愛でいっぱい 光でいっぱい みんなでハッピー

ある男の人のお話



いつも一生懸命生きていました

支えていくものがあるから
みんながごはんを食べれるように
家族が 楽しく勉強出来るように
習い事も出来るように
一生懸命働いていました

男の人のポケットには少しのコインがありました


けれど
その人は それを少ないとも思ったことがありませんでした

目の前に 人の言う安心出来るコインも保証もないけれど
その人の心の中には 幸せという希望がありました

高価な服を着てないけれど
つくろった服を着ているけれど
希望の目で 周りを見れば たくさんの喜びがすぐに手に入りました


おいしい食事や
パーティーに その人は行くことがないけれど

その人の目には
惜しみなく 降り注いでくれる太陽や
そっとこっちを見上げてる野の花や
季節の風の香りがありました

小さなパンを買うと 家族で分けて食べました

たくさんのことを子どもにもしてあげれず
自分でいっぱいの時もあるけれど
家族は のんびりと笑ってました

今日は その人は 一人でハイキングをしようと思いました

来たことのない山道を 一人で歩いていました

歩いて

歩いて

少し 休憩をしようと思いました

座ろうと思って
リュックを下ろそうとしたら

あったかな
あったかな手が
その人の背中から リュックを降ろしてくれました

よいしょっと座った時
その人は リュックを隣に置いてくれました


どすんって音がして リュックがそこにありました

こんなに大きなリュックを背負っていたんだなあ

肩が こんもりと腫れあがっていました

自分ではまったく分からなかったけれど
こんなに大きなリュックを背負っていたんだなあ

いっぱい
いっぱいリュックには いろんなものが入っていたんだなあ


おとこの人は ふううって ゆっくりと息をはきました


あったかな声が聞こえてきました

姿はないあったかい声がきこえ
あったかい温度とぬくもりと 見えないその方は その人の隣にすわりました


ゆっくり少し休みなさい

いっぱい いっぱい がんばってきたね

いっぱいのものを背負ってきたね

そのことにも気づかずに いっぱい ここまで歩いてきたね

私は 見てたよ

ずっとね

あなたと共にそばにいたよ

ようく ようく がんばって生きてきたね


あなたは えらいこ

あなたは えらいこ

わたしの 愛しい子

わたしの 愛しい子

がんばりやの あなたが 愛しくて

私はそばにいます

少し 荷物を降ろして 少し 休みなさい


そういって そのあったかい手は その人をなでてくれました


その人は しばらく じっと顔を固めていたあと

ひとつぶ

ふたつぶ

涙が ほほをこぼれ

そのうち わんわんと わんわんと 泣きました

声がかれるまで泣きました

泣きました


その人は泣いたことがなかったのです

あったかい手が その人の頭をなでた時

その人は 声を張り上げて泣きました


大きな荷物を背負って歩いたことも がんばったことも
誰にも分からないと思っていました
自分の胸のうちだけに入れておこうと思いました
家族の顔を曇らせないように

けれど
けれど

あったかい手に触れて

その人は 大きな声で わんわんと わんわんと 泣きました


「何を学んできたのかい?」 その声が聞きました

「何を学んできたのかい? つらかったかい?」


「神様 私は ひたすら生きてきました 学んだかどうかなんて考えることなく ひたすら生きてきました
家族においしいごはんを食べさせるため
あったかな布団で寝てもらうために
笑顔でいてもらうために
考えることなく 生きてきました

足りないと思ったことはないけれど私は家族においしいものも食べさせてあげられず いい暮らしもさせてあげられなかった」

神が聞きました

「家族たちは 苦しそうだったかい? あなたは苦しかったかい?」


男の人は答えました

「私は美味しいものを食べさせてあげられなかったけれど 家族はよく笑っていました
 安いお店で みんなで一つのものをつついて食べてる時も よく笑っていました
私は 家のこともちゃんと出来ずに いい暮らしもさせてあげられずに来たけれど
家族はみんな健康でした

時々 もう楽になりたいと思うことがありましたが こうしてここまで生きてきました

生きるとは とか 学ぶとは なんて私は よく分かりません
私は あなたとは程遠い場所で生きてきました」


神さまが言いました

「君は 何が好きかい?」

「私は 静かな時間を持つことが好きです 何も持ってないけれど 私には
いつも太陽が私を照らしてくれました
野の花が私を向いてくれました
私には車があって いつも私は そこでお昼ねしたりしてました 」


「大きな荷物を背負っていたね」 神様がいいました


男の人は言いました

「私は さっきまでそう思っていました
なんて大きな荷物を背負っていたのだろうと
降ろしたときに思いました
家族を養うこと 自分の力で生きること がんばってきたなと思いました

でも 今は違います

私のこのリュックの中には たくさんの ありがとう が入ってることに
今 気づいたのです

私は 家族の笑顔を見ることが 自分の力で生きることが きっと ほんとうは
したかったのだと思います

そして 私には たくさんの自然がありました

私は たくさんの喜びを背中に運んでいたのです」


神様が言いました「リュックの中を見てごらん」

男の人は 最初 その中に 大きな岩がいっぱいあると思いました


でも そのリュックの中には

たくさんの

たくさんの

思いが入っていました


家族の笑顔

おいしいものを奮発した時の みんなの嬉しい顔

自然を見てるときの自分の笑顔

野の花をきれいと思う心

優しくしてくれて嬉しかったときの気持ち

友達が ありがとうって言ってくれた時の嬉しい気持ち

人に優しい気持ちを持てれたときの 嬉しい気持ち

たくさんの
たくさんの
嬉しい気持ちが入ってました


たくさんのたくさんの
ありがとうが 入ってました


男の人は
大きな あくびと深呼吸して

「ああ いい人生だなあ

もっともっと生きるぞ」

そういって

起き上がって

神様に深いおじぎをして また歩いていきました


神様と一緒に歩きながら




http://plaza.rakuten.co.jp/happymaricyan/diary/200810040002/

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