甘い林檎を持って行こう―――――。

そしていつもの場所、いつもの刻―――――。

そこにはきっと・・・きっと彼が―――――。

ガチャリ。部室のドアが開いた。不二がひょっこり顔を出して、辺りを見回す。
「いたいた。」
それに気付いて、手塚が振り返る。そこにあるのは、不二のニッコリスマイルだった。
「不二・・・・。」
「お疲れ様。少し休憩したら?」
「いや、まだやらないと終わらないからな。」
「そんなに大変なの?」
「先生からも、スケジュールを良く練っておくように言われたんだ。」
「そっか・・・。」
手塚は、クラブ活動が終わって大石が帰った後にも、こうして残っていたのだ。大石から鍵を預かって。
「不二、また林檎を持ってきたのか。」
「うん。手塚と一緒に食べようと思って。」
不二の手にはたくさんの林檎があった。おいしいおいしい、食べごろそうな林檎が。
「手塚、もう暗くなるよ。帰らなくていいの?」
「ああ。もう少し片付けてから帰る。・・・不二はいいのか?」
「僕?手塚が帰るまで待つよ。」
手塚が不二の方を向いた。不二はいちだんと笑ってみせた。手塚は少し不思議そうな顔をしたが、またすぐに仕事に戻った。
不二はそこにずっといた。さっきの言葉は本当のようだ。
「なあ、不二。」
「僕は帰らないよ。」
不二が即答した。外はもうずいぶんと暗くなっていた。
「僕が嘘を言うと思った?」
手塚は少しため息をついて、椅子から立ち上がった。
「休憩にするか。」
「うん。」
不二が嬉しそうに答えた。
不二は林檎をごろごろ机に並べた。
不揃いだが、艶がある林檎が色々な方向に散らばった。
「不二は林檎が好きだな。」
「うん。だっておいしいでしょ?」
手塚は、林檎を一つとって頬張った。それは、熟しているのかとても美味しかった。不二はそれをニコニコしながら見ていた。
「ねぇ、手塚。僕のこと好き?」
「げほっ。」
手塚は突然のことで、喉に林檎を詰まらせてしまった。
少し言葉に詰まってから、手塚が口を開いた。
「・・・どういう意味だ、不二。」
「そのままの意味だよ。鈍感だなぁ、手塚。・・・・ここまでしてるのに分からないの?」
不二が真剣に真顔で言う。少しの沈黙が部室を支配した。
「・・・嫌いじゃない。」
手塚が少し照れているように、不二には見えた。
「そっか・・・・。」
不二が手塚が食べていた林檎を、無理矢理奪った。そしてシャリッとそれを頬張った。
「おいしい。」
不二が、笑った。手塚もそれを見て、少し笑った気がした。
―――――不二は手塚のところに首を伸ばして、キスをした。そして驚く手塚に間髪いれずに言った。
「僕は手塚が大好きだよ。誰にも渡したくないくらい。」
手塚は吃驚して何も言えなかった。
「手塚、早く仕事を終わらせて僕を家まで送ってよ。」
手塚はまた穏やかな表情になって、ああ、と答えた。

甘い林檎を持って行こう―――――。

そこでいろんなことを話そう―――――。

彼のことが知りたい、手塚、僕のことをどう思っているの―――――?

☆★あとがき★☆
初小説です~!!嬉しい!!
この小説を書いたのは実はかなり前なんですよ。それをちょっと修正して・・・。しかし、第一作目からこんなので良いのでしょうか??自分で疑問です。
しかし、まぁ、二人がこんな会話をしてる中、大石が入ってきたら如何するつもりなんだろう・・・。(笑)
愛のパワーで頑張って欲しいです!!←??
            BY 千影



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