鈍行列車でいいのなら

私が大事にしたいもの

私が大事にしたいもの

私が大事にしたいものは
素直に見つめられる目と
人の戒め聞ける耳と
思ったことを言える口
誰にでも差し伸べられる手と
自分で大地を踏める足と
幼い頃の素直な心と
親からもらったこの命

私が大事にしたいものは
故郷に咲く野辺の花と
遙か海を渡る潮風と
山の端染める夕日
ゆうげの匂いのする裏通りと
山の向こうに流れる星と
そしてすべてを優しく包む
毛布のような故郷の風

私が大事にしたいものは
徒然の心を刻んだ五線紙と
部屋の片隅の古いギターと
ふと口ずさむこの歌
そして友よ
一緒に歌ってきた
私を信じてくれる友よ
たとえ離れることがあっても
最後にはつながる心の糸

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中学を卒業する時
音楽仲間「どんこう列車」の友達にあてて書いたものです。
片想いの相手にあてて書いた「ありがとう　そしてさよなら」と
親友にあてたこの歌が
中学を去る私の気持ちをつづった
いわば「二部作」です。

私は育った町を少し離れ
片道１時間半かかる町の高校に通うことになりました。
リーダーの友達は
同じくらい遠いけど私とは方向が違う　別の高校へ。
ほかの２人は地元の高校へ。
高校は見事にばらばらになってしまいました。

高校生活がどんなものだかまったく分からなかった私たちにとって、
これからも音楽活動が続けられるのか、とても不安でした。
そんな中で
これまで約２年間　一緒に音楽をやってこられたことへの感謝と
もしも続けられなくなっても
ずっと今の気持ちを大切にしてたい、という思いを
書き残しておきたかった。

しかし
私のかすかな不安をよそに
仲間たちとは結局　高校に入ってからも
音楽活動を続けることになります。

もしかしたら詞の冒頭の内容が
場合によっては不快な思いをさせてしまうことが
あるかもしれないと　不安になりましたが
「自分の命を大事にしたい」
ということを強調したくて
当時はこういう表現を考えました。
受け止めてもらえるかどうか、
あの時の心そのままに　ここに書き残します。

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