わったドイツ人の方々でしょう。ファンフェスト設営からボランティア、セキュリティなど、すばらしい運営をしたと思います。まぁ現在、日常のドイツに戻ってみると、「あ~この1ヶ月、ドイツ人たちは猫かぶってたなぁ・・・。やたら親切になってたし」なんて気もしてますが(笑)★現地で見たW杯はどうでしたか。W杯というものを、ようやく理解することができたように思います。『フェスティバル』なんです。とにかく『フェスティバル』なんです。自分が生きている間に日本が一度でもW杯の頂点に立てたら、こんなうれしいことはないですね。★あなたがドイツで撮った写真の中でベストショット3枚を教えてください。★帰ってきてなにか変化はありましたか、周りの反応は?(出発前、帰国後)もともとドイツにいるんですけど・・・。友達には痩せたと言われますね。この1ヶ月、ロクなもん食ってなかったので(笑)★今回のミッションの達成度は何%?そしてそれは何故ですか。 100%。自分の書いたものに酔うタチなので(笑)★2010年STAR soccerが特派員を募集したら、あなたはまた応募しますか?また、応募するとしたら今度はどんなことをしたいと思いますか?状況次第ですが、漠然と試合を見るよりははるかに楽しいのでやりたいです。今度は南アフリカなので、、、貧しくてW杯に参加できないでいる現地民の手をひっぱってくるようなことをやりたいです。★他のサポーターと触れ合って。やっぱり日本のサポーターとは雰囲気もテンションも違います。日本はウンチクをたれるサポーターが余りに多くて、「愛せないタイプのサポーターだなぁ・・・」なんて、正直感じました。その反面ものすごく一生懸命応援するサポーターにも感動したし、スタジアムに物を投げ入れる人に、「投げるな!馬鹿野郎!」と毅然とした態度で叱る人を見つけることも出来ました。(ちなみに日本女性です)★他の特派員のblogで一番面白かったのは? そしてどのエントリ?桂幸次郎さんのブログ。特に神戸君に毒づいているエントリ(笑)or長岡さんのブログ。もうちょっと数多くアタックして、濃いハプニングを起こしてほしかったなぁとは思いますが、個性の出た面白い企画を立ててドイツに持ち込んでいたと思います。★ 最後にblogを読んでくれた方へのメッセージをどうぞ。これからもサッカーライターとして活動を続けていきます。他の方々が既に歩んでいる道には興味がありません。あっと驚くことをやります。期待しててください。活動歴は、ココで随時紹介します。↓http://blog5.fc2.com/kaizokuo
2006/07/19
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残念ながら、トーゴは初出場のドイツW杯を3敗で去ることになった。最後のフランス戦は消化試合ということもあり、トーゴ代表の良さはほとんど見ることが出来ず、アデバヨルも途中交代してしまった。トーゴ代表サポーターと化した僕でさえ、特に前半の試合展開には物足りなさを感じた。フランスにボールをキープされるのは仕方ないとしても、球際の競り合いがスイス戦とは段違いに弱かった。試合前、各メディアは無責任にこんな情報を垂れ流した。「トーゴのW杯ボーナス問題は解決した。フランスから八百長の打診があったからだ。」そんな根も葉もない下品な憶測にも、「もしかしたら…」と思ってしまわざるを得ない消極的な試合だった。それでも後半になるとトーゴ代表は再び戦う姿を見せていたが…。それが予定された密約ではない、僕の思い過ごしであると祈りたい。さて!そして気分を切り替え、昨日6/24、トーゴ代表のキャンプ地ヴァンゲンにて「African Night」なるイベントに招待されて行ってきました! 町の中心部にはたくさんの人たちが集まってましたよ。中心部を適当に歩いていると、いつも俺に親切にしてくれていた、たぶん広報(?)のおばちゃんを発見。アイスカフェでアイスを食べていたので、「Hallo!」と声をかけてみる。すると…、「あらいらっしゃい。あなた、この町が気に入ったのね」そのとおり! 本当、ここはいい町です!みなさん、ぜひドイツに来た際にはお立ち寄りください、、、鈍行乗りつぐ根性があれば(笑)☆とっても気持ち良さそう! 俺も入りたい~☆ポルトガルのユニフォームを着た男の子。 写真撮ってたら、照れてメニューに隠れちゃった…。☆ヴァンゲンの町中になぜかゾウが!? ☆トーゴミュージシャンのライブ!これがいよいよ、ヴァンゲンとトーゴの最後の夜。ミスW杯2006に選ばれたトーゴ女性がやってくるなど、町は大盛況!☆この方が「ミスW杯2006」! サッカーの雪辱を晴らした!?☆笑顔がとってもチャーミング。太鼓になりたい!(笑)さて、お次は・・・待ってました!トーゴ代表選手たちの登場です!残念ながらアデバヨルは来ませんでしたが、たくさんの選手がヴァンゲンとの最後の夜を過ごしにきてくれました。代表選手が!! 町の人たちと踊ってる~~~!こんな代表見たことない~~!!!アフリカ料理を食いながら、ビールを飲みながら、おどる!おどる!楽しいっす!! 腰いてぇっす!!日本代表もこういうイベントをやればいいのになぁ…。深夜2時・・・。ごめん、、、もう眠くて死にそうっす。プレスオフィサーのホルガー、医者のイゴールさん、会うとよくしゃべる名前も知らないトーゴ人などなど、お世話になった方々にあいさつして、俺はお先にzzz…。あ、ちなみに野宿です。なんかもうクセになってきた(笑)☆初登場。この方がプレスオフィサーのホルガー。通訳も会見の仕切りもできる、若いけどデキる男。この人にはトーゴ到着初日からお世話になりまくったなぁ。「取材パス」のない俺を、「顔パス」にしたのも、何を隠そうこのお方です(笑) ホルガー、イゴールさんと最後に話した会話。ホルガー「日本に遊びに行ったら、案内してくれるかい?」清水「当然だよ! みんな、俺にすっごく優しくしてくれたじゃん。だから今度は俺が日本を案内するよ!」あっという間だったけど、ヴァンゲンはとっても楽しかったです。ドイツの片田舎で、大切な友達ができました。W杯のスローガン、覚えてますか?『世界の友よ、ドイツへようこそ』なんて幸せな言葉なんだろう。身にしみて思います。
2006/06/26
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☆マイン川パブリックビュー。韓国戦とは違って、観客もまばら…。後半になると一応席は埋まりましたが。グループG第2戦、トーゴvsスイス6/19、15時開始-。やはり今日も暑い日だった。この試合に負けると、トーゴのW杯は終着点が決まってしまう。絶対に譲れない。ここだけは。スタジアムの観客席はスイスサポーターで驚くほど真っ赤に染まっていた。その余りの多さに、トーゴ人を捉えたTVカメラが少しでも引くと、周りのスイス人が映ってしまう。韓国戦に引き続き、圧倒的アウェーでの戦い-。だが…、「トーゴ国民が僕らのサポーターなら、僕はトーゴという国のサポーター」と語るエースFW、アデバヨル。彼らには、何万人という大応援団にも対抗できる強い信念がある。開始から、ゲームは信じられないぐらい攻撃的な展開を見せた。トーゴの攻撃とスイスの攻撃が目まぐるしく入れ替わり、ノーガードの打ち合いで互いのゴールに迫る。前半5分、FWカデールの突破から左足のシュート前半10分、アデバヨルが敵に押されながらもヘディングシュートトーゴはスイスのゴールを、何度となく脅かした。優れたテクニックでボールを展開し、攻撃的な自分たちのサッカースタイルを充分に表現できていた。