極楽招きネコのつぶやき

極楽招きネコのつぶやき

「ネコのももこの物語」3


No.21【受難 その1】

ほぼ毎日やって来てカリカリを食べて、日向ぼっこしながらお昼寝をしているシマシマのネコ・ももこ。
飼主さんに捨てられてしまったのかと思うとかわいそうだし、情けない気持ちにもなる。ウチの家ネコ・ラッキーとの生活の差を思うとももこが気の毒になってしまう。
かと言って、ももこを家の中に入れて室内飼いするのは無理のようだし・・・・
でも、毎日やってきてスリスリとなつかれるとかわいい。

かわいいし、家に入れて家族の一員にしたい!と思ったり、このまま、ここに居られると気になってしょうがないので、どこでも良いから別の場所に立ち去ってくれないか。と思ったり・・・・私たち家族もいろいろ気持ちがゆれていました。

誰でもいいから、ネコ好きさんがももこを拾っていってくれないかしら。こんなに人恋しそうにスリスリするネコなんだから、ネコ好きさんが連れて行ってくれないかなぁ・・・・と都合の良い事を考えていたりもしました。

やっぱり、ももこのおなかは大きくなってきました。赤ちゃんを産むのは間違いなさそうです。母も、ももこのおなかに気づいていました。どうしたらいいのか、こもままにしておいて大丈夫なのだろうか?
ネコの出産は、まったく知らない事ばかりでした。

確かに、ぽて~としたおなかになってきて、赤ちゃんがいる?と言うのが誰の目にも確実になってきた頃から、ももこには辛い日々がはじまりました。
2006-01-22
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≪どこに居ればいいの?≫
No.22【受難 その2】

シマシマねこ・ももこのおなかが目立ってきました。子猫が産まれると誰の目にも明らかになってきました。その頃から、ももこの辛い日々が始まったのだと思います。

ももこが「今日ね、あそこの家の前でね・・・・」と話してくれるならいいのだけど、人間の言葉はしゃべれないので、私たちが見たものしか把握していません。
今まで、「野良猫でもしっぽを振って擦り寄ってこられると可愛い。」
「ネコは以前にも飼っていたし、ペットはいいねぇ。」
と言ってももこを受け入れてくれていた近所の人々だったのですが・・・・

人懐っこいネコなら、野良ネコでも可愛い。毎日、家の周りでウロウロしていてもかまわない。
だけど、子猫を産んでこれ以上野良猫が増えるのはイヤ。ましてや、自分の家で産まれるのは困る。と言う理由らしい。
ももこがどこに居ても追っ払われるようになっていました。

またしても、ももこの居場所がなくなりつつありました。
駐車場の隅っこの草むらで、じ~~っとうずくまっている姿は、なんとも可愛そうでした。
2006-02-24
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≪1年で20匹???≫
No.23【受難 その3】

ももこが、家の近辺に姿をみせるようになった半年以上がたちました。
冬の草木が枯れている季節、コンクリートや小石が敷き詰めれてた場所で、じ~~~~~っとしていると、あのシマシマの柄は本当に保護色なんだと思います。目立ちません。
「あら、そこにいたの?!」と私達人間が気づかないだけで、ももこはいつも近くにいるようでした。

どんな子猫を産むのだろう?いつ頃産むのだろう?どのくらい、おなかは大きくなるのだろう?
まったく知らない事ばかりでした。
春先、ニャンコの”春”外で、
「んんなぁぁぁぁぁぁぁぁ~ごぉ~~~~」
と鳴く季節の後に4、5匹のネコが産まれるのだろう。と、おおざっぱな認識でした。

以前にネコを何度か飼った事があると言うご近所さんに、母は、ネコの出産の事をさりげなく尋ねたらイロイロと教えてくれたそうです。

ネコは1年に4回ぐらい、1度に5匹ぐらい子供を産むよ。
たいていは、普通のネコなら何もしなくても自分でちゃんと産むけど、最近の”おネコ様”は手をかさないとダメらしいね。
ももちゃんが、今まで、半年以上も妊娠しなかったなんて、不思議・・・・

1年に4回×5匹!20匹!!!
そんなに、産むの?確かに、ネコがかなりのスピードで増えそうだ。
ももこが、飼い猫だった事は確かだし、自分でちゃんと子供を産むのだろうか?

