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―樹氷―雪は樹木をおおった冷たい純白におおわれて樹木は呼吸をつづけているわたしも持つことができたら日も月も星もすべてが純白のむこうにめぐる静かな季節を―おおわれた時の中で樹は生を充実し黙した美しさで立ちつづけている一本の樹木を真似て私もまぶたを閉じてみる黙したまま立ちつづけてみる樹の心に近づけるかどうかと―(高田敏子)・・☆・・しっかりと大地に根をひろげ強い風にも、おもい雪にも耐え春を待つ樹こんな強さが少しでもいいから私は欲しいちょっとした出来事にもうろたえがちな弱い私にでも、一冬一冬強くなって行けるかもはじめての冬は恐かったけれど…sweet caroline
February 28, 2004
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今日も静かに雪が降っていますとっても重い雪今までなら フーッと吹けば飛んでいくような軽い雪だったのに春が近くなると重くなりますシャベルに雪がついて仕事がはかどらない☆♪♪♪☆雪が降る しずかにわたしはひとり雪に中今、どこか遠い北の国にも雪が降る しずかにそこにもきっと誰かがいるはずわたしの知らない誰かが雪が降る しずかに今このとき私の肩にあなたの肩に(sweet caroline)・・☆・・―わたしは 何処へ―わたしは 何処へ行くのでしょう人生は荒野だといっても歩いて行かないわけにはいかないのです風のつよい日潅木のしげみがさわいでわたしの髪も みだれました日も 月も流れて行きます愛もまた流れ去るとはいっても愛なしで生きていけるでしょうか思い出がめくれて癒えたはずの傷がまた いたみました白い道は どこまでもつづいています人生はひとつの旅だとはいっても小鳥のようにとまる枝があってのことでしょう風のつよい日遠くの野には花があるとじぶんにいい聞かせて 歩きました(新川和江)
February 27, 2004
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―父へ―もうあなたが天国へいって何年になるかしらあんなに元気だったあなたなのに仕事中に突然歩けなくなったと訴えたあなたその夜から余程ショックだったのかあまり話さなくなった入院する日新しい洋服を着ていくと言ったあなた母と一緒に出かけて行くあなたを見送る私「ああ、あなたは、もう元気な姿でここに帰ってくることが出来ないのね」と、思った私、なぜそんな悲しいことが胸に過ぎったのか・・・病室で眠っているあなたの顔をそっと見ましたあなたは何故かとっても幸せそうな顔をしてました目を覚ましたあなたは今まで見たことのない幸せそうな笑顔を私にくれたどうしてそんなに幸せそうな顔をしてるのってわたしは心の中で思ったきっととってもいい夢を見てたのね子供の頃のこと・・・かしら?どんな夢か私にはわからないけれどきっとそうなのよだから、あんなに幸せそうな笑顔をみせてくれたのね今でもあの笑顔を覚えています(sweet caroline)
February 26, 2004
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今日『ハンナとその姉妹』が放送される。この映画の中で引用されている詩を ―私が旅したことのない何処か―私が旅したことのない何処か、うれしくもいかなる経験が及びもせず、あなたの瞳は沈黙を宿す。あなたのこの上ないきゃしゃなしぐさに、私を閉じるものがある。あるいは、あまりに近くにありすぎて、私が触れることのできないでいるもの。あなたのほんの些細な視線が、いとも簡単に私を開かせる。私は、自らを閉ざしているのにまるで春が(巧みに、神秘的に触れて)最初のバラを開かせるようにあなたは、いつも、まるで指で私の花びらを一枚一枚めくるように私を開かせるそれとも、もしあなたの望みが私を閉じさせたいのなら、私と私の人生は、美しく閉じましょう。まるで、この花の心が、とつぜんに、あらゆるところに、慎重に降りそそぐ雪を思い浮かべる時のようにこの世に、私たちはあなたの強烈なもろさの威力に匹敵するものを感じたことはない。その手触りは、無理やり私に、その国々の色合いで死を演出させる。各々の息でもって永遠に。(あなたの何が私を閉じさせたり開かせたりするのかわからない。ただ私にわかるのはあらゆるバラよりも深いあなたのひとみの語りかけくる声だけ)誰一人として、雨であっても、そのような繊細な手をしていないby e.e.カミングス
February 25, 2004