そして前半35分、左サイドでボールを受けたアデバヨルが中央に切り込み、相手DFに足を引っ掛けられて倒れる。「あれはPKだった」試合後、敵であるスイスのヤコブ・クーン監督までもがそう語ったシーン。しかし、審判はPKをトーゴに与えなかった。激怒して手を振り上げ、激しく審判につめよるアデバヨル-。背筋がゾクッと寒くなるのを感じた。190cmという恵まれた身体能力を持ってはいるが、まだ22歳の若きアデバヨル。今年2月にはケシ前監督と対立し、チームを去るアクシデントを起こしている。トーゴ人の中には、彼をこう語る者も多かった。「アデバヨルは、まだ精神的に弱い」しかしこの日のアデバヨルからは、そんな様子が微塵も感じられなかった。それどころかピッチ上の誰よりも闘志を前面に押し出し、一つ一つのプレーに激しく怒りを露にした。僕は見ていて怖かった。とても2日前に、小さな子供に笑顔を振りまいたアデバヨルと同一人物とは思えなかった。「鬼」-。鬼気迫るなどという言葉では生ぬるい。彼の気迫は「鬼」そのものだったのだ。その姿に一番驚いていたのは、彼のマークについたアーセナルでのチームメイト、スイスDFセンデロスだったのではないだろうか。アデバヨルが体を張ってボールをキープしようとすれば、彼はファウルで止める以外に術がなかった。「トーゴの攻撃は"激しかった"」というセンデロスのコメントが全てを物語っている。しかし惜しいところまで攻めながらも、あと一歩の精度を欠いたトーゴは、逆にスイスにカウンターを許してしまった。決して内容は良くなかったスイスだが、トーゴの猛攻を耐えしのいだディフェンス、ここぞでゴールを決めるカウンター攻撃はさすがだった。トーゴはスイスに敗れた。(0-2)フランスとの最終戦を残し、グループGの勝ち点状況は以下のとおりである。スイス 4韓国 4フランス 2トーゴ 0この表が意味するもの。それはトーゴのグループリーグ敗退決定である…。何も知らない人は、こう思うのかもしれない。「フランスが窮地に立たされた。そしてトーゴは前評判通りダメだった。スイスと韓国は、弱小国トーゴから勝ち点をかせいだ。」…冗談じゃない。韓国・スイス共にとても素晴らしいチームだったが、「楽に勝てた」なんてコメントしている選手は一人もいない。選手たちは口々に、トーゴという強敵についてこう語っている。「トーゴの攻撃は激しかった」「ゴールを決めた後、トーゴの攻撃は危険度を増した」「前半はスイスにとって、決していいゲームではなかった」トーゴは自分たちの持ち味を充分に示し、将来への可能性を充分に見せてくれた。そしてそれは、プレーの上の話だけではない。最初のトーゴvs韓国戦で、韓国のイ・ウルヨンが足をつって倒れるシーンがあった。なんと、そこに真っ先に駆け寄ってマッサージをほどこしたのは、韓国のチームメイトでもチームドクターでもない、トーゴのDFチャンガイだったのである。親善試合ならば良くある話だが、W杯という大舞台では非常に珍しいことである。韓国メディアは、「トーゴのスポーツマンシップはどの国にも負けない」と大きく報じた。そしてトーゴメディアも、「極東の地に新しい友達ができた」と報じ、韓国の健闘をたたえている。イタリアのデ・ロッシのように、一方では悪質なヒジ打ちで退場になったりする選手がいる中で、彼らのフレンドシップは世界中どこに出しても恥ずかしくないものである。悪いニュースしか流れない日本を祖国に持つ者として、本当にうらやましく思う。しかし良いサッカー・良いメンタリティーを発揮しながらも、トーゴにはもう決勝進出の可能性は残ってはいない。まるで良い所のなかった日本が3戦目のブラジル戦にわずかな望みをつないだかと思えば、全力で自分らしいプレーを連発したトーゴには、わずか2戦目にして敗退決定という屈辱が待ち受けていた。こんな不条理なことがあってたまるか。どんなにサッカーを愛していても、何年サッカーと付き合っていても、僕の親友「サッカー」は、未だに納得のできない結果を僕に投げかける。そしてそのたびに僕は悔しくて眠れない夜を過ごしてきたのだ。きっと、今夜もそんな夜になるだろう…。
2006/06/21
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☆執刀医をつとめた、セデール医師午前8時…。「Wangen hilft Togo(ヴァンゲンはトーゴを救う)」プロジェクトの優秀な医療チームにより、ヌリソンちゃんの手術が始まった。そして2時間後-。「手術はすばらしい結果になりました。経過も良好です。来週には、鼻に埋め込んだスティックも外すことができるでしょう。」セデール医師は、手術の成功を力強く語ってくれた。しかし僕の本当の心配は、「手術後、彼女がトーゴに帰った後も病院に通う必要があるのではないか?」ということだった。貧しいトーゴに住む彼女にそんな余裕があるわけがない。それを尋ねると、セデール医師はこう語った。「接着・縫合は完璧で、肌の調子もいい。私は他の手術は必要ないと考えている。(では、彼女は普通の女の子として過ごせるようになると?)その通りです。彼女はとてもすばらしい女の子になるよ。」☆手術のサポートをつとめ、トーゴのチームドクターでもあるガイヤー医師(右)そして手術から数日後-。ヌリソンちゃんと母親は、彼女にこのプロジェクト発足の縁を与えてくれたトーゴ代表チームを訪れた。トーゴのエースFW、アーセナル所属のアデバヨルはこう語る。「僕にとって、ヌリソンちゃんのような子供を見ることはとても辛いことなんだ。もしも身内の誰かが同じ病気を背負ったら、僕は絶対に助けなければならない。彼女を見ていると、今まで自分が何の問題もなく育ってきたことを、本当に申し訳なく思ってしまうんだ。」☆ヌリソンちゃんを抱こうとするアデバヨル・・・☆やっぱりお母さんの方がいいようです。 トーゴの国民的英雄も、母親の愛にはかなわない。驚くことに、彼女の母親もアデバヨルのことは名前だけしか知らなかったという。そう、彼女たちの家にはテレビがない。W杯初出場の原動力になったアデバヨルを、彼女たちは知る機会すら与えられていないのだ。”世界中がW杯に沸いている”なんて言ってみても、自分がいかに限られた世界で生きているのかということを思い知らされる。「全てが良い方に進んでいます」と母親は言う。ヌリソンちゃんの元気な姿に、誰よりも目を細めているのは、他ならぬ彼女なのだ。僕は、少し意地悪な質問をした。「もしもこのプロジェクトがなかったら、どうやって過ごしていくつもりだったんですか?」 「娘はこれから、学校に通わなければいけません。私は全てを費やして娘を支えたことでしょう。あなたが普通に出来ていることを、私たちは全て必要としているんです。」学校に通う-。そんな僕にとっては当たり前のことを、この人たちはどれだけの長い年月をかけて悩み続けていたのだろう。トーゴ国内には今も病気に苦しみ、治療を受けられないでいる人々がたくさんいる。そんな中でこのチャンスを得ることができたヌリソンちゃんは、ある意味では運が良かったのかもしれない。しかし、セデール医師はこう言う。「私たちのフレンドシップは一日限りのものではありません。これはただの始まりに過ぎないんです。私たちは12月にトーゴを訪れ、今度はトーゴの人々をトーゴで助けたいと思っています。このプロジェクトはヴァンゲンで始まり、今後世界中に広まっていくことでしょう。もちろん日本の人たちとも協力できれば、こんなに素晴らしいことはありません。」僕は問いかけた。(医者として、あなたが一番大切にしていることは何ですか?)セデール医師「子供・母親・父親に、普通の生活を与えてあげることです。