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「あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢うこともがな」和泉式部 「十三の墓標」(内田康夫:実業之日本社)は、和泉式部の墓をモチーフにしたミステリーである。警視庁きっての名探偵といわれる岡部警部のシリーズの一つであるが、この作品の実質的な主人公は、岡部警部の部下である坂口刑事である。 ある日、警視庁の坂口刑事を五歳の姪・山本和代が尋ねてくる。両親が帰ってこないというのだ。和代は、坂口の姉夫婦の娘である。 そして、義兄が死体で発見され、続いて姉までも。幼い和代が母の遺骨を目にして、大声で泣き出したとき、周りの者ももらい泣きした。風竜胆もしかりである。しかし、これは反則技ではないかと思う。内田センセの他の作品にも被害者の娘は出てくるが、この作品のように、幼い娘が両親とも失った話は初めてである。いくら小説とはいっても、ちょっとやりきれない。 この姉夫婦の事件の謎を探るのが、坂口刑事というわけであるが、手がかりとなるのは「イズミ」と言う言葉。 ところで、和代の祖父と言うのが、ひどい爺さんなのである。結局、すべての原因はたどっていけばこの爺さんにあるのだが、人として完全に失格である。犯人もとんでもないヤツだが、この爺さんも似たようなものだ。真相を知れば、それも当然なのかも知れないが。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「十三の墓標」(内田康夫:実業之日本社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 31, 2007
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周防探訪の最後の目的地は、「やまぐちフラワーランド」である。平成18年に開園した、まだ新しい公園で、県民が花と緑に親しむため、山口県が柳井市に整備したものだ。敷地面積:約15.0haの園内には、たくさんの花々が咲き乱れている。「やまぐちフラワーランド入り口」「やまぐちフラワーランド内その1」「山口フラワーパーク内その2」 このやまぐちフラワーランドのシンボルとなっているのが、花の観覧車・「花くるりん」である。直径15.5mで、24個のゴンドラが回転している。「花くるりん」 この観覧車には人は乗れない。近づいてみると、その理由が分かる。観覧車のゴンドラの中には、花が植えられているのである。「花くるりんのアップ」 (完)周防探訪2(白壁の街柳井)はこちら ○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 30, 2007
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観て来ました、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」。シリーズ第5作目である。 ついこの間、テレビで「ハリー・ポッターと秘密の部屋」を放映していたこともあり、まず第一に思ったのは、「みんな大きくなったね~!!」と言うことである。この後、完結するまでには、まだ2作あるが、大丈夫か。おじさん臭くなったポッターなんて見たくないぞ。 それはさて置き、前作で、例のあの人・闇の帝王ヴォルデモートがとうとう復活したが、魔法省のお役人たちは、現実を見ようとしない。このあたりは、どこのお役人も同じなのかもしれないが、あろうことか、ホグワーツにも干渉し、「闇の魔術に対する防衛術」の教師としてアンブリッジを送り込んでくる。 このアンブリッジというのが、とんでもないやつで、魔法省の権力を笠に、正に好き勝手やりたい放題で、「私が法律よ!!」という感じだ。今回の悪役大賞(こんな賞無いけど)は、ヴォルデモートよりアンブリッジだろう。こいつのせいで、せっかくいい雰囲気だった、ポッターとチョウの仲も気まずくなってしまう。 それにしても、ヴォルデモートの雰囲気の地味なこと。やはり、悪の帝王なら、仮面ライダーに出てくる地獄大使とか、死神博士なんかを見習って、もっと見るからに存在感があって欲しいと思うのは私だけか?(原作)・J・K・ローリング(監督)・デヴィッド・イェーツ(出演)・ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)・ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー)・エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー)ほか ★「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」公式サイトはこちら○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」ポスター&原作[日本語版、英語版](作:J.K.ローリング /訳:松岡佑子 ) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 29, 2007
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坂本龍馬といえば、知らない人はまずいないという、土佐出身の幕末の英傑の一人である。惜しくも、明治維新の直前に中岡慎太郎と共に、京都「近江屋」で暗殺された。犯人は、「新撰組説」、「見廻組説」、「土佐藩説」、「薩摩藩説」などがあるが、今もって真相は闇の中にある。○写真は、京都丸山公園内にある坂本龍馬と中岡慎太郎の像 この龍馬暗殺の謎をモチーフにしたミステリーが「QED 龍馬暗殺」(高田崇文:講談社)である。 薬剤師の棚旗奈々は、薬剤師会主催の学術大会に参加するために、幕末フリークの妹沙織と共に高知県を訪れる。そこで、大学時代の後輩全家美鳥に誘われ、美鳥の実家のある山奥の蝶ヶ谷村を訪れる。 この蝶ヶ谷村は、僅か4軒、10名の村人しか住んでいないというので、村というよりは集落ではないかと思うのだが、合併がどうのこうのという話も書いてあったので、市町村の村なのか。それにしては、村役場もないようであるが。 奈々たちは、別便でこの村に来ていた、このシリーズの主人公の桑原崇と共に、延々と龍馬談義を繰り広げるのである。 その一方、嵐により土砂崩れが起こり、村は孤立する。そして、僅か10名しかいない村人が次々に殺されたり自殺したりする。 しかし、そんな中でも、崇や奈々たちは、大酒を飲みながら、延々と龍馬談義をしている。 「いいのか!?」 もっとも、最後には、崇が、いつものように龍馬暗殺の謎を解くついでに蝶ヶ谷村の事件も解決するのであるが。 作品中で語られる薀蓄に関しては興味深いものがあるが、いくら土佐を舞台としていても龍馬暗殺の謎と蝶ヶ谷村の事件はあまりにかけ離れているのが残念だ。最後は、無理やりに関連付けたような感があった。それに、蝶ヶ谷村の事件の真相は、あまりにも現実離れしている。横溝正史あたりの作品の舞台となった時代ならぎりぎりありそうかなとも思うが、平成の時代に、いくら田舎でも、これはないだろう。 ツッコミどころは、色々あるのだが、それでも、このシリーズ、不思議に面白いのはどういうわけか。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ QED 龍馬暗殺(高田史:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 28, 2007
