GUINの匣

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猫日記


第一話
猫には不思議な事がいくつかあります。そのうちの一つ。

今日はちょこっと帰りが遅くなりました。ただいま~と玄関を開けると、どこからともなく「ニャ~~」。帰ったよと声をかけて、リビングへ。寝ぼけ眼でこたつでゴロリの家族と、しばしの会話。
『のぞみ』はひとしきりあっち向きこっち向きであいそをします。すると、は~っ、もういいやと言わんばかりにスタスタと輪の真ん中に。

~~~どうしていつも猫は中心にいくのか?~~~

必ず中央で身繕い。あちこちなで回されてゴロンゴロンと寝返ったりじゃれついたり。それからよっこいしょ!と身を起こすと、にこっと笑って(と私にはみえる)いそいそとお気に入りの場所へ。家族を見下ろせる高い場所。

さっきまで真ん真ん中で適当に遊んで、次は手の届かないはじっこへ。全然知らん顔で寝ています。不思議じゃ~。寝るんなら、そのまま真ん中で寝たらいいのに…。

ま、っそこがたまんなくかわいいんだけど。


第二話
小学校3年生の時、子猫を拾いました。胸に白い毛がふんわり盛り上がったかわいい猫でした。
友達と自転車で遊びに出ていて、後ろをトコトコどこまでもついてきました。

この子は、伊勢の赤福もちのあんこが好きでした。

次は、親戚からもらったグレーのしましま。
けんかはそんなに強くないオスの猫でした。

この子はチョコレートが好きで、それも明治のストロベリーチョコが好きでした。

その次は、我が家で生まれた、影丸と命名した喧嘩も強かったオス猫です。私の布団で産まれ、私がとり上げました。
すごく長生きしてくれて、いっぱいの思い出をくれました。

この子は、キュウリやほうれんそうんのお浸しが好きで、目を離すとチョイっとつめに引っ掛けては盗み食いしていました(^_^)

今飼っている「のぞみ」は7代目です。のぞみは、キャットフード育ちであまりいろんなものは食べません。
でも、もらわれていった子猫達の好みを聞いてみると、『ゆで卵の黄身』とか『ピーナッツ』とか『カレーライス』とか『やきなす』とか…。

一つ分かった事は好みっていうよりも、よそは結構いいもん食べさせているんだろうな。ということですね。


第三話
なんで猫ってぐるぐるとのどが鳴らせるんでしょうね。正直に私、知りませんごめんなさい。昔何かで読んだ事はあったと思いますが忘れました。

ひざに乗っけていると、ぐるぐると目を細めて気持ちよさそうに寝ています。ただしそんなのは、夜明け前とか朝のめちゃめちゃ忙しい時です。腹の立つノ。普段はやめてくれよ!と言わんばかりに去っていきます。人が忙しく仕事道具を広げていても、ぐるぐるいいながら座り込みます。全くノ。

ごろ寝をしていると、おなかの上にも来ます。その時はその振動が伝わって、とても気持ちいいんです。寝ている顔を見ているだけで、幸せな気分になれます。下から見上げると「のぞみ」の口元は笑い顔に見えます。

『猫の寝顔は笑い顔(^ェ^)。見ている者も幸せに』

「のぞみ」は我が家の潤滑油みたいなものです。
今もスキあらばノートPCの上を踏み越えようとするんですよ。こらこら!