それが私にとって一番大切なことです。人々を救うことができれば、それが私の幸せになるんです。」ガイヤー医師「スポーツや仕事など、患者が体の機能を取り戻す手助けをし、それぞれが人生を楽しめるように支えることです。」イゴール医師「人を救い、幸せにすることです。あのトーゴから来た女の子のように。」ヌリソンちゃんは、僕たちになかなか笑顔を見せてくれなかった。たくさんの人に囲まれて緊張していたのだろうし、口と鼻に残る手術の傷も影響していたのかもしれない。そこに、たまたま散歩をしているおじいちゃんが通りかかり、彼女にあやしながら話しかけてきた。するとなんと、ヌリソンちゃんが自分から手を出して笑っているではないか。選手たちにも、ましてやカメラを構えた僕には決して見せなかった笑顔を、このヴァンゲンのおじいちゃんはアッサリと引き出してみせたのだ。僕はその笑顔を見て、やっと確信した。これでこの子は幸せになれると-。MFカカ(6)は、「Wangen hilft Togoプロジェクト」についてこう語る。「このプロジェクトは本当にすばらしいと思うよ。医者は彼女のために手術をし、僕たちは彼女のために全力でプレーし、そして君も彼女のために記事を書いてみんなに知らせようとしている。みんなが彼女のために何かをしようとしているんだ。人を助けることは、自分が幸せになることでもあるだろ?」カカの最後の一言は、最近の僕の気持ちを見透かされたような気がした。「19日のスイス戦、彼女のためにどんなプレーをしたいですか?」 選手たちはこう答えた。FWアデバヨル(4)「シンプルに元気付けてやりたいんだ。彼女と母親のために、そしてトーゴにとっても大切な初勝利を挙げたい。だって、自分が彼女と同じ病気にかからないなんて誰にも分からないんだから。でももし君にそういう病気が襲いかかったら、きっとヴァンゲンの人たちは君を助けてくれるだろうね。」DFカリム(21)「僕たちは彼女のために、プレーで何かを見せる必要がある。」アデバヨルは、ヌリソンちゃんの手術の前にこう語っていた。「彼女は俺たちのラッキーガールなんだ。だって、ヴァンゲンの人たちに温かく迎えられて手術を受けることができるようになっただろ? 彼女の手術が成功すれば、きっと俺たちトーゴも成功するよ。」スポーツの勝ち負けは時の運に左右される。だからもちろんトーゴが負けることだってあり得る。それがサッカーだ。しかし例え負けても、明日につながる戦いであってほしい。ヌリソンちゃんが知らせる幸せな未来を、世界の友達に自慢してほしい。がんばれ。トーゴ!僕は声が出なくなるまで応援するぞ!
2006/06/19
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もしも、あなたが生まれながらに体に障害を持ってしまったとしたら-。そしてそれが治る病気にも関わらず、貧しい家庭環境のために永久に治すことができないとしたら-。あなたは笑って生きることができるだろうか?「口蓋裂」という病気は、先天的に上顎が割れていて、口と鼻がつながった状態で生まれてきてしまうことを言う。食べたものが全て鼻に流れてしまうため、放っておくと満足に栄養を取ることもできない。日本では500人に1人が発症すると言われ、その治療には15年~20年がかかる難病とされている。トーゴ生まれの少女、ヌリソンちゃんもその病気を背負って生まれてきた。口と鼻の境がないため、前歯がむき出しになってしまっている。自由に物を食べられないばかりでなく、これから先、顔に障害を持つことが一人の女の子としての彼女を苦しめていく。そしてヌリソンちゃんが他の患者と大きく異なるのは、口蓋裂を克服するための治療を受けるお金がまったくないことなのだ。適切な手術を受ければ回復できる病気も、トーゴという国の環境はそれを許さない。家が貧しいことは、それだけで罪になってしまうのだろうか…。そんな中、彼女にさしのべる手があった。☆イゴール医師(左下)と、医療チームスタッフ。「僕らは政府の援助を一切必要としていない。シンプルに助けたいと願う。それ以上でもそれ以下でもないんだ。」ヌリソンちゃんは今、ヴァンゲンの病院に入院している。そしてなんと明日、口蓋裂の手術を受けることになっているのだ。実は彼女が手術を受けられるようになったのは、トーゴ代表がW杯出場を勝ち取ったことと密接に関係している。トーゴをキャンプ地として招聘したヴァンゲン市では、「トーゴは僕たちの友達」を合言葉に、代表チームのサポートをはじめとした活動を行ってきた。しかしヴァンゲンの病院につとめる、イゴール医師はこう語った。「友達だからこそ、ただ単にサッカー選手が来て町が盛り上がるだけでなく、僕に出来ることをしたかった。」そんな彼が発起人となって作ったプロジェクトが、「Wangen hilft Togo」(ヴァンゲンはトーゴを救う)である。歯科医であるイゴール医師は、それぞれの医療分野のスペシャリストを集め、あらゆる病気に対応できるチームを作った。当然、そういった医療プロジェクトを立ち上げるには膨大なお金が必要である。しかも彼らは自分の仕事もある。時間的にも金銭的にも、もうけを得ないプロジェクトを立ち上げるのはそんなに簡単なことではない。しかし、彼はこう続ける。「ドイツW杯にはたくさんのビジネスがある。しかし、世の中にはビジネス以外のものも必要なんだ。」そう言って彼が取り出したのが、このバッジである。☆「Wangen hilft Togo」(ヴァンゲンはトーゴを救う)これは今、ヴァンゲンで2ユーロで売られているバッジである。売り上げのうち、1ユーロ50セントが医療プロジェクトの手術費用に充てられるという。「このバッジは、ただ単に手術費用の足しになっているだけじゃない。ヴァンゲンの学生たちなどが、このバッジを通して医療プロジェクトに協力してくれている。それが大切なことなんだよ。」そしてヴァンゲンの人々の他にも、トーゴ代表スポンサーのASTORIA社もこのプロジェクトをバックアップしている。ASTORIA社のパレガト社長は、アフリカから身よりのない子供を何人も引き取って養女にしているとのこと。人々は皆、自分にできることを見つけて動いているのだ。「もしも日本にいる人々がこの話を知って協力したいと思ったとき、僕たちは何をするべきなんでしょうか?」と聞くと、彼はこう答えた。「僕たちのプロジェクトは、送金用の銀行口座を持っているよ。でもね、僕は遠く離れた日本から、何も知らない人にお金だけ送ってもらおうなんて望んじゃいない。むしろ、日本で交流会やパーティーを開いて相手に対する理解を深めた上で、みんなで団結してお金の協力をしようって気になってくれることが一番うれしいんだ。」…小学生のころに、学校で散々集められた募金を思い出した。何も知らない人に金だけ送って終わりなんて、よく考えたら傲慢で乱暴な話じゃないか。僕は2ユーロでバッジを買った。この素晴らしいプロジェクトに少しでも協力できること、目の前に座っているイゴール医師という、尊敬すべき人間を取材していることを、僕は誇りに思う。手術が成功し、彼女の笑顔が見られることを心から祈っている。
2006/06/15