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内田康夫のミステリー小説は、浅見光彦シリーズが有名だが、その他にも色々な名探偵が登場する作品が存在する。岡部警部や竹村警部などは比較的有名であろうが、和泉教授という名探偵を主人公とした作品も、数は少ないながらキラリと光る存在である。 和泉教授は、年配の大学の法学部教授だが、別名フルムーン探偵と名づけられている名探偵でもある。もっとも、活躍しているのは、今回紹介する「釧路湿原殺人事件」(内田康夫)と「湯布院殺人事件」そして、若干の短編だけのようであるが。 あらすじをごく簡単に紹介しよう。和泉教授の娘・郷子がキャリア官僚で国立公園管理官の友利恵一と結婚するが、赴任先の釧路湿原で殺人事件が起きる。更に殺人事件が続き、友利が容疑者にされてしまう。更に和泉教授にまで、共犯の嫌疑が・・・ ミステリーとしてもおもしろいが、環境保護と開発、ノンキャリア事務官のキャリア官僚に対する思い、そして冤罪に関する問題など、色々と社会の歪を問う作品でもある。○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 27, 2007
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柳井市は、山口県の東南部に位置する、人口約3万6千人の小都市である。江戸時代には、「岩国吉川藩の御納戸」として栄え、現在も白壁の町並みが有名である。「柳井の白壁の町並」 柳井にも地名に関して一つの伝説が残る。その昔、豊後の国に住んでいた般若姫というお姫様が、橘豊日皇子(後の用明天皇:聖徳太子の父)の妃となるため上京したおり、この地の井戸で喉を潤した。般若姫と言う名前から、今流行の?「鬼嫁」を連想したり、鬼のような顔をしているなどと思ってはいけない。般若姫は、絶世の美女だったそうである。この時、井戸の側に挿した柳の楊枝が、一夜にして柳の大木になったと言われる。これが柳井の地名の起こりだ。この井戸は、現在も湘江庵というお寺に残っている。「湘江庵の柳と井戸」 柳井の白壁の町並は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、ぶらりと散策するのに良い。国の重要文化財である「国森家住宅」や県の有形民俗文化財「むろやの園」など様々な見所がある。「国森家住宅」 柳井の名物と言えば、なんと言っても甘露醤油である。その昔、殿様に献上したところ、「甘露、甘露」とお褒めの言葉を賜り、それが甘露醤油の名前の由来になったとのことである。二度仕込みという独特の方法で作られる、とてもおいしい醤油である。現在は三軒の蔵で作られているとのことであるが、その一つ佐川醤油蔵では醤油の製造工程などを見ることが出来る。「佐川醤油蔵」 もう一つ柳井のお土産と言えば「三角餅」である。パッケージも餅の形も三角形をしている。明治の文豪・国木田独歩の「置土産」という作品に出て有名になったそうだ。「三角餅を作っている藤坂屋」 (続く)周防探訪1(星降る街下松の笠戸島)はこちら ○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 26, 2007
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「遠夜に光る松の葉に、懺悔の涙したたりて、遠夜の空にしも白ろき、 天上の松に首をかけ。天上の松を戀ふるより、祈れるさまに吊されぬ」 萩原朔太郎「月に吼える」より「天上縊死」 萩原 朔太郎(1886年[明治19]~1942年[昭和17])は、群馬県生まれで、口語自由詩を確立した詩人として有名である。作品には、処女詩集「月に吠える」を始めとして、「青猫」、「蝶を夢む」などが知られている。 この萩原朔太郎の詩をモチーフにしたミステリーが、『「萩原朔太郎」の亡霊』(内田康夫:集英社)である。朔太郎の詩に見立てた、殺人事件が起こるのだ。今回の主役は、警視庁きっての名探偵、岡部警部である。岡部は、事件の真相を追い求めるが、そこには、30年前に起きた殺人事件の因縁が・・・。 朔太郎については、高校の文学史で習った程度の知識はあるものの、実際の作品は読んだことはなかった。なんと言う陰鬱な詩であろうか。この作品で扱われる事件の方も、負けず劣らず陰鬱なものである。岡部は、犯人に先手を取られながらも、次第に事件の真相を解き明かしていく。そして、最後は意外な真相が明らかになる。 この作品は、内田氏の第4作目に当たり、著者自身による解説によれば、広告関係の仕事から作家業への転向を決定付けた作品とのことである。作者の思い入れの深い作品だけあり、非常に面白いミステリーになっている。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「萩原朔太郎」の亡霊(内田康夫:集英社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 25, 2007
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山口県の下松市には、市名の由来となったちょっとロマンチックな伝説がある。推古天皇の時代に、鷲頭庄青柳浦という所にある松の上に星が降り、7日7夜輝き続けたというのだ。この星は、百済の皇子琳聖太子がこの地へ来ることを予言した。かって山口が西の京として栄えていた時代に、山口を支配していた大内氏の祖と言われている人物である。この星が「降った松」が「降り松」から「下松」に変化し、今の下松市の名前になったと言うのだ。下松市は「星降る街」なのである。 この下松市沖に浮かんでいるのが、風光明媚な「笠戸島」である。現在は「笠戸大橋」という連絡橋で本土と繋がっており、バス便もあるので、割と気軽に行くことができる。この笠戸島は造船業で有名でもあるが、最近はヒラメの養殖でも知られている。今回訪れたのは、笠戸島にある国民宿舎「大城(おおじょう)」、目的は、「ヒラメ会席」と温泉だ。ここにある温泉はナトリウムイオンやカルシウムイオンなどを含有する冷鉱泉であり、「潮騒の湯」と名付けられている。「国民宿舎大城」「ヒラメ会席」 ヒラメ会席に舌鼓を打ち、ゆっくりと湯に浸かる。まさに極楽、極楽である。バスツアーで行ったのだが、集合時間までにだいぶあるので、あたりを探索した。 ロビーの窓から見える、鮮やかなブーゲンビリアが美しい。「ブーゲンビリア」「海の景色」 黒アゲハが蜜を吸いに、飛んでいた。良く見ると、羽がぼろぼろである。優雅に見えるアゲハチョウも、意外に生存競争が厳しいということであろうか。「黒アゲハ」 そうこうするうちに、集合時間が来たので、次の目的地に向う。次は、柳井、白壁の街である。 (続く) ○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 24, 2007
