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しあわせのかたち
『新世紀エヴァンゲリオン』(リンク
これ書いてる途中に最終回まで見ちまった。
見なきゃよかったとちょっと思っている。なんというか、アニメーションってサブカルチャーだなあ、というのがいまの感想。
決してバカにしているわけではないけれども、バカにされても仕方がないような収拾のつけかただ。少し頭にもきた。
※
ぼちぼち折り返し地点を越え、いよいよストーリーの全体像が掴みづらくなってきたので(こういう物語も珍しいわけだが)ネット検索を使って資料収集を始める。
参考になったサイトは以下のとおり。
ガイナックス公式
【補記】関連商品に興味がない場合はほとんど意味なし。ここではじめてマンガ版とゲーム版の存在を知る。「謎を残す」という手法は視聴者に対して裏切りだとは思うけれども、作品が終了したあとも話題を残す→関連商品が売れる、という効果はあるんだなあ、と思った。公開後10年経ってもこれだけ話題が続くのは、エヴァが作中でその伏線をすべて公開しなかったからだろう。でもやっぱり裏切りだと思う。
電脳補完計画
【補記】Yahoo!の特設ページ。各話の紹介が役に立った。五月末までの期間限定公開だそうなので、動画や画像などを落としたい場合は急いだほうがよさそう。
新世紀エヴァンゲリオン-Wikipedia
【補記】ものすげー詳しくてたまげた。作中のキーワード解説から元ネタ紹介、関連商品の網羅に資料整理と、ともかく緻密。
エヴァンゲリオン(架空の兵器)
や
新世紀エヴァンゲリオンの登場人物
等と、関連項目も充実。多過ぎてある程度の予備知識がないと、読んでもなにがなんだかわからない点も注意。まあ百科事典ってそんなもんか。
EVANGELION(新世紀エヴァンゲリオンについての考察、謎解き、解釈)
【補記】yasuakiさんという個人が作ったファンサイト。サイト中の使用画像がガイナックスからの掲載許諾を受けているものなど、ただの素人とは思えない。グッズのアフェリエイトが少々ウザいが、内容は盛りだくさん。広範な知識をフル活用してエヴァンゲリオン作品全体の解題に挑んでいる。全部読み切れてない。
アニメ的なもの、アニメ的でないもの
【補記】東浩紀による作品レビューと考察。買ったままで読んでない『郵便的不安たち』(朝日新聞社刊)を引っ張り出さねばならんかなあ、どこにしまったかわかんねえなあ……と困っていたが、ネット上で公開されているようで助かった。宮崎駿(『天空の城ラピュタ』等)、大友克洋(『AKIRA』等)、押井守(『攻殻機動隊』等)との比較が大変に興味深い。参考になったが、レビュー自体が映画版の2作公開前に書かれたものであり、それへの考察がないのが惜しい(近著『網状言論F』に言及があるらしい。読むべきか?)。著者の東は間違いなく賢くて鋭いのだが、ことオタク文化に関してはかの唐沢俊一翁に「オタクがわかってない」と批判されているところが気にはなっている(「(東は)文章が下手」という唐沢の指摘には同意。まあ内容には関係ないけど。ただ師匠の浅田彰も下手だったんだからしゃーないんでないかなあ)。
新世紀エヴァンゲリオン
【補記】ネット上のアニメ論客たちが、それぞれエヴァという作品に触れた時期の回想と、個々の考察が対話形式で展開。エヴァがTV公開された95~96年という時期に、アニメファンたちがこの作品をどう捉えたのかがわかって興味深い(いや私、当時はアニメなんてまったく興味なかったもんで)。エヴァのTV放映時期がWindows95の発売時期と重なっていた、という指摘は、いまさらながら「あ、そうか」と思った。年表つくらにゃイカンかなあ。むう。
ちなみにエヴァTV放映は95年10月~96年3月(翌97年の春と夏に映画版公開)、Windows95日本語版の発売は95年11月。オウム真理教による地下鉄サリン事件は95年3月。
大塚英志のおたく社会時評
【補記】大塚には吉本隆明との対談集『だいたいで、いいじゃない。』(文藝春秋刊)でもエヴァについての言及があり(
こちら
に引用記事あり)、ともかく同作品について攻撃的。「自己啓発セミナーと手口が一緒だ」という指摘は当を得ていると思うのだけども、それに対して庵野は「(自分は)セミナーに出たことはない」と言っているそうだ。違うよ庵野さん。反論すべきポイントはそこじゃない。「(セミナーと手口が一緒だからって)だからどうした」と言うべきだったんだ。そう答えられないところに庵野の(ひいては「アニメ」というカルチャー全体の)弱さがあり、かつ大塚がジレンマを抱くポイントだと思う。
優れた文学や演劇や音楽は宗教的トランスをもたらす。それをマネたのが自己啓発セミナーだ。だから作中に読者や視聴者を引きずり込み、その価値観を(脳ミソごと)揺さぶるためには、手口が似るのは当たり前。恋愛だってそうだ。ただ文学や演劇や音楽は、その表現活動と研究に一生を費やすに足る奥行きがある。揺さぶるほうも揺さぶられるほうも、そういう確信がある。が、アニメやマンガにはそれがない。それはたぶん「サブカルチャーだから」ではない。これについては後述したい。