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【ドイツW杯グループG トーゴvs韓国】6/13、それはとても暑いフランクフルトのある一日の出来事だった。ボーナス問題に端を発した選手の練習ボイコット-。試合3日前の監督電撃辞任-。そして試合前日になっても決まらない新監督の椅子-。トーゴ代表は常に新しい問題に悩まされてきた。しかしそれでも、彼らに温かい応援を送り続けるヴァンゲン市の人々、そして世界で最も貧しいサポーターであるトーゴ国民たち。初出場のトーゴ代表が彼らに見せるのは、未来への希望の光か、それともどうしようもない現実の壁なのか。「祖国のために」今、トーゴ代表の挑戦が始まった。試合開始-。「テーハンミングク」の合唱が響き渡る。フランクフルト、マイン川パブリックビューは大量の韓国人サポーターによって埋め尽くされていた。1,2万人を収容する会場を歩いて見つけたトーゴ人は、たったの5人程度だ。2万人 vs 5人。自国から大応援団が結成されて乗り込んできた韓国に比べ、政府公認の応援団さえもドイツ政府からビザ発行を拒否されたトーゴ。仕事を休んで応援にくる裕福な韓国人に比べ、ドイツに応援に来られるトーゴ人はいったいどのくらいいるのだろうか。トーゴはスタジアム内でも圧倒的アウェーに立たされていた。そして僕には、もう一つの心配事があった。それは新監督の問題だ。ベンチに座るのは、暫定監督のマウエナか、2002年にカメルーンを率いて中津江村を訪れた白髪のロン毛男、新監督のシェーファーか。しかしパブリックビューに映し出された監督は、もっとも意外な人物だった。3日前に辞任を発表した、オットー・フィスター監督。なんと彼がベンチに座って指揮を執っているではないか。僕がこのとき感じた驚きは、ダヴィンチ・コードを最後まで読んだとき以上のものだった。「私が監督に復帰した理由については、一切コメントしない。」と語るフィスター監督。彼の真意を知ることはできない。しかし一つだけ言えることは、再びトーゴは一丸となって戦うチャンスを得たということだ。その結束を証明するかのように前半からトーゴは試合のペースを握り、トーゴ人の中で人気の高い選手、17番カデールのゴールで先制する。ロングボールからトラップのみで韓国DFの裏をとり、豪快なシュートを左サイドネットへ突き刺した。圧倒的アウェーの中で、わずかのトーゴサポーターは喜びを爆発させた。そしてその後も得意のショートパスサッカーで韓国を翻弄し、トーゴは前半を1-0で折り返した。このまま試合が終わって欲しい。僕は心からそう願った。しかし、後半には魔物がひそんでいたのだ…。試合が転機を迎えたのは、後半53分だった。韓国のエース、パク・チソンの中央突破を、後ろからのタックルで倒したアバロが、この日2枚目のイエローカードで退場してしまう。選手をまとめる精神的支柱だったキャプテンの離脱-。トーゴは10人になること以上に大きな代償を負ってしまった。さらにイ・チョンスが蹴ったフリーキックは、手負いのトーゴをさらに地獄へ突き落とし、1-1の同点に。そして人数的劣勢から、韓国が圧倒的にゲームを推し進めた72分、交代で入ったアン・ジョンファンの見事なミドルシュートで2-1と韓国が勝ち越した。そして勝ち越したことで、無理に攻めることをせずに時間を稼ぐ韓国。「テーハンミングク!!!」韓国応援団の声はさらに大きさを増していく。お前ら「テーハンミングク(大韓民国)」は、10人の相手に時間かせぎをするようなせこいチームなんだぞ!!! ちくしょう!そんなやり場のない怒りが僕を支配する。結局、試合はそのまま2-1で終わってしまった。☆レーマー広場で盛り上がる韓国サポータートーゴは最後まで諦めることなくボールを追い続けた。必死にタックルを仕掛けてゴールをめざした。気持ちが入りすぎて荒くなったプレーもあったが、韓国のサポーターよ。そんなにブーイングをしないでやってくれないか。彼らが背負うものは、けっして軽いものではないのだ。これで残り2戦を勝つしかなくなった。相手はスイス、フランスだ。さらに厳しくなった道のりがトーゴを待つ。この険しき道にどうやって立ち向かっていくのか。「相手がどうこうより、自分たちを見せるのがトーゴのサッカー」そう語る選手たち。そして奇しくも、我々日本とトーゴが置かれた状況はうりふたつである。クロアチア、ブラジルに勝つしかない、後がなくなった日本。スイス、フランスに勝つしかない、後がなくなったトーゴ。今日同じく行われたこの4チームの試合を観戦したが、とても日本やトーゴが勝てるような相手ではないのかもしれない。しかし、そうだとしても。勝ち目がない戦いだったとしても。全力を尽くして欲しい。前だけを向いていて欲しい。たとえどんなに恥ずかしい結果になっても、人々の記憶に残る戦いをして欲しいと強く願う。
2006/06/13
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いよいよ明日、トーゴは韓国との決戦の日を迎える。…にも関わらず、未だに試合で監督の椅子に座る人物は決まっていない。暫定監督のマウエナがそのまま指揮を執るか、シェーファーが監督として就任初日に指揮を執るのか、それは試合前日の選手たちにすら分からないような状況だ。こんな混乱の中で、選手たちは一体どんな試合を見せてくれるのだろう。トーゴ代表の戦いは、貧しいトーゴ国民の希望になり得るのだろうか。それともただ、トーゴが抱える現実のみを晒して終わってしまうのか。全ては明日、明らかになる。そして今日、6/12は我々日本にとっての決戦の日だった。…しかし、残念ながら結果はご存知のとおりだ。今日はものすごく暑かった。先日テストマッチのドイツ戦のときにはジャケットを着て観戦したのを覚えているが、今日は気温が30度近くあり、Tシャツ一枚でも暑いくらいだった。わずか10日間で気温が2倍近く上がるような状況に、選手もコンディションを保つのが大変だったのだろう。以前とは見違えるほど、運動量は減ってしまっていた。また、戦術面でも日本が3バックで来ることを読み切って、ヒディング監督は前に高い選手を3人置き、ロングボールで高さを生かして攻めてきた。日本が一番苦手なパターンだ。日本は1点を先制するものの、耐えて耐えてひたすら耐え抜いて…最後には力尽きて逆転を許してしまった。選手たちが必死に耐えて抜いているのが見て取れただけに、やるせない気持ちが次々と沸いてくる。試合内容から言えば、負けという結果は順当だったのかもしれない。オーストラリアは勝利に値するチームだった。ヤツらサポーターが、楽しそうに歌っているのを見ると正直ムカついたが、でもそのことは認めなきゃいけない。現実から目を背けてはいけない。そう自分に言い聞かせようとしても、やはり悔しくて悔しくてたまらなかった。そして呆然とスタジアムに立ち尽くす中、日本代表はゆっくりと僕たちの方へやってきた。ドイツ戦でも、マルタ戦でもスタンド挨拶には来なかった日本代表。こんなにも悔しい敗戦の後にも関わらず、腐ってロッカーに引きこもることなく堂々と力強くサポーターの前へ歩んでくるではないか。そう、一番悔しいのは彼ら自身なのだ。耐えて、耐えて…、必死に耐え抜いても届かなかった勝利-。「これで終わりなんかじゃねぇぞ!」感動を抑えきれずに、そう叫んでしまった。そう、これで終わりじゃない。まだクロアチアとブラジルとの戦いが残っているのだ。「どうせブラジルには勝てないよ…」そんな弱音を吐いているサポーターに言っておく。サッカーを愛するものなら、心に刻んでおけ。「Nothing is impossible on football」(サッカーには不可能なことなんて、何ひとつない)★清水くんによるトーゴ代表取材こぼれ話はコチラ
2006/06/12