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2月26日、ピアノレッスンが放送される。この映画の中で引用されていた詩が映画を見終わってからも心に残ったので、紹介します。6歳の頃に話すことが出来なくなった主人公エイダの唯一の感情表現はピアノだった。・・・・・・。映画のあらすじは、これから見る方のために省きます。この映画のラストでエイダが水の底に沈んだピアノと自分の姿を夢想するシーンでこのトマス・フッドの詩が最初の3行ほど読まれます。・・☆・・―Silence―There is silence where hath been no sound,There is a silence where no sound may be,In the cold grave ? under the deep deep sea,・・・・・・・・・・・・・・―沈黙―音の存在しなかったところに静寂がある、音の存在しえないところに静寂がある、冷たい墓の中に―深い、深い海の底に。もしくは何の命もない広大な砂漠に。砂漠は静まりかえり、ずっと深い眠りについている。黙される声もなく、黙って歩む命もなく、ただ雲とぼんやりとした影が勝手にさすらう。その声は虚ろな大地に響き渡ることはない。しかし、苔むす廃墟、古の宮殿の捨てられた石壁の中、そこにかつては人がおり、灰色狐や荒れ野のハイエナが今は吠え、梟(ふくろう)は絶え間なく羽ばたき木霊にあわせて叫び風が低くうなる、そこにこそ真の沈黙がある。一人あって意識する。(トマス・フッド)
February 24, 2004
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昨日は春を思わせるような暖かさだったのに今日は吹雪ですまた冬に逆戻りでも、雪のほうが雨よりいいわ外に出る気になれないのでお家の中でキルト作りに励みます・・☆・・ ―いちばん弱いもの―世界中で、いちばん弱いものはなんでしょう。わたしは、心のなかで考えてみるの。太陽かしら。一ひらの雲のために、闇のとばりのむこうに隠されてしまうんですもの。雲かしら。一ふきの風のために、その思いどおりの場所に運ばれて行ってしまうんですもの。風かしら。一まいの木の葉にだって、しなびた木の葉にだって押し返されてしまうんですもの。あの黄いろくなった木の葉がまだ若緑にもえていたころ、わたしには、来る日来る日がもっとたのしかったわ。けれど、いまは春にどんな意味がこもっているとしたってせんすべくもなく、わたしは、悲しくなっていくばかりなの。まあ、わたしったら!一まいの「木の葉」にだって、溜め息ばかりついて、この唇を閉じさせることができないの。そうすると、いちばん弱いものは、わたしの心なのかしら。心のなかで考えめぐらすかぎりでは。けれども、「心」よ。太陽も雲も力尽きて、落ちくずれてしまったとき、あるいは、風とも思えない大風が吹いて、森の木々がうち萎れてしまったとき、あなたは、暗がりゆく死の呪いより飛び立って、栄光のかためざして進んでいらしゃるんだわ―あなたは、宇宙でいちばん強い方なんだわ。そして、あなたは、いちばん弱いものを譲ってくださるんだわ。(エリザベス・ブラウニング)藤本周一訳
February 23, 2004
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―神性― 人間は気高くあれ! 情けぶかくやさしくあれ! そのことだけが、 我らのしっている 一切のものと 人間とを区別する。 我ら知らずして ただほのかに感ずる より高きものに幸(さち)あれ! 人間はそのより高きものに似よ 人間の実際の振舞いが それを信じさせるようであれ。 自然は 無感覚なり。 太陽は 善をも悪をも照らし、 月と星は 罪人にもこの上ない善人にも 同様に光り輝く。 風と溢(あふ)るる流れと 雷鳴とあられとは ざわめきつつ進み、 だれ彼となく捕えては、急ぎ通り過ぎる。 同じように運命も 人々の中に探りの手を入れ、 少年のけがれない 巻き毛を捕えるかと見れば、 罪を犯せる はげ頭をも捕える。 永劫不変(えいごうふへん)の 大法則に従い、 我らはみな 我らの生存の 環(わ)をまっとうしなければならぬ。 ただ人間だけが 不可能なことをなし得(う)る。 人間は区別し 選びかつ裁く。 人間は瞬間を 永遠なものにすることもできる。 人間だけが、 善人に報い、悪人を罰し 癒(いや)し救うことができる。 またすべての惑いさまよえる者を、 結びつけ役立たせる。 我らはあがめる 不滅なものたちを。 彼らも人間であって 最上の人間が小さい形でなし、 あるいは欲(ほっ)することを 大きな形でなすかのように。 気高い人間よ、 情けぶかくやさしくあれ! うまずたゆまず、益あるもの正しきものをつくれ。 そしてかのほかに感ぜられた より高きもののひな型ともなれ! (ゲーテ)
