インフルエンザワクチン


   監修 岡部信彦(国立感染症研究所感染症情報センター長)

Q1・インフルエンザの予防としてマスク、手洗いは有効か?
 A)インフルエンザは約80~100nmの粒子でマスクより小さいけれど、マスクは患者の飛沫を通過しにくくさせる。
   飛沫が付着した手指を口に直接触れても感染は成立する。
  ☆ 要するにマスクはした方がいいし、手洗い励行ということです。

Q2・小児のインフルエンザ脳症を防ぐ方法はあるのか?
 A)ワクチンを接種しても脳症になることはある。
   ワクチンを接種するとインフルエンザ患者が減るので脳症になる人の数も減る。
   (evidenceはないが理論的に有効・・とのこと・・)

Q3・妊婦への接種は可能か?
 A)添付文書には「妊娠中の接種に関する安全性は確立されていない」があるが不活化ワクチンであり胎児に悪い影響を
及ぼしたという報告はない。
   妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期なので避けるのが望ましい。

Q4・卵アレルギーへの注意事項
 A)ワクチン液による皮内反応の適応(10倍希釈ワクチン液0.02ml)
    ●鶏卵成分を摂取して即時型反応(2時間以内)を呈した既往のある児
      鶏卵の二次製品の摂取が可能なら大丈夫
    ●卵白RASTスコア4以上の児・・3以上の施設もある
    ●鶏卵成分を摂取したことのない児でRASTスコア2以上
    ●卵白以外でのアナフィラキシー反応の既往のある児
   判定基準(疑陽性の対応が書いてないけど・・)
      陰性(生食の対照と変わらない)→規定量接種
      陽性(膨疹径9-14mm 発赤径20-39mm)→1歳未満0.05ml→30分観察→著変なければ残量接種
1歳以上0.1ml

Q5・予診における注意点
 A)予診の目的
    ●トラブルを起こす可能性の高い症例を除外するため
     1)主に卵アレルギーなど
      (心疾患、腎疾患などの接種要注意者は副反応の頻度が高いとは考えにくい。)
     2)発達障害
       新たに痙攣発作等を発症する頻度は健康児より高いと考えられるためワクチン後にたまたま生じると因果関係を否定することは困難
       注意点・・発達障害の基礎疾患の診断が確定しているかあるいは病状が安定しているか
            最終発作から2~3ヶ月経過しているか
            熱性痙攣とてんかんへの詳細は小児神経学会の基準を参照のこと
            以上の条件を満たすのは1~2歳以上と考えられる

Q6・インフルエンザシーズンの待合室での注意点
    1)インフルエンザと思われる患者をいかに早く診察して帰宅させるか
       すばやい予診、説明は印刷物などを渡して説明は簡単に。
    2)インフルエンザ以外の患者さんにいかにうつさないで帰すか(逆隔離)
    3)快適に待っていただくための工夫
       室温調節と換気  絵本やおもちゃ  音楽  スタッフが声をかけるなど

Q7・ワクチン接種後どれくらいで効果が現れるか?
    接種後2週目くらいから現れ半年近く持続する。
    プライミングとブースターは区別して考える必要あり。

Q8・局所反応が出にくい接種方法は?
    日本は皮下接種であるが米国は筋注。
    浅すぎないよう、同一部位への反復を避ける。
       【接種部位】上腕伸側で、肩峰から肘頭を結ぶ線のおおよそ下3分の1の部分
       【接種の実際】
             消毒用アルコールを使用。(不耐症の人はイソジン、ハイアミンなど)
             肘関節を屈曲させて注射部位をつまみ隆起させる。
             神経、血管に注意。
             ワクチンの注入はゆっくり。(痛いから)
             直後はゆっくり数回揉む。(強く揉むと皮下出血を起こす)

Q9・迅速診断キットの信頼性は?
    検体に種類によって異なる。
    他、年齢、手技、採取時期も影響する。 鼻腔ぬぐい液>咽頭ぬぐい液
    発病2日目が検出率が高い。
    診断はキットに頼らず総合的に^^

Q10・ザナミビル(リレンザ)とオセルタミビル(タミフル)の処方の注意点
    投与2日後解熱してもウイルスは分離されているので感染源としての注意が必要。
    5日間投与を短縮した場合の検討はされていない。
    (薬が足りなかった年は2日間処方もあったけれど再燃はなかった・・)

Q11・チメロサールが添加されているが・・
    不活化ワクチンの保存剤として含まれているチメロサールはエチル水銀を含んでいるが半減期は1週間と短く臓器親和性も低い。
    危ないのは神経毒性の強いメチル水銀です。
    米国医学協会(IOM)は2004年5月に「チメロサールと自閉症の関係を完全否定する」という結論を出した。

Q12・現在日本人はどれくらい接種してる?
    歴史・・・昭和37年から勧奨接種
         昭和51年から予防接種法に基づいて小中学生に接種。
         昭和62年から希望者に接種。
    昨シーズンの13歳未満の接種率は27.2%、高齢者49%、成人13.8%

Q13・鳥インフルエンザがヒトに感染することはある?
    感染効率は高くはないが、感染しうる。

Q14・気管支喘息患者さんへの接種の注意点
    ワクチン接種による気道過敏性の亢進は否定的。
    インフルエンザ罹患により過敏性が亢進すると考えられる。
    2週間以上発作がないことを確認して積極的に接種したい。

インフルエンザワクチンはまれに急性散在性脳脊髄炎を起こすことがあるので紛れ込みを含めての配慮が必要。

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