なんだか、ご近所さんが急にももこに冷たくなった気持ちも理解出来る・・・・・
じゃぁ、どうする?・・・・・・・・・・どうもしない。きっと、このまま時が過ぎて、いずれ子供が産まれるのだろう・・・・(ため息・・・)
2006-01-25
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≪旅行に出た日に・・・≫
No.24【誕生 その1】

その年の春は駆け足でやってきました。桜前線は猛スピードで北上して、全国で開花の記録を更新しました。
まだ、3月とはいえポカポカの日が続いていました。

暖かくなってすごしやすい日になって来る頃には、ももこのぷっくりお腹は、巨大になって歩くのも大変?と思うほどになっていました。
そろそろ、産まれる・・・・・なんだか、ももこを見るたびに私たち家族はどきどきハラハラ。でも、そんな気持ちには、おかまいなしでももこはいつもと変わりない日々を過ごしていました。


私は、土日を利用して友人と計画していた1泊旅行に出ました。
雄大な景色に感動して、観光地を巡ってあっちこっち見物して・・・・その日は、温泉!
夕方、ホテルで友人が携帯のメールをチェックしていました。私は、携帯の電源を切っていたので、着信もないし・・・・なんとなく、家に電話してみようか。と思いました。

「今、ホテルに着いたよ。」
と言うと母の返事は
「産まれたよ!ももこが子供を産んだよ!」

産まれた!!!!ついに子供を産んだんだ!!!!
2006-01-26
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≪ナゾだらけの出産?・・・≫
No.25【誕生 その2】

「ももこが子供を産んだよ!」

一泊とは言っても旅先で聞いた思わぬ言葉でした。
自分で、見て確認できない情報なのだから、当然聞きたい。

「いつ産んだの?」  「分からない。」
「どこで産んだの?」 「どこだろう?」
「何匹産んだの?」  「何引きだろうね?分からない。」
「子猫は無事なの?」 「たぶん無事?」

なんだよぉ!なんにもわからないの?じゃぁ何で産んだったわかるの!

もぉ、なんかだウキウキの旅行も急に真っ白にクリアされてしまったような気持ちだった。
気になる!でも、今すぐ家に帰る!と、までは・・・・
明日、詳しく聞こう。

帰って、真っ先に”昨日”の話を聞いた。

昨日は、珍しく昼を過ぎても、ももこは姿を見せなかったのだそうです。
どこかで、日向ぼっこ?どこかで「朝ごはん」をもらったかな?と思っていたのだそうです。
夕方になって、やっとやってきたももこのおなかは、前日までと違ってしぼんでいました。

あら?!おなか・・・・産んだんだ!

母は、ももこ、がんばったんだ。大変だったね。とすぐにカリカリをあげて様子を見ました。かなり空腹だったのかガツガツを食べて水を飲んで、サッサとどこかへ帰って行ったそうです。
早く、赤ちゃんの所へ行かないとね。ももこは夕闇の中を一目散に走り去っていきました。
2006-01-27
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≪赤ちゃんのお誕生日≫
No.26【誕生 その3】

シマシマねこ・ももこが子猫を生んだ翌日に旅行から帰ってきました。
家に着いたのは夜だったので、当然ももこの姿を見る事は無かったのですが、もちろん、赤ちゃんの所に居るのでしょうね。

どんな、子猫を生んだのかしら・・・・・
ももこみたいな、ママ柄のシマシマのネコちゃんかしら?それとも、パパ柄なのかしら?赤ちゃんのパパのネコはどこのニャンコ?