February 22, 2004
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―愛すればこそ近く思う ―朝の太陽(ひ)がほのぼのと海からさしそめるときわたしはあなたを思う月光(つきかげ)がきらきらと泉に映るときわたしはあなたを思う遠い道にゆらゆらと埃の立ちまようときわたしはあなたを見るほそぼそとつづく岨道(そばみち)に 旅びとの戦(おのの)く夜更(よふ)けわたしはあなたを見る水音もおぼろにひたひたと潮(うしお)ののぼるときわたしはあなたの声を聞くものすべて黙する林の静寂(しじま)を行くときわたしはあなたの声に耳を傾けるたとえどのように遠く離れていようとわたしはあなたの傍(そば)にいる!太陽(ひ)が沈んでゆく やがて星が輝くだろうああ あなたがここにいらっしゃらないとは!(ゲーテ)・・☆・・こんなふうに何を見ても何をしていても愛する人のことを思い浮かべていたことが、遠い昔あったようななかったような…♪☆♪☆♪先日、訪問してくださった方(楽天の方ではないみたい…)が、ある映画の中につかわれていたゲーテの『愛すればこそ近く思う』って詩を探していらしたようなので、探してみたらちょうど手元にありました。それで今日はこの詩を皆さんに。この映画のタイトルを知りたいのだけれど御存知の方教えてください。
February 20, 2004
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―こころ―お母さまは大人で大きいけれど、お母さまのおこころはちいさいだって、お母さまはいいました、ちいさい私でいっぱいだって。私は子供でちいさいけれど、ちいさいお私はこころは大きい。だって、大きいお母さまで、まだいっぱいにならないで、いろんな事をおもうから。(金子みすず)
February 19, 2004
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***山と流れ***自然は内に力を秘めて沈黙する自然は激しさを内に抱いてただ静寂凍てついた雪路の下谷間をぬって水は流れ岩を砕くその岩に腰をおろし水の流れゆく紋様を見つめる眼の前にそそりたっている山肌その山を幾つも山が包む連なっている山々の峰山空の青 灰色そして雲山と 自然と目をつむると山々の中に谷川の流れの中に自分が消えてゆく思い生命力が静かに力強く私を包む自然は力強く静かに息づいている(原 葵)・・☆・・青い空太陽に輝く白銀の山々素晴らしい景色なんて幸せなのかしらこの景色あなたにも 見せてあげたい今、リスが木を駆け上っていったわかわいい!sweet caroline
February 18, 2004
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―ばあやのお話―ばあやはあれきり話さないあのおはなしは、すきだのに「もうきいたよ」といったとき、ずゐぶんさびしい顔してた。ばあやの瞳(め)には、草山の、野茨のはなが映ってた。あのおはなしがなつかしい、もしも話してくれるなら、五度も、十度も、おとなしく、だまって聞いてゐようもの。(金子みすず)・・☆・・この詩、ちょっと胸が痛くなった私も亡くなったおばあちゃんに言ってしまった「もう何回も聞いたって!」なんと心ないことを言ったのだろうなんて後悔したってもう遅いんだけど「ごめんね!おばあちゃん。」まだおばあちゃんが、ご健在のみなさんおばあちゃんのお話、何度でも聞いてあげて4連目のところにみすずさんのやさしさが…
February 17, 2004
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―雪― だれも知らない野のはてで 青い小鳥が死にました さむいさむいくれがたに そのなきがらをうめよとて お空は雪をまきました ふかくふかく音もなく 人は知らねど人里の 家もおともにたちました しろいしろいかつぎ着て やがてほのぼのあくる朝 空はみごとに晴れました あおくあおくうつくしく 小さいきれいなたましいの 神さまのお国へゆくみちを ひろくひろくあけようと(金子みすず)
February 15, 2004
