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第二話
第2話
俺は知とったんや。
お前が ともえの事 好いとった事。
でも俺はずっと心の中でしまっておこうと思った。
あの夜までは・・・。
そう。
それはお前のためや。
わかるやろ。光一。
そう。 それは決して お前がともえを思う心への嫉妬ではなく、
俺が 方向音痴だって バレてしまった為の口止めや。
「チン。」
「カンパ?イ。」
それは、ともえにとっての “最後の晩餐” だった。
俺はともえと高級レストラン “パトリシア” に来ていた。
ともえはじっと俺の顔を見ていた。
「なんや。」
俺は少し斜め上の方を睨んで注意した。
「ん?」 ともえは俺の見ている方向 を見て考え込んだ。
ヤバイ。ついいつもの癖で・・・ どうにかごまかさへんと・・・
「あれ、お前見えへんのこれ?」
俺は何もない方向を指差した。そしてちょこっとウインクしてみる。
(俺ってナイスリカバー)
「ん?」 ともえは不思議そうな顔でまた俺に視線を戻す。
あかん。
- 沈黙 -
「あのー・・・」 痺れを切らしたのはともえの方だった。
「つよポンの事もっと知りたいかなー なんてネ。ぐふふ。」
つ・つよポン やてー ともえー
「そやなぁー・・・」
俺は スクールキラーの事・T芝事件・ネオ麦茶の事・田代祭・ラットキラーの事なんかを
触りだけ話した。
大爆笑 間違い無しのマシンガントーク だった。
しかし、
話していくうちに ともえの顔は みるみる青くなっていった。
「どないしたん?」 俺は心配になって聞いてみた。
「....。」 無言だった。
まっ、まさか・・・ 俺の計画がバレたのでは・・・
剛の顔色が青ざめていく。へんな汗が出て来た。
「トイレ。」 ともえは一言言うと席を立った。 うつろな目をしている。
あかん。あかん。あかん。あかん。あかん。・・・
俺は考えた。...考えた。...考えた。...
しかし何も浮かんでは来なかった。
何でバレたんやろ。
トイレの中で ともえも悩んでいた。
今日は初めて “つよポン” って呼んじゃった。
そこまでは良かった。 自分で自分をナデナデした。
問題はその後だった。
何であんな話しちゃったんだろう?
そう。ともえも何を隠そう同じ大型掲示板の人間だったのだ。
しかし、ともえは アンチ2チャンネラーのマジレスさんだった。
つよポンのハンドルネームを聞いてビックリした。
この間 マジレス入れたら文句言われて 散々罵ってやったやつだった。
知らないうちに つよポンを傷つけちゃったんだ。
そういえば つよポンも途中から顔色変わってきちゃったけど・・・
まさか・・・つよポンに気付かれちゃったんじゃ・・・
どうしよう・・・
・・・まっ いっか。
違う話にもってってこの話はなかった事にしよう。
ともえは晴れやかな顔でトイレから戻ってきた。
俺は安心した。やっぱ気付いてはいなかったようだ。
しかし、長い時間だった。
多分 5分くらいだったと思うが 俺にとっては一時間くらいに感じていた。
「ゴメンネ。一時間も待たせちゃって。」
恥ずかしそうにペコリと頭を下げる。
(本当に一時間だったのかよ。)
俺は心の中でつっこんだ。心は サマ?ズ三村 だった。
「今度は私の話ね。ぐふふ。」
ともえは頑張って話をした。まるで神が降りた様に・・・
いや、きっとおしゃべりの神様が降りてきたのかもしれなかった。
まず、エヴァの話から入った。リリスとロンギヌスの槍についてだったかな。
俺が全く興味を示さない事を知ると、今度はCLAMPだった。
レイアースに出て来る車の名前と、CCさくらのクロウカードについて熱く語っていた。
最後に シヤァ専用ザクについて語るところだった。
俺は心の中で “逝って良し” と何度も繰り返し叫んでいた。
そして遂に 最初の一言を発してしまった。
「いっ・・・」 あっちゃぁ
「い?」
ともえは エクスタシー を感じ始めていたトークを中断した。
あかんがな。
「いっ・・・いいモン持ってんなぁ?ここにって思ってたんだけど(汗)。」
俺は親指で自分の胸のあたりを指した。
そして、さっきの “ウインク” の失敗を思い出し、
今度は思い切り歯茎を見せてやった。
(こんなんで伝わるんかなぁ?)
な、なんと・・・
ともえは顔を赤らめた。やっと伝わったみたいだ。
そして ともえは6本目の シャンパンのおかわりを頼んでいた。
「もうやめとき、あんま飲むと体に毒やで。」
一応 優しいところも見せておく。
ゾクっ。鋭い視線を感じた。
グラスに入ったシャンパン越しのともえだった。
そのとき おれの心の中から声が聞こえてきた。
(殺らなければ 殺られる。)
俺の心の声は信頼度 0% だった。
でも俺は信じてた。
☆・・・
前にこの声が聞こえたのはいつだったかな?
そうそう
街の中を何の当てもなくブラブラしてて
迷子になったときだった。
急にその声は聞こえてきた。
(次のナンバーズのあたり番号は「4.6.4.9」だ。)
マジっすか?
俺は迷わず帰りの電車代をすべてナンバーズにつぎ込んだ。
そうそう
そして 次の日の朝まで歩いて帰ってきたんだっけ。
ナンバーズは一つの数字もカスらず見事にはずれていたなぁ....。
・・・☆
「かえろっか。」
俺は意を決してテーブルの上のナイフをポケットに忍ばせ
席を立った。
二人は店を出て少し歩いた。
少ししてともえが話し掛けてきた。
「つよポン さっきナイフ盗んだでしょ。」
(ドキ)
「はい。これ。」 剛にフォークを渡した。
「ぐふふふ。」 不気味な声。
そして、もう1セットフォークとナイフを見せる。
その瞬間 “俺の心” は暴走し始めた
(殺される 殺される 殺される・・・)
俺は ともえに 殺意がないのはわかっていた。
(殺される前に殺せ!!殺される前に殺せ!!・・・)
このままだと “俺の心” との戦いが始まってしまう。
「つよポン ちょっと そこの公園で休みましょ。わたし 疲れちゃった。」
なんと修羅場を救ってくれたのは ともえ だった。
と いうよりは “俺の心” と俺の意見が合ったのだ。
ともえの思惑を知ってしまったがために・・・。
それは ともえのとった行動だった。
公園のベンチに座ったとたん ともえ は
“俺の心“と会話中の俺の口を ともえの唇で塞いでしまった。
目から涙が溢れてきた。
(ジャーニーさん の次は 絶対 光一だって決めてたのに・・・)
初めて “俺の心” と同じ事を考えていた。
いや。もう “俺の心“ が俺の体を乗っ取っていたのかもしれない。
俺は ともえ に フォーク と ナイフ を刺していた。
返り血の洗礼を受け俺は微笑んでいた。
今まで誰にも見せた事のない 最高の笑顔 だった。
- 第二話 - おしまい
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