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W杯ボーナス問題による、トーゴ選手の練習ボイコット-。それにより、監督が試合3日前に電撃辞任-。毎日慌しいトーゴ代表だが、迷走はまだまだ終わってはいなかった。昨日のフィスター監督の辞任により、コーチだったマウエナ氏が新しい監督になったと伝えられたが、それは暫定処置だったことが分かった。試合2日前の時点で、なんとトーゴはまだ新監督探しをしているのだ。先ほどヴァンゲン市でトーゴ代表の記者会見があった。マスコミのお目当ては、新しく監督になるとウワサされている「ヴィニー・シェーファー」氏だ。シェーファー氏は、2002年日韓W杯でカメルーン代表を率いたことで有名で、既にヴァンゲン市のホテルに入っていく姿が目撃されているらしいのだ。おそらくこの記者会見は、シェーファー氏の就任会見になるだろうと誰もが予想していた。しかし…、彼は現れなかった。テクニカル・ディレクターのアコウサ氏はこう説明した。「今、10人の人間が監督になりたいと言ってきている。シェーファーはその中の候補に過ぎない。彼とはまだ充分な交渉が必要で、今はまだ決めることができない。だが、今日中には決めたいと思っている。」「どういう基準で新監督を選ぶのか?」との問いには、「どうやってトレーニングでコンディションを維持するかということだ。今やるべきことは韓国戦に向けた準備をしっかりすることであり、新監督の発表は明日行うつもりだ」「では、第二候補は?」と質問が飛ぶと、「クリストフだ。フルネーム? 知らないよ、ハッハッハ(笑)ドイツ人だってことだけだ。」会見に同席したキャプテンのDFアバロ、MFカカと共に大笑いだ。「第三候補は?」と聞かれると、「名前も知らないよ」とのこと。「韓国戦をどう戦うか?」と韓国メディアから質問が飛ぶと、アバロはこう答えた。「どう戦うかと言われても、僕は何の答えも持ってないよ。今僕たちには監督がいないんだから(笑)」さらに、アバロはこう言う。「監督は誰になるのか、それは一番大きな問題じゃない。シェーファーがイエスでもノーでも、それは直すことが出来る程度の問題だ。最も重要なのは、W杯に向けて選手が戦っていくことだよ。」どうやらピリピリしているマスコミのみで、当のトーゴ代表は意に介さずといった状態だ。さらに韓国メディアから、「ボーナス問題は解決したのか? 解決しない場合、韓国戦をボイコットすることはあるのか?」との問いには、「トーゴ協会は、未だに僕たちとの話し合いを持ってくれていない。この問題は未解決だ。しかし、今最も重要なのは韓国戦に向けて全力を尽くすこと。毎日新たな問題が発生して非常に難しい状況だけど、僕たちはその度にモチベーションを新たにしてトレーニングしている。親切にしてくれるヴァンゲン市の人々、そしてトーゴのために韓国戦は必ず勝ちたい。」とW杯への意欲を見せる一方で、「ボーナス問題は忘れないよ。僕たちはプロとして、絶対にここを譲るわけにはいかない。これは当たり前のことだ。」と、アバロの言葉はまだまだ協会との深い溝が残っていることを明らかにした。ここで僕が質問をぶつける。「フィスター監督は、この事件によってW杯出場の夢が壊れたと言いました。あなたはそのことについてどう思いますか?」カカはこう答えた。「僕たちにとっても大ダメージだよ。試合の3日前だからね。フィスターと一緒に伝説を作りたかったんだよ。でも僕たちはプロとして、このボーナス問題を譲るわけにはいかなかった。監督や僕たち選手は、サッカー協会に対してどうすることも出来ないんだよ。」「現状、サッカー協会から約束されているボーナスの額はいくらなのか?」と聞くと、カカは指を丸めて輪を作り、「ゼロ。ゼロだよ。」と力んだ。奇しくも、今のトーゴ代表の状況は、4年前の日韓W杯時のカメルーンと面白いほど似ている。お金でもめてボイコット、キャンプ地に選んだ中津江村とヴァンゲン、極めつけは、もし交渉が成立すれば両チームとも監督がシェーファーになるということだ。お金の問題はアフリカ全体が抱える問題であり、サッカーだけに限ったことではない。金の亡者と言われるリバウドも、子供のころはあまりに貧しさにカルシウムが不足して、歯がすべて抜け落ちてしまったという。おそらく、世界最貧国であるトーゴにもそれに似たストーリーがあるのだろう。だからこそ、彼らに対し、「あんまりカネ、カネ言うな」などということは言えない。しかしそれでも僕は、「ヴァンゲンの人々のために、そして祖国トーゴのために」と語る彼らに、お金よりも優先できることはないのかと敢えて問いたい。お金がないことは不幸せである。しかし、人並み以上のお金を手に入れた後で、さらにそれ以上のお金にこだわり続けてしまう後遺症もまた、不幸せではないだろうか。永遠に今以上のお金を求め続ける人生に、僕は価値を見つけることが出来ない。一度死ぬほどの貧しさを味わうと、生涯お金に心を支配されてしまう。貧しさ-。この言葉を、こんなに重く感じたのは初めてだ。
2006/06/11
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さっき電車の中で知り合った、韓国人のリーさんとホーさん。今年結婚したばかりで、ドイツに新婚旅行に来てるらしい。人前でキスなんて絶対にしない、つつましくも仲の良い2人。情熱的な欧州人もいいですが、たまにはこんな癒されるカップルを見るのもいいもんだ…。なんて、呑気なことを言ってる場合じゃない!!!トーゴ代表が今、大変なことになっているのだ。今年2月、ステファン・ケシ前監督の後を継いでトーゴ代表監督に就任した、オットー・フィスター監督が電撃辞任を発表した。W杯が開幕し、ドイツ中がバカ騒ぎをしていた6/9の夜に、彼は人知れず悩みを抱えていたのだ。思えば、今年2月のケシ前監督解任も衝撃的なものだった。理由はアフリカネーションズカップの予選敗退の引責とされているが、W杯アフリカ予選を勝ち抜いた監督を本戦の4ヶ月前に解任したのには他にも理由があった。エースFWアデバヨルとの確執、そして給料未払いに関する代表選手とトーゴサッカー協会の揉め事…。ケシ前監督は、その全ての責任を追及されて解任されてしまった。そしてその後を継いだフィスター監督は、先月5月からのW杯直前合宿で初めてトーゴの選手と顔を合わせたという。4年間という準備期間が与えられたジーコ監督に比べて、4週間という圧倒的に不利な準備期間である。それでもフィスター監督は、「4週間あれば充分なトレーニングができる」と自信を持っていたのだが、彼にはどうしても解決できない問題が一つだけあった。W杯ボーナス問題-。通常、日本代表などのあらゆる国の選手には、W杯での勝利に対して特別ボーナスが支給される。この特別ボーナスを巡ってトーゴサッカー協会と選手との間に確執が発生し、選手が練習をボイコットしてしまったのだ。またしてもお金の問題が発生した。これもトーゴが「世界最貧国」であるせいなのか。この状況は、ケシ前監督が解任された状況と全く同じなのだ。違うことと言えば、初戦の韓国戦まで3日という時期に起こったということぐらいだろう。「金の切れ目が縁の切れ目」と表現することは簡単だが、これはそんなに単純な問題ではない。辞任を表明したフィスター監督は、「このボーナス問題は既に解決していると聞いていた。しかし実際はそうではなく、選手が練習のボイコットを始めてしまった。トレーニングが出来ないようなひどい状況では、私はプロとして監督を続けることは出来ない。」こういう問題が発生すれば、まず疑うのは選手と監督の信頼関係である。そんな無粋な質問をぶつけると、ヴァンゲン市の広報担当者はこう語った。「むしろ、フィスター監督と選手はすごく仲が良いくらいだった。これはお金の問題以外の何者でもない。」