┌|∵|┘ハニ┌|∵|┘

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第三話



第3話

ビルの間から朝日が昇ってくる。
これから先 俺の心の中にも太陽が昇ることがあるのだろうか?
光がほしい
光がほしい
光一がほしい・・・
光一すべてお前が悪いんやで。


どこをどう歩いたんだろうか?
俺はさっきまで “ともえ” と呼ばれていた物体と共に俺の部屋にいた。
「あっ そうや 光一にあやまらな・・・。」
血だらけの手で光一へ電話した。

トゥルルルルル・・・ガチャ

光 「もしもし。」 光一は面倒臭い声で電話に出た。
剛 「光一か。俺や・・・」
光 「あぁ 剛か 昨日はどないしたん?」
剛 「すまんなぁー。酔払ってたみたいや。」
剛 「でな、昨日のお礼っていっちゃなんだけど・・・
   今晩 俺の家で 鍋しいへんか? ええ肉はいったんや。」
光 「ほんま?」 声のトーンが変わる。
剛 「ああ、ほんまやで。」
光 「わかった ほんなら今晩 絶対行くでー。」
ガチャ
一方的に切られた。

俺は知っていた。光一が 鍋物に目がない事を・・・。
光一と一緒に鍋をすると自分の好きなものが食えないので、
ずっとご無沙汰だったんや。

“光一が来る”  その言葉が頭の中に浮かんでいる。
今日こそ 覚悟を決めよう。
そうだ。 今日こそ言うんだ・・・ あの事を・・・
その決意を胸に肉をさばき始めた。

夕方だった。
(もう少しで光一が来る。)

俺は体に付着した血液を洗い落とそうと浴室に来ていた。
ギョ。
鏡に映った俺に驚いた。
確かに笑っていた。
何故だろう・・・ こんな状況なのに・・・
体についている血液を洗い落としもう一度鏡を見る。

・・・

「ぶっさいくなかおやなぁ。」

そこには 無精髭を生やし、目の下にクマを作っている俺がいた。

「髭くらいそっておかな・・・」
T字剃刀を取り髭をそり始める。

ショリ ショリ サク。
“痛っ”

顔から血がにじみ出る。
俺の手は震えていたんだ。

髭をそり落とし浴室を後にした。
顔中血だらけだった・・・様な気がする。

まもなくして 光一 がやってきた。
「じゃまするでぇー。」
“MY箸” と “MY取り皿“ 持参だった。

光一は部屋に入ると肉の量に驚いた。
「こんな沢山(ぎょうさん)あるんやったら みんな呼べばよかったなぁ。」
「ところで、これ何の肉や?」
・ ・・と、ともえ。
「と、とっても珍しい肉なんやて。」
ふぅ。

しゃぶしゃぶ にした。

肉を食べながら剛は語りだした・・・

この肉な・・・
食うと“パワーアップ“するんやて・・・
美味いやろ・・・

剛は湯を通さず生のまま食べ始める。
 “パワーアップ” するんや・・・
“パワーアップ” するんや・・・
 “パワーアップ” するんや・・・
           ・・・

異常な行動に気付き光一は後ろから剛を押さえつけた。
「なにやっとるん。」

しかし、剛には逆効果だった。光一の腕を払いのけた。
そして、箸を投げ出し手づかみで肉を食べ始めたのだった。

ムシャムシャ

“パワーアップ” するんや・・・

「ニィー。」
急に 剛 は 光一 に笑いかけた。
歯と歯の間から真っ赤な液体がにじみ出て滴り落ちる。
「あは。」
笑い返してみる。
・・・もう光一はそんな剛を見守るしかなかった。

がりっ
剛の顔がゆがむ。
口の中をモゴモゴしたかと思うと
“銀色の物“を吐き出した。
「なんだ。銀歯か。」ポイ。
そう言うと剛はまた食べ始める。

・・・ふと、光一は “銀歯” に目をやる。
ん?これ“銀歯”やないで。
よく見るとそれは“ピアス“だった。

・・・このピアス・・・ともえ!?
そう。そのピアスは ともえのモノだった。
剛に きれいや とかいわれていつも身につけてたピアス。

光一の胃は拒絶反応を起こし始める。
「うっぷ。」
トイレに走り出した。

「どないしたん?」
手 と 口の周り を真っ赤にした剛がものすごい勢いで追いかけてくる。
ガチャ
間一髪だった。トイレのかぎを閉める。

うげぇー
床一面にこぼしてしまった。

「光一 大丈夫かぁ??」
剛・・・の姿をした悪魔の声。

「すまん。だいぶこぼしてもうた。」
素直に答えてしまう。

バカバカバカバカバカバカ。
何を素直に答えておるんや 俺。

・・・冷静になって考えよう。
しかし・・・ 剛はそんな時間を与えてはくれなかった。

「光一 入るでぇー。」
ガッキン
バールの様なものでドアノブを壊して扉を開ける。

「お前も “パワーアップ“ するんや。」
剛の手には“ともえ”が握られている。
フルフルフルフルフルフルフルフル
光一は必死に首を振る。
しかし、剛は無理矢理“ともえ”を口の中に押し込んできた。
「うっ。」
光一の胃は激しく拒絶する。
涙が溢れてきた。

「泣いとるんかいな。 男の子は泣いたらあかんて。」
そう言うと 剛は顔を舐めて涙をふき取った。

生臭かった・・・ 。
血の匂い・・・ 。
・・・ 。

第3話 おしまい。

エピローグ

・・・ 俺は気を失っていたようだ。
気付いたときには“剛の中”だった。
どのくらい眠っていたのだろう・・・
真っ暗闇だ・・・

剛の声が聞こえる。
“光一 やっと一緒になれたなぁー”

イヤだ。
こんなのは 絶対にイヤだ。
しかし 体の自由は 奪われていた。

ふと、“ともえ”の事を考える。
あいつも俺の中で同じ事思ってるんやろか・・・
まあええわ・・・ もう終わった事や・・・

そして 光一は 永い眠りについた。

-おしまい-



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