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ヒーロー


 美羽は、隣でうとうとしている潤也に声をかけた。

 「潤也、知ってる?これ。」

 「・・・・なんだよ?」

 美羽が持っているのは、映画のパンフレットだった。

 「観た?これ。」

 「・・・・観てねーよ。」

 「あのね、一人の犠牲で世界が救えるって話なんだけど・・・。潤也はどうする?もし、誰か一人が死ねば世界が助かるとしたら。」

 「・・・・実際そんなことありえねーだろ。」

 「だから、もし、だよ。どうする?もし、自分が死ねば世界が救えるとしたら。」

 「・・・・めんどくせー。」

 「もう!真面目に聞いてよ!」

 潤也はえらく真剣な美羽を見て、ほんの少しだけ真面目に考えた。

 「・・・・どっちにしても、俺は死ぬんだろ?それなら別に構わないんじゃねーの?」

 「・・・・・・・・・そう、かな・・・・。」

 どうやら美羽の期待していた回答とは違ったようだ。

 「おまえは?」

 「・・・嫌だよ、そんなの・・・・。」

 「なんでだ?どっちにしても自分は助からないんだぜ?それなら最後ぐらい、勇気もって活躍してもいいんじゃねー?どっちにしても自分にとっては変わらねーんだ。」

 「変わらなくないよ!だって・・・・たった一人で死ななきゃいけないんだよ?きっと、みんなすぐに私のことなんて忘れて、普通の生活が始まるんだよ?そんなの、さびしすぎるよ・・・。」

 そう言って、美羽はうつむいた。

 「・・・もし、私が死ねば世界が助かるとしたら・・・潤也は、どうする?私が、そんなの嫌だって、潤也のところに逃げて来たら、どうする?」

 「・・・あのな、嫌って言ったって、世界が無くなればおまえはどうせ死ぬんだぜ?」

 「それはわかるけど・・・。一人は、嫌だよ・・・・。」

 美羽の瞳に涙がにじんだ。

 「なんか現実にそうなってるみてーに心配すんだな。」

 潤也が少し呆れたように言う。

 そして、美羽の体を抱き寄せた。

 「もしそうなったら、俺んとこに来いよ。俺が一緒に死んでやる。どうせ死ぬなら、二人で英雄になってやろーぜ。」

 「・・・・うん。」

 美羽は嬉しそうに微笑んだ。




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