第四話
(1)猫は『待てが出来るのか?』

のぞみはこの初夏に4歳になるメスの猫。7匹兄弟のうちの一匹である。生まれた時は一気に8匹の猫持ちになって、困った困った。とにかく里親探しに必死になった。

4年前。当時、気になっていた事があった。主人の母の様子である。

もともときれい好きで整理整頓も行き届き、片付いた家である。息子たちと遊びに行くと、当時やんちゃ盛りの息子たちは、なかなかじっとはしてはいない。やんちゃが過ぎれば、ごみ・ほこりに留まらず、障子に穴をあけたりする事もある。『あらあら…』と障子の穴を見ながらも優しく笑ってくれていた。
それが時折父から、「お母ちゃんが細かい」とか「お母ちゃんは気にし過ぎや」などと聞くようになり、主人からも「最近のおふくろは強くなってる」などなど。
「????」私には状況が解っていなかったのだが、少々違和感があったのだ。

第一線を引退した主人の父は、それまでとは生活が大きく変わっていた。ほとんど家で過ごす事がなかったのだが、昼も夜も母と共に過ごす事が増えていた。『忙しいわね』と電話でちょっとうれしそうな母であった。

それが、息子たちを連れ遊びに行った時、またまた兄弟やんちゃをして障子に穴!『何してるの!』とちょっと厳しい声。
「あちゃー」、と思ったものの「おかしいな?」
『また落としてるよ!』『なんでつけるの!』といろんなところでお小言をもらう息子たち。いや、息子たちだけではない。父の煙草の灰、それもひらひらと落ちた小さな灰のかけらを、さっと拭き取る様子が厳しいのだ。父も「しまった」という表情をした。私も申し訳ないとは思うが、「これはあかん、ちょっと神経質を通り越してる。」そう実感した。

家では主人と話すものの、なかなかどうしてあげればいいか具体的には、思い付かない。しかし、明らかに「進んだ」と思える事が増えて行く。ティッシュの箱の向きにもうるさくなって来たのだ。

思い返せば、大胆な事なのだが、最善の方法として私が主人に提案したのは、「子猫、もらってもらおう!!!」
主人は「絶対無理やって!」と返す。当時の母は猫が大嫌い。何より猫がダメ!

しかしそれしかない、そうしようと心に決め、猫もらってもらおう作戦を開始したのである。

___続く

(2)猫は『待てが出来るのか?』

約4年ほど前、主人の母は猫が大嫌いだった。庭に野良ちゃんが来ても『しっしっしっ!』。庭の塀の上をよそのにゃんこがてくてくてくでも『しっしっしっ!』。我が家に拾った猫のチャミ(のぞみの母猫)の話をしても『もーええわね』と打ち切り。
とにかく猫嫌い(?)だった。

若い頃、少々厳しいお姑さん(親族最強!)にお仕えしながらの毎日。障子の桟まですべてきれいにふき掃除!で一日が始まった。
ある日、仏壇のある和室の掃き掃除。いつもと変わらず丁寧に…。そこへ猫!小さい黒っぽい子猫だったと母語る。ほうきを持って目をやると縁側から猫がてくてくてくてく。
はっ!と声が出ると目が合ったらしい。しばらく見つめあう一人と一匹。
母凍りつき、たたずむ。猫てくてくてくてく。仏壇のお饅頭をぱくっ、とくわえて横目でちらっ。
てくてくてくてく。猫退場。猫勝利。母惨敗。

動けなかった。恐くって。声も出なかったとその時の恐怖を良く聞いたものである。

!もらってもらおう、子猫!
嫌がらせに思われへんかいな。と、正直思いはしたものの、必死でもらってもらって残り子猫4匹。後一匹何とかなればずいぶんと楽!それに、潔癖性がひどくなってきていた。

主人の父は小さい頃からの猫好き。何度か飼った事もあるようだった。つまりおばあちゃんも猫好きだったのだ。