なによりも、今、どこに居るのだろう?と、ちょっと心配。今までも、どこか安全な場所を寝床にしているらしいので、きっとそこに赤ちゃんネコもいるのだろうね。

父は、心配無いと言います。ももこは、ちゃんと自分で無事に出産したし、ちゃんと生活している。我が家のニャンコ・ラッキーと違って「ネコの生活」を出来る本能はしっかり持っているから大丈夫だと言います。
・・・・そうかなぁ。どうみても、野良ちゃんには見えないけど・・・・でも、今までなんとか無事生活しているし・・・・子育ては心配無いか。

近所をウロウロしている、野良猫ちゃんや飼い猫でも外に出るネコちゃん達は赤ちゃんネコにちょっかいだすのかしら?大丈夫?
一番の心配は、人間かな?ネコ嫌いの人に見つかって処分されないといいけど。

次の日の朝、ももこはやってきました。姿を見てなんだか安心。本当におなかは、しぼんでいるのね。やっぱり、赤ちゃんを生んだのね。

ねぇぇ・・・ももちゃん、赤ちゃんをドコに隠しているの?
赤ちゃんを生んだ時間は正確に分からないけど、お誕生日は土曜日の3月30日に決めたからね。ももちゃんのお誕生日は分からないけど、赤ちゃんのお誕生日はちゃんと決めたからね。
2006-01-29
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≪赤ちゃん見せてよ・・・≫
No.27【誕生 その4】

ニャンコ・ももこは今までと変わらない様子で毎日やってきました。
長い時間ゴロゴロとお昼寝をする事も無く、すぐにどこかへ姿を消すので、ちゃんと子育てをしているのだろうと思います。

室内飼いをしているネコちゃんでも、赤ちゃんを生んだ時はそっとしておいてあげなければならないと聞きました。1ヶ月くらいは、飼い主さんでも、不用意に覗いたり赤ちゃんに触れたりしない方が良いと聞きました。

だから、ももこがどこで子育てをしているのか探す事はしませんでして。たぶんどこか、ももこが安全と思う場所に赤ちゃんはいるのだろうと思っていました。

いつものように母が洗濯を干している時に、ももこがやってきて足元に擦り寄ってきました。
「もも!じゃまでしょう!」
「にゃぁ~~~~~~」
こんな会話は毎日でした。

物置の入り口のコンクリートの場所で座って見ているももこに、母は洗濯を干しながら話しかけていたのだそうです。

もも・・・赤ちゃん、どこに隠したの?見せてよ・・・・・

ふと、気が付くとももこの姿が見えなかったのでした。赤ちゃんを産んでからは、急にいなくなったり姿を現したりが頻繁だったので、また赤ちゃんの所へ行ったものと思っていました。

と、すぐに「にゃぁ~~~~」とももこの小さな声が聞こえました。母に話しかけているらしい鳴き方です。
さっきまで、座っていた物置の前のコンクリートの所にももこは居ました。
そして、足元にちいさな白っぽいかたまり・・・・・

????近づいて見たら、そうです。子猫でした。
まだ、目も開いていないような、小さい小さい子猫が転がっていました。
2006-01-31
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≪赤ちゃんお披露目!≫
No.28【誕生 その5】

ニャンコ・ももこは、赤ちゃんを見せるために連れて来たらしいのです。

グレーっぽいシマシマのネコ・ももこだけど、足元の子猫は白っぽいふわふわの産毛につつまれていました。顔や背中に少しだけ、薄い茶色があるネコです。

「あらぁ~、ももちゃん見せてくれるの?」
母は、近づいて行ったのです。逃げたりする事もなく自慢げに座っていたそうです。

1ヶ月くらいは、見ても触ってもいけないと聞いていたのに、ももこは自分から赤ちゃんを連れてきた。いいのかな?