実際、練習しているときにこぼれる笑顔、試合中に交代する選手の背中を押したり、ベンチに引き下がる選手の肩をそっと抱くフィスター監督の姿は、選手との信頼関係を何よりも証明していた。完全にお金の争いに巻き込まれてしまった格好のフィスター監督は、「私の夢は、W杯にチームを率いて出場することだった。」と語り、この苦しい決断に悔しさをにじませている。後任には、コーチを務めていた46歳のマウエナ・コトジョビ氏が就任する。これで監督、テクニカル・ディレクター、後任コーチなどの全ての職がトーゴ国内の人間で組織されることになる。トーゴサッカー協会はこの4ヶ月間、過去の教訓を生かすことは出来なかったのだろうか。そして選手たちは、何らかの妥協点を見出すことは出来なかったのだろうか。練習を拒否した選手たちは、今もホテルに閉じこもっている。これが試合に悪影響を及ぼさないわけがない。トーゴという国が貧しい生活を送っていることは知っている。先日は、トーゴ政府から公認された応援団が、銀行口座を持っていないという理由でドイツ政府からビザ発行を拒否されているのだ。お金のせいでサッカーが楽しめない、お金のせいで夢を諦めて辞任しなきゃいけない。こんなバカなことがあって良いのだろうか。お金がサッカーを支配する時代に、僕はやるせない気持ちを抱えてしまう。そんな激震が走っていた、今日のヴァンゲン市プレスルーム。今も僕の周りで各国の記者がせわしなくキーボードを叩いている。静かな町の教会から聞こえる鐘の音が、なんだか寂しく感じる一日だった。
2006/06/10
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いよいよ開幕まであと5時間-。僕は今、2006年ドイツW杯の開幕戦「ドイツvsコスタリカ」が行われるミュンヘンの中央駅にいる。まずは率直な感想を言わせてもらおう。「うるさい!!!(笑)」そこら中から聞こえてくる、「アーレ~。アーレ~。アーレ、アーレ、アーレ~。ドイチュラント(ドイツ)!!!」の大合唱。僕は中央駅に行くまで2回地下鉄を乗り換えたが、この歌が聞こえない駅はなかった。小さな子供まで「ア~レ~」と歌いながら旗を振っている姿がとってもかわいくて、心が癒されてしまった。「写真取ってもいいですか?」と聞けば、「いいよ! 優勝はドイツだー!!!」 と返事まで大合唱。ちなみに優勝する国なんて聞いてないっちゅうに(笑)「ダンケ!」(ありがとう!)とお礼を言えば、「ビッテシェーン!!!」(どういたしまして!)もやっぱり大合唱。なんなんだ、この組織力は(笑)昨日僕は「ミュンヘン、意外に盛り上がっていない」的なことを書いたが、とんでもない。うるさくて耳が痛いくらいだ。駅にいる人々の半分近くがユニフォーム姿という、実にふざけた光景が広がっている。頼みの綱である警察も、取り締まるどころか笑いながらその様子を見物している有様だ。そんな常識はずれな空気でさえ、これからの1ヶ月間のプロローグに過ぎないのだとしたら…。私清水英斗は、今日という開幕の日を境に、「ドイツは完全にW杯モードに突入した」と、ここに宣言したい!そして今日僕がお送りするレポートのテーマは、「ドイツで一番小さな町のパブリックビュー(集団観戦スクリーン)」だ。パブリックビューと言えば、大都市のものばかりがクローズアップされているが、実はドイツのありとあらゆる町でスクリーンは設置されている。大都会にある数万人収容の巨大スクリーンもいいが、村人の大半が集まる田舎町のスクリーンも、なんとも楽しそうではないか。開幕日にあえてミュンヘンを離れる天邪鬼な僕の、もはやおなじみ(?)のトーゴ代表キャンプ地ヴァンゲンからお送りするレポート、始まります。~~~~~~~~~~~~~~~~ヴァンゲンの「Stadt-Halle(公民館のようなもの?)」には、既にたくさんの人が集まっていた。こんな田舎でも、ドイツ国旗を持ったり帽子をかぶったりフェイスペインティングをしたり、沢山のコスプレイヤーが試合を待っていた。なんか「パブリックビュー」というよりは「寄り合い」って感じ。僕はちょっと時間があったので、明日取材に行く予定の病院の場所を調べておこうと思い、警備に来ていたお巡りさんに聞いてみた。「この病院なんだけど…(と住所を見せて)、どこにあるか分かる?」お巡りさん「うーん。これはちょっと説明しにくいな…」「地図を書いてくれない?」お巡りさん「OK。ちょっと2分だけ待ってろ」どうやら今は忙しいようだ。手にトランシーバーを持って何やら話している。そして待つこと2分間…。いきなり1台のパトカーが目の前に止まった。そして窓が開くと、運転手のお巡りさんが満面の笑みで僕に話しかけてきた。「乗れよ」僕はやっと理解した。「え??? 2分待つってそういうことっすか???」でもせっかくパトカーをチャーターしてもらったものの、僕はただ病院の場所を確認したかっただけで、今はここで開幕戦「ドイツvsコスタリカ」を見るつもりだったのだ。申し訳ない気持ちでそれを説明すると、お巡りさんは大笑いして、「そーかそーか。じゃあ地図を書いてやるよ」と丁寧に教えてくれた。僕…、お巡りさんにこんなに親切にしてもらったの…、初めてなの(泣)そしてそんな僕とお巡りさんのやり取りを見ていたおばあちゃんが、「じゃあ試合が終わったら、私が連れて行ってあげるわよ」と話しかけてきた。・・・。毎日来るたびに思うけど、この町の人たちの温かさには本当に恐れ入ってしまう。静かで人もお店も少ない田舎だけど、明らかに都市にはないものがある。もしかしてトーゴ代表は全32チーム中、一番魅力的なキャンプ地を選んだんじゃないだろうか。さて、開幕戦。200人程度が集まったヴァンゲンの公民館では、ドイツがゴールを決めるたびに会場が揺れるほどの大絶叫! 面白いことに、この200人の中にコスタリカを応援する人がいて、コスタリカがゴールを決めたときに一人だけガッツポーズ&絶叫。ここまでアウェーで頑張れるのも立派なもんだ。試合後は、普段静かな町が、クラクションで音楽を奏でる馬鹿者やドイツ国旗を振って走る車などでうるさくなっていた。さて、ドイツはディフェンスに不安を残すものの大量得点で勝利を収めた。シュバインシュタイガー、フリンクス、ラーム、クローゼなど、良い所を発揮できた選手もいたが、このディフェンスの危うさでは強豪国相手には厳しいのではと思ってしまう。しかし、イングランドのガリー・リネカーはこう言ったものだ。「サッカーとは11vs11でボールを巡って戦い、最後にドイツが勝つゲームである。」観戦に集まったドイツ人に話を聞くと、誰一人ドイツ優勝などと楽観した予想はしていない。むしろグループリーグで敗退すると悲観する者さえ少なくないのだ。しかし、2002年のノーマーク状態からの快進撃が示す通り、悪い悪いと言われてもドイツ代表には不思議な力があることも事実だ。ゲルマン魂が今回もリネカーの言葉を証明するのか、今後の展開が楽しみである。
2006/06/10