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星野道夫さんの本は一年中手放したことのない愛読書だけれど何故か冬になると手にする回数が増える一仕事終えて、熱いココアを飲みながらゆっくりとページをめくるこの時間が私が一番ホッとできる今読んでいるところに心にとまった文章があった・・☆・・岩は偶然ここにあるのではない。木は偶然ここに立ってるのではない。そのすべてを造った者ががいる。私たちにあらゆることを教えてくれる者が。(クロウインディアン)・・☆・・深い森の中にいると川の流れをじっと見つめているような、不思議な心の安定感が得られるのはなぜだろう。一粒の雨が、川の流れとなりやがて大海に注いでゆくように、私たちもまた、無窮の時の流れの中では、ひと粒の雨のような一生を生きているに過ぎない。川の流れに綿々とつながってゆくその永遠性を人間に取り戻させ、私たちの小さな自我を何かにゆだねさせてくれるのだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たった一人で森を歩いていると、ふと森に見つめられていると感じることがある。一陣の風が吹いてきて、草や葉がざわめき、ツガやトウヒの大木がキイキイとかすかに揺らぐ、沈黙がより何かを語りかけてくるように。そんな時、静けさの中に植物たちの声を聞くことはないだろうか。(星野道夫)『森と氷河と鯨』より星野道夫さんの世界に入ってみてください…
February 13, 2004
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雪がサラサラと降ってます。すべてのものが雪のベールで覆われた世界何の音もない世界辛い辛いと呟きながら雪かきをしている手が痛い、背中が痛い、腰が痛いと呟きながら…何故逃げ出さないのか1年半以上離れていたけれどまた戻ってきたここにいる自分が一番自然なの1年中で冬が一番好きで、一番嫌いおかしいけれど…冬の厳しさを経験するたび人としての自分が浮かび上がってくる人間の力の及ばない自然を相手に闘ってると弱さや傲慢さが見えてきます。・・☆・・―もとめているもの―風琴のひびきに 風のさざめきに星のきらめきに 雨のしたたりにすべてにおまえをさぐり もとめていた見つけることもできないでひとたびは おまえを見つけたはずなのに人生のたたかいで 見うしなってしまったのか今もなお おまえをもとめ さぐっている見つけることもできないでその名なけれど たぐいなく 美しいものたしかに存在し 夢ではないと知るゆえにいつもおまえをもとめ さびしく生きる見つけることもできないでわたしが 地上に 大気に 大空にいつももとめているもの それはなにわたしには わからないけれど いつごろかわたしが見うしなったもの この手にふれこの目に見えるすべてに それは宿っていると知るときも なお 見つけられぬもの幸せよ 地上にも 大気にも 大空にもふたたび おまえを見ることはないおまえが存在し むなしい夢ではないとわたしには わかっているけれど(デ・カストロ)・・☆・・実は幸せなのにそれに気付いていないってことも…
February 12, 2004
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関西学院のワンダーフォ―ゲル部の人たち無事救助されて本当に良かった。凍傷にかかったみたいだけれど…凍傷と言えばここんとこ星野道夫さんの本を読んでいるのだけれどその中に凍傷のことが書いてあったのでちょこっとご紹介マイナス40℃なんてざらのアラスカで凍傷にかかるのを遅らせる方法鼻水をかんで顔に塗りたくるのが良いらしい。これ、エスキモーから教わったって書いてありました。汚いって言わないで・・・凍傷にかかるよりいいと思うのだけれど・・・覚えていて損はないと思ったのでお知らせします・・・(^^ゞ
February 11, 2004
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―自然に抱かれて―世の中に自然ほど美しいものはない母の胸のような安らぎ祈りは調べのような厳粛と静寂人はその中に抱かれる自然に向かっていると不器用な人間が作った嘘の小箱が音をたてて崩れてゆく自然に向かっていると私は妖精になれる自由な心がもてる世の中に自然ほど美しいものはない自然のように美しく人が愛しあう時人が人になるのではないか……(原 葵)『風の中のシルエル』より・・☆・・原 葵さんについて1972年11月29日、3年半のアメリカ留学を終え、ヨーロッパ廻りで帰国中、モスクワの日航機墜落事故で遭難しこの世を去った。『風の中のシルエル』は葵さんが、早稲田大学2年の時大学ノート等に綴っていた<心の詩>です。・・☆・・今日はちょっと悲しい出来事があった。自然の中にいると、人間の醜さが際立って見えてくるそういう自分も人間の一人でも、私は優しい心を持って人と接したい…
