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(15)エボラ出血熱
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エボラ熱、日本でも「万が一」へ警戒 空港は監視強化
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Asahi.com
2014年8月17日14時32分
西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱。
疑い例も含む患者数は2千人を超え、半数以上が亡くなった。
世界保健機関(WHO)が国際的な緊急事態を宣言し、国際医療NGO「国境なき医師団」の会長は15日、「戦争」と訴えた。
緊張が高まるなか、約1万4千キロ離れた日本でも「万が一」への備えが始まった。
特集・エボラ出血熱
シエラレオネ東部のエボラ出血熱専門の治療施設。
ここには生後数カ月の赤ちゃんから70~80代の高齢者まで、多い日で20人の患者が運ばれてきた。
だが、承認された治療薬はなく、看護師たちは解熱剤や点滴といった対症療法しかできない。
「治りますよ」
と言ってあげることもできないまま、発症後、1週間から10日で多くの人が亡くなり、なかには入院後数時間で死に至った人もいた。
6月から約1カ月、国境なき医師団の一員として従事した看護師の吉田照美さん(43)は15日、朝日新聞の取材に対して現地の
状況を語った。
感染を防ぐため、全身を完全に覆う防護服やマスク、ゴーグルなどを身に着けて患者と接する。
緊張感の高い現場のため、業務は1回1時間に限定。患者の急増に医療従事者の数が追いついていない。
吉田さんは
「苦しんでいる人がいるという現実を知り、現地への支援をお願いしたい」
と話した。
医療従事者たちへの感染も深刻だ。
7月にシエラレオネに派遣された豊島病院(東京都板橋区)の足立拓也医長(44)によると、活動した病院では7月中旬時点で
45人の看護師のうち11人が感染し、5人が死亡した。
現場責任者の医師も死亡し、スタッフの動揺や士気の低下にもつながっていたという。
足立さんによると、今回の流行で感染した医療従事者は100人以上にのぼるといい、足立さんは
「人類が知恵を絞って対策にあたらなければならない」
と訴える。
ロイター通信によると、現地を訪れた国境なき医師団のジョアンヌ・リュー会長は15日、
「戦争のよう」
と語り、感染の抑え込みには半年程度かかるとの見通しを示した。
■水際での防止、最優先課題
外務省は8日、ギニアなど3国の在留邦人約100人に早めの退避検討を、渡航者には渡航延期を呼びかけた。
日本で感染が広がる可能性について、厚生労働省は現段階では「非常に低い」とみる。
流行国との間に直行便がなく往来が少ないうえ、空気感染はしないため、治療に当たった医療従事者以外への感染は考えにくいからだ。
ただ、感染者が出ると受け入れ先となる感染症指定医療機関(特定、第1種)は全国に47病院92床しかなく、水際で侵入を防ぐの
が最優先の課題だ。
「西アフリカに渡航または居住されていた方は、検疫官までお知らせください」。
関西空港では検疫所が9日から入国者に放送で申告を呼びかけ始めた。
検疫官は入国者の表情や、発熱の有無を示すサーモグラフィーの画面に目を凝らす。
エボラ出血熱は最長3週間の潜伏期間があり、感染後、症状が出ないうちに入国してしまう恐れがある。
申告で感染の疑いがある人を把握するとともに、入国後の発症にも備える取り組みだ。
8月に入って申告があったのは数人。
体温測定と問診をし、潜伏期間内に発熱した場合は連絡するよう伝えたという。
関西の大学に通う男子学生(19)は西アフリカのガーナで2週間、教育のボランティアをし、15日に帰国。
「現地では情報が乏しく状況が分からなかった。申告したが『ガーナは大丈夫』と言われた」
と安心した様子で話した。
関空対岸にあり、エボラの患者が出た場合の搬送先となる「りんくう総合医療センター」(大阪府泉佐野市)では11日、医師や看護
師が検疫所の職員と情報共有について話し合った。
多くの外国人観光客が訪れるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)は、産業医と入園者に対する対策について相談を始めた。
広報担当者は
「流行すれば施設運営にとって大きなリスク。専門家の意見を聞き、対応を決めたい」
と話した。
ギニアの首都コナクリで製氷事業を手がける藤原宏宣さん(33)=兵庫県宝塚市=は
「日常生活に影響は出ていなかったようだ」
と言う。
両国を行き来しており、7月末にいったん帰国。流行が特に拡大しているリベリアなどとの3国国境から300キロ以上離れている首都
は平穏で、工場ではアルコール消毒液を備え付けたが、通常通り操業しているという。
■富山化学工業、期待の薬
エボラ出血熱の治療薬やワクチンで実用化されているものはないが、効果が期待されているものの一つに富山化学工業(本社・東京)
が開発した「ファビピラビル」がある。
今年3月、新型インフルエンザの治療薬として承認されたが、海外の論文では、エボラウイルスに感染させたマウスに投与した実験など
で、ウイルスの増殖を抑え、生存率や生存期間が向上したとする報告がある。
開発の共同研究者の白木公康・富山大教授(ウイルス学)によると、従来のインフル治療薬と異なり、ウイルスの増殖過程を阻止する
ことで、治療効果があるという。
ウイルスが増える仕組みは、種をまたいで共通する部分が多いことから、エボラ出血熱への効果に注目が集まっている。
WHOは緊急的に、開発段階のものを条件付きで使うことを容認する方針を打ち出している。
2000年にウガンダでエボラの診療や拡大防止に携わった国立病院機構三重病院の谷口清州(きよす)医師は
「もしも自分が感染したら(ファビピラビルを)使ってほしいと思う」
と話す。(野中良祐)
◇
〈エボラ出血熱〉