エヴァにとりつかれた人々の悲喜劇
【補記】院生が書いたと思われる、エヴァを巡る言説論。膨大な先行研究をチェックしているあたり、学術論文経験者らしくて助かる。上述の東、大塚のレビューへの言及もあり。
神崎のナナメ読み
【補記】庵野秀明監督が04年5月に放映されたNHKのトーク番組『トップランナー』出演時のコメントが記載されている。注目すべきは以下。なんかすべてを説明しちゃってる気がする。
庵野
「何か内面的なモノを見てみたいと云う雰囲気が、バーってあの頃、増えたと思うんですね」
本上
「もの凄く心情を・・・こう・・・言葉にして出すって云う主人公だったりとか、そういうところが、ものすごく印象に残っているんですけれども。みんな、そういうモノを求めていたと云うことでしょうかねぇ」
庵野
「当時は、そうじゃないですかね。僕自身、哲学を知らないんですよ。あまり哲学的なことはやっていない、今までも。エヴァはそういう風に云われてますけれど、あれは哲学じゃなく"衒学的(げんがくてき)"なんですね」
衒学についての解説テロップ「知識があることを自慢すること」
庵野
「あの~"知ったかぶり"と云うのが一番近い表現だと思うんですけれど。衒学的・・・」
本上
「"知ったかぶり"・・・」
庵野
「よく知らないけれど、こういう言葉を使っていれば賢そうに見えると云う・・・(観客の薄ら笑い)。それがエヴァですね。でもそれは、賢そうに見えるところが、何かパッと見た目"かっこいい"とかですね、"何か裏があるかも?"そう云うところに行くので、それはそれで、そういう方法論だと思うんですけれど・・・。何だろう、僕にとってフィルムは"サービス業"なんですよ。お客さんがお金を出して、映画だと1000幾ら出して見に来てくれる訳ですから、その1000幾らをお客さんが出したのと同価値の"面白さ"、"見てよかった"みたいなのをお客さんに返す仕事だと思うんですね。少なくとも、サービス業である以上、お客さんに何かしらそういう"良かった感"みたいなモノをあげなきゃいけない。それをフィルムに入れとかなきゃいけないと思うんですよ。そこで、あの~う、エヴァの場合は、ちょっと"利き過ぎた"感じがしてですね・・・」
武田
「利き過ぎた?」
庵野
「ええ。現実逃避の"よりしろ"とか、後は現実からそこに逃げ込む"装置"みたいなモノにされつつあるのが、見ていて嫌だったんです。映画になった時(97年に劇場公開)は、元々そういう予定だったんですけれど、お客さんにはとりあえず水を被せて、何か目を覚まして帰って欲しい・・・そういうのがありました。僕にとっては、それも"サービス"なんですよ。お客さんにとっては良い事だと思うんで。あのまま、居心地の良い所にずっと居て、それも一つのサービスだと思うんですけれど、エヴァの場合はそれをもうやっちゃいけない気がしたんですよ。少なくとも目を覚ますキッカケみたいなモノを入れなきゃいけない・・・それがお客さんにも良い事なんだろうと云う事で、最後はそういう事をやっていましたけれど。僕にとっては、それも"サービス"なんですよ」
(上記サイトの
庵野秀明 in トップランナー【3】
より引用抜粋)
上記発言を読んで、私は冒頭に記したような「頭にきた」が加速することになる。庵野はメディアとしての「アニメ」も、そしてそのファンも、信じていないのだ。
小説家が「小説ばっかり読んでるとダメになるぞ」と書くか。映画監督が「映画ばっかり見ているとオタクになるぞ」と言うか。ミュージシャンが「こんな曲ばっかり聞いてないで街に出ろ」というのか。
庵野は寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」をひいているが、それは寺山の文学に対する絶大な信頼(と悪魔的な魅力への理解)があってこそ成り立つテーゼだということを、庵野は理解しているのだろうか。
ここに私は、「アニメ」という表現手段そのものが、(それに生活を賭している庵野自身でさえ)信用に足るものではないことを示してはいるのではないか、という一抹の悲しさを見る思いである。
アニメにはまだ、衒学を気取るほどの厚みが足りない。おそらくそれは、人柱が足りていないということだろう。富野、宮崎、大友、押井、そして庵野といった表現者たちは、おそらく後世に記録されるべき天才たちだ。しかし、それら天才たちの人生を埋葬させてなお、「文化」は生け贄を求めている。
ありゃ、長くなった。
レビューの続きはまた後日書きます。
探しものは見つかっていない。
三十路すぎのサラリーマンの大型連休が、エヴァンゲリオンによって潰された。
これを情けないし悲しいと思うのは、アニメというメディアに対する差別である。
しかしこの差別は、庵野秀明という現代アニメーションの大家のひとりが引き起こしている。これを責任転嫁というか。いうな。うん。いう。
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