February 10, 2004
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星野道夫の『長い旅の途上』の中に引用されていたカリール・ギブランの詩が、心にとまった・・☆・・あなたの子供は、あなたの子供ではない。彼らは、人生そのものの息子であり、娘である。彼らはあなたを通じてくるが、あなたからくるものではない。彼らはあなたとともにいるが、あなたに屈しない。あなたは彼らに愛情を与えてもいいが、あなたの考えを与えてはいけない。何となれば、彼らは彼ら自身の考えを持っているからだ。あなたは彼らのからだを家に入れてもいいが、彼らの心をあなたの家に入れてはいけない。何故なら、彼らの心はあなたが訪ねてみることはできない。夢の中で訪ねてみることもできないあしたの家にすんでいるからだ。あなたは彼らのようになろうとしてもいいが、彼らはあなたのようにしようとしてはいけない。何故なら、人生はあともどりもしなければ、昨日とともにためらいもしないからだ。(カリール・ギブラン)・・☆・・『たとえ親であっても、子供の心の痛みさえ本当に分かち合うことはできないのではないか。ただひとつできることは、いつまでも見守ってあげるということだけだ。その限界を知ったとき、なぜかたまらなく子供が愛おしくなってくる。』(星野道夫)
February 7, 2004
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1996年カムチャッカ半島で取材中、熊に襲われ亡くられた星野道夫さんの本が私の大事な愛読書です。今日はその中から・・☆・・厳しい冬の中に、ある者は美しさを見る。暗さではなく、光を見ようとする。キーンと張りつめた厳寒の雪の世界、月光に照らしだされた夜、天空を舞うオーロラ……そして何よりも、過酷な季節が内包する、かすかな春への気配である。それは希望といってもよいだろう。だからこそ、人はまた冬を越してしまうのかもしれない。 きっと、同じ春が、すべての者に同じよろこびを与えることはないのだろう。なぜなら、よろこびの大きさとは、それぞれが越した冬にかかっているからだ。冬をしっかり越さないかぎり、春をしっかり感じることはできないからだ。それは、幸福と不幸のあり方にどこか似ている。
February 6, 2004
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―玉つばき―その夜、わが前で泣きじゃくりし君やさしき瞳は涙にとざされ長いまつ毛はうつむいていた黒髪の細きふるえわれは慰め得ずして青き灯をじっと見つむ外では椿がほろりと落ちる(清水澄子)・・☆・・私の好きな花のひとつ赤い椿花がポロリと落ちるので演技が悪いなんて言われるお花だけど木に咲いた椿は勿論ポロリと地面に落ちた椿の花もまた大好きなの…
February 4, 2004
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―娘たち―イヤリングを見るたびに おもいます縄文時代の女たちとおんなじねネックレスをつらねるたびに おもいます卑弥呼のころと変わりはしない指輪はおろか腕輪も足輪もありました今はブレスレット アンクレットなんて気取ってはいるけれど頬紅を刷くたびに おもいます埴輪の女も丹を塗りたくったわミニを見るたびに おもいます早乙女のすこやかな野良着スタイルロングひるがえるたびに おもいます青丹(あおに)よし奈良のみやこのファッションをくりかえしくりかえす よそおい波のように行ったり 来たりして波が貝殻を残してゆくように女たちはかたみを残し 生きたしるしを置いてゆく勾玉や真珠 櫛やかんざし 半襟や刺し子家々の箪笥の奥に 博物館のかたすみにひっそりと息づいてそしてまた あらたな旅立ち遠いいのちをひきついで さらに華やぐ娘たち母や祖母の名残も品に身のどこかに ひとつだけ飾ったりして(茨木のりこ)・・☆・・もうすぐ私の誕生日がくる…私を生んでくれた母が亡くなって4年目を迎えた母の部屋は まだ生前のままに何もかもそのまま母がそっと 置いたままのメガネ何一つ変わっていない…ただ 母がそこに居ないだけ…母の残した形見の品着物で過ごす事が多かったためにあるたくさんの着物指輪などでも、私にとって大事な母の形見は母のこころ一番大事にしたい…
February 3, 2004
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