母が家に入ってからも猫はいたそうで、猫が苦手だった母は、掃除の時、近寄ってくる猫を阻止するため、そーっとほうきでつんつん押し戻したりしたらしい。その場面をおばあちゃんに見つかって、かなりのお目玉を食らったらしい。
笑い話で話してはいたが、きっと当時はずいぶん辛い思いをしたのだろう。

「おじいちゃん(父)から頼んでもらおうよ」と私。

「お父さん、ほんとに猫で猫で大変なんです。~~~後せめて一匹何とかなれば…、我が家で残りは何とかなります。せめて後一匹~~~」
「ほんとに今が一番かわいいですよ。やっぱり生き物は子供の頃ってかわいいですねー」
「どちらにしても見に来て下さい。さわったり、抱いてしてると心和みますよー」
「お父さんのところで飼っていただければ、どんなに安心でしょう」
「最近、親子で散歩するようになりましたー。お二人で見に来て下さいねー!!!」
を繰り返し続けた。ほとんど営業マン。

しかし、猫だらけの家になど行けないと、しばらく母は近寄ってはくれなかった。
父大喜び!猫、猫、猫楽しそうに通って来てくれる。私も一匹ずつの名前の由来や、性格の違いなど懇切ていねいに説明した。

そのうち父の口から、「お母ちゃんは、あかんゆうしな。」と聞こえるようになって来た。

…頼んでくれてるんだ!もう一押し。
母にも何度か「近付けませんから、見るだけでも。」電話越しに『みぃーみぃー』と声を聞かせたりした。
夫婦そろって来てくれるまでは、以外と時間はかからなかった。それだけ父が喜んでいたのだろう。

夫婦で二、三度見に来て結局どの子にしようかの話になった。やったー、らっきー!さささ、最後の詰めだよー。

___続く

(3)猫は『待てが出来るのか?』

「猫は待てが出来るのか?」

父の口から「お母ちゃんは、あかんゆうしなー」と聞こえるようになって以来、主人の両親何度かの訪問。母は私が差し出す子猫に笑顔は向けても、なかなか手は出せない。(そりゃそーだ)
しかし、折り重なって眠る子猫の様子。親猫チャミの後ろをてくてくてくてく並んで歩く姿。何より、そこにいる家族中が猫大好き一色で、遠慮がなくなった父のなんとも楽しそうな表情。
片づけの悪い我が家にくる度、ため息で始っていた母の表情は随分柔らかくなって来た。

『は~っ、どの子やったら私にも育てられるんやろうかね?』『もうしょうがないねー。お父さんはかわいがってるし。でも、一匹だけよ。出かける時は預かってちょうだいよ。』

すごっ!さすが昭和初期の人、根性決めたらつおい!決心させた我々(私か?)もすごい!

一番合った子にしなくては…。吟味吟味。

母曰く『メスの方が優しいから、のぞみちゃんにしょうかしら』
父曰く「大変やてー、オスの方が簡単なように思うけどな」
息子たち「のぞみちゃんは一番白い(子猫時代は)から、家においとく」
主人曰く「ぼーっとしてる亮太は?」
私考える。

●のぞみ→メス→大人しい・優しい?→いや一番小さいくせに気がキツイ。
●チャオ→オス→大人しい・人なつっこい→賢い→寂しがりや→ちょっとおいておきたい。
●亮太→オス→大人しい→ぼーっとしている→お母さんっ子→適応できないかも…。
●たけし→オス→食いしんぼ→辺りを荒らす→マイペース→迷惑かけそう
かわいいからこそもらってもらう?イヤイヤ賢いから?いやいやのんびりした子が…?ン-図太い子の方が苦労しなくていい?
いざ手放す事になると、どの子が一番いいのかとても困った。

候補は2匹になった。のぞみかチャオにしよう!