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土曜の夜は、フジテレビ系列の土曜プレミアムで「時をかける少女」を観ていた。私くらいの年代のものには、非常に懐かしい作品である。 筒井康孝の小説が原作なのだが、1972年にNHKで「タイムトラベラー」という題名で放映され、1983年には大林宣彦監督の尾道三部作の一つとして、原田知世主演の「時をかける少女」が公開されている。今回の作品は、この時代から20年後の世界を舞台にしたアニメ映画である。実写版「時をかける少女」の主人公・芳山和子も、アニメ版の主人公・紺野真琴の伯母として登場している。もっとも声は、原田知世ではなかったが。 この物語の主人公真琴は、活発な女子高生である。男友達の津田功介、間宮千昭の3人でいつも野球をして遊んでいる。ある時、真琴は時を飛び越えるタイムリープの能力に目覚める。 女の子一人と男の子二人のトリオ、最初は三角関係の物語かと思っていたら、そうではなかった。功介が下級生から告白されるのを何とかうまくまとめようとする真琴。その一方、千昭から自分への告白はタイムリープを使って、結局無いことにしてしまう。最後は、千昭を好きなことに気付くが、意外な結末が・・・。どこか、青春時代のノスタルジーを感じさせるような面白い作品になっている。 しかし、私達の年代にとっては、「時をかける少女」といえば、キーワードは「ラベンダーの香り」なのだが、残念ながらこの作品には全く出てこない。未来は、色々なタイムリープの方法があるのだろうか。 ところで、タイムリープといえば、過去に戻った場合、その時間似存在していた自分が居る筈なのだが、そんな疑問は最初からさらっと無視してつくられている。まあ、あまり作品の面白さとは関係の無い部分なので、深く追求する必要はないのであろうが。 2006年の角川ヘラルド映画である。(原作)・筒井康隆(監督) ・細田守 ○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「時をかける少女」アニメ版&実写版 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 23, 2007
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飛鳥といえば豪華客船として有名である。「貴賓室の怪人(「飛鳥」編)」(内田康夫:角川文庫)は、内田センセがこの豪華客船で世界旅行をしたときの体験を基に書いた、浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。 今回、光彦に、豪華客船飛鳥に乗って取材をするという、大変おいしい仕事が舞い込んでくる。ところが、依頼人も目的も良く分からない。そして、乗船時に渡された「貴賓室の怪人に気をつけろ」という謎のメッセージ。 光彦の乗った飛鳥には、偶然にも内田センセが乗っていた。夫婦で、ロイヤルスイートである。なんと乗船料は二人で、田舎の方だと家が買える程の金額である。私などは、そんな大金見た事もないが、さすがは内田センセである。私が買った本の分の印税も、少しは貢献しているのであろう。 光彦は、この天敵ともいえる内田センセに見つからないように、色々と苦労しているのがなんとも面白い。 ところで、この船の中で、光彦と同室だった村田満という男が、死体で見つかった。一体犯人は誰か? 光彦は、警視庁から派遣された岡部たちと事件を調べる。岡部といえば、警視庁きっての名探偵であるが、この作品では、いつの間にか警視に昇進していた。でも、第一線の捜査官といえば、やはり警部がふさわしいような気がする。西村京太郎の十津川警部しかり、ルパン三世の銭形警部しかりである。警察の階級のことは良く知らないが、どうも警視というと、管理職的なイメージが強い。警視がミステリーで活躍しているのは、胡桃沢耕史の「翔んでる警視」位か。 内田氏は、何かのあとがきで、岡部と光彦はキャラがかぶるので共演は無いようなことを書いていた記憶があるのだが、ここではしっかりと共演している。 最後は、岡部としては、苦渋の結論。そして、物語は、第二部の「イタリア幻想曲」に続くのである。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「貴賓室の怪人」(内田康夫:角川書店) ○「飛鳥」関係書籍 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 22, 2007
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「祟りじゃ~!」 かなり昔に、この科白が流行になったのは、映画「八つ墓村」(1977:松竹)であるが、その原作が、横溝正史の小説「八つ墓村」である。舞台は岡山県の鳥取県との県境に近い寒村。この八つ墓村には、戦国のころこの村に落ち延びた八人の武者が、村人の裏切りに会い惨殺されたという伝説があった。その後村に怪異が起こり、村人は八人の落ち武者を八つ墓明神として祀ったという。 時代は下り、大正時代、村の分限者で、落ち武者殺しの首謀者の子孫である田治見要蔵が突如狂い、32人の村人を惨殺して姿をくらました。果たして落ち武者の祟りの再現か。 この事件から20数年後、化粧品会社に勤める要蔵の息子・寺田辰也は、田治見家を継ぐために村に戻ってくる。そして次々に悲惨な事件が・・・。 横溝正史というと、すぐ思い浮かぶ作品の一つが、この「八つ墓村」であろう。まさに、おどろおどろしい横溝ワールド全開といった作品である。 それにしても、肝心の金田一は役に立っていない。そのくせ、事件の全てが終わった後、「私は最初から、犯人を知っていたのですよ。」なんて言い出し、とうとうと能書きを述べている。それだったら、犯人に常時見張りをつけておくなり、何らかの手をうっておけとつっこみたくなるのだが。 余談ではあるが、この要蔵の32人殺しは、実際に岡山県で起こった「津山事件」というのがモデルになっている。また、「八つ墓村」の名前も、実際に最近まであった、真庭郡八束村(現在は合併により真庭市蒜山)から来ている。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「八つ墓村」(横溝正史:角川文庫)とDVD「八つ墓村」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら★記事とは関係ないけど、「ラ・ドーナ」というファッションのお店。バナーが動いて面白いので貼り付けてみた。普段金田一のような格好をしている人(いるわけ無いか)もたまにはおしゃれを!
July 21, 2007
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久しぶりに、宮部みゆきの時代物を読んだ。「震える岩」(講談社)である。主人公は、霊験お初。岡っ引の六蔵親分の妹で、「他人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる」という不思議な能力により、オカルティックな事件に立ち向かうのである。 今回立ち向かうのは、「死人憑き」、邪悪な妄念の塊で、人に取り付いて、殺人を犯す恐ろしい悪霊である。この死人憑きが出現した頃、田村家下屋敷にある、忠臣蔵の浅野内匠守が切腹した場所を示す石が鳴動しだす。果たして、死人憑きとの関係はあるのか。 今回、お初は、奉行から、与力見習いの古沢右京之介といっしょに、町方の探索を命じられる。与力の家を継ぐよりは、算学の道へ進みたいと思っている、どちらかといえばうらなり君と言った感じの青年である。しかしこれはいいコンビなのであろう。 お初は、パトス優位であり、あまりロゴス的なものは感じられない。右京之介が算額について熱心に説明してもあまり興味がないようで、右京之介を寂しがらせている。もっとも、お初は、右京之介自身については、結構気になっているようだが。 一方、右京之介は、算学を志すだけあり、ロゴスの徒である。なにしろ十二歳のときに、「塵劫記」の遺題を解いたほどである。(もっともそれがどんなものかは、私も知らないが) お初のパトスと、右京之介のロゴス、これらが相乗効果をもたらし、コンビになれば、名探偵振りを発揮してくれるのではないかと期待させる。実は、霊験お初シリーズ続編の「天狗風」も手元にあるのだが、積読状態の本が多いので、読み出すのは、ちょっと先になりそうだ。はたして、このコンビが続編でも活躍しているか、お楽しみ、お楽しみ・・・。「震える岩」(宮部みゆき:講談社) ○応援クリックよろしく! ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 20, 2007