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こんにちは。バイエルン州の田舎町ヴァンゲンより、トーゴ代表レポートをお送りしている清水英斗です。「ミュンヘンを拠点」にして、毎日ヴァンゲンへ日帰りで行っています。ホテルとミュンヘン中央駅間が1時間弱、そこから鈍行列車を乗り継いで片道3時間、なんと1日に7~8時間も電車に乗っているんです。これって拠点って言うんでしょうか?(笑)このブログも毎日電車の中で書いています。今はちょうど、ヴァンゲンで行われるトーゴ代表の公開練習に向かっているところです。いよいよ開幕を明日に控えて、ミュンヘン周辺はサポーターだらけ………というほどでもありません。ただしドイツ人は、なぜかスタジアムに試合を見に行くときも開始ギリギリにやってくる傾向があります。今のミュンヘンは、嵐の前の静けさか…それともこのまま盛り上がらないで終わるのか。今、僕の目の前に座っているおばちゃんは「サッカーは嫌いだ。世界中のお客さんにドイツを楽しんで欲しいけど、スタジアムは危険だから私は見に行きたくない」と言っていました。ちょっとさみしいけど、それも1人のドイツ人の本当の姿です。1%の人々が盛り上がっているのを見て、「ドイツ中が盛り上がっています」と言い切るテレビ局のようなことはしません。正直な真実のレポートを僕は全力でお送りします。~~~数時間後~~~公開練習が終わりました。大勢集まったヴァンゲンの人々の声援を浴びながら、ランニング・ボール回し・パスゲーム、そして最後にネットを挟んでセパタクロー風ゲームをやって終了です。戦術やフォーメーションに関する練習は一切ありません。「練習」というよりファンサービスという感じでした。オットー・フィスター監督は、メディアに対して徹底的に秘密主義を貫いています。以前、6/13に初戦を迎える韓国のメディアが、ホテルで選手にインタビューをしていると、フィスター監督がやってきてものすごい剣幕で追い出したらしいんです。それ以降、選手への接触は警備員によって硬くガードされてしまっています。トーゴは「フランス、スイス、韓国」と同じグループであり、特に初戦の韓国に関しては、前評判で韓国がグループ3位・トーゴがグループ4位となっているだけに、双方ともに勝ち点を落とせない状況にあります。こう聞くと、どこかの国のグループと似ていると思いませんか?そう。グループFの前評判で4位が付けられた日本、3位が付けられたオーストラリア。トーゴと韓国の置かれた状況は、この日本とオーストラリアの関係に実に良く似ています。そのため、双方のメディア合戦も熱が上がっているのです。オットー・フィスター監督。戦術練習がないのでヒマそうです(笑)僕はプレス関係者と思われる韓国女性を発見したので、声をかけてみました。「トーゴに対してどんな印象を持っていますか?」すると、ちょっと不機嫌な顔をされ、「これはオフィシャルな質問?私は答えられないんだけど。」と言ってきました。「ただの情報収集ですよ」と説明したら少しだけ話してくれましたが、何だかよそよそしいなぁと思っていたら、、、後で気付いたのですが、この女性は韓国KBSのアナウンサーでした(笑)もしかして、日本で言うウッチーのような人に話しかけていたんでしょうか…僕は。このKBSを始めとして、2日前のFCヴァンゲンとの練習試合にはとんでもない数の韓国メディアが来ていました。テレビ局が3つ、カメラマン・ジャーナリストがその他多数…。断っておきますが、「たかがアマチュアクラブとの練習試合ですよ???」実際、メディアのほとんどは韓国とアフリカからで、フランスやスイスのメディアはほとんどいませんでした。トーゴ・韓国の両国が、この初戦に全てを賭けている証拠でしょう。6/13 15:00のキックオフまで、あと4日-。決戦のときは、刻一刻と近づいているのです。トーゴの宿泊ホテルの前にもたくさんの警備員が待ち構えていました。「韓国じゃない、日本人だ。戦術には一切触れないから話を聞かせてくれ。」と説明してもムダでした。韓国人はおろか、アジア人から欧米人まで全ての直接コンタクトを禁止し、話を聞ける機会は記者会見のみという状況になっているのです。僕の突撃も遭えなく撃沈しました…。ある韓国記者によると、「2,3日前なんて、グラウンドで練習すると言っておきながら結局来なかったんだ。それで後で聞いたら、外に出ないでホテルの中で秘密練習をしていたらしい。」今日はずっとこんな感じでしたね~。…といった事情があって、今日の公開練習は一切戦術には触れず、選手のリラックスを兼ねたファンサービスになっていたのでした。それを予想していたのか、韓国メディアも前回より若干減っていました。でもヴァンゲンの人々にとっては選手への声援やサインの行列、バスの見送りなど、選手とのふれあいを充分に楽しめたようです。本当に、この温かさはどこから来てるんでしょうね。ちなみにオットー・フィスター監督の奥さんはスイス人で、なんと息子は韓国人の女性と付き合っているらしいんです。そしてトーゴは元々フランスに占領されていたことからフランス語が公用語、そしてその前はドイツに占領されていました。トーゴにとって、ドイツ人の監督と共にフランスと戦うことはどんな意味があるのか…。Gグループは、いろんな意味で面白いグループですね。そういえば2日前の練習試合の帰りに、「Togo ist Weltmeister!!!(トーゴが優勝だ!!!)」と絶叫していた、ウルトラス系トーゴサポーターに遭遇したんです。彼らは僕を見つけると、ツカツカと寄ってきました。「な、なんだなんだ?」と思って身構えた瞬間、「違う、そいつは日本人だ。」と声がかかり、彼らは戻っていきました。もし僕が韓国人だったら、、、いったい何をするつもりだったんだろう…。くれぐれも、サッカーが間違った方向に進まないことを祈ります。#なんか今日、ベルリンの新聞社からインタビューを受けちゃいました。#有名人になっちゃうかも(笑)
2006/06/08
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皆さんは「トーゴ代表」に関して、何か情報を持っているだろうか?サッカー好きならば、アーセナル所属の長身FW「エマニュエル・アデバヨル」がいることぐらいは知っているかもしれない。だがおそらくそこまでだろう。実際、この取材を始める前の僕はアデバヨル以外は全く知らなかった。そこで今回は、この知られざるトーゴ代表というチームを紹介したいと思う。☆8頭身!?のアデバヨル (4番)「現在、トーゴ代表のスター選手は?」と聞かれれば、トーゴ人ならば誰もが「アデバヨル」と答える。彼は元々はフランスのモナコで活躍していた選手で、しなやかな長身と長い手足を生かしたポストプレーを得意とし、今シーズンにベンゲル監督の目に留まってアーセナルに移籍を果たしたのだ。ただし、良い選手の多いアーセナルでは出場機会は中々回ってきていない。トーゴの攻撃は、このアデバヨルにボールを当てることによって組み立てていくショートパス主体のサッカーだ。アデバヨルが中盤に引いたり、サイドに開いたりしてボールのつなぎ役になることで、中盤の選手が前を向いてボールを受けることができる。☆ゴン中山的カリスマのカデール (17番)僕はちょっと質問を変えてみた。「じゃあ、君にとってのヒーローはどの選手だい?」と聞かれれば、トーゴ人は必ずしも「アデバヨル」とは答えない。むしろ、清水英斗の手元集計で一番多かったのは、17番のFW「モハメド=アブデル・カデール」だった。彼のユニフォームを着ているトーゴ人も少なくない。「なぜカデールが好きなんだい?」「彼はとても心の強い選手なんだ。どんなときでも、がむしゃらにプレーする。彼に比べると、アデバヨルは巧いけどメンタルが弱いね。」確かに彼のプレーは、ひたむきさと泥臭さがあってなぜか目を引いてしまう。そんな姿はトーゴの人々からも人気があるようだ。日本で言えば、ゴン中山のような存在だろうか。☆左利きの魔法使い、トゥーレ (10番)僕が自信を持ってオススメするのがこの選手、シェリフ・トゥーレだ。独特のタイミングを持っている選手で、ドリブル・パスなど非常にセンス溢れるプレーをする。トーゴの攻撃が機能しているかどうかは、司令塔の彼がボールに触っているか否かで決まる。