エボラウイルスによる感染症で、感染して2~21日間で発熱や頭痛、のどの痛みが現れる。
下痢や肝臓・腎臓機能の異常が生じ、末期には吐血や下血をして死に至る。
1976年に旧ザイールなどで見つかった。
エボラの名は初期の患者発生地域の川の名称に由来する。
患者の血液や吐いたものなどに触れることで感染する。
空気感染はせず、症状のない人からの感染もない。
今回は3月にギニアで患者が増え始め、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアに拡大した。
西アフリカでの流行は今回が初めてで、WHOによると15日時点で疑い例を含む患者数は2127人、うち死者は1145人。
WHOは8日、
「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」
を宣言した。
人での安全性や効果が確認されていない開発段階の薬やワクチンの投与を、緊急的に条件付きで認める方針を示している。
▲エボラ出血熱 WHOが緊急事態宣言
■
エボラ出血熱 WHOが緊急事態宣言
-NHKWeb 2014年8月8日 16時20分
西アフリカで患者が増え続けているエボラ出血熱について、WHO=世界保健機関は
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」
を宣言し、ほかの国や地域に感染を広げないためにも、各国の空港や港それに国境での検査の強化が不可欠だと勧告しました。
エボラ出血熱はことし3月以降、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国を中心に過去最大の規模で患者が増え続けてい
て、これまでに932人が死亡しています。
これを受け、WHOは緊急の委員会を開き、スイスのジュネーブで8日、記者会見したチャン事務局長は
「今回の流行はエボラウイルスの40年近い歴史の中で最も大きく、最も深刻だ」
と述べて、
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」
を宣言しました。
宣言の中でWHOは、感染が広がっている国について、国際空港や港、それに国境の主要な検問所で検査を強化することなどを勧告して
います。
一方、世界各国についても、感染が広がっている国などから入国する人には空港などでの検査を強化するよう勧告するとともに、専門の
医師や看護師を現地に派遣するなど医療面での支援を呼びかけました。
WHOがエボラ出血熱について緊急事態を宣言するのは今回が初めてとなりますが、感染が広がっている国々への渡航制限は勧告してい
ません。
これについてWHOは、
「検査を強化して感染した人を隔離するなど対策を徹底すれば感染拡大は最小限に抑えられる」
と説明しています。
▲エボラ出血熱 西アフリカで対策強化
■
エボラ出血熱 西アフリカで対策強化
-NHKWeb 2014年8月9日 9時02分
西アフリカで患者が増え続けているエボラ出血熱について、WHO=世界保健機関が緊急事態を宣言したことを受けて、アフリカ最大の
人口を有するナイジェリアも非常事態を宣言するなど対策を強化する動きが本格化しています。
ナイジェリアは、これまでに7人の感染が確認され、このうち2人が死亡していて、8日、ジョナサン大統領は、国家の非常事態を宣言
しました。
宣言では、国境付近での監視体制を強めるとともに、患者を隔離できる施設を増やすなど対策を強化するとしています。
一方、リベリアでは、感染が相次いでいる地域を隔離する作業が進められていて、こうした地域に通じる道路を封鎖して検問所が設けら
れ、軍の兵士が人の出入りを制限しています。
これに対し、出入りを制限された地域で暮らす住民からは、
「水をくみに行くこともできない。飲料水が確保できず、困っている」
と窮状を訴える声も出ていますが、WHOによる緊急事態の宣言を受けて対策を強化する動きが本格化しています。
フランスの空港でも感染警戒
西アフリカ各国からの直行便があるフランスでも、旅行者を介してエボラウイルスの感染が広がるのを食い止めようと警戒が強まってい
ます。
1日およそ20万人の搭乗客が利用するパリ近郊にある国際空港、シャルル・ド・ゴール空港では感染が拡大する西アフリカのギニア、
シエラレオネ、それにナイジェリアとの間で1日平均して3本から4本の直行便が運航されています。
空港当局によりますと、感染が拡大する国からの乗客に対しては、搭乗前に体温検査が義務づけられているということです。
その後、機内で発熱など疑いのある症状が出た乗客については、着陸後すぐに隔離するほか、その他の乗客への検査を強化するというこ
とです。
空港にある緊急医療センターでは、検査態勢をさらに強化することで、感染の拡大を水際で食い止めるとしています。
一方で、空港の利用者の間からは、ヨーロッパへの感染の広がりを懸念する声が多く聞かれました。
このうちフランス人の女性は
「ウイルスに国境はなく、いずれヨーロッパにも入ってくるでしょう」
と不安そうに話していたほか、西アフリカのトーゴへ行くというフランス人の男性は、
「今のところ問題なさそうですが、感染力が強いので心配です」
と話していました。
■
エボラ出血熱
in Wikipedia
▲エボラウイルス
エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ Ebola hemorrhagic fever、または エボラウイルス病 Ebola virus disease - EVD[1])は、フィ
ロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症。出血熱の一つ。「エボラ」の名は発病者の出た地域に
流れる川の名から命名された。ヒトにも感染し、50-80%という死亡率を持つ種類も存在する。
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