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地理的なこともあり、東北には、せいぜい仙台あたりしか行ったことがない。秋田県にも機会があれば行ってみたいと思うのだが、なかなかありそうにない。秋田で、私が連想するのは、「あきたこまち」、「秋田美人」、そして「秋田杉」くらいであろうか。 ところで「秋田杉」といえば、かって、「(株)秋田県木造住宅 」という会社があった。この会社、普通の私企業ではない。首都圏での秋田杉の販売拡大を目的として、秋田県や地元銀行らが設立した第三セクターだったのである。あろうことか、首都圏で欠陥住宅を売りさばいた挙句倒産し、その責任を秋田県らがとろうとしなかったため、被害者が訴訟を起こし、実質的には原告勝訴で和解が成立したといういきさつがある。 浅見光彦シリーズのミステリー、「秋田殺人事件」(内田康夫:光文社)は、この「(株)秋田県木造住宅 」をモデルにした「秋田杉美林センター」が瓦解したあたりから時間が流れていく。 秋田県では、前知事が辞職し、新知事が、県政のイメージアップのため、浅見陽一郎の大学時代の後輩で、文部省婦人教育課長の望月世津子に副知事就任を要請してきた。その世津子に「警告、秋田には魔物が棲んでいる。」との警告文が送られてくる。相談を受けた陽一郎は、光彦に秋田行きを要請するのであった。副知事私設秘書として、光彦の秋田での活躍が始まる。 次第に解き明かされ来る、県や警察までも関係した壮大な不正。 今回は、あまり、旅情的なものはなく社会派ミステリーの面が強く出ている。秋田は内田氏の第四の故郷であるということである。その秋田でかって実際に起きたあきれるような事件。ミステリーの形を借りて憤りを書かなくてはならなかったのであろうか。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「秋田殺人事件」(内田康夫:光文社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら*** 追伸 ***今日になってすぐに、10万アクセスを達成していた。これからも応援をよろしく御願いします。(参考:アクセス記録)100000 2007-07-19 00:27:26 *.megaegg.ne.jp
July 19, 2007
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「Mr.インクレディブル」は、ディズニーのヒーローアニメである。この世界では、ヒーロー達が平和を守るために活躍していた。ある時、Mr.インクレディブルが自殺者を助けたが、死にたかったのにいらんことをしたたということで、訴訟を起こされてしまう。このあたりが、いかにも訴訟社会のアメリカを象徴しているようで面白い。日本だったら、絶対勝てないし、訴訟そのものもまず起こすものはいないであろう。ところが、さすがアメリカ、これがきっかけでヒーローに対するパッシングの嵐が起こる。ヒーロー達は、普通の人間の中に身を隠して生活をしなくてはならなくなってしまうのだ。しかし新たな敵が現れる。 この敵は、手ごわく、Mr.インクレディブルは一家で立ち向かうも度々ピンチに陥ってしまう。しかし、以前は、一般人の中に隠れるように過ごし、どこか鬱々としていた一家だが、戦いを通して家族の絆を強め成長するのである。特に娘のバイオレットは、この戦い前はどこか自信が無く、雰囲気も、「リング」の貞子のような感じだったが、戦い後はとても明るくなり男の子にももてるようになる。 ストーリーの方は単純に面白いのであるが、どうも、アメリカ人の美的感覚は良く分からん。日本のアニメを見慣れている目から見れば、あちら製のアニメは、どうも大作りで、キャラクターの顔も変なので、なじめないところがある。日本のアニメがあちらでも結構人気があり、昔からジャポニズムといって日本文化が欧米でしばしば流行することも考えれば、日本の美的感覚が、欧米と全然異なるということはないと思うのであるが。(監督)・ブラッド・バード○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ DVD「Mr.インクレディブル」風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 18, 2007
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「わが庵は 都の巽 鹿ぞ住む 世をうぢ山と 人は言ふなり」 六歌仙の一人である喜撰法師の歌である。まさか、この歌にあのような暗号が隠されていようとは・・・ それを明らかにしてくれるのが、「QED 六歌仙の暗号」(高田崇史:講談社)である。最近、すっかりQEDシリーズにハマッてしまったようだ。この作品は、シリーズの2作目に当たるのだが、最初から順を追って読んでいる訳ではないので、読んだのは、5作品である。 このシリーズの主役である桑原崇や棚旗奈々の母校である明邦大の文学部には、七福神に関する論文禁止の通達が出ていた。同大4年の斉藤貴子はあえて、七福神を卒研のテーマに選ぶ。2年半前に、兄の健昇が七福神の研究をするために出かけた京都で事故死したのだ。出かける前に、「七福神は呪われている」の言葉を残して。その後も、連続怪死事件が発生し、七福神の論文はタブーとなっていたのである。貴子は奈々や崇に協力を仰ぎ、京都で七福神の謎を追い始める。 この作品、タイトルは「六歌仙の暗号」なのに、延々と七福神の話が続いている。いったい、肝心の六歌仙の方はどうなったと思っていたら、最後の方でうまく七福神と繋がっていた。そして、冒頭の歌に込められた暗号の謎も明らかになる。 この作品、他のシリーズと同様、事件の方の犯行動機は、ちょっと現実離れしているような気がするが、七福神や六歌仙に秘められた謎を解き明かしていく過程には感心させられる。[参考]○六歌仙 大伴黒主、小野小町、文屋康秀、在原業平、僧正遍照、喜撰法師 ○七福神 大黒天、弁財天、毘沙門天、恵比寿、福禄寿、寿老人、布袋 ○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ QED六歌仙の暗号(高田崇史:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら○関連ブログ記事・読書NOTE ~読んだ本の記録ブログ~
July 17, 2007