☆フィールドを駆け抜ける、ずんぐりオオカミ (14番)アデカンミ・オルファーデ。おそらくスーパーサブとして使われるであろう、最もアフリカ人らしいスピードをもった選手だ。ずんぐりむっくりした体から繰り出される黒豹のような瞬発力は、後半になって体力も集中力も疲労したDFを容赦なく切り裂くだろう。彼ら選手のほとんどは、欧州各国リーグの1部・2部に属している。そんな中で、唯一トーゴリーグから選ばれたのが、22番の控えGK、オビラレ・コドジョビである。また、キャプテンの3番ジャン=ポール・アバロは、元々フランス4部リーグのダンケルクでプレーしていた選手であり、今はキプロスのアポエル・ニコシアというチームに移籍している。どちらのチームも全く聞いたことがない。さらに最終メンバーからは漏れてしまったが、ブンデスリーガ7部のクラブでプレーしていた選手も候補に挙がっていたという。これだけ個性的なトーゴ人選手たちを、欧州のありとあらゆるリーグを視察して集めてきたのは、実は前監督のステファン・ケシだった。ブラジルのようにリストの中から選ぶ作業ではなく、自分の足で欧州を歩いて完全にゼロから代表チームを作り上げたのである。ちなみに現在のドイツ人監督、オットー・フィスターは今年の2月に就任したばかりの監督であり、5月からのW杯直前合宿で初めて選手に会ったというから驚きだ。そんなことになったのは、ステファン・ケシがアフリカネーションズカップ敗退の責任を取って解任された背景がある。エースだったアデバヨルとの確執、給料に関する選手とトーゴ協会のトラブル…。それら全ての責任を一人で負わされてしまったのである。トーゴのサポーターは言う。「トーゴの唯一の問題は、サッカー協会だよ。選手と監督は良くやっているのに、協会がいつも問題を作るんだ。」ジーコが4年という月日を与えられて日本代表チームを作ってきたのに対し、オットー・フィスターが与えられた時間はわずか4週間である。しかし彼は、「4週間もあれば色んなことができる」と、こんな非常識な状況にも自信を覗かせている。あらゆる環境は、トーゴ代表に不利に出来ている。しかもW杯は初出場だ。それでも…、「祖国のために」そう口々に語る選手たちの想いが、人々の心に何かを残すだろう。僕はそう祈りたい。
2006/06/07
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アフリカの中央やや西よりに位置するトーゴは、コートジボワールやカメルーンに挟まれた細長くて小さな国です。外務省のデータでは、日本に住んでいるトーゴ人の数は"21人"、トーゴに住んでいる日本人の数は"1人"とのこと。(1人っていうのが何か気になっちゃいますね…何してる人なんだろう)そのデータが示すとおり、ドイツW杯出場国の中で最も日本と関係が薄い国、それがトーゴなのです。トーゴ、トーゴ、トーゴ…。サッカーというつながりがなかったら、僕はこの名前を一生耳にすることはなかったかもしれません。そんな僕がこれから一週間、「トーゴ」にどっぷり漬かります。一生分の「トーゴ」を聞いてきます。それもドイツという異国の地で。サッカーが、僕とトーゴとドイツの間に何を生み出してくれるのか。泥臭く、がむしゃらに。清水英斗、全力の現場レポートをお送りします。【第一回】初めてのトーゴとの出会いになる今日、僕は「トーゴ代表 vs FCヴァンゲン」の試合に行ってきました。(「FCヴァンゲン」というのは、トーゴ代表がキャンプを張っているヴァンゲン市の地元クラブの名前です)ミュンヘンから鈍行電車を乗り継いで3時間…。ヴァンゲン市に着いて、まず思ったこと。それは…。どえりゃ~田舎なんです! 見わたす限りの森・森・森…。列車は2番ホームに着き、僕は駅の出口へ行こうとしましたが、地下道なんてものはありません。線路を歩いて横断しました。こんなド田舎にW杯の出場国がキャンプを張っているなんて信じがたいですが、これもトーゴという国の事情を表しているのでしょうか。世界最貧国のひとつに数えられるトーゴは、ボンにキャンプ地を構える日本、フランクフルトにキャンプ地を構えるブラジルのように、交通の便が良い大都会にキャンプすることを許されなかったのでしょう。トーゴにとっては圧倒的に不利な環境…。「やはりお金の影響は大きいのか…」そう思わざるを得ませんでした。ところがそんな僕の固定観念は、スタジアムに着くと同時に吹き飛んでしまったんです。トーゴのチームカラー、黄色と緑と赤の旗やマフラーを背負った人たち。その顔を覗き込んでみると…。どこからどう見ても、「ドイツ人」なんです。僕がこんな質問をしたくなるのも当然だと思います。「あなたたちは、ヴァンゲンに住んでいるんでしょ? FCヴァンゲンの応援をするんじゃないの?」すると彼らはこう答えます。「トーゴは俺たちの友達なんだよ。友達がW杯に出ようっていうのに、応援しないわけがないだろ?」★トーゴ代表を応援するヴァンゲンの人々さらに席に座って試合開始を待っていると、FCヴァンゲンのユニフォームを着た小さくてかわいい女の子が、パンをかごに入れて両手で一生懸命運んできました。「一個いかがですか?」そんな健気な姿にキュンとなりながら、僕はこの小さな町が与えてくれるとてつもなく大きなパワーを感じていました。★「zwei(2個も)!?」 ドリンクを頼まれて忙しそうに働いています。でも何だかうれしそう(笑)★ヴァンゲンのアイドルたち。ヴァンゲン市のプレス対応担当者は言う。「ヴァンゲンは何にもないけど、とってもいい町なんだよ。君はいつここに来たんだ? 30分前? …もう少しこの町にいられないのか?」彼は正式なプレスカードを持たない僕を快くスタジアムに入れてくれたばかりか、ドイツ語が苦手な僕に翻訳をしてくれたり、「あっちで記者会見をやるぞ」と教えてくれたり…。あたたかい。試合が始まってもその印象は変わることはありませんでした。どちらのチームがシュートをしても拍手の嵐、ウェーブをしながら「トーゴー!」と叫ぶドイツ人たち。結局試合は、7-0くらい(?)の圧倒的大差でトーゴが勝ちましたが、長くて温かい拍手が両チームに向けられていました。★トーゴのエース・アデバヨール(背番号4)試合後のコメントで、トーゴ代表DF、ダレ・ニボンベは語った。「今日は僕たちにとって、本当に大事な試合だった。FCヴァンゲンは大きなチームじゃないけど、攻撃のオートマティズムを練習することが出来て良かったし、もっと良くなると思う。次の試合も、このスコアになるといいんだけどね(笑) 僕たちはヴァンゲンの皆さんに本当に感謝しています。」★熱く語るダレ・ニボンベフランス語を公用語とするトーゴ人なのだが、彼は一生懸命カタコトの英語を使ってしゃべっていた。もちろん通訳は横にいるのだが、それを無視して一生懸命伝えてくれた。温かいもてなしをくれたヴァンゲンの人々への、彼なりの礼儀だったのだろう。また、試合の相手を務めたFCヴァンゲンのGK、トビアス・クーゲルはこう語る。「僕たちは去年、イランと練習試合をしたけど、トーゴの方が上手くて早かった。最近ではバイエルン・ミュンヘンと練習試合(6-2)もしたけど、トーゴはバイエルンと変わらなく感じるくらい上手かったよ。確かにトーゴは難しいグループ(フランス、スイス、韓国)に入っちゃったけどね。でも、サッカーに不可能なんてことなんて、何一つないんだよ。」彼の最後の一言を、僕というフィルターを通すことなく伝えたい。「Nothing is impossible」
2006/06/06
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