と、思いながらそぉ~っと手をのばして赤ちゃんネコを持ち上げました。ももこは、抵抗することも、嫌がって鳴く事もしないで見守っていたそうです。それより、
「見て見て!!!私の赤ちゃんよ!!」
そんなカンジだったそうです。赤ちゃんネコは、まだハイハイも出来ないようで、ただころがっているだけですが、もこもこと小さい手足を動かしていました。

あまり、ここに居ても・・・・・
「早く帰りなさい。ちゃんと赤ちゃんをまた隠してきなさい。危ないからね。」
と赤ちゃんネコをももこの足元にそぉ~っと置いきました。ももこは、自分の子供をお披露目して満足したのか、赤ちゃんネコをくわえて立ち去りました。

「ももが、赤ちゃんを見せてくれた!」
と、その日、母はものすごく喜んでいました。

ももこが、子供を連れてきたのは、その1度だけ。他にも子供がいるのか、いないのかやはり不明でした。でも、赤ちゃんは、元気そうだし、ちゃんと子育てをしている様子。よかった・・・・・
2006-02-01
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≪2匹目の赤ちゃん≫
No.29【誕生 その6】

「ももに、赤ちゃんを見せてもらった。」
家に帰ると母は、うれしそうに話してくれました。私も、見たかったなぁ。

ネコは子供を1度に4,5匹生む。と聞いた。そうなると、あと、3~4匹はいる事になる。どんな子猫なんだろう。1匹は白っぽかった・・・・

翌日も、ももこは今までどおりウロチョロと、行ったり来たりを繰り返しているだけで、別の赤ちゃんを見せてくれる事は、ありませんでした。
・・・・やっぱり、赤ちゃんを連れてくるのは危険な行為なのでしょうね。ちゃんと、どこかに隠しているのでしょう。

・・・・でも、その次の日。
また、良いお天気で母が洗濯物を干していると、ももこが物置の前で「にゃぁ~~~~」

この前と、同じ・・・・もしかして・・・・・母は、また言ってみました。

もも、赤ちゃん見せて。ねぇ、ももちゃん、また、見せて。

やっぱり、その言葉を理解しているのか、お天気のセイなのか、ももこはまた走り去って行きました。
そして、ちゃんと、赤ちゃんをくわえて帰ってきました。物置の前のコンクリートの場所に、コロッと赤ちゃんを置きました。今度は、黒っぽい別の赤ちゃんネコです。
全体に黒の毛のネコちゃんが、ぽわぽわの産毛でモゾモゾ・・・・母は、また、そぉ~っと手を伸ばして手のひらに載せてみました。今度も、ももこは、自慢げに座って見守っていました。
2006-02-02
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≪パパネコ判明!≫
No.30【誕生 その7】

シマシマねこ・ももこが2匹目の赤ちゃんを連れてきた日。
家に帰ると母は、大興奮で教えてくれました。

ももこが連れてきた赤ちゃんは、掌に乗せてみてみると、真っ黒の黒猫ちゃんではありませんでした。
小さくて、まだ体の模様もはっきりしているとは言えないくらいですが、今度の赤ちゃんは、明確な特長がありました。

手足の先が白くってソックスを履いたようになっています。そして、あごの下あたりの首が白いのです。まるで、赤ちゃんのよだれかけのように。

黒ネコで、ソックス君で、あごの下にツキノワグマ状態・・・・この柄のネコちゃんを知っています。
よ~~~~~く知っています。
そうです、お隣のボスネコ・クロちゃんです。

ももちゃん!赤ちゃんのパパは、クロちゃんだったのね!
まるで、クロちゃんの縮小コピーだよ。

チビクロちゃんをよ~~~く見ると、黒い部分は真っ黒ではなかったのです。黒と濃いグレーのシマシマで、そのシマ柄はももこのシマシマにそっくりです。まぎれもない、ももことクロちゃんの子供ですね。
なんだか、大発見をしたような、ももことクロちゃんの関係の証明を見たような・・・・でも、追い掛け回していたのに、いつのまにかパパとママだったのね。

ももこの赤ちゃんネコ、早く私も見たいなぁ・・・・・思いは募りました。
2006-02-03
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