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どうも日本人には、まだまだ欧米に対して憧れがあるのだろうか。欧米への留学を希望する若者が結構いるようである。しっかりと目的を持っていくのなら、それなりの投資効果は得られるであろうが、ただ漠然と英語がうまくなりたいとか、行けば何かいいことがありそうだ位の気持ちで行く者も多いようだ。「留学で人生を棒に振る日本人」(栄陽子:扶桑社)はそんな安易な留学に対して、警鐘を鳴らす書である。著者の栄陽子氏は、自らも留学経験があり、現在は留学エージェントなどをしている人である。栄氏が自らのエージェント経験などをもとに書いたのが本書である。 読むと、留学に関する様々な悲惨な事例が出てくる。向こうでの教育事情などを良く調べないままに、エージェントの言うことを鵜呑みにして、間違った留学をしてしまうのである。留学エージェントの方にもピンキリがあるようだ。何の知識も無いと言われてもしかたのない業者もいるらしい。 留学に対する最も大きな勘違いは、「英語を勉強しに留学する」と言うものであろう。日本で英語が出きるようにならなかったので、向こうに行けばなんとかなるだろうと思ってのことであろうが、この本で栄氏が言っているように、「日本で六年も八年も英語を勉強したのに伸びなかった英語力が、場所を変えただけで突然上がるわけが」ないのである。そもそも英語は、単なる道具に過ぎないのであるが、手段と目的が入れ替わっていることがいかに多いことか。 ハーバード等の名門大学希望していた者が、エージェントに言われるままにコミュニティカレッジに入学し、そこが想像していたところとまったく違うという現実を知り唖然とする。笑えない話だ。 留学を考えている人には、ぜひ一読することをお勧めしたい本である。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「留学で人生を棒に振る日本人」(栄陽子:扶桑社) ○関連記事・「日本に留まりたかったら、一度は留学しておくべき」:404 Blog Not Found・「海外で勉強して働こう」:On Off and Beyond・「「海外で勉強して働こう」に一言いっておこうか」:ひがやすを blog風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 16, 2007
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土曜日の夜はフジテレビ系列の土曜プレミアムで「島根の弁護士」を観ていた。週間「ビジネスジャンプ」(集英社)に連載されている同名の漫画を原作としたドラマである。 島根県は、出雲神話で知られており、大国主命を祀った出雲大社は全国的に有名である。松江城、宍道湖、玉造温泉などの観光名所も多い。また、「怪談」を書いたラフカディオハーンのゆかりの地でもある。ちなみに、最近世界遺産登録が決定された「石見銀山」も島根県である。○写真は「出雲大社」 一方、島根県は、「弁護士の数が日本一少ない県」でもあるらしい。この島根県に赴任してきた新人で37人目の弁護士・山崎水穂のがんばりぶりを描いたのが、この「島根の弁護士」である。 遅刻常習犯でドジッ娘の水穂だが、依頼人のためには、いつも本音で、全力体当たりである。自らの主義主張に裁判を悪用しているとしか思えない、最近話題の某弁護団に、爪の垢を煎じて飲ませたいと思う。 主演の水穂を演じている仲間由紀恵は、あいかわらず美しい。ため息をつきながら観ていた。(ちょっと大げさか)水穂が下宿している家のおばちゃんが梶芽衣子だとは、連れ合いに言われるまで気がつかなかった。「女囚さそり」なんかでクールな美女がはまり役だったのに、ちょっとびっくり。 最後の方は、ちょっと今後への含みを持たせるような終わり方だった。原作の漫画の方もまだ続いているので、ぜひとも続編を作って欲しいものである。 ロケは松江で行われており、宍道湖の風景が美しい。ところで、劇中で話されていた言葉は、どこの言葉のつもりだったのだろうか。残念ながら、あの味わいのある出雲弁とは全然違っていたのだが。(原作)・香川まさひと(作)・あおきてつお(絵)[集英社ビジネスジャンプ連載中](出演)・仲間由紀恵(山崎水穂)ほか○「島根の弁護士」公式サイトはこちら○応援してね! ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「島根の弁護士」(あおきてつお/香川まさひと:集英社) ○宍道湖のしじみ関係色々 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 15, 2007
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倉敷市玉島地区に円通寺という曹洞宗の寺がある。良寛が修行した寺である。良寛(1758[宝暦8]~1831[天保2])は、越後国(新潟県)出雲崎の出身の僧侶である。名主の家に生まれたが、18歳で出家し仏門に入った。生涯寺を持たず、その無欲な性格で、人々に愛されたという。また、子供好きで、子供達と良く遊んでいたらしい。 「北国街道殺人事件」(内田康夫)は、その良寛をモチーフにしたミステリー小説である。もっとも、良寛だけではちょっと寂しかったのか、作品には、良寛と生誕地の近い小林一茶も出てくる。しかし、事件の本筋に関係してくるのは、良寛の方だけである。 事件は、野尻湖の発掘現場で、人骨が出てきたことに始まる。その骨の主は、畑野高秀という大学教授で良寛の研究者であった。 一方、この話のヒロインとも言える田尻風見子が、良寛が晩年を過ごした五合庵への道筋で出会った二人の男のうちの一人が殺された。殺された男は大学助教授の大沢雄一、やはり良寛の研究者である。 この事件の捜査をするのが信濃のコロンボこと、竹村警部である。実は、これらの事件の背後には、壮大なからくりがあるのだが、竹村警部が、次第に謎の全貌に迫っていく過程は、非常に面白く読むことができる。 良寛は、この作品中で、風見子に、かなりのダメ人間といった言われ方をしている。(最後の方で一応フォローはしているのだが。)でも、優しい良寛様のこと、笑って許してくれるに違いない。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「北国街道殺人事件」(内田康夫) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 14, 2007
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よくテレビで、西村京太郎のトラベルミステリーである十津川警部シリーズをやっている。警視庁の敏腕警部である十津川省三が、難事件を解決すると言うものだ。十津川警部といえば渡瀬恒彦だという先入観があったのだが、この間は高橋英樹がやっていたので、ちょっと驚いた。調べてみると、どうも放映するテレビ局が違っているようだ。 実は、このシリーズ、手を出すまいと思っていた。それでなくとも、かなり積読の本がたまっている。もしも面白いなんて思ってしまえば、凝り性の私のこと、膨大な作品群を前に収拾がつかなくなってしまう可能性がある。京極夏彦の「邪魅の雫」なんかも、かなり前から手に入れてはいるが、あまりの分厚さに未だ読み出す勇気が無い。 しかし、「出雲」タイトルに引かれてつい買ってしまった。「出雲神々の殺人」(西村京太郎:双葉社)である。旅行好きで、古代好きで、薀蓄系の書物が好きな私には、そのタイトルの魅力に抵抗できなかったのである。 ストーリーを簡単に紹介しよう。女性ばかりを狙って、次々に殺人事件が起こる。現場に残る「神が人を殺した」という謎のメモ。十津川は、事件の手がかりを求めて出雲に・・・。 話の構成としては、ストーリーが、ほとんど寄り道もせずに、一直線に進んでおり、十津川の捜査記録を読んでいるような感じである。残念ながら、あまり旅情が感じられるような場面もなかったし、薀蓄も八幡神について少しあったくらいで、そう大層なものでもなかった。 ところで、殺人事件の方だが、十津川の推理した犯人像に沿って捜査を進め、事件を解決しているのだが、このあたりの推理には少々無理があるのではないかと思う。それとも、十津川が神がかり的なのか。 少し私の趣味からは離れているようなので安心した。当分は積読の解消に専念できそうだ。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 出雲神々の殺人(西村京太郎:双葉社) ○出雲といえば出雲そば 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 13, 2007