のぞみは兄妹の中で一番体が小さく唯一のメス。少し白くてかわいさ一番だった。
チャオは母猫に一番似ていて、少したれ目の優しい顔をしていた。当時の私のお気に入り。性格が優しく、気が付くと人のそばでコロっと眠りこむ甘えんぼだった。
メスは避妊手術さえすれば、そんなに大変ではない。オスはどうしても家を荒らしたり汚したりしやすい。

決めてもらおう。どちらかに。
「決めて下さい」
『メスがええわね』と母。「オスがええって」と父。
「お前らが決めてくれ!」と結局返された。

じゃ、チャオもらって下さい。

以下理由
性格は一番優しい。たれ目顔で表情も優しい。好奇心旺盛でとにかく覗き込んだり、駆け寄ってじっと見てる。その表情はとてえも賢そう。声が一番高くてかわいい。毛が短く少なめ。気が付くとそばで寝てる。気が付くと見上げて「にゃっ」となく。(一番手放したくなかった。)

とにかく甘えん坊で人になじみやすいこと。優しい顔や声なら苦手でも恐くない…かな。

両親の会話
『お父さんがえさやって下さいよ。』「へいへい」
『寝室には入れんといてちょうだいよ』「わかったがな」
『お父さんが面倒見てくれへんかったら、飼えへんからね』「もうわかったて」
『あんたたちも手伝ってちょうだいよ。どうしていいかわからへんねんからね』「もちろんですとも」

チャオが実家へ旅立って、どきどきどきどき。電話するにもなんだかしにくく、どうかなー?私はすごい罪を犯したのではなかろうか…と、しばらく時間が過ぎて行った。

「お母ちゃんはまだよう抱かんのやー。」「よー食うわ」「トイレ掃除は全部お父ちゃんやで」「チャオは賢いわー」「チャオは、かいらしいなー」しばらくは、父の楽しいそうな声ばかりであった。

『今日抱いたんよー。』『すぐにご飯食べてしもて』『この子はミルクはあんまり好きやないね』『もうー、トイレの砂をわざと落として見てんのよ』『今日は障子に穴が開いたわ』『チャオは考えとんねんよ。賢い子やわ』『優しい顔してるね』などと、母の弾んだ声を聞いたのはどれほどぶりであったろう。
障子の穴にため息と厳しい声で、表情も硬くなりつつあった母ではなくなった。

「猫は待てができるのか?」
出来ます!ーーーーってそんな簡単に(^-^)

両親の元ですくすく成長するチャオは、食事は必ずテーブルに着いて一緒にとる。その頃チャオはちくわ大好き。目の前のお皿にちくわを切って入れてもらう。食べようとすると、『まだでしょ。まだ用意が出来てないでしょ』と母。爪で引っ掛けてつまみ食いポーズ。『まだでしょ。めめ』とまたまた母。その度にチャオはきちんと座り直し、準備が出来て両親共にそろうまで待っている。『はい、いいわよ』の声で食べはじめるのをずっ~~~ぅっと続けていると、「待て!!」なんて言わなくってもちゃんと待つらしい。

ペットとして育たなかったチャオは、あまり抱いたりなでたりさせてくれない。すぐ逃げてしまう。そのチャオが自分から唯一抱いてくれーとせがむのが母である。もう5キロを超える重さなのに、母は肩に抱えてその辺りをぶらぶら。顔に顔を擦り付け、喉を鳴らして甘え三昧。…他にはしない。
両親にとって今やチャオは毛むくじゃらの一匹息子なのだ。

今まで孫たちを呼ぶ時、息子だの従兄弟だの入り交じって呼んでいた母が、今は誰を呼ぶ時でも最初は『チャオ』である。

お母さん、決心して下さってありがとう。


第五話
猫の身づくろい。
猫のかわいいしぐさに身づくろいがあるが、よくもこんなに体が曲がるものだと思う。舌も疲れないし、毛が口に入ってゲホゴホにもならない。

『猫が顔を洗う』

この行動で天気がわかるか?

・・・・天気はわからないな。・・・・なんぼなんでも。
昔から『猫が顔を洗って前足が耳より高いところまでいくと 雨! 』といわれている。
子供の頃、にゃんこの「顔洗い」が始まると、わくわくしながらそばで観察した記憶がある。そのときの結果は覚えていない。
きっとはずれたんだろう。

うちのにゃんこ「のぞみ」の力はどうか?

!なんと!これが不思議なことに100%の大当たり!!!!
のぞみの親子4,5匹がいた頃もなんと100%の大当たり!!!!
・・・別に4,5匹の猫が一列に並んで一斉に顔を洗うわけではない。気ままに顔を洗いたい猫が、思い思いに洗うのである。

細かいことはよくわからないが、人間でも気圧が低くなって、「古傷が痛む」「髪が重い」乾燥していれば「静電気の度合い」などである程度感知することが出来る。これらは私のことだ。人によればきっと「雨のにおい」「雪のにおい」が感じられる人もあることだろう。そこらあたりで、猫も耳の周辺がムズムズするのかな?

しかし、悲しいかな大当たりでも天気『予報』にはならない。なぜなら、雨が降る前に必ず『顔洗い』するとは限らないからだ。
降ってからっていうのが多いなぁ…。

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