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「世の中に祟りだの呪いだので死んだり生きたりすることがあってたまるもんか。祟りなんかより、人間の仕業のほうがよっぽどたちが悪い。」(内田康夫:中央構造帯) 平将門といえば、私達の年代には、かってNHKで大河ドラマとして放映された、海音寺潮五郎原作の「海と風と虹と」が頭に浮かぶ。劇中で将門を演じていた加藤剛のイメージが非常に強いのである。 歴史に知られる将門とは、桓武平氏の一門であるが、当時の朝廷に対抗して、関東で乱を起こし、敗れた武将である。その首は、都に運ばれ曝されたというが、あるとき胴体を求めて関東に飛んでいき、落ちたところが、現在の東京大手町にある首塚であると言う。これ以外にも、将門伝説は色々な所に残り、銭形平次で有名な神田明神なども将門を祀った神社である。 この平将門をモチーフにした小説としては、荒俣宏の「帝都物語」などがあるが、内田康夫の「中央構造帯」(講談社)も将門伝説をモチーフにした浅見光彦シリーズのミステリー小説である。 今回の舞台は、東京の巨大銀行。そこには、「将門の椅子」と言われる席があり、そこに座った社員が次々に不審な死を遂げていく。といっても、この小説、別にオカルトものなんかではなく、かってバブルの時代、銀行がいかにひどいことをやってきたかを鋭く糾弾しているバリバリの社会派小説なのである。銀行に対する厳しい批判に、戦時中の因縁や将門伝説をうまく絡ませて味付けされている。 ちなみに、今回のヒロインは阿部奈緒美。光彦の大学時代の同期であり、その巨大銀行に勤めている。いつもヒロインにモテモテの光彦だが、どうも、彼女にとっては、同期以外の何者でもないようで、心はときめかなかったようである。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「中央構造帯」(内田康夫:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 12, 2007
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岡山県と言えば、桃太郎を連想する人が多いであろう。晴れの国岡山の桃太郎に吉備団子、なんとも牧歌的なイメージである。桃太郎とは何をした人かと聞けば、すぐに「鬼退治」という答えが返ってくるだろう。それでは「鬼」とは一体何であろうか。そして、桃太郎とは一体何者か。 岡山には一つの伝説が残る。温羅(うら)伝説である。温羅は元々は百済の王子であり、岡山県総社市の鬼城山(標高397m)に遺跡が遺る鬼ノ城を根城にして、悪行を重ねていたという。そこで、温羅を討伐するため、崇神天皇が、四道将軍(よつのみちのいくさのきみ)の一人である吉備津彦命(きびつひこのみこと)を派遣した。吉備津彦命が陣を構えたのが、現在の吉備津神社である。戦いの末、温羅は吉備津彦命に左目を射られ、雉に化けて逃げた。命が鷹になって追いかけると、温羅は鯉になったので、命は鵜になって、これを捕らえた。この伝説に関係して、矢喰神社、血吸川、鯉喰神社などが今も残っている。温羅の首は、吉備津神社の釜殿の釜の下に埋められた。この温羅の首が釜を鳴らすと言われ、それにより吉凶を占うのが今に伝わる鳴釜神事である。 この吉備津彦命が桃太郎であり、鬼とはもちろん温羅のことである。しかし、本当に桃太郎がヒーローで、温羅は悪い鬼だったのだろうか。歴史は常に勝者の側から書かれるのである。 この温羅伝説をモチーフにした薀蓄系ミステリーが「QED 鬼の城伝説」(高田史:講談社)である。 岡山市役所の観光課に勤めている妙見明日香の婚約者、鬼野辺健爾が鬼野辺家の土蔵で殺される。この鬼野辺家にも、釜鳴りの言い伝えがあった。ただし、こちらは、釜が鳴ると主が死ぬというのだ。 ジャーナリストの小松崎良平は、明日香の友人の百田優子と猫村吉子から事件についての手紙をもらい、桑原祟や棚旗奈々とその妹の沙織を誘い、岡山に赴く。ただし、崇は、遅れてくるので、この作品の半分以上は、崇以外の三人の活動になる。 前半、三人は百田優子と猫村吉子に吉備路を案内されている。この二人、やたら吉備地方の伝説や歴史に詳しく、只者ではないと思っていたが、結局普通の人だった。このあたりは、内田康夫の作品のような旅情ミステリーの雰囲気がたっぷり漂っており、いつものような薀蓄ミステリーの感じはあまりない。やはり、真打の桑原崇が出てこないと、雰囲気が大分違う。崇は、後半でやっと岡山にやってきて、いつものように、ひとしきり温羅伝説に関する薀蓄を述べて、そのついでに現実の事件をも解決してしまう。 奈々の妹沙織のキャラクターがなんとも魅力的だ。スピンアウトの物語をつくれば、結構面白いのではないだろうか。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ QED鬼の城伝説(高田史:講談社) ○岡山の美味しいもの 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 11, 2007
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富山県高岡市といえば、かっては、前田利長(加賀藩祖前田利家の長男)の城下町として栄えたところでである。越中国の国府だったこともある。 伝統産業として、高岡銅器が有名であり、梵鐘や仏具などを製造している。日本の鐘のほとんどは高岡市で作られているとのことである。また、この町には、銅器の技術を活かして作られた高岡大仏があり、日本三大仏の一つとされている。 「鐘」(内田康夫:講談社)は、この鐘をモチーフにした浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。聖林寺は浅見家が檀家世話人を務める寺である。ある夜、夜中は鳴らないはずのこの寺の鐘が鳴る。住職の話では、鐘から血が滴っていたという。それからまもなく、その鐘の撞き座の模様が顔面についた男の死体が隅田川で発見され、光彦は、事件の謎を追い始める。 四国高松、広島県尾道・因島、富山県高岡そして京都を舞台に光彦の推理が冴える。「鐘」(内田康夫:講談社) ○応援クリックよろしく! ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 10, 2007
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「晴らせぬ恨み、晴らします」 土曜の夜は、風竜胆、感涙に咽んでいた。(ちょっと大げさか?)なにしろ、あの必殺仕事人が、1回限りのスペシャルとはいえ、テレ朝系の番組で「必殺仕事人2007」として放映されたのだから。なんと15年ぶりの復活である。 たしか、中村主水は、シリーズの完結編とも言える「必殺! 主水死す」で、壮烈な最期を遂げたはずなのだが・・・ そんな事実は、闇に葬り?、主水さん、何事もないような顔で出演していた。「婿殿」のいびられぶりも相変わらず健在でうれしい限りだ。 この作品、出だしでいきなりワルを退治したが、その裏には、もっと悪いやつがおり、仕事人たちがそのワルたちを退治するというもの。 今回は、主水はちょっと後ろに下がって、新しく南町奉行所の定町廻り同心となった渡辺小五郎が主人公のような扱いになっている。主水さんは書庫番に左遷だが、のんびりできるので、かえって喜んでいるような感じだ。 この渡辺小五郎もやはり「婿殿」であり、仕事の道具は剣なので、主水とキャラがだいぶかぶっているが、まだまだ貫禄不足を感じる。まだまだ本家「婿殿」を超えるまでには、だいぶかかりそうだ。(監督)・石原興 (出演)・藤田まこと(中村主水)・菅井きん(せん) ・白木万理(りつ) ・東山紀之(渡辺小五郎)・松岡昌宏(経師屋の涼次)・大倉忠義(からくり屋の源太)・和久井映見(花御殿のお菊)ほか ○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 必殺シリーズのDVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 9, 2007
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「変身~!」 懐かしい言葉だ。もちろん仮面ライダーである。故石ノ森章太郎の人気ヒーローものだ。 仮面ライダーが初めてテレビ放映されたのは、確か私が高校生の頃である。白黒テレビで、受験勉強をしながら観ていた。その後、色々な仮面ライダーが登場し、現在でも続いている。 しかし、ライダーの種類があまりにも、多くなったことと、せいぜいV3位までしか思い入れが無いため、私にとっては、 仮面ライダー1号 仮面ライダー2号 仮面ライダーV3 仮面ライダーその他なのであるが。 この、1号本郷猛、2号一文字隼人を主人公にした映画がつくられていたことを最近知った。敵はもちろんショッカー。しかし、この二人、最初から力を合わせていたのではない。最初は敵同士だったが、やがて協力するようになったのである。 V3を演じた宮内洋が立花藤兵衛役で出ており、なんとも懐かしい。大人でも十分楽しめる作品である。 この映画は2005年放映であるが、今年秋に続編「仮面ライダー THE NEXT」が公開予定だそうだ。(原作)・石ノ森章太郎(監督)・長石多可男 (出演)・黄川田将也(本郷猛) ・高野八誠(一文字隼人、矢野克彦) ・小嶺麗奈(緑川あすか) ・宮内洋(立花藤兵衛) ・ウエンツ瑛士(三田村晴彦) ・小林涼子(原田美代子) ほか○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ DVD 仮面ライダー THE FIRST(DVD)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 8, 2007
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光彦が死んだ!? そんなことがあったら、このシリーズを内田センセが続けられなくなるので、もちろんそんなことはない。しかし、今回読んだ「浅見光彦殺人事件」(内田康夫:角川書店)は、読者にそんな心配をかける作品である。 今回のヒロインは、寺内詩織。その詩織の父大輔が広島への出張中に殺されるのである。詩織の母は既に亡くなっていて、今わの際に、「思い出のトランプの本」を守るよう言い残していた。父が死ぬ前に、その「トランプの本」の謎が解けたという電話があったのだ。更に大輔の部下であった野本も、「柳川で面白いものを見つけた。」という葉書をよこしたまま行方不明になる。 この作品、犯人は、かなり早くから、こいつだと見当がつくのだが、分からなかったのが「トランプの本」の謎。実は、大輔は、常務の添島の異常とも言える引きで部長にまで出世していたのだが、その裏には、母親の内助の功、いやこれを内助の功というのはどうも抵抗がある。この手の話は後味がよくないのでどうも好きではないが、それが、「トランプの本」に関係しているのである。 光彦は、詩織に自分から近づいて事件に関わるのであるが、詩織の近辺に、光彦とキャラのかぶる木下と名乗る男がうろつく。この男、刑事たちの言動から、もしかすると警視庁きっての名探偵岡部警部かとも思ったが、さすがは内田センセ、全く違う結末を用意していた。以前読んだ内田センセの他の作品の後書きの通り、やはりこの二人の競演はありえないようだ。 最後は、びっくりするようなどんでん返しが控えていた。すっかり内田センセにやられたという感じだ。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 7, 2007
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知らない人はあまりいないと思うが、シャーロック・ホームズとは、コナン・ドイルによる推理小説の主人公である。私は、内田康夫の浅見光彦シリーズをよく読むのだが、ホームズは、光彦のみならずすべての名探偵の宗家と言っても良い存在である。ホームズシリーズは、1887年に「緋色の研究」が発表されて以来、1927年まで、長編4作と短編56作の計60作が発表されている。 このホームズシリーズの熱狂的な愛好者は世界中に散らばっており、シャーロキアンと呼ばれている。彼らは、あたかもホームズを実在の人物のように看做し、上記の60作を正典と読んで、色々な研究をしている。ホームズはもちろんドイルの創作によるものであり、その作品には、数々の疑問や矛盾が含まれているが、それをあたかも実際の出来事のように考えて、その謎を解き明かそうという、非常に知的な趣味である。 ところで、ホームズの宿敵はモリアーティ教授である。ホームズは、「最後の事件」でそのモリアーティとライヘンバッハの滝に落ちて、一旦は死亡したことにされるが、実は落ちたのはモリアーティ教授だけであり、しばらく身を隠した後「空き家の冒険」で復活している。このライヘンバッハの事件の前後で、ホームズが全く別人のようになってしまったというのが、ホームズにまつわる大きな謎の一つらしい。例えば、得意だったバイオリンを弾けなくなったり、中毒になっていたコカインをきっぱりやめたりしている。 この謎を見事解き明かしたのが「QEDベイカー街の問題」(高田崇史:講談社)である。一応ミステリー仕立てになっている。主人公の桑原崇と棚旗奈々が、シャーロキアンのクラブである「ベイカー・ストリート・スモーカーズ」のパーティで殺人事件に遭遇する。自身がシャーロキアンであった崇は、見事ホームズの謎を解き、ついでに殺人事件も見事解決する。 ホームズは、架空の人物と分かっていても、この作品で展開される見事な推理には、本当に真実はそうだったのかという錯覚に陥らせてくれる。でも、ホームズがコカイン中毒だったとは知らなかった。子供の頃読んだ本には、さすがにそんなことは書いてなかっただろうな。 「QEDベイカー街の問題」(高田崇史:講談社) ○シャーロック・ホームズのDVD ○応援クリックよろしく! ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 6, 2007
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最近、山崎ハコの曲を良く聞いている。「電波少年」や、「ちびまる子ちゃん」に出てきたこともあるのだが、最近の若い人はあまり知らないかもしれない。でも、私くらいの年代だと、知っている人は多いと思う。大分県日田市出身のシンガーで、わずか150cm足らずの小さな体からは想像できないくらいパワフルだが、哀愁を帯び、聞き手の心を鷲掴みにするような歌声が持ち味である。 私の学生時代 山崎ハコには結構コアなファンもいたのだが、一般には、暗いと言うイメージが強かった。 なにしろ、「コンコン、コンコン、釘をさす。ワラの人形、釘をさす」(呪い)という歌もあるくらいだから。もっとも、私は、この曲は、半分シャレでつくったのではないかと思っているのだが。 極端なヒットはないものの、「ヨコハマ」やかって原田美枝子主演の映画「地獄」(1979年作品)の主題歌ともなった「心だけ愛して」など、名曲は多い。 「望郷」や「織江の唄」などを聴くと、頭の中に、田舎の情景が、鮮やかに浮かんでくる。 学生時代は、かなりLPのアルバムを持っていたのだが、いつの間にかどこかにいってしまった。最近はCDを手に入れて、最近買い換えたばかりのラジカセで聞いている。横溝正史あたりのドラマの挿入歌なんかに使えば結構合うんじゃないかなという気がするのだが。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ CD「歌いたいの」、「飛・び・ま・す」、「刹那の夢」(山崎ハコ) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 5, 2007
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周防・石州バスツアー3(匹見狭温泉) 津和野を散策した後は、このツアー最後の目的地である匹見狭温泉「やすらぎの湯」に向う。匹見狭温泉は、島根県益田市匹見町にある鄙びた温泉である。泉質は、内湯が単純弱放射能冷鉱泉、露天が単純弱放射能温泉である。 何もないところだが、たまには、こんなところで、のんびりするのも良いだろう。 「匹見狭温泉看板」 「匹見狭温泉やすらぎの湯」 「狸の置物」 のんびりとお湯に浸かって十分くつろいだ後、バスで帰路についた。 (完)★周防・石州バスツアー2(津和野)はこちら ○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 4, 2007
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百人一首とは、鎌倉初期の大歌人、藤原定家により編纂された私撰和歌集である。高校の古文の授業で暗記させらた人も多いと思う。ところが、この百人一首には驚くべき秘密が隠されているというのだ。これを見事に解き明かした薀蓄系ミステリーが「QED百人一首の呪」(高田崇史:講談社)である。第9回メフィスト賞受賞作品である。 貿易会社社長の真榊大陸は、有名な百人一首のコレクターであった。その大陸が自宅で殺された。片手に百人一首の札を握り締めて。この物語の主人公は薬剤師の桑原崇。どこか京極夏彦の小説に出てくる京極堂を連想させる博覧強記の男だ。崇は大学時代の友人小松崎の依頼で大陸の握っていた百人一首の札にこめられたメッセージを、大学時代の後輩でやはり薬剤師の棚旗奈々と調べ始める。 百人一首における最大の謎はあまりにも駄作が多いことであるらしい。同じ作者でも、ずっと良い歌があるにもかかわらず、言霊の達人藤原定家が、ある目的を持って編纂したためであると言う。この謎を、二人は延々と追及していくのである。だからかなりのページを百人一首の歌が占めている。 そういえば、高校時代に、古文の授業で百人一首を暗記させられた。当時は、確かに全部覚えていたはずなのに、この本を読んでみると、全く覚えの無い歌が結構ある。百人一首って昔と、中身変わったのか?(そんなわけないか。)きっと忘れてしまった歌が駄作だったのだろうと勝手に想像する。 この百人一首の謎解きが、延々と続き、最後についでに殺人事件も解決といった感じのミステリーなのだが、この謎解き部分がなかなか読み応えがあり、感心させられてしまう。○ブログの内容が気に入ったら応援してね。クリックでランクが上がります。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ QED百人一首の呪(高田史:講談社) ○たまには優雅に百人一首でも 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 3, 2007
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周防阿弥陀寺を観終ると、山口県を出て隣の島根県に入る。目的地は、4月に行ったばかりの津和野だ。日帰りバス旅行で近場しか行かないので、以前行ったところもツアーに組み入れられている場合が多い。しかし、津和野のような場所は、行く季節が違えば、また別の顔を見せてくれるので、一度や二度行っただけでは味わいつくせない。 津和野といえば、やはり鷺舞であろう。今年は7月20、27日に催されるようだ。国の重要無形民俗文化財に指定されている。「津和野鷺舞の像」 まずは、昼食である。山菜寿司と石州ソバである。ソバの方は食べ放題ということだが、いかにもつくり置きといった感じで、正直あまり美味くはなかった。それでも食べ放題の言葉に釣られて、2回も御代りをした自分って・・・「津和野の昼食」 今回の津和野のメインは花菖蒲。鯉の泳ぐ掘割に植えられている花菖蒲が、ちょうど見ごろであった。桜のときも綺麗だったが、花菖蒲の咲く津和野もなかなか良い。「津和野の花菖蒲」 津和野の歴史といえば、乙女峠の悲劇が有名だが、写真は、その乙女峠の展示室もある「津和野カトリック教会」である。ゴシック風の建築が、小京都津和野によく似合っている。「津和野カトリック教会」 殿町にある津和野町役場は、家老職であった大岡家屋敷跡地に建っており、歴史を感じさせる建物である。津和野町は、2005年(平成17)に隣の日原町と合併したおり、本庁者は旧日原町役場に定められたので、現在は津和野庁舎として使われている。「津和野町役場津和野庁舎」 (続く)★周防・石州バスツアー1(周防阿弥陀寺)はこちら ○応援してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ ○楽天で見つけた津和野グッズ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 2, 2007
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最近、恩田陸の作品も良く読んでいる。今回読んだのは「木曜組曲」(恩田陸:徳間文庫)というミステリー小説である。舞台は、重松時子という謎の死をとげた作家の家。耽美派小説の巨匠だったという設定だ。毎年1回木曜日をはさんだ3日間、時子に関係する5人の女性達がこの家に集まり、時子をしのんでいる。一人は編集者で残りの4人は、それぞれジャンルは違うが物書きである。 4年目の今回、届いた花束に添えられた謎のメッセージ。それをきっかけに、彼女たちの、事件についての告白が始まる。それぞれが、あの時子の死に関して胸に秘めていたことがあったのである。彼女達は、時に誰かを追求しながら、秘めていたものを次々に吐き出していく。そうして明らかになる、時子の死の真相。 結局彼女達は、知らず知らずのうちに、時子の呪縛に囚われていたのだ。心の中に隠していたことを吐き出し、そして事件の真相が明らかになることにより、彼女達は、その呪縛から解き放たれ、新たなステップに踏み出していくのである。その意味では、この作品は、謎解きを中心としたミステリーに加えて、4人の女性作家たちが時子という大きな壁を乗り越えて成長する物語の一面を持っているとも言えるであろう。 それにしても、彼女達、毎年3日間もよく話が尽きないものである。私などは、無口な方なので、1時間もすれば話すことが無くなってしまうのだが。「女三人寄れば姦しい」という諺があるが(ちなみに「かしまし娘」の芸名もここから来ているらしい)、女性が、五人も集まるとこんなものなのだろうか。 そして、最後はやっぱり恩田陸らしいオチのついた終わり方だった。○応援よろしくね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「木曜組曲」(恩田陸:徳間文庫)& DVD